2023/12/27 18:00

ひとつづつ、届け続けること──石田燿子〈30TH ANNIVERSARY SPECIAL LIVE〉~Everything’s my treasure~

石田燿子

石田燿子がデビュー30周年を記念したライヴを12月2日に浅草花劇場で開催した。〈石田燿子 30TH ANNIVERSARY SPECIAL LIVE〉と題された、このスペシャルなライヴは昼の部〈~Blue Moon~〉と夜の部〈~Everything’s my treasure~〉の2部構成。今回は30年の歴史を感じる様々な楽曲が披露された夜の部の模様をレポートする。

LIVE REPORT : 石田燿子〈30TH ANNIVERSARY SPECIAL LIVE〉~Everything’s my treasure~

文:沖さやこ

シンガーの石田燿子が2023年12月2日、デビュー30周年記念ライヴ〈石田燿子 30TH ANNIVERSARY SPECIAL LIVE〉を浅草花劇場にて開催した。第1部の「~Blue Moon~」はリリースを予定している『美少女戦士セーラームーン』カバーアルバムの楽曲を中心に披露し、第2部の「~Everything’s my treasure~」は30年の軌跡を辿った様々な楽曲で構成された。このレポートでは第2部の模様をお届けする。

ファンファーレのような壮大なオープニングSEに乗せて、バンド・メンバーの山本直哉(Ba)、麻生祥一郎(Dr)、岡田基(Key)、入江誠(Gt)、KAKO♪(Cho)が現れると、最後にピンクのニット・セーターと白いチュール・スカートを身に纏った石田が登場する。“OPEN YOUR MIND”で晴れやかに第2部の幕を開けた。透明感のあるヴォーカルは、楽曲を瑞々しく彩る。衰え知らずの“エンジェルボイス”は“COLORFUL BOX”で歌詞の世界を輝かせ、“Sugar Baby Love”では歌い出しのアカペラのハーモニーなど観客を心地のいいメロディの世界へと引き込んでいった。

続いては『美少女戦士セーラームーン』カバー・アルバムに収録予定の4曲を披露。“乙女のポリシー”は観客も振り付けに興じ、“ムーンライト伝説”ではミステリアスなムードの中にキュートな成分を混ぜる石田のヴォーカルが、変わらないきらめきを宿す。その後も、石田の凛々しさと深みのあるヴォーカルはもちろんバンド・メンバーによるクールかつ情熱的な演奏が楽曲のムードを高めた“愛の戦士”、80年代風のシティ・ポップ・アレンジも相まって歌詞のメッセージがフレッシュに響く「“らしく”いきましょ」と、バンド・メンバーと一体となり4曲それぞれで異なる表情を見せた。

30周年を振り返るトークとして、第1部では高校時代にアニメ・シンガー・コンテストにてグランプリを受賞した話、はじめて人前で歌ったイベントの話をしたという彼女は、この第2部で自身のターニング・ポイントが2000年だったことを明かす。石田は1993年にデビューしたものの、以降2000年代はアルバイトに明け暮れていたという。そんなときにアニソンをユーロビートにアレンジした企画盤『パラパラMAX〜THE POWER OF NEW ANIMATION SONGS〜』のヴォーカリストに抜擢され、それを機に再び数々のアニメソングを担当するようになったそうだ。「15周年も、20周年も、25周年も皆さんとお祝いできるのがうれしいです」と噛み締め、「これからもずっと大切に歌っていきたい、大好きなバラード」と告げると2002年にリリースされた“永遠の花”へ。歌詞にしたためられた“あなた”への愛情がまっすぐ伝わる歌声だった。

“紅の静寂”、2010年リリースのアルバム表題曲“Another Sky”と畳みかけると、「この業界、デビュー30周年なんてまだペーペーなんです(笑)。平成初期の懐かしいところも、新しいところも歌えるヴォーカリストを目指していきたいです。体力の続く限り、一緒に楽しい時間を過ごしていけたらと思います」と告げ、その言葉を立証するように“White Destiny” “soar” “private wing” とさらなる進化を予感させるパワフルな歌声で本編を駆け抜けた。

自身の作詞曲“ソラノイロ”で爽やかかつ力強くアンコールをスタートさせた石田は、「イベントやライヴでも毎回、“このステージがもしかしたら最後かもしれない”と思うんです。そう思うと気合いも入りますし、これからもその気持ちで1本1本のライヴをやっていきたいです。皆さんがこれからも応援したいと思う人でいたいです」「いまでもデビュー曲を歌うと皆さんが喜んでくれるなんて、なんて幸せなことだろう! と噛み締めています。皆さんと会えて、皆さんの満足した笑顔を見て、30年やってきたことは正解だったのかなと思えました。本当に皆さんに感謝しています。いろんな面を観ていただけるように頑張ります」と、いままでとこれからについて真摯な思いを伝える。

そして2部にわたり開催された30周年ライヴを締めくくりに選んだのは、“乙女のポリシー”に並ぶ彼女の代表曲“STRIKE WITCHES ~わたしにできること~”。未来に向かってポジティヴに突き進む歌声と、彼女の歌手人生と多々リンクする歌詞世界、キャッチーなメロディが眩しいくらいに会場を明るく照らした。紆余曲折を経た30年間、変わらずに歌へとまっすぐ打ち込んできた彼女。その生き様がすがすがしく表れたワンマンライヴだった。

石田耀子 30TH ANNIVERSARY SPECIAL LIVE

公演詳細

日付:2023年12月2日(土)

[昼の部 ~BLUE MOON~] 開場14:30 / 開演:15:00
[夜の部 ~Everything’s my treasure~] 開場18:30 / 開演:19:00

場所:浅草花劇場

SETLIST

~Everything’s my treasure~

1.OPEN YOUR MIND
2.COLORFUL BOX
3.Suger baby love
4.⼄⼥のポリシー
5.ムーンライト伝説
6.愛の戦⼠
7.“らしく“いきましょ
8.永遠の花
9.紅の静寂
10.Another Sky
11.White Destiney
12.soar
13.private wing

[アンコール]
ソラノイロ
STRIKE WITCHES 〜わたしにできること〜

PROFILE : 石田耀子

1990年アニメシンガーコンテストにてグランプリを受賞。1993年3月『美少女戦士セーラームーンR』のエンディングテーマ「乙女のポリシー」でデビュー。以後も様々なアニメやゲーム主題歌の歌唱、作詞を担当する。“エンジェルボイス”と称された歌声で国内に留まらずワールドワイドに活動し、幅広い年齢層のアニメファン、ゲームファンから熱い支持を受け続けている。

■公式X:https://twitter.com/yokonti
■公式HP:http://yokoishida.com/

[ライヴレポート] 石田燿子

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