cutman-booche解散後、初のベスト・アルバム
cutman-booche / 「2002-2010」-Best of cutman-booche-
2002年に大阪で結成されたスリーピース・バンドcutman-boocheが、これまでにリリースしてきたタイトルから選りすぐりの曲で構成されたベスト盤にして最後の作品。
【Track List】
1. See you letter... / 2. 夏のかけら / 3. troppin' time 4. Nelson.G / 5. Ketchup / 6. 故郷松の湯 / 7. four-leaf clover / 8. 変わらない風景 / 9. みちかけた明日 10. 約束 / 11. ジョゼ / 12. Verse book / 13. サイクル / 14. トキノカットウ / 15. 立ち上がれ / 16. 手の中のlife / 17. lie on heart(Demo 2003) / 18. Little Hanoi Blues(Demo 2003) / 19. そばにいる(Demo 2003) / 20. 少年時代(Live in boosoul 2009 Tokyo) / 21. ハイウェイの上(Live in boosoul 2009 Tokyo)
※17、18、19、20、21の5曲は、まとめ購入をされた方々だけのボーナス・トラック!!
8年間を駆け抜けて行った彼ら
cutman-boocheが突然の解散を発表したのが2011年1月22日。あれからもう1年近く経つのか。彼らを初めて見たのは2005年、大阪市立大学の学祭「GINNAN ROCK FESTIVAL」。共演に赤犬、The Miceteeth、イルリメ、ZUINOSINと大阪らしい面々が揃っていた。その頃、何度か彼らのストリート・ライヴに足を運んだ。もっとも着いた頃にはもう終わっていて、見れたことは一度もなかったのだが。「まあまたいつでも見れる」と思って帰って、再び見逃すの繰り返し。「またいつでも」という言葉の儚さを、7年近く経った今思い知らされている。思えばその頃からcutman-boocheの名を色んなところで目にするようになった。2006、7年にはFUJI ROCK FESTIVAL、2008年にはSUMMER SONICや福岡のsun set liveなど、じわじわと大型フェスの馴染みの顔になってゆき、それに伴いコアな音楽好き以外の人からも彼らの名を聞くようになっていった。
彼らの音楽はブルース、ソウル、フォークなどのルーツ・ミュージックにポップとロックの要素をふんだんに織り交ぜた、優しくも酸味の効いたサウンドと、日常生活と地続きで描かれる親しみやすい歌詞で構成されている。「大阪のG.LOVE」と称されるように、爽やかで甘く、渋くて切ない。2002年、高校時代からの友人だった小宮山純平(Cho&Dr)と林周作(Ba)が楽器屋のメンバー募集を見てキムウリョン(Vo&G)に連絡したことで始まったcutman-booche。1枚のシングル、3枚のミニ・アルバム、2枚のフル・アルバムをリリースした後、2009年10月6日に林が脱退。キムウリョンと小宮山、2人だけの活動が1年3カ月ほど続いた。
今回リリースされるcutman-boocheのベスト・アルバム『2002-2010』には、2004年のミニ・アルバム『cutman-booche』から2010年のフル・アルバム『Hello?』まで、8年の活動の中でリリースされた7枚の作品の中から16曲を選んで収録している。彼らの8年の軌跡が刻み込まれた本作だが、どこを切っても変わらぬ“cutman-booche”らしい音で溢れている。リリースの時系列に沿って聴いてみるも、サウンドにあまり大きな変化は感じられない。ただ、09年の『my way』リリース時のインタビューで「かっこをつけて歌うのをやめた」と答えているように、キムウリョンの声には微かな変化が見受けられる。元々ブルージーで日本人離れした声が魅力的ではあったが、『my way』以降の声はなるほど確かに独特の癖が落ちている。歌詞が耳に入りやすくなったためか、歌詞の中にある日常的な風景はもとより、そのさらに奥にある一人の人間の葛藤まで伝わるようになった。それにより、よりブルージーに、よりフォーキーになったcutman-booche。ああ、言えば言うほどこれからの彼らをもっと見たかった。
21、22歳でcutman-boocheを始め、30歳を手前にしてその活動を終えた彼ら。解散の前年となる2010年のことを、キムウリョンは自身のブログでこう語る。「今まで生きてきた中で、一番早く過ぎていったと体感しております。」そして思い出すのはこの言葉。「今 自分にあるすべてのものをあたり前と思うな! /手遅れになる前に! 」(ファースト・ミニ・アルバム『cutman-booche』収録「Nelson.G」)。7枚の作品を出し、数多くのライヴをこなし、8年間をものすごいスピードで駆け抜けていった彼ら。2010年、林の脱退を受け、2人には大きな葛藤があっただろう。バンドを続けていく上で大きな岐路に立たされただろう。
さらに抜粋すると、解散発表前の1月11日のブログでキムウリョンはこう記している。「一つ好きな言葉がある。Don't Think. feel! 今の、俺には一番大切なんかもしれん。」この頃にはさすがに解散の意は固まっていたはずだ。彼らの音楽=感覚から出て来たものが好きなのだから、考えるのではなく感じたままに出た結果が解散だったのであれば、受け入れざるを得ない。それでも本作を聴くと、1年経った今でもまだ惜しいと思ってしまうのだ。(text by 水嶋美和)
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PROFILE
cutman-booche
2002年にウリョン(Vo&Gu)と小宮山純平(Dr&Cho)、林周作(Ba)の3人によって大阪で結成されたスリーピース・バンド、cutman-booche。デビュー当初は浪速のG.LOVEと呼ばれる事もあったように、洋楽然とした佇まいとセンスで日本中のルーツ・ミュージック・ファンの間で話題沸騰。FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONIC、sun set liveをはじめ数々の野外フェスティバルに出演、フェスに絶対欠かせない存在としてそのポジションを確立する。合計8枚のオリジナル作品をリリースした彼らの歩みは国内どこをみてもマネの出来ないスタイル、オリジナリティな存在として人々の記憶に刻まれるも2011年1月22日をもって解散。解散から1年後となる2012年1月にはベスト・アルバムをリリースする。
cutman-booche official HP
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