
NY経由! 逆輸入された8bitチップチューン
ギター、ベース、ドラムの基本セットになぜか海外版ファミコン「NES」とゲームボーイを装着したニューヨーク生まれの8bitチップチューン・バンド、Anamanaguchi(アナマナグチ)。エモ、ポスト・ロック、ブレイク・ビーツ、全てが混ざり合った独自のサウンドの中をチップチューンが駆け抜ける! 昨年2011年には来日公演も大成功させている彼らが、この度『Single + Remix Collections』をリリース。しかも本作には大人気トラック「Helix Nebula」の日本限定リミックス・トラックが付きます。国内外問わず、ゲーム・ファンも音楽ファンもみんな必聴!!!
Anamanaguchi / Single + Remix Collections
【TRACK LIST】
01. Airbrushed / 02. Penpal / 03. Aurora (Meet Me in the Stars) / 04. Densmore / 05. Mess / 06. My Skateboard Will Go On / 07. Sting Operation / 08. Helix Nebula / 09. Airbase / 10. Video Challenge / 11. Fast Turtle / 12. Flora/Fauna / 13. Power Supply / 14. Helix Nebula (Fire For Effect's Double Helix Remix)※日本盤限定トラック / 15. Airbrushed (RAC Remix) / 16. Mess (Je deviens dj en 3 jours 420 Remix)
チップチューンの進化の果て… いや、これからか?
先日、深夜の音楽番組「BREAK OUT」にて。元メガデスのマーティー・フリードマンが「なぜ日本のヴィジュアル系ロック・バンドが海外で注目を集めているのか」という質問を受け、「外国人は日本のアニメに熱狂するのと同じ感覚でV-ROCKに熱狂しているのでは」と答えていた。ジャパニメーション、V-ROCK、そこから派生したコスプレ文化。現実社会から少しはみ出た世界を提示する日本のネオ・サブカルチャーが、世界を舞台に求心力を高め始めている。もちろん、仮想現実の中へ飛び込み冒険する「ゲーム」もその一角を担っている。例えばゲーム音楽の完コピ芸から始まったミュージシャン、サカモト教授は、ニコニコ動画の生放送で毎回国内外問わず視聴者を3000人以上集め、海外のゲーム雑誌で存在を取り上げられている。これは古い話だが1993年には「スーパーマリオ」がハリウッドで実写映画化されていたし、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演による「バイオハザード」の実写化もまだ記憶に新しい。
そんな風にして海を越えアメリカ大陸へ渡った日本のゲーム・カルチャーが、意外な形になり再び日本に帰ってきた。現在、ニューヨークで活動中の「8bitパンク・バンド」Anamanaguchi(アナマナグチ)。ギター、ベース、ドラムという基本的なバンド・セットの中でメインを張るのは、海外版ファミコン「NES」と任天堂のゲームボーイ。PVからはレトロゲームへの強い愛情が感じられる。
2008年より今のスタイルでバンド活動を開始し、昨年2011年3月には毎年テキサスで開催されている世界最大級の音楽フェス「SXSW 2011」に出演。9月には世界中のチップチューン・アーティストが一堂に会するイベント「BLIP FESTIVAL TOKYO 2011」に出演し、初の来日公演を果たす。ちなみにこの日は出順が中盤であったにも関わらず、熱狂冷めやらぬフロアからアンコールが起こったそうだ。
少し間抜けで可愛らしい音色をもつチップチューンだが、彼らの音楽はそんな枠には収まらない。3曲目「Aurora」ではハードコア・フリー・ジャズ・バンドのNATSUMENを思わせるドラマチックな展開を見せ、5曲目「Mess」はキック音を前面に押し出しクラブ・ミュージック調に仕上げている。かつ、全16曲通して溢れる壮大なサウンドスケープ、物語性、泣きのメロディー、熱気は、日本のV-ROCKの祖であるX JAPAN(それ以前からBOOWYや聖飢魔Ⅱなどメイクを施したバンドはいたが、それらが「ヴィジュアル系」と呼ばれ始めたのはXから)を回顧させる。思春期にテレビ・ゲームに没頭し、90年代ヴィジュアル系バンド・ブームに熱中していた今の20代後半~30代にとってはたまらない要素だらけのバンド。また、このチップチューンは初音ミクのようなメカニカルで空虚な哀愁があり、SFストーリーの報われない切ないエンディングをも想起させてくれる。

しかし、「「BLIP FESTIVAL TOKYO 2011」には世界のチップチューン・アーティストが集まる」って… そんなにいるものなのか? これが結構いる。日本ではまだイロモノ扱いを受けているチップチューンだが、アメリカやヨーロッパでは既にチップチューンに特化したイベントが数多く行われ、新たな音楽ジャンルとして認識され始めている。生みの親(国)がイマイチ存在を認めきれていないとはちょっと淋しい話だ。しかし、今回のAnamanaguchiのように日本から受けた影響を独自に消化した作品が逆輸入され続ければ、国内の認識も変わらざるを得ないだろう。Anamanaguchiのこれからの活動はもちろん、日本のネオ・サブカルチャーの海外での反応、それを受けて逆輸入されてくる作品群、また、それが日本の音楽シーンにどう影響を与えていくのか、俯瞰するのではなく熱狂しながら見守っていきたい。(text by 水嶋 美和)
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Anamanaguchi PROFILE
メンバーの一人が遊びでネット上に楽曲をアップしたのがきっかけでメンバーが集まり、2008年頃から今のスタイルとなる。ファション・ブランドのアルマーニ(Armani)、プラダ(Prada)、グッチ(Gucci)を掛け合わしたアナマナグチと命名。すでに昨年「Blip Festival Tokyo 2011」で来日し、そこで見せた凄まじい演奏はフェスにもかかわらずアンコールの嵐が収まらなくなってしまうなど一部で伝説となっている。シングル『Helix Nebula』のyoutubeでの再生回数80万以上、twitterフォロワー1万6千人など、すでにweb上で話題となっています。
>>Anamanaguchi official website