シンガーnonocが語る、アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』の魅力と主題歌にかける想い

北海道在住のシンガーnonocがニュー・シングル「Believe in you」を3月3日にリリース。本作は、現在放送中の人気アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下『リゼロ』)2nd season後半のエンディング主題歌に起用されており、2018年にリリースされたシングル「Relive」から数えると、6曲目のタイアップ曲。またプライベートでも、アニメを欠かさずチェックし、公式スマートフォンゲームもプレイするほど深く関わりがある『リゼロ』は、nonocにとってどのような作品なのか。これまでのタイアップ曲の制作背景を時系列順に辿ると、そこには『リゼロ』という作品へ真摯に向き合ってきた彼女の姿があった。また新作「Believe in you」カップリング曲である“ヒトリイロ”は、nonoc自身が作詞と楽曲のプロデュースに初めて携わったという渾身の1曲。こちらもお見逃しなく。
希望に満ちた未来を歌う『リゼロ』2nd season後半EDテーマ
『Re:ゼロから始める異世界生活』とは?
2012年4月より小説投稿サイト「小説家になろう」にて掲載された長月達平による長編小説を原作としたアニメ。『Re:ゼロから始める異世界生活』は、2016年よりTVアニメ1st seasonが放送され、2020年には2nd seasonがスタート。小説やアニメに止まらず、ゲーム、漫画など多方面から親しまれている人気作品。コンビニからの帰り道に突然異世界へと召喚されてしまった主人公の少年ナツキ スバルが、「死に戻りの力」(タイムリープ能力)を駆使しながら、異世界で出会ったヒロイン、エミリアのために最悪の運命に抗うダーク・ファンタジー・ストーリー。
『Re:ゼロから始める異世界生活』ストーリー
TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』PVTVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』PV
無力な少年が手にしたのは、死して時間を巻き戻す"死に戻り"の力。
コンビニからの帰り道、突如として異世界へと召喚されてしまった少年・菜月昴。
頼れるものなど何一つない異世界で、無力な少年が手にした唯一の力……それは死して時間を巻き戻す《死に戻り》の力だった。
大切な人たちを守るため、そして確かにあったかけがえのない時間を取り戻すため、少年は絶望に抗い、過酷な運命に立ち向かっていく。
INTERVIEW : nonoc

nonocにとって、『Re:ゼロから始める異世界生活』という作品はとても大きな作品である。劇場公開もされたOVA作品『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』のイメージソングでキャリアをスタートし、これまで6曲の歌で作品の世界を表現してきた彼女。今回のインタヴューで話を訊いていくうちに、彼女の『リゼロ』への想いや成長を感じることができた。彼女の『リゼロ』愛が本物であることは、この記事を読んでも感じられるだろう。物語も佳境へと入ったTVシリーズと併せて、nonocが歌い紡いだ『リゼロ』の音楽を楽しんで欲しい。
インタヴュー&文 :西田健
撮影 :宇佐美亮
一瞬一瞬を大切にして噛み締めて忘れないようにしていこう
──nonocさんは『Re:ゼロから始める異世界生活』にはもう6曲携わっていらっしゃいますよね。まず、最初にタイアップが決まったときはどういう心境だったんでしょう。
nonoc:TVアニメの1st seasonがすごく知名度もあったので、「本当に私なの?」っていう思いでした。歌手としてのスタートラインに立ったばかりの私が最初の一作を投じる時に、自分なりのベストでやっていくことはもちろんなんですけど、リゼロファンの方々にどう受け入れてもらえるかなっていうことを常に感じていました。
──nonocとしての活動は、劇場公開もされたOVA作品『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』のイメージソング“Relive”からですね。
nonoc:主人公のスバルとヒロインのエミリアに寄り添って、2人を軸に作っていった曲です。『リゼロ』という作品のなかでもキャラクターたちの成長や心情の変化だったり、いろいろな場面を切り取ってシーンに合うような楽曲を作ってくださっているので、その時々のキャラクター達の気持ちを想って歌っています。

──『Memory Snow』の中で印象に残っているところはありますか?
nonoc: 『Memory Snow』という作品は、主人公達の壮絶な戦いの後のロズワール邸での幸せな日常というほんの一時の平穏のお話なんですよね。番外編らしいキャラクターの可愛い一面とかも知れたりして。1st seasonを観ていろんなことがあったからこそ、「その時の平穏を確かに感じたい、絶対に覚えていたい、ずっと続いていて欲しい」みたいなことを想った歌がエンディングの“White White Snow”ですね。その想いは2nd seasonに入った今でも忘れることはないなと思います。
──“White White Snow”は2人のデートが初めて実現するタイミングで流れるのがすごく良いですよね。
nonoc:スバルのあまり伝わっていない恋心や、デートの大切さを本編でも所々散らしていた部分があったので、やっと叶ってよかったなっていう想いがあります。振り返ってみると『Memory Snow』のメインビジュアルが、花畑で花冠を作って2人でデートを楽しんでるっていう様子なんですけど、その花にも意味があったのかなと思って観られるのがよかったです。辛いシーンがあったときに、『Memory Snow』を見返してよかったね、こういう時間も確かに存在したんだって振り返る作品になったなと思います。実は“White White Snow”を録ろうと言うタイミングで北海道で地震があって、札幌でのレコーディングを急遽キャンセルし、東京でスタジオ入りしたことがあったんです。普通の毎日が続くことが全然普通ではなくて。こういう幸せなとき、一瞬一瞬を大切にして噛み締めて忘れないようにしていこうと強く思って挑んだ曲でもあります。
──実際に『Memory Snow』のなかでnonocさんが歌われた曲が流れたときはどういう心情でしたか?
nonoc:“White White Snow”は、劇場で初めて完成した音源を聴いたんです。公開初日に家族で観に行ったんですけど、しっかりレコーディングされたものを聴いてもらうのははじめてだったので「本当にのんちゃんの声なの?」って言われましたね(笑)。自分も完成されたバージョンを聴いて、音響もオーケストラで厳かな雰囲気でしっかり曲として作り上げられたものを受け取ったときは、とても感動しました。たくさんの方が携わってレコーディングの瞬間に作り上げたものが、一個にギュッとなっていて、すごくパワーを感じましたね。
──続いてOVA作品『Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆』では主題歌“雪の果てに君の名を”を担当されています。この曲はアコースティックギター1本ではじまって、段々壮大になっていくアレンジが印象的です。
nonoc:ヒロインのエミリアの過去と本人に対して想いを込めて歌った曲ですね。彼女の感情や心の動きに楽曲が寄り添って、最初はギターが1本のところから段々後半は生楽器も入れてオーケストラですごく壮大なメッセージの強いものになっていくので、物語の流れと彼女の心の移り変わりを表現できるように意識しました。
──歌唱で表現をしていく上で工夫された部分はありますか?
nonoc:少女のエミリアの心細い気持ちを表現するため、なるべく幼い声で録るようにしました。でもそのなかで、なにかわからないけど確証のようなものを得て、少し勇気が出てきたというか、自分の心に対しての力強さを曲の展開に合わせて歌いました。
