今、ここにある瞬間が詰め込まれた青春感──3ピース・バンド Cloque.がメジャー・デビュー
3ピース・バンドのCloque.(クローク)が4月17日にメジャー1stミニ・アルバム『トワイライト』でメジャー・デビュー。2015年に結成、ライヴ活動とリリースを着実に積み重ねてきた中、2018年3月にヴォーカル村松利彦の喉の不調により、2ヶ月間のライブ活動休止も経験。再開後、気持ちも新たにメジャーの地でスタートを切る彼ら、"朝焼け"の意味を持つメジャー初作品をレヴューで紹介する。
新たな時代の写し鏡 『トワイライト』
村松利彦(Vo.Gt)、古田秀人(Ba.Cho)、吉見裕太郎(Dr.Cho)による3ピース・バンドCloque.が4月17日にミニ・アルバム『トワイライト』でメジャー・デビューを果たす。
Cloque.が今作を発売した2週間後には、時代は平成から令和へ。なんて、世間の話題に乗っかりつつ、この機会に音楽と時代について考えてみた。すると、平成元年には、X(現:X JAPAN)、DREAMS COME TRUE、ニューエスト・モデル、メスカリン・ドライヴ、フリッパーズ・ギターらがデビューしていた。さらに海外ではニルヴァーナが『BLEACH』でメジャーデビューしたのもこの年だ。いずれも、形を変えたりしてはいるものの、現在も活躍を続けていたり、この世を去ってもレジェンドとして今も愛されているアーティストばかりだ。なるほど、新しい時代の始まりには、普遍的な音楽性を持つアーティストが生まれていたのだ。彼らの作品が世に送り出されたときに、30年後も聴き続けているなんてことを考えていた人はいただろうか?きっといないのではないだろうか。むしろ、個性に満ちていて、瞬間的に燃え尽きてしまうようなパッションが、新しい時代のスタートにマッチしており、心を捉えたのだと思う。
Cloque.『トワイライト』を再生すると、1曲目「未来へ」から、清々しい演奏と歌が、シュポンッと炭酸飲料の栓を開けたように勢いよく飛び出してきた。続く「スターマイン」の一斉に歌い出すサビメロ、「365」の一点の曇りもないポジティブなメッセージ。明るくてキュートにすら感じる、躍動的なポップス「Gloomy」。7曲中、3曲がハイハットのカウントを合図にスタートする演奏は、愚直なまでにストレート。迷いなく8ビートを叩いて突き進むドラムと、アンサンブルにガッツリ芯を通す太いベースが心地よい。そして、ギターを掻き鳴らしつつ歌われるヴォーカルが最大の特長だ。サウンドに埋もれることなく良く通る歌声は、クリーンで柔らかく、歪んだギターとのギャップがよりその魅力を強調している。ヴォーカル・村松利彦は、この声で〈つらいときには泣いたっていいよ〉なんて歌うのだ。正直、普通は照れくさくてこんな言葉は歌えないと思う。聴く者の思いを受け止める勇気がないと歌えない歌詞だ。
この作品で歌われているのは、上から目線の人生訓でなく、無闇にナイフを振り回すようなレベル・ミュージックでもない。まるで、音楽と出会い楽器を持った喜びそのままに、軽音楽部でバンドを組んだ男子が部室で演奏して同級生に歌い続けているような、今、ここにある瞬間が詰め込まれた青春感。それは、30年間第一線で活躍してきたアーティストの現在からは、決して感じることができない。そういう意味で、多種多様な音楽を選択できる時代の中で「ロックはユースカルチャー」であることを目一杯表現しているのが今作である。そして、ロックはリスナーと共に生きていく音楽だ。だからこそ、それぞれの心にその瞬間を刻み、普遍性をもって聴くことができるのだろう。
新しい時代を前にして、メジャーフィールドに飛び出した彼ら。「Sweet magic melody」では、〈君に届けたいメロディが まだいくつも残ってる〉と歌われている。この先、Cloque.の音楽がどう変わって行き、何年か先にどう聴こえるだろうか? そんなワクワクした気持ちは、どんな世代の音楽好きでも感じることはできるはず。『トワイライト』は、新しい時代を生きていくあなたにとっての、写し鏡になるかもしれない。(text:岡本貴之)
LIVE INFORMATION
Cloque. "春が終わらないように" Tour
2019年5月10日(金) 神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
2019年5月14日(火) 新潟県 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2019年5月17日(金) 兵庫県 music zoo KOBE太陽と虎
2019年5月24日(金) 福岡県 福岡Queblick
2019年5月26日(日) 岡山県 岡山CRAZY MAMA 2ndRoom
2019年6月4日(火) 宮城県 仙台enn 3rd
2019年6月7日(金) 大阪府 心斎橋BRONZE
2019年6月8日(土) 愛知県 栄R.A.D
2019年6月14日(金) 東京都 高田馬場CLUB PHASE
PROFILE
Cloque.
2015年2月:"Cloque."結成。 8月:ライブ活動開始。1st Demo「ここから、これから」発売。
10月:THE NINTH APOLLO pre. V.A"In the Stage4"に参加。
11月:1st Demo「ここから、これから」が、indiesmusic.comで取り扱い開始。
2016年3月:THE NINTH APOLLO渡辺旭セレクション"2016 Comers Free CD"に参加。
4月:1st Demo「ここから、これから」完売。2nd Demo「僕らの今を」発売。「僕らの今を」Tour 開始。
6月 : 2nd Demo「僕らの今を」Tour 全17箇所終了。WELL BUCKET RECORDS所属。
12月 : 1st mini album「今日を越えて」全国発売。TOWER RECORDS 12月度の、『タワレコメン』に決定。
2017年6月 : 2nd mini album「この蒼い日々を」全国発売。
2018年3月 : Vo.Gt村松利彦の喉の不調により、2ヶ月間のライブ活動休止。6月 : ライブ活動再開。