鈴木このみが「歌」に込めた、大きな飛躍への覚悟──〈鈴木このみ Birthday Live 2024 ~Reweave~〉
シンガー・鈴木このみが、〈鈴木このみ Birthday Live 2024 ~Reweave~〉と題したライヴ・イベントを開催。現在放送中のTVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」(通称:リゼロ)の楽曲を軸に、全20曲を全身全霊を込めて届けた鈴木このみ。ライヴには、自身初監督作品の映像や、サプライズゲストも登場。その模様を熱量たっぷりにお届けします。
先日公開したインタヴュー記事はこちら
「リゼロ」3rd seasonのOPテーマ
https://nex-tone.link/E4HTYzk84
LIVE REPORT : 〈鈴木このみ Birthday Live 2024 ~Reweave~〉
取材&文 : 西田健
Photo by 小林弘輔
「来年からの鈴木このみは、本当にすごいことになるぞ。」
ライヴが終わったあと、そんなことを思った。全身を駆け巡るような、すさまじい歌のパワーと熱量、そしてそこに乗っていた感情。そのどれもが圧巻で、あまりに興奮していたからである。
冬の訪れを告げるような激しい雨が日本中に降った、2024年11月2日。EX THEATER ROPPONGIにて〈鈴木このみ Birthday Live 2024 ~Reweave~〉が開催された。数々の人気アニメやゲームの主題歌を担当し、アニソン・シンガーとして確固たるポジションを築きつつある、鈴木このみ。この日のライヴはタイトルの通り、鈴木このみの誕生日を記念して行われるもの。開演前から鈴木にとっても、ファンにとっても特別な1日になる予感がしていた。
さらに、新曲である『Re:ゼロから始める異世界生活』(通称、「リゼロ」) 3rd seasonのオープニング主題歌“Reweave”の名前が冠されている通り、鈴木がこれまで担当した様々な「リゼロ」の楽曲を歌うことが、事前に伝えられており、「リゼロ」ファンにとっても待望の1日となっていた。
開演の時刻を迎えると、「みなさん今日は来てくれて ありがとう ありがとう」「みなさんが静かになるまで、115秒かかりました」という、「魔女教大罪司教 コノミン・ロマネコンティ」に扮した、「リゼロ」のキャラクター風の鈴木の影ナレが入る。その声に、客席のテンションが開演前からあがっていく。ちなみに、影ナレのなかに登場した「115」という数字は、おそらく鈴木の個人事務所「株式会社115」にちなんだものであり、鈴木にとっても、そしてこの日のライヴにおいても重要な数字である。
その後ライヴは、“Relight”でスタート。鈴木は白いハットを被り、ミステリアスな出立ちで登場。ステージ前方に張られた幕には、大量のレーザー光線が投影されており、楽曲のスタイリッシュさを際立たせていた。そして最後のサビでその幕が降り、鈴木の姿がはっきりとわかるようになると、会場のヴォルテージは一気に最高潮へ到達。ライヴはさらに、“Bursty Greedy Spider”、“CHOIR JAIL”とハードな曲を続け、序盤からとんでもない盛り上がりを見せていた。
挨拶を挟んで、続いては今年リリースされた“Resurrection”(スマートフォンゲーム『Re:ゼロから始める異世界生活 Witch’s Re:surrection』主題歌)を熱唱。楽曲としてはかなりキーが高くハイトーン・ヴォイスが響く曲だが、鈴木は決して無理をしている感じもなく、余裕すら感じる歌唱でそのヴォーカリストとしての高いスキルを見せつけていく。続いて披露されたのは、TVアニメ「Summer Pockets」のオープニング主題歌、“アルカテイル”。肌寒くなってきた11月という季節に、「夏」の空気を感じさせた。
ライヴはそこから鈴木がいったんステージから姿を消し、「夏の終わりとチャーハンと」という映像コーナーへ。こちらは女社長として働く鈴木の下にチャーハンの出前が届くのだが、そのお代が「115万円」という内容のショートフィルム。なおこの映像は、監督・主演を鈴木このみ自身が担当。その不思議な世界観に、客席からは大きな笑い声が響いていた。映像では、「この後のライヴが盛り上がったら、そのチャーハン代の115万円も払えるようになります!」という結論に。そして再び鈴木がステージに登場し、“yell!〜くちびるからはじまる魔法〜”を披露。ライヴが盛り上がるごとに、スクリーンに表示されたゲージがどんどん上がるという演出に、会場のテンションも爆発。最終的には115%まで到達し、会場は大いに湧き上がった。
ライヴはそこから鈴木のライヴのなかでも一際ポップな“ULTRA FLASH”へ。この楽曲はファンとともにサビのダンスを踊るのが恒例であり、ここから登場した2名のダンサーとともに、まずは振り付けをレクチャー。「不安な人もいるけど、曲はじまったらみんなできるんだから」となかなかの体育会系スタイルでサビへと突入すると、客席のダンスとともに大きな一体感を生み出していた。
シリアスな楽曲や壮大なバラードも多く、曲中は楽曲の世界にどっぷりと浸かれる一方で、MCの時間は持ち前の明るさで元気になれるのが、鈴木のライヴの特徴でもある。客席から「このみーん!」の声が飛ぶと、それに対して「もっと呼んでくださーい!」と返したり、ファニーでファンキーなバンド・メンバーたちとのトークで楽しませるのは、彼女がきっとそういう楽しいライヴを作りたいと思っているからだと思う。
ここからライヴは後半戦。「なかなかスポットが当たる機会がなかったけど、すごく好きな曲です」と紹介して、スマートフォンゲーム「Re:ゼロから始める異世界生活Lost in Memories」主題歌 “Mirror, Mirror, Mirror”をパフォーマンス。さらに“白花”、“White clover”のミディアム・バラードを2曲を熱唱。力強い「剛」のタイプの歌唱だけではなく、優しい「柔」のタイプの楽曲もしっかりと聴かせるのも、鈴木のヴォーカルとしての力が成せる技である。
次に披露されたのは、“歌えばそこに君がいるから”。どんなときも明るく楽しいライヴを行うことを目指して活動してきた鈴木だが、時には不安になることもあるという。しかしそんなときも、彼女は歌を届けることで前を向いて頑張ることができるのだろう。強い想いが溢れる、真摯な歌声が会場の空気を優しく包み込んでいた。
さらに、鈴木は「リゼロ」2nd seasonのオープニング主題歌“Realize”をパフォーマンス。鈴木にとって、「リゼロ」という作品は「一緒に戦っていく仲間」のようなものだという。自分の人生において、ターニングポイントとなるポイントで「リゼロ」の楽曲に出会い、それを歌い続けてきた鈴木。そして、「リゼロ」の登場人物・スバルにとってのエミリアのように、鈴木にとって大切なものは、ライヴのときにステージから見えるこの景色だと語る。鈴木は「もっと応えてくれんのか?」と客席に言葉を投げかけ、このライヴのタイトルでもある“Reweave”を全身全霊を込めて歌い上げる。重なり合う糸と糸が紡ぐような、固い絆が鈴木とファンの間に結ばれているような熱気だった。
ライヴはさらにクライマックスへと向かい、“This game”、“Beat your Heart”、“蒼の彼方”と情熱的な楽曲を連発。鈴木のパッションにあふれた歌唱が、会場の熱量を上げ続けていく。本編最後に披露されたのは、“Sky Blue OASIS”。会場全体がタオルを回す姿はまさに圧巻。鈴木はラストのパートを「油断するなよー!」と計3回続けて、最後まで観客を楽しませ、ステージを後にした。
大きな「このみん」コールに誘われるように、アンコールがスタート。今日のライヴの感想やグッズ紹介中に、バンドメンバーの紹介をしようとしたところで、「ハッピーバースデー」の歌を美声で歌う出前の岡持ちを持った女性が登場。その正体は、鈴木の盟友でもあるシンガーのASCAだった。突然のサプライズに、これには鈴木も大喜び。そこから2人で再び「ハッピーバースデー」を歌い、鈴木の28歳の誕生日を大いに祝福。こういう仲間がいるのも、鈴木がどんなときも頑張ってこれる理由のひとつなのだと思った。
ASCAの登場で温かな空気に包まれたあとは、“Lasting Moment”を披露。この曲は、2017年に発売されたゲーム「Summer Pockets」のエンディング主題歌。「Summer Pockets」は2025年にTVアニメ化も決定しており、来年の夏に向けた爽やかな風が通っている気がした。
1曲歌い終えると、鈴木は来年3月16日にこのEX THEATER ROPPONGIにて、〈鈴木このみ 史上最大のStanding Live!!!〉、さらに5月より全国17箇所を周る〈ヒトリタビツアー “Returns”〉、〈ミンナタビツアー〉の開催を発表。〈ヒトリタビツアー〉は、鈴木がまだまだ手探りだった19歳の頃に、ライヴが上手くなるための武者修行として行っていたツアー。彼女はその原点へと立ち戻り、さらなる飛躍を目指すことを宣言した。鈴木はそこからその時から大切に歌ってきたという“Before too long”を披露。未来を信じて歌ってきたという、あの頃の想いが時を超えて、聴く者の心に届いていた。
この日のラストチューンは、「リゼロ」1st seasonのオープニング主題歌“Redo”。この曲を歌っていた当時の鈴木は、上京して「歌一本でこれから生きていこう」という覚悟を決めた時だという。その強い覚悟は、いまでもきっと燃えていて、これからの鈴木の挑戦へと繋がっていくのだろう。
いま鈴木このみは、燃えに燃えている。この日発表した2025年に行う挑戦は、鈴木がアーティストとして、次のフェーズへと進むための、いわば助走のひとつ。鈴木の進化はまだまだこんなものではないはず。来年からの鈴木このみは、本当にすごいことになる。そんな期待が胸に満ちた、素晴らしい一夜だった。
〈鈴木このみ Birthday Live 2024 ~Reweave~〉セットリスト
M1.Relight
M2.Bursty Greedy Spider
M3.CHOIR JAIL
M4.Resurrection
M5.アルカテイル
M6.yell!〜くちびるからはじまる魔法〜
M7.ULTRA FLASH
M8.Mirror, Mirror, Mirror
M9.白花
M10.White clover
M11.歌えばそこに君がいるから
M12.Realize
M13.Reweave
M14.This game
M15.Beat your Heart
M16.蒼の彼方
M17.Sky Blue OASIS
En1.Lasting Moment
En2.Before too long
En3.Redo
LIVE INFORMATION
〈鈴木このみ 史上最大のStanding Live!!!〉
日時:2025/3/16(日) 16:00/17:00
会場:EX THEATER ROPPONGI
〈鈴木このみ ヒトリタビツアー “Returns”〉
5/10(土)横浜ReNY beta
5/11(日)柏PALOOZA
5/17(土)金沢AZ
5/18(日)新潟GOLDEN PIGS RED
5/31(土)神戸VARIT.
6/1(日)松山WstuidoRED
6/8(日)札幌cube garden
6/14(土)京都FANJ
6/15(日)浜松窓枠
6/21(土)広島LIVE VANQUISH
6/22(日)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
6/28(土)福岡Be-1
6/29(日)熊本B.9 V1
7/5(土)仙台darwin
7/6(日)盛岡CLUB CHANGE WAVE
各会場 全席指定 5,000円(税込み、別途ドリンク代)
16:00 開場/17:00 開演
〈鈴木このみ ミンナタビツアー〉
7/12(土)名古屋ダイアモンドホール
7/13(日)大阪BIGCAT
各会場 全席指定 7,000円(税込み、別途ドリンク代)
16:00 開場/17:00 開演
詳細はこちら
https://www.konomi-suzuki.net/posts/live-event
鈴木このみの過去の記事はこちら
鈴木このみ ディスコグラフィー
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PROFILE:鈴木このみ
1996年11月5日生まれ、大阪府出身。
2011年、第5回全日本アニソングランプリ決勝大会でグランプリを獲得し、翌2012年に「CHOIR JAIL」で15歳でデビュー。
TVアニメ「ノーゲーム・ノーライフ」OPテーマ『This game』、TVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」のOPテーマ『Redo』など多くのTVアニメ主題歌を担当。
2022年、ドラマチックRPG「ヘブンバーンズレッド」において誕生したXAIと鈴木このみによるラウドロックユニット「She is Legend」を結成。2023年には初の全国ツアーも開催し、全公演SOLD OUTとなる。
2023年には4年ぶりのアジアツアーを「台湾」「香港」「ソウル」「上海」にて開催。同年、10月にはTVアニメ「ブルバスター」のEDテーマ『頑張れと叫ぶたび』をリリース。
2024年1月より放送開始のTVアニメ「異修羅」ではEDテーマを担当し、「Konomi Suzuki Asia Tour 2024」開催することが決定している。
鈴木このみオフィシャルサイト・ファンクラブサイト https://www.konomi-suzuki.net/
鈴木このみオフィシャルX https://twitter.com/Suzuki_Konomin
鈴木このみオフィシャルInstagram https://www.instagram.com/konomin_official/
鈴木このみオフィシャルYouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCuDILZhkm3kZHownsx_wH3A