SPENCERのプラネタリウムでのライヴを追体験する
2010年11月18日(木)に北とぴあプラネタリウム・ホールで行われた、大谷友介のソロ・プロジェクトSPENCERの『Eine tausend Musik tour 2010』。ステージと客席の上には溢れんばかりの☆、☆、☆。その中で、SPENCERは溶けてしまうような声で歌う。こんな贅沢な音楽の鳴る空間があるなんて! OTOTOYでは、そんなSPENCERのライヴを最高音質のDSDでコンパイル。本作からは、丁寧に紡がれた音のひとつひとつはもちろん、星を映す機械の音までが、音楽として生きています。DSDのライヴ録音なら、ライヴから2週間でここまで再現出来ます。
DSDとは?
DSDとは、Direct Stream Digital(ダイレクト・ストリーム・デジタル)の略称。音声をデジタル化する方式の1つで、音の細かいニュアンスの忠実な再現を目指して開発されました。DSDは通常のCDのPCM方式とはまったく違う1bitのレコーディング形式で、サンプリング周波数は2.8224MHz(CDの44.1kHzの64倍)にも及びます。奏でられた音と会場の空気が蘇るその音質は、アナログ・レコードのような滑らかさと、デジタルならではの透明度を合わせ持っています。
SPENCER『Eine tausend Musik tour 2010 at Tokyo Hoku-topia planetarium Hall 2010.11.18』
【TRACK】
1. session in the light / 2. Free Bird / 3. session in the dark / 4. my piano and my wave / 5. Night on the bridge / 6. ステレオ / 7. デッサン#2 / 8. 彗星
☆アルバム購入者には、特典でオリジナル・ウェブ・ブックレットをプレゼント!(pdf / photo by sasaki wataru)
【販売形態】
1. DSD+mp3 Ver.(約1.26GB)
2. HQD(24bit/48kHzのWAV) Ver.(約632MB)
共にアルバム販売のみ 1500円
>>DSDの聴き方はこちら
all songs played and composed by Yusuke Oya
Recorded by Kentaro Takahashi, Hiromi Mizoguchi
at Tokyo Hoku-topia planetarium Hall on Nov 18th, 2010
Mixed by Kentaro Takahashi
【ダウンロードに関して】
windowsをご利用のお客さまは、標準の解凍設定、もしくは解凍ソフトによっては正常にファイルを解凍できない可能性がございます。その場合、お手数ですが別の解凍ツールを使用し、再度解凍をお試しくださるようお願い致します。7-Zip(フリー・ソフト)での解凍を推奨しています。
※7-zip http://sevenzip.sourceforge.jp/
また、ダウンロードしたファイルに不備や不明点がありましたら、info(at)ototoy.jpまでお問い合わせください。
2010.11.18 Eine tausend Musik tour 2010
あの時間、起きていたのか、眠っていたのか。眠っていたとしたら、どこからが眠りだったのだろう。この音源を聴き、音を辿りながら記憶と照らし合わせる。どの曲も覚えてるし、確かにずっと起きていたはず。でも振り返ってみても何だか現実味のない、夢の中のような時間だった。
SPENCERは美術館、ギャラリー、明治時代から残る洋館、寺院などライヴ会場としては少し特異な場所で演奏することが多く、今回もまた、山手線から京浜東北線で少し北に外れた王子駅近くにあるプラネタリウムを会場に選んだ。ライヴは夕方の部と夜の部と二回行われ、夜の部は満員。全員が席につき、扉が閉められ、傾斜になっている席の前方にSPENCERこと大谷友介が拍手の中現れる。
PolarisやOhanaなどの活動で知られる大谷友介(オオヤユウスケ)。しかし彼のソロ・プロジェクトであるSPENCERは、その2つのバンドの良さとは全く違う、もっと狭く深い、大谷友介という人間の思考内を旅している様な音楽だ。彼が6月にリリースしたミニ・アルバム『My Wave』は、夜空を昇っていく様な、深海を降りていく様な、浮遊感と緊張感に満ちた作品になっている。だから、彼がプラネタリウムでライヴをすると聞いた時、観る前から完璧な空間が完成するだろうことは想像できた。登場し、挨拶を少しした後、彼は身の回りにある機材や楽器を使って音を鳴らし、丁寧に重ね、少しずつ世界を構築していく。まだ会場内の灯りはついたまま。
聴きながら、無意識のうちにものすごく緊張してしまっていたのかもしれない。インストゥルメンタルで始まり「Free Bird」へと歌が入る曲に移った時、彼の優しい声に、肩に入った力が少しずつほぐされていった。そしてゆっくりと周りが暗くなり、天井に星空が広がる。東京の空をいつも見てるからだろうか、何度訪れてもプラネタリウムのこの瞬間には毎回息をのんでしまう。そしてその暗闇にSPENCERの音が溶けていき、来る前に描いていた空間が完成した。いや、いくら頭の中で描けていても、実際にその中にいると圧倒される。彼の手元を照らすためのライトだけがほのかに光り、それは彼がまるで星雲の中で演奏しているかのように見せていた。
天井の星達が流れ星となって東西南北へと散らばり、温度のある声が冬に吐く白い息のように冷たい空気の中に溶けていく。もちろん実際は屋内だし、ほどよく暖かったはず。だけど今、記憶を辿ってみても、どうしても冬の空を見ながら聴いていたとしか思い出せない。どこからともなく微かな寝息が聴こえてき、誰かの贅沢な睡眠を羨ましく思いつつも、今を覚えていたいと思いながら感覚をフル稼働させ起きていた。それでも、私にも心地よい睡眠の感触が残っている。
ライヴの後日、部屋の掃除中に何となく去年の手帳を開いてみると新聞の切り抜きが出てきた。それは生まれつき目が見えない男性の著書について書かれたコラムで、「高校時代のキャンプで夜中にテントを抜け、一人静寂の中に立った。満点の星であろう頭上から、何とも言えぬ温かい気配を感じた」とあった。あの日、私には星空を映す天井が見えていたし、あの空間も当然ながら静寂ではなかった。だから視覚以外の感覚が特別磨かれているであろう彼と、全く同じ気持ちを共有するのは難しいことかもしれない。それでも、彼が肌でもって感じたこの感覚こそが、あの空間を例えるには最も近い表現だと思う。誰もが郷愁を感じる星空と、一人の人間の思考を旅するような音楽。なかなか無い、ぬくもりでもって深層心理に潜りこまれたようなライヴだった。(text by 水嶋美和)
LIVE SCHEDULE
○京都公演 【 LIVE CASSOWARY file:5】
日時 : 12月10日(金)
open 18:00 / start 19:00
会場 : cassowary
料金 : avd 3,000円 / day 3,500円 (ドリンク代別)
LIVE : SPENCER / opening act 空中ループ
[info] SPENCERオフィシャルWEBチケット・ページ http://spencer-ticket.tumblr.com/
kyoto cassowary 店頭販売のみ
○東京公演 ツアーファイナル!
日時 : 12月18日(土)
open 17:00 / start 18:00
会場 : ACTアートコンプレックスホール
料金 : avd 4,000円
[info] SPENCERオフィシャルWEBチケット・ページ http://spencer-ticket.tumblr.com/
PROFILE
SPENCER スペンサァ / 大谷友介 Yusuke Oya
1974年2月6日生 横浜出身 ベルリン在住。97年、バンドLaB LIFeでデビュー。2000年、Polaris結成。05年、原田郁子、永積タカシとohana結成。ハナレグミなど他アーティストのプロデュース、映画音楽制作、楽曲提供、CM音楽やTVナレーションなどを行う。2010年、SPENCER始動。アーティスト表記を「オオヤユウスケ」から本名の「大谷友介」へ。大谷の紡ぎ出すメロディーと歌声は、国境を越えても人々にやさしく響き、たとえようのない美しい声だと絶賛される。そして常に新しい音への探求精神あふれるサウンドは、実験的であり、鮮烈に心をゆれうごかす。
How to enjoy DSD?
Audio Gate(フリー・ソフト)を使用して鑑賞する
2010年11月15日、KORGのDSD再生&変換ソフト・Audio Gateのフリーでの提供がはじまりました。このAudio Gateは、PCMとの相互変換、SONYのPlayStation3などで再生出来るDSDディスクの作成、DSDファイルからオーディオCDも書き込め、レベルの調整、フェード編集まで、とにかくなんでも来い! の優れもの。Audio GateがあればDSD(DSF形式)ファイルをそのままパソコン上で再生出来るんです(※PCM形式に変換して出力されます)。まだDSDを体験していない方は、この機会に極上の音質を体感してみてください。
>>オーディオ・フォーマット変換ソフトウェアAudio Gateの詳細はこちら
KORG MR-2を使用して鑑賞する
KORG MR-2は、mp3、WAV、そしてDSDといった幅広いフォーマットで録音・再生ができる小型レコーダー。ダウンロードしたDSDファイルをSD/SDHCカードにコピーし、それをMR-2に挿入すれば、即座にヘッドフォンで聞くことができます。(注 : SD/SDHCカードをあらかじめMR-2でフォーマットした上で、“Playback”というフォルダーにコピーしてください。)
KORG MR-2000Sを使用して鑑賞する
KORG MR-2000Sは、プロのスタジオでも使用されているラック型DSDレコーダー。内蔵されているハードディスクにダウンロードしたDSDファイルをUSB経由でコピーすれば、ヘッドフォンもしくはオーディオ・セットにつないで聞くことができます。
SONY SCD-XA5400ES、SONY SCD-XE800を使用して鑑賞する
SONY SCD-XA5400ESは、オーディオ・マニアも認める高品位なSACD/CDプレーヤー、SCD-XE800は、実売価格が3万円台とは思えない高音質なSACD/CDプレーヤー。ダウンロードしたDSDファイルを、DVD-ROMと互換性のあるDVD-R、DVD-RW、DVD+R、DVD+RWのいずれかに記録すれば、再生することが可能になります。(注 : ダウンロードしたDSDファイルを、“DSD_DISC”というフォルダーごと記録してください。)
PlayStation 3を使用して鑑賞する
SONY PlayStation 3は、どの時期に発売されたモデルにもDSDファイルをPCMにコンバートし、HDMI経由で再生する機能が搭載されています。ダウンロードしたDSDファイルを、DVD-ROMと互換性のあるDVD-R、DVD-RW、DVD+R、DVD+RWのいずれかに記録すれば、HDMI入力を持ったAVアンプとの組み合わせで再生が可能になります。(注 : ダウンロードしたDSDファイルを、“DSD_DISC”というフォルダーごと記録してください。)