たくさんの「恋」を散りばめてーー斉藤由貴、デビュー30周年記念のニュー・アルバムをハイレゾで配信開始
1980年代のアイドル・ブームの中で絶大な人気を誇り、今もなお女優として活躍する斉藤由貴。デビュー30周年を記念したニュー・アルバムが到着した。5年ぶりとなる新作の作品テーマは「至上の恋の、人生に2度と無い瞬間」、「誰もが味わった特別な恋の瞬間へのオマージュ」。待望の新曲2曲と洋楽コンテンポラリー曲やPOPSの名曲カヴァー曲を収録。この声を柔らかく包み込むハイレゾで聴き入っていただきたい。
斉藤由貴 / ETERNITY <24bit/48kHz>
【配信形態】
ALAC / FLAC / WAV / AAC(24bit/48kHz) : 単曲 500円(税込) まとめ購入 3,000円(税込)
【Track List】
01. Top Of The World / 02.Tea For Two / 03. Cheek To Cheek / 04. Lovin' You / 05. Blue Moon / 06. Stardust / 07. When I Fall In Love / 08. Across The Universe / 09. 窓あかり / 10. 永遠
大人の歌い手となった彼女ならではの味わい深いヴォーカル
〈ああ卒業式で泣かないと 冷たい人と言われそう〉。このシーズンになると色々な卒業ソングが歌われるけれど、斉藤由貴の「卒業」が一番、という方は筆者だけではないと思う。だって、冒頭に引用した歌詞なんて、良い意味で元祖中2病。今の時代なら「そんなこと誰も思ってないよ!」と突っ込まれそう。センチメンタルな感情に流されない思春期に芽生えたリアルな自意識を持った、ある意味ロックな感情を歌ったこの名曲は、ありがちな卒業ソングとは一線を画していた。それは歌い手である斉藤由貴の存在感そのもの。愛らしい大きな瞳の奥にしまわれた、どことなく心ここに非ずといった感じの雰囲気は、彼女を徐々に普通のアイドル歌手路線から遠のかせていき、やがて井上陽水のカヴァー「夢の中へ」を歌い大ヒット。そして徐々に俳優としても活動の幅を広げて行った彼女は今年でデビュー30周年を迎えた。
デビュー30周年を記念としてリリースされるニュー・アルバム『ETERNITY』は、新作としては5年振りとなる作品。テーマとなっているのは「至上の恋の、人生に2度と無い瞬間」。「誰もが味わった特別な恋の瞬間へのオマージュ」。一見“永遠”を意味するタイトルとは反するように感じるが、1980年代にはトップ・アイドルとして、そして現在は女優・歌手として変わらぬ人気を誇る彼女自身を表しているタイトルとなっているようだ。その証拠に、ジャケット写真はまさに永遠のアイドルと呼べる変わらぬ若々しさと美しさを保っている。
オリジナル曲と洋楽カヴァーで構成されたこのアルバム。冒頭からセカンド・ラインを取り入れたアレンジが耳を惹きつける「Top Of The World」は言わずとしれたカーペンターズのカヴァー。続く「Tea For Two」は「二人でお茶を」の邦題で有名なジャズのスタンダード・ナンバー。歌出しの街角の雑踏を思わせるざわめきの中から、音の定位が移動して耳元でささやく吐息のようなセクシーかつキュートな歌声は、ハイレゾ音源だからこそより鮮やかに聴こえてくる。オープニングを飾るこの2曲の他、同じくジャズのスタンダード曲「Cheek To Cheek」「Blue Moon」「Stardust」、ソウル・ナンバー「Lovin’ You」ビートルズの「Across The Universe」といった多くの人に知られているポップスをじつに表現力豊かに歌いきっている。30年を経て、大人の歌い手となった彼女ならではの味わい深いヴォーカルが楽しめるこうしたカヴァー曲たちは、改めて歌手・斉藤由貴の存在感を知らしめるに相応しいチョイスとなっている。
また、新曲として谷山浩子作詞による「窓あかり」、斉藤自身の作詞による「永遠」の2曲を収録。なんといっても見逃せないのが、音楽プロデューサー・武部聡志が2曲共に参加、作曲・編曲を担当していることだ。様々なミュージシャンの編曲・プロデュースを手掛けているだけでなく、近年ではフジテレビ「FNS歌謡祭」での音楽監督として長時間の活躍ぶりがネットでも話題になるなど、注目されている武部。斉藤とはデビュー曲「卒業」の編曲からの縁であり、待望の再会だ。武部のピアノひとつで歌われる「永遠」における斉藤のヴォーカルはより繊細で優しく、まるで長年歌い継がれている童謡のよう。積み重ねてきた30年間のドラマを感じさせる静かに心に染み入るエンディングに、リスナーそれぞれの人生の歩みを重ね合わせて聴いてみてほしい。(text by 岡本貴之)
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PROFILE
斉藤由貴
1984年週刊少年マガジン(講談社) 第3回「ミスマガジン」でグランプリに選ばれる。テレビ・ドラマでは「スケバン刑事」(CX)、「はね駒」(NHK)、「はいすくーる落書」(TBS)他。映画では「雪の断章〜情熱〜」、「恋する女たち」、「優駿-ORACION-」など。歌手としては「卒業」や「夢の中へ」などの誰もが知るヒット曲を多数持つ。舞台は1987年「レ・ミゼラブル」、1995・1997年「君となら」、2001〜2003年「フレンズ」、2006年「クラウディアからの手紙」、2009年「ゼブラ」、2010年「奇跡のメロディ〜渡辺はま子物語〜」などが代表作。女優活動のみならず詩、小説、エッセイなど著作も多い。2006年 「吾輩は主婦である」(TBS)の主演が評判を呼び、以降2007年「歌姫」(TBS)、2008年「バッテリー」(NHK)、2009年「小公女セイラ」(TBS)、2010年「同窓会」(EX)、2011年「おひさま」(NHK朝ドラ)、「陽はまた昇る」(EX)、2012年「浪花少年探偵団」(TBS)、「遺留捜査2」(EX)にレギュラー出演。ナレーションでは2001年からの「小田和正 クリスマスの約束」(TBS)を担当するほか、ドキュメンタリー番組など、数多くの番組を務めている。2014年は宮藤官九郎脚本のテレビドラマ「ごめんね青春!」(TBS)、三谷幸喜作・演出の舞台「紫式部ダイアリー」に出演するなど幅広く活躍している。