Yael Naim / She was a boy
不思議ミラクル・ポップスの傑作! フランス生まれイスラエル育ち(現在パリを拠点に活動)のシンガー・ソングライター、ヤエル・ナイムの新作アルバム。前作のヒットで絶対的な自信を持ったようで、本作の完成度は抜群に高い! ジャズ、フォーク、中東、フレンチ・ポップス、カントリー、ブルースなどの要素を取り入れ、どこの国か分からない無国籍な雰囲気を持つ楽曲を、凝りに凝った素敵なアレンジで聴かせ、一度入ったら帰りたくなくなるミラクル・ポップスの森に誘ってくれます。
David Walters / home 〜Japanese Edition〜
フランス・マルセイユより、カリブ海マルティニーク島の血を引く、クレオール・ソウル・シンガー、デヴィッド・ウォルター、日本登場。ボビー・マクファーリン、キザイア・ジョーンズ、ベン・ハーバー、ジミ・ヘンドリックスらに影響を受け、ソウル、ロック、レゲエ、カリブ音楽、アフリカ音楽、そしてアコースティックとエレクトロニック・サウンドが解け合った、カリブの香りが漂う、オーガニック・ソウル・ミュージックが完成。
居場所としてのHome
世界中の良質な音楽をジャンルや国にとらわれず発信し続けるPLANKTON LABELから、二つの作品が届いた。一つはヤエル・ナイム『She was a boy』、もう一つはデヴィッド・ウォルター『Home』。二人ともフランス在住のソロ・ミュージシャンだ。
そのルーツは様々。ヤエル・ナイムの場合は、チュニジア系ユダヤ人の両親のもとパリで生まれ、最も多感な思春期から青年期をイスラエルで過ごし、再びパリに戻り現在、音楽活動に励んでいる。彼女の名を知らない人も、一曲目の「Come Home」でその聴き覚えのある声にはっとするだろう。2007年にリリースされた前作『ヤエル・ナイム』に収録されている「New Soul」は、MacBook AirのCMに起用され、この曲をきっかけに彼女は世界に知られることになった。しかし、この軽快で耳触りの良い声に彼女の本質があるのではないということは、『She was a boy』を最初から最後まで通して聴いてもらえればわかるはず。2曲目、3曲目と進むにつれて、じわじわと一人の女性の内側に向かっていく感覚を覚える。その旅の中で見えきたのは、漂流者としての彼女の孤独と自由だ。
一方、デヴィッド・ウォルターは、カリブ海に浮かぶ2つの島の血を引き、パリに生まれ、ベルギーのブリュッセルやボルドーで育ち、現在はマルセイユを拠点に活動している。彼もまたヤエル・ナイムと同じ漂流者といえるだろう。しかしルーツとなるのは土地ではなく血なのか、彼の音楽には屈託のないカリビアン独特の陽気さがある。ナイムとは異なる開放感に溢れた自由。瞼を閉じれば海と空が広がる。
この2人のミュージシャンには、フランス在住という以外に3つの共通点がある。1つ目は、多くのミュージシャンに愛されているということ。名を連ねるときりがない程に、両作品には多くの音楽家たちが携わっている。例にあげるなら、ヤエルの作品にはフランス・ゴールドディスクを獲得したテテが。デヴィッドの作品には、こちらも同賞を獲得したアシャがゲスト・ボーカルとして参加している。そして2つ目、一つの国の言語にとらわれないこと。ヤエルは英語とヘブライ語とで、デヴィッドはフランス語、英語、クレオール語で歌う。3つ目、これはきっと偶然だと思うが、この2作品共に「Home」というキーワードが登場する。つい先ほど、「国にとらわれない」と書いたところだが、とらわれていないのではなく、むしろこだわっているのかもしれない。誰もが心を安らげる故郷としての、居場所としての「Home」。人生の中で居場所を転々としてきた彼らは音楽の中でそれを求め、またこの作品たちを通して私たちに与えてくれている。(text by 水嶋美和)
春の祭典! 『お花見 World Beat 2011』
東京 vol.1
2011年3月26日(土)@上野恩賜公園野外ステージ
13:00開場 / 13:30開演(18:00終演予定)
出演 : エディ・リーダー / ジョン・マッカスカー、マイケル・マクゴールドリック&ジョン・ドイル トリオ / ハンバートハンバート / 栗コーダーカルテット / シュローダーヘッズ
東京 vol.2
2011年4月2日(土)@上野恩賜公園野外ステージ
13:00開場 / 13:30開演(18:00終演予定)
出演 : テテ / デヴィッド・ウォルター / Rickie-G / 中村まり / ロンサムストリングス / エミ・マイヤー
名古屋&大阪
2011年3月28日(月)@名古屋クラブ・クアトロ
2011年3月29日(火)@心斎橋クラブ・クアトロ
18:00開場 / 19:00開演
出演 : エディ・リーダー / ジョン・マッカスカー、マイケル・マクゴールドリック&ジョン・ドイル トリオ / ハンバートハンバート
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Asa / Beautiful Imperfection
一度聴いたら忘れられないスウィート・アフロ・ソウル 魂の歌声はいっそう輝きを増した。世界大ヒットの1st『Asa[asha]』から2年半、待望の2ndアルバムがついに完成!前作を超える完成度!全曲名曲の大傑作!
エミ・マイヤー / パスポート
全曲Shingo Annenとの共作、高田漣、森俊也らが参加した日本語詞のセカンド・アルバム。前作まのジャンルに留まることなくレゲエやボッサなど幅広いアプローチで作られたサウンドとJ-Popには無いボキャブラリーが新鮮。
ハンバートハンバート / 合奏
映画「プール」主題歌原曲「妙なる調べ」、小田急電鉄CM曲「待ち合わせ」を収録。スコットランドのフィドラーズ・ビドを迎えてレコーディングされたこれらの曲はすでにコンサートでは人気曲で、ファン待望のリリースとなった。
PROFILE
ヤエル・ナイム
シングル「ニュー・ソウル」がApple MacBook AirのCMに起用されたことで全世界で大ヒットし、一躍注目を集める女性シンガー。仏語、英語、ヘブライ語を使った多彩な言葉の響きとクラシック、フォーク、ジャズを織り交ぜたアコースティック・サウンドとが合わさる彼女の楽曲は、エトランゼな魅力をもつ。1978年にパリに生まれ、幼少の頃をイスラエルで過ごす。引越先にピアノがあったことがきっかけで音楽と出会い、クラシック・ピアノを習う。やがて、父親の影響もあってビートルズを聴き始めポップスへ興味を持つ。アレサ・フランクリンなどの影響も受け、自らヴォーカルの才能にも気が付く。18才の時にはジョニ・ミッチェルに傾倒し、歌詞の世界にも目覚めていった。その後、テルアビブのジャズ・クラブでウィントン・マルサリスらと知り合ったことで自らもジャズを演奏するようになる。2001年にフランスでアルバム・デビュー。2004年に現在のプロデューサーであるDavid Donatienと出会い、その才能をさらに開花させた。2009年に「PICNIC」が NISSAN cube のCMソングに起用された。
デヴィッド・ウォルター
カリブの香り漂う、オーガニック・アーバン・ソウル。1974年生まれ。カリブ海、西インド諸島セントキッツ島とマルティニーク島の血を引き、フランスで育つ。キザイア・ジョーンズ、ベン・ハーパーなどから影響を受ける。2000年頃からDJ.BNXと共に仏エレクトロ・プロジェクト“ジンパラ”の中核として活躍。レ・ネグレス・ヴェルトとのツアー、D・ボウイのサポート・アクトなどを行う。2006年にソロ・アルバム・デビュー。アコースティック・ギターとサンプリングを使用したサウンドをバックに、カリブをルーツに感じさせるオーガニック・ソウルを聴かせる。2011年新春にアシャとの共作曲を含む2ndソロ・アルバム『ホーム』を日本リリースする。