もう一度、バンドとして制作を──THIS IS JAPANが掲げた“NEW”の真意
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THIS IS JAPANのニュー・アルバム『NEW JAPAN』は、バンドという集合体を通して制作されたからこそ生まれた力作だ。ここ数年はアニメのタイアップなどを経て、ポップス色が濃いシングルを連続リリースしていた彼ら。しかしアルバムを作るにあたり、THIS IS JAPANが必要としたものは大衆性ではなく、“原液”だった。自分たちの個性をできるだけ濃く、そしてバンド単位でストレートに表現をする。それこそが彼らのいまやるべきことだったのだ。個人それぞれが力を発揮する形ではなく、静かに相互扶助をすることでディスジャパは新境地に立った。まさにタイトル通り、アップデートを遂げたTHIS IS JAPANを感じるはずである。そして読了後には、歌詞カードに書かれた「作曲:THIS IS JAPAN」に深く納得するだろう。
これぞNEWモード!ディズジャパ待望のフルアルバム
INTERVIEW : THIS IS JAPAN
シングル・リリースとライヴ活動を続けてきた彼らにとって、「メジャー・デビューから4年を経ての初アルバム」と言っても、そこはそれほど特別なことではないのかもしれない。それでもやっぱりこのタイトル『NEW JAPAN』と収録曲からは、大きな変化を感じざるを得ない。1曲目から最新曲をズラリと並べて、数々のタイアップ曲をアルバム後半に配している曲順も、「いまのTHIS IS JAPAN」を鮮烈に感じることができる。このアルバムのために作られた新曲を中心に、メンバー4人に話を訊いた。
取材・文:岡本貴之
写真:大橋祐希
自分たちの"原液"な部分を伝えられたら
──メジャー・デビュー後、初のアルバムですがバンドにとってはどんな作品ですか。
杉森ジャック(Vo/Gt):『NEW JAPAN』というタイトル通り、直近で「いいじゃん!」っていう新曲7曲がつるっと出てきたんで、それをいまのバンドの勢いで作り上げました。「これが新しいスタンダードだな」っていう気持ちです。いまの俺たちを見てくれたらいいことがありますと断言できますね。
──(メジャー・デビューから)4年後にやっとできた感覚ではない?
杉森:そうですね、シングル群はコツコツ作り続けていたので。今回のアルバムは短期間で作ったんですけど、「やっぱりライヴっていいよね」と思いつつ、自分たちが素直に嘘なく、楽しく気持ちよくやれる音楽をやってみようっていう勢いで作ったのが今回の新曲群です。
かわむら(Dr/Cho):4年間いろいろやってきたなかで、このタイミングでいちばん新しい状態を見せられるアルバムが作れたのはすごく幸福なことだと思っています。今後はこの曲たちでお客さんとコミュニケーションを取れたら楽しいだろうなと。
koyabin(Gt/Vo):多分みんなそうだと思うんですけど、そんなにメジャー・デビュー以前・以後みたいな感覚はなくて。だから4年経ったっていう感じもそんなにしていなくて、マッタリしてたら4年経っていたというか(笑)。アルバムはその活動報告ですね。
水元太郎(Ba/Cho):いままでの作品のなかで、いちばん好きかもしれないです。そんな風に思ったのは、はじめてですね。みんなに聴いてもらいたいです。
──最近はアルバムという形式にこだわっていないアーティストもいますけど、今作ではどのように考えていましたか。
杉森:例えばアルバムが部屋で、そこにあるアイテムがシングルだとしたら、アルバムを聴くことでようやく「こういう部屋だったんだ」ってわかる感覚なんです。だからシングルを出したときに見えた部分とアルバムのなかにあるシングルは、多分見方が変わってくるなっていうのを意識して曲順も考えました。あと、シングル・カットやタイアップの曲がすでに5曲あって、それに加える新曲はタイアップ曲とは違ってきっかけとなるテーマが無い分、「自分たちだけで作りました」という意識が強い曲を入れないと"NEW JAPAN"とは言えないとは思っていました。自分たちの"原液"な部分をアルバムを通して伝えられたら、先行シングルもまた違う楽しみ方ができるんじゃないかなとは思ってます。
──『NEW JAPAN』というタイトルが先にあって曲を作りましたか?
杉森:そうです。新しい自分たちを見せるのに、『NEW JAPAN』っていうタイトルにしようということは、最初に決めていました。
──アルバム冒頭の"LOVELY DESTRUCTION"は、すごく軽やかなギターのカッティングから、杉森さんの〈寝ても 覚めても〉のシャウトからはじまっていますね。
杉森:やっぱりギターが鳴って、リズム隊がドーンとやって、ヴォーカルがワーッと言ってるっていうのがらしいなとは思ってます。その"ドカーン"ってなってるところも我々は軽快にやってるつもりなんですけどね。
koyabin:まあ、ドカーンしかやらないバンドだよね(笑)。最初のギターの"チャラララ~"っていうところも助走でしかないというか、ちょっと歩きながらはじめます、みたいな。一瞬軽快な2、3秒があるだけなんで、いつもの感じと変わらないですね。
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