ニンテンドーDS用ソフトKORG M01で制作された楽曲の頂点を決める世界初のグランプリ・イベント『KORG M01グランプリ』が、2012年3月31日新宿LOFT/PLUS ONEにて開催。当日は、YouTubeに集まったエントリー楽曲の中から特に優秀な作品を選出し、制作者の実演による決勝戦を行い、楽曲の完成度、独創性、そして実演の完成度を元にゲスト陣が審査をし、最優秀作品を決定。個性豊かな出演者が、思い思いのスタイルで演奏し、その度にオーディエンスは拍手喝采。会場は、かつてない熱狂に包まれたのだった。このたび、当日演奏された10名の素晴らしい楽曲を、『KORG M01 Grand Prix Compilation』としてアルバムに納め、オトトイで配信開始。当日の模様を下のライヴ・レポートでチェックしながら、是非その熱狂の渦を体感して欲しい。
KORG M01グランプリのファイナリストによる音源集!!
VA / KORG M01 Grand Prix Compilation
【Track List】
01. 無題(ナカモトマサノリ) / 02. A Blue Day(X-traX) / 03. signal(黒) / 04. Classical Bounds(...klones) / 05. 旧校舎、音楽室にゾンビ来襲す!(松久峯文) / 06. 2441(daiteng) / 07. そうれつ(カサカワ) / 08. GOOD PARTY!(ヨナオケイシ) / 09. mind of "f"(832pie(はちみつぱい)) / 10. KUCHIBUE(口笛)(TuKuRu)
【値段】
MP3、WAV共に単曲100円 / アルバム700円
2012.3.31@新宿LOFT/PLUS ONE〜その日、熱狂が起こった〜
2011年3月31日、新宿歌舞伎町はサブカルチャーの聖地として名高いロフトプラスワンにて、世界初となる“ある”グランプリ・イベントが行われた。その名は「KORG M01グランプリ」! 「KORG M01」とはニンテンドーDSの作曲ソフトのこと。ゲームと思ってあなどるなかれ。これはタッチペンひとつで、あなたの音楽の価値観を変えうる未来型ビート製造マシーンなのだ! 、ド派手な言い方をしてしまいましたが、あながち大げさでもないのです。そんな「KORG M01」で制作された楽曲の頂点を決めるべく開催された本イベント。40作品近い応募者の中からファイナリストに選ばれたのは8名、特設コーナーの出演者として2名、全部で10名のアーティストが実演にて自身の楽曲を披露すべく、ロフトプラスワンへ集まった。
イベントのゲスト審査員として招かれたのは、かつてYMOのレコーディングや世界ツアーにシンセサイザーのマニピュレーターとして参加し「4人目のYMO」と呼ばれ、現在は「日本シンセサイザープログラマー協会」の会長を務めている松武秀樹(LOGIC SYSTEM)。そしてその「日本シンセサイザープログラマー協会」の正式会員であり、来夏にはヨーロッパ進出も決定し、今や日本を代表するゲーム・ミュージックのアイコン的存在となっているサカモト教授。そして「クロノ・トリガー」を筆頭に、様々な名ゲーム・ミュージックを多数制作してきた作曲家、光田康典(プロキオンスタジオ)。さらには、KORGのソフト担当を務める井上和士(株式会社コルグ)。そして審査員陣の中で唯一のバンドマン、飯田仁一郎(オトトイの学校長/Limited Express (has gone?))。ゲスト審査員勢、なぜか異常なほど豪華である。私が演奏者であれば、彼らの前で演奏した途端すぐに蒸発して成仏しまうであろう。
17時、開場1時間前。イベントの説明を受けるべく早めに集合した演奏者たちはそれほど緊張していないように見えた。18時、開場。徐々に人が集まり始め、19時の開演にはほぼ満席となり、来たはいいものの席がなくて、さ迷う人々の姿も目立ち始めた(ロフトプラスワンのスタッフ様、席探しナイス対応でした! )。そして司会進行を務める男がステージ脇より登場! 大きな声で「ハイハイハイ~! 」と手を叩きながら緑のダブルスーツにギラギラのどでか蝶ネクタイ。思わず「芸人の方ですよね? 」と声をかけたくなる出で立ちだ。しかし、実は彼こそが株式会社DETUNE代表取締役であり「KORG M01」の開発者、佐野電磁。ステージに上がりゲスト審査員を紹介し、ステージから見て左にある審査員ステージへ誘導。早速ファイナリストをステージに呼び、「KORG M01グランプリ」が開幕した。
観客に紛れ座っていたファイナリストたちが順々にステージに上がる。や、いなや… あれ? ガッチガチに緊張してる! ステージの演奏者席に座り、ノリノリに揺れる佐野電磁の横で演奏開始。しかも演奏する手元は後ろのスクリーンにでかでかと投影されている。中には緊張のあまり手を震わせる人も。何せ横にはM01のオリジネーターが自分が鳴らす音楽でノリノリ、すぐ横のステージからは豪華すぎる面々が自分の手元をじっと見つめている。そりゃ震えたくもなりますよ… 心中お察しします。しかし、演奏はしっかりと。激戦となった予選を勝ち抜いただけあって、楽曲のクオリティーがかなり高く、全体的にもジャンルに富んでいて飽きることなく最後まで楽しむことができた。直球のエレクトロ、ノイズが入り混じったインダストリアルなエレクトロニカ、浮遊感あるエレクトロニカ・ポップ、テクノ、陽気なダンス・チューン、ピアノの音を用いクラシックの要素をふんだんにもりこんだ楽曲、朝の散歩を思わせる爽やかなシティー・ポップ。私の中にあった「ゲーム+音楽=ピコピコ・サウンド」の方程式は見事ぶち壊された。「M01でこんな音も出せんの!? 」というのが正直で素直な感想だ。演奏後、佐野電磁がゲスト審査員にコメントを求める。楽曲を褒めつつも、「強いて言うならもっと展開が… 」「強いて言うなら音の質が… 」などととシビアな意見も。どうやら彼らにも火が付いていたようだ。
そしてファイナリスト4名の演奏の後、「佐野電磁のナマで聴かせて! 」コーナーが始まる。ファイナリストには選出されなかったが、佐野電磁が「どうしても生演奏を聴きたい! 」とダダをこねたため特設された本コーナー。またこれがすごかった! これら楽曲を生で聴くべきだと見抜いた佐野氏に熱い拍手を送りたい。まずは、松久峯文「旧校舎、音楽室にゾンビ来襲す!」。開場前の集合時に「あの… ゾンビの者ですけど」と声をかけてきたあの彼だ。M01の演奏そっちの気で音楽室にゾンビが来襲してきた様を、身振り手振りで表現した。それも、演奏者席に座ったままで。ゾンビに驚く、逃げる、安堵する、再びゾンビに驚く、ゾンビを殴る。私は彼の背後にゾンビを見た! 他の方にも見えていたに違いない。続く演奏者はdaiteng。彼の名前をネットで検索してみると「KORG M01ノイズ界の巨匠、daiteng」という検索が出てきた。大物じゃないか! しかも「第一志望(大学)合格おめでとう! 」と続く。え、高校生だったの!? 演奏楽曲はもちろんのこと、出演陣の中でもっともM01の操作が激しく、その操作の効果が顕著に音に表れ、最もM01の遊び方を見ている者に伝えることが出来た演者だった。そして演奏中、M01の画面に「OTOTOYカード ホシイ」という文字を残し、ステージ上から去っていった… 。
その後休憩を挟み、残りのファイナリストの演奏を終え、ゲスト審査員たちは上位3名を決めるべく別室に移動した。緊張をほぐすためか単に飲みたかったのか、ビール片手に壇上へ上がったファイナリストもいた。審査員の光田康典のファンであるファイナリストは、光田康典からコメントをもらい、震えていた。演奏後、「いやー、勝ちに来ましたね! 」と佐野電磁に言われ、「そんなことないですよ」と言いながら目が最優秀賞受賞者への賞品、シーケンサー内蔵のキーボードになっているファイナリストもいた。この1時間で様々な人間ドラマを見た… と感傷に浸る間もないまま、サプライズで佐野電磁特別賞の4作品が発表され、M01界のファンク・マスターことサイモンガーモバイルによるライヴが行われた。そして私は彼に夢中になった。おかっぱのヅラ、黄色いTシャツには「GO! GO! CURRY」。ライヴが始まれば、このファンキーさ… まさに和製JB! しかし曲の歌詞は「母親のパンチラは死んでも見たくない」「ノーブラでセーター着てる女の子が好き」という内容ばかり。どうやらここ最近、青少年が集まる会場や結婚式の余興でのライヴが続いていたため、下ネタを叫びたくて仕方がなかったらしい。しかも彼の後ろにはリリーフランキーが描いた全裸の女性が(ロフトプラスワンの壁画)! 今日はもう思う存分叫んでよ、サイモンガー! と、私も全力でコール&レスポンスに乗っかった。ライヴ終了後、サイモンガーモバイルが実際に演奏に使用していた、KORGから出たばかりの新作シンセサイザーを紹介&その場で即興演奏披露。「kaossilator2 」「mini kaoss pad2」、これはかなり欲しくなった。もうKORGさんは製品イメージ・キャラクターとして、サイモンガーモバイルを登用した方がいいと思う。
そして21時半、遂に上位3名の演奏者を発表する時間がやってきた。3位に選ばれたのは、...klones「Classical Bounds」。選出理由は「M01で音を鳴らすことを楽しんでいるのが伝わってきた」とのこと。2位は唯一の女性アーティスト、832pie(はちみつぱい)の「mind of "f"」。審査員コメントでは「女性ならではの大胆な音使い」と評価されていた。また、「これからの可能性を強く感じた」とのこと。この2人には、KORGから多重録音可能のレコーダー「SOUND on SOUND」、OTOTOYからは音楽配信サイトOTOTOYで自由に買い物ができる「OTOTOY CARD 5000円分」と賞状が手渡された。そして1位=最優秀賞に選ばれたのは、ヨナオケイシの「GOOD PARTY!」。そう、佐野電磁に「勝ちに来ましたね」と言わせた男だ。まるでそこにDJがいるかのようなキメキメでキラキラのダンス・チューンを聴かせた彼。演奏後に起こった盛大な拍手。その瞬間、全身に鳥肌を立たせていたのは私だけではないだろう。そして、彼が狙っていたであろう賞品「microSTATION Music Workstation」は、無事、彼の腕の中に届いた。そして佐野電磁とおそろいの緑のダブル・スーツも進呈! 審査員長の松武秀樹より、賞状を授与! 最後にもう一度最優秀楽曲を演奏し、大円満の中、「KORG M01グランプリ」は幕を閉じた。果たして彼は緑のダブル・スーツを着たまま帰ったのか、どこかのタイミングでこっそり脱いだのか… その答えは新宿歌舞伎町の夜の闇の中だ。
そんなM01グランプリ最優秀賞に選ばれたヨナオケイシさんに、4月12日より3カ月連続で行われる「ニンテンドーDS用ソフトKORG M01作曲塾 最上級編」のどこかの回でゲスト講師として出演して頂きます! いきなり最上級編だけど、きっと大丈夫。根拠はないけど絶対大丈夫。今からでも遅くない! あなたもKORG M01で新しい音楽の扉をノックしてみてはいかが?
text by 水嶋美和
photo by 輪千希美
ゲスト審査員の音源はこちら
Logic System
サカモト教授
Limited Express (has gone?)
KORG M01はまだまだ熱い! 作曲塾最上級編、開講します!
講師 : 佐野電磁
期間 : 2012年4月~6月(1クール全3回)
受講料 : 9,000円(税込、全3回分) / 3,300円(税込、一回のみ)
定員 : 30人
募集期間 : 受付中 >>申し込みフォームはこちら
開催場所 : OTOTOY (東京都渋谷区代々木5丁目59番5号 東信代々木ビル 2F)
<開催日時>
2012年4月12日(木)20:00−22:00
2012年5月10日(木)20:00−22:00
2012年6月14日(木)20:00−22:00
KORG M01とは!?
KORG M01はニンテンドーDSを今までにない全く新しい音楽ツールに変えるソフトです。DSをアナログ・シンセに変えるソフトとして話題となったKORG DS-10開発スタッフが再び集結。342種のPCM音源や8トラック・シーケンサーなどのプロの現場で使われる機能も装備し、カオス・モードにより和音やドラム・パターンを簡単に入力や演奏ができるほか、全く音楽制作の経験や知識のない方でもタッチ・ペン一つで曲作りができます。
●KORG M01でどんな曲が作れるの?
KORG M01で作られたおすすめ楽曲紹介シリーズをぜひご覧ください。その他にもたくさんのKORG M01楽曲があります。
KORG M01「本日はこの曲」はこちらから
●どうやって曲をつくるの?
可愛いイラスト入りで楽しくKORG M01での作曲方法を教えてくれる、ぽらこさん(ポジモ)のブログ。パンダでもわかるKORG M01-目次- / ポジモのブログ
パンダでもわかるKORG M01 / ポジモのブログ
●曲を作ったことも無いし、楽器の経験も無いんですが・・・
超初心者の方に一ヶ月間で曲を作っていただきました。さてその成果は・・・?
KORG M01音楽塾?ニンテンドーDSで始める音楽作り?
●どこで買えるの?
KORG M01はAmazon.co.jp限定販売です。
AMAZON KORG M01購入ページ
商品仕様
商品名 : KORG M01(コルグ エム ゼロワン)
希望小売価格 : 5,980円(税込)
販売元 : 株式会社DETUNE
ニンテンドーDS用ミュージック・ワークステーション
- オリジナルKORG M1の全PCM波形データを含む342種類の音色を搭載した8パート・マルチティンバー音源(最大同時発音数12音/一曲につき7700音までメモリ可能)
- 8トラック・ステップ・シーケンサー(1シーンにつき最大64ステップ)
- マスター・リバーブ/ディレイ・エフェクト搭載
- トラック・オーバービュー、サウンド・ブラウザ、シーケンス・エディット、ミキサー、キーボードから成るシンプルかつ機能的な画面構成
- タッチコントロール画面による感覚的なノート/コード/ドラム入力モード
- ワイヤレス通信による楽曲データの交換
(C)2010 KORG Inc. All rights reserved.
(C)2010 PROCYON STUDIO CO., LTD. All rights reserved.
(C)2010 DETUNE ltd. Game Design, Game System and Game Engine by DETUNE ltd.
Music Workstation Design and Sound Engine by KORG Inc.
※この製品を楽しむにはニンテンドーDS本体が必要です。
ニンテンドーDSは任天堂株式会社の登録商標です。