この夏、サーフ・インスト・ロック界の新星が登場! トーキョーキラー、1stアルバムを独占ハイレゾ配信開始

この夏の大本命アルバムが登場! “21世紀のファズギター・ヒロイン”ケメを中心に結成された、インスト・ロック・バンド、トーキョーキラー。サーフ・ロック的なインスト楽曲が集約された1stアルバムは、オリジナル4曲とカヴァー7曲が収録され、ローファイ・サウンドが身体中に響く、サーフ・ロックを愛するすべての世代に突き刺さるものになった。OTOTOYでは独占ハイレゾ配信に加え、ギターを始めることになったきっかけ、音楽のルーツなどをケメに訊いた。全国のギター女子も必読です。
OTOTOY独占のハイレゾ配信!!
トーキョーキラー / トーキョー★キラーストリート(24bit/48kHz)
【販売価格】
ALAC / FLAC / WAV / AAC : 単曲 250円 まとめ購入 2,000円(各税込)
※ファイル形式について
※ハイレゾとは?
【Track List】
1. トーキョーキラーのテーマ / 2. サーフ★スナイパー / 3. サーフ・パーティー / 4. ランブル(リンク・レイ) / 5. 真夜中のマリア / 6. 円山町の殺人 / 7. ミザルー / 8. タイム★トラベラー / 9. 朝日のあたる家 / 10. ペネトレーション/ 11. スウィッチブレイド
INTERVIEW : トーキョーキラー
インスト・バンドがポピュラーになっている感のある日本のインディーズ・シーン。ポスト・ロック、アンビエント、シューゲイザーといったあらゆる呼称でバンドの個性を表すことも珍しくないが、トーキョーキラーの1stアルバム『トーキョー★キラーストリート』は単純明快な、“インスト”とハッキリ言いたくなる作品だ。ベンチャーズ、アストロノウツ、ディック・デイル等のカヴァーとオリジナルで構成されたこのアルバムは、ある人にとっては懐かしのメロディのアップ・デート版、ある人にとっては新しい音楽との出会いになるはず。クラシックなようでいて稀有な存在感を持つこのバンドについて、リーダーでありバンドの発起人であるケメに話を訊いた。
インタヴュー&文 : 岡本貴之
もともとエレキ・ギターを始めたのがベンチャーズ系なんです
ーートーキョーキラーはケメさんを中心に結成されたということですが、活動開始のきっかけから教えてもらえますか?
ケメ : 結成したのがもう11年くらい前なんです。最初はメンバーが固定していなかったんで、ライヴの都度メンバーを集めてやってたんです。でも1年くらいで辞めたんですよ、自分がやりたくなくなっちゃって。まさかの言いだした自分が辞めるという(笑)。その後も他のメンバーがトーキョーキラーの名前でちょっと活動していたらしいんですけど。そこから何年か経って、もう一回やってみようかなって違うメンバーを集めてやったりとかを繰り返したんですよ。その後、ちゃんとメンバーを集めようと思ったんですけど、なかなか集まらなくて。一昨年の末くらいに今のメンバーが全員揃ったんです。私が以前、アナログのレコードを出したんですけど(2012年4月リリースの7インチ「TOKYO KILLER」)、それはそのときにやっていたケメバンドのメンバーにお願いしてトーキョーキラーのメンバーとして出したんですけど。そのレコードをベースのアッコちゃんが聴いて“トーキョーキラーをやりたい”って言ってくれたんです。そこから今のメンバーでずっとやってます。
ーーアッコさんとはPIGGY BANKSも一緒にやっていますけど、メンバーの方それぞれのつながりはいつからあるんでしょう。
ケメ : アッコちゃんとはバンドで対バンしてたりしていたので、連絡先も知っていて。レコードを出したときも音源をほしいということで(アッコ在住の)鹿児島に送りました。それからやりたいって言ってくれたんですけど、なんせ遠いじゃないですか? でも私にとってアッコちゃんは憧れの存在だったので、一緒にやりたかったんです。だからライヴは少ないけど、半年に一回くらい東京に来てもらってやってました。
ーー男性メンバーお2人はいかがでしょうか?
ケメ : 大久保君(ケイ)とはもともとケメバンドで何年も前から一緒にやってたので、その流れで鍵盤をやってもらって。ドラムの鍵山君は大久保君とソロ・ユニットをやっていたので、それもあって一緒にやることになりました。

ーーアルバムを聴くとサーフ・ロック的なインストが中心ですけど、ケメさん自身はソロで歌ったり歌モノのバンドでギターを弾いたりしている中で、なぜこのバンドではインストをやりたかったんですか?
ケメ : もともとエレキ・ギターを始めたのがベンチャーズ系なんです。世代はまったく違いますけど。家に色々レコードがあって、その中にたくさんベンチャーズがあったんで、そこからギターを始めたんです。
ーーじゃあもう、ルーツ中のルーツなんですね。
ケメ : そうです。それとGO!GO!7188もそうですよ。コピーしてました。
ーー最初は音源化しようとは思ってなかったわけですよね。
ケメ : 最初はカヴァーというよりはただのコピーっていう感じで、オリジナルもなかったので遊び的な感じでしたね。
ーー『トーキョー★キラーストリート』にはオリジナル4曲とカヴァー7曲が収録されていますけど、これは音源化するにあたってもともとライヴでやっていた曲を集めたものなんでしょうか。
ケメ : カヴァーはライヴでやってました。オリジナルは、私の曲(「トーキョーキラーのテーマ」)は前からあったんですけど、私以外のメンバーは今回のために1人1曲ずつ作っています。
ーー他のメンバーの方も、もともとインスト好きなんですか?
ケメ : いや、好きじゃないと思います(笑)。
ーーそうなんですか(笑)。でもアッコさんからやろうと言ってきたんですよね。
ケメ : ベンチャーズ等が好きなわけじゃないと思いますが、キラーのガレージ感が好きだったのかなと思います。
アレンジはオリジナルに忠実にやっていますね
ーーなるほど、確かに音は荒っぽい感じになっていますよね。何回か聴かせて頂いたんですけど、ものすごく好きな音楽を好きにやっている感じが気持ち良くて。
ケメ : あははははは。
ーーアレンジはオリジナルに忠実にやっていますね。
ケメ : やっぱり名曲揃いなので、あんまり壊したくありませんでした。もともとある中で、自分が遊べるのがベストかな、と。
ーー確かにインストをいじると違うものになっちゃいますもんね。有名な曲もありますけど、どういう基準で選んだんですか?
ケメ : 選曲は私が全部していますが、単純に好きな曲と、ライヴで4人で演奏した曲は固まっているし録音しやすいので選びました。
ーーギター中心のインストではあるものの、ケイさんのキーボードがサイケっぽい色を加えているのがこのバンドの特徴だと思います。ギターとキーボードのせめぎ合いのようなイメージはあったんでしょうか。
ケメ : う~ん、特に決めた訳でなく、お互い好き勝手にプレイした結果です。
ーーカヴァー曲について紹介してもらいたいんですが、まず「ミザルー」は誰の演奏をカヴァーしているんですか?
ケメ : これはディック・デイルですね。構成はちょっと違うと思いますが。
ーーこの曲はクエンティン・タランティーノの映画「パルク・フィクション」のイメージが強いですよね。
ケメ : ああ、やっぱそうですね。
ーー「真夜中のマリア」は頭脳警察のカヴァーで、もともとインスト曲ですね。
ケメ : この曲すごい好きな曲です。かなり忠実にやっています。怒られるからとかじゃないです(笑)。PANTAさんと一緒に演奏させて頂く機会があって、その時に「真夜中のマリア」を演奏しました。この曲の渋さがたまらなく好きです。
ーー頭脳警察が入っているのが不思議な感じがしたんですよね。
ケメ : ね? ここに普通入らないですよね。この中にあったら面白いかなと思って。でも知らない人が聴けば違和感はそんなにないと思うんですけど。
ーーただやっぱりアングラ感がありますよ。
ケメ : ああ~、鍵山君が作った「円山町の殺人」もそんな感じなんですよ。
ーータイトルはベンチャーズの「10番街の殺人」へのオマージュですよね。
ケメ : そうそう。オリジナル曲にタイトルが付かなくて、みんなで考えたんです。
ーーこれはどんなイメージで作られた曲なんでしょうか?
ケメ : デモを鍵山君にもらって聴いてみたら、トーキョーキラーのイメージとは違うなってので、“ごめん!”って私が変えました。 メロディーをわかりやすくして、コーラス入れてトーキョーキラーの曲になりました。
ーー「朝日のあたる家」の原曲はインストと歌が入ったものと両方ありますが、もともとは誰の演奏で覚えたんですか?
ケメ : 私はベンチャーズです。その後にアニマルズを聴きました。
ーーこの曲は有名ですから知っている人も多いですよね。
ケメ : どうなんですかね? 若い人知ってます? 10代20代の方は知らないんじゃないですか?
ーーまあ、こういう曲を聴くきっかけがないかもしれないですね。このアルバムを聴いて影響を受ける若い人もいると思います。
ケメ : そうだと良いな。シブいですけど。渋いおっさんが弾いてるんじゃないかって思われる気がします。音源だけ聴いたら(笑)。
ーーいやそんなことはないと思いますよ、枯れた感じはないですし。ただ選曲はシブいですけど(笑)。最後の「スウィッチブレイド」は誰の曲ですか?
ケメ : リンク・レイです。「ランブル」もそうです。ギター初心者向けっぽいギターですが、これもアレンジはいじらずにやってます。リンク・レイは割と最近知ったんです。これはライヴでもよくやってます。「ランブル」はギターウルフもやってますが、全く違う。対照的なんです。“こっちはシンプルにやってます”って。
自由にやり続けていきたいです
ーーオリジナル曲もトラディショナルなインスト風に作っている印象ですが、ギターを始めた頃はいつもこういう3コードの曲で練習していたんですか?
ケメ : そうですね。ほとんど3コードですもんね。でも私は“テケテケテケ~”が好きだったんですよ。できないのに練習してました。いまだにあんまりできてないんですけど。だからアルバムにもあんまり入っていないんですよ、テケテケが。ヘタクソだから(笑)。
ーー「タイム★トラベラー」はキーボードが全面に出ていて一味違う印象ですね。
ケメ : これは大久保君が書きました。GSっぽいですね。それと宇宙的な感じが融合してる不思議な曲ですね。
ーーアナログ・レコードも発売されるそうですが。
ケメ : 当初アナログを出す話はありませんでしたが、録っているうちにそういう話になって。アナログへのこだわりはそんなにないですが、トーキョーキラーは今風の音にしなくないなと思って、あえてレコーディングのときに汚くしてもらいました。キレイだと面白くなくなっちゃうんですよ。粗さがあった方がカッコイイ。エンジニアさんは頭抱えてましたけど。“せっかく良い音で録ったのに汚くするんですか!?”っていわれて、“ええ、どんどん汚くしてください”って。
ーーケメさんのギター・プレイって周囲のギタリストとだいぶ違うと思うんですが。今こういう風にギターでメロディを弾く人が昔に比べると少ない気がしますし。そのあたりは自覚的にやっているんでしょうか?
ケメ : かなり違いますね。自分ができることだけをやっているだけで、何がどうなりたいとかまったくないですね。“速弾きやりたいな”とかないです(笑)。
ーーでもそれが結果的にケメさんのギターの個性になっていますよね。
ケメ : 例えばウィルコ・ジョンソンはギター・ソロを1つのパターンで突き通したりしますが、それがかっこいい。自分もそこを目指しているかもしれないですね。マルチにやれる人はすごいと思います。でもそれがカッコイイと思うか問われたらどうかな? と。
ーーウィルコ・ジョンソンにしても、こういうギターだなっていうのはありますもんね。
ケメ : イメージができますよね? それって自分の出している音色が人に伝わっているということ。素晴らしいアーティストだと思います。
ーー『トーキョー★キラーストリート』はOTOTOYからハイレゾ配信されますが、ケメさんは配信で曲を買うことはありますか?
ケメ : あります。1曲買おうと思ってても、結局アルバムごと買っちゃいますね。自分が中学生くらいだったら、お小遣い的にCDって買いづらいと思うんです。でも配信だったら“この曲聴きたい”って1曲をバッって買えるじゃないですか? なので若者たちが買いやすいのかなと思います。
ーー実際にケメさんが中学生の頃ってどんな感じで音楽を聴いていたんですか?
ケメ : 私は家にレコードもCDもカセットもいっぱいあったので、まずそこから好きになりました。それからは中古レコード屋さんで色々買って、いらないと思ったら売りに行っての繰り返しでした。でもPYG(沢田研二、萩原健一らによるバンド)のレコードでジャケットの豚の鼻を押すと「ブー」って鳴るやつがあるんですけど、当時それが欲しかったんです。でもめっちゃ高くて、1万円くらいしたんです。子供だったから買えなくて。それをいまだに覚えてますね、買えなかったことを。
ーー今回のアルバムのジャケットも物として欲しくなる感じはありますね。
ケメ : これでアナログ・レコードだったらかなりインパクトありますね。さすがサリー久保田(ジャケットデザイン)さんだなって。
ーー今後は他のバンド活動と並行してライヴをおこなっていくんでしょうか?
ケメ : ライヴはそんな頻繁にできないと思うので、やれるときにガツンとやります。自由にやり続けていきたいです。あと、もうすぐレコ発もありますのでぜひ!
ーーライヴではこれまでどんな反響がありますか?
ケメ : どうなんでしょう。それなりに盛り上がってると思うのですが。そもそも演者が自由にやってるので、お客さんもそれぞれ楽しんで頂けたらと思います。『トーキョー★キラーストリート』は夏にピッタリのエレキ・サーフインストなので、ビーチで聴いて欲しいですね。または、ビーチでのライヴ・イベントに呼んで下さい!
RECOMMEND
ザ ベンチャーズ / Essential Ventures: Going to the Ventures Dance Party
1962年11月にリリースされたケメが敬愛するザ・ベンチャーズのアルバム。
マックショウ、THE COLTSのリーダー(Vo.Gt)として活躍のKOZZY IWAKWAソロ・プロジェクト!自身のルーツを辿るシリーズ企画第二弾! ロックン・ロール~リズム・アンド・ブルース他、ソウルフルでファンキーなルーツ・ミュージックを堀りおこしたカヴァー・ソング集。今作も前作同様にロックンロールが生まれた地・アメリカに飛び現地ミュージシャンとセッション。日本からもロックン・ロール界屈指のベースマン“TOMMY神田(THE MACKSHOW&THE COLTS)"参加。ミュージック・ラヴァーズに捧ぐ本場ならではのグルーヴィー・サウンドであの名曲たちが生まれ変わる! 豪華ゲスト陣多数参加! 拘りのアナログ録音。日米合作盤。
矢沢洋子 / Bad Cat
覚醒した矢沢洋子が送り出す渾身のニュー・ミニ・アルバムが遂に完成!サウンド・プロデューサーにはなんと矢沢永吉! 自身でも初となる外部アーティストへのプロデュースを手がけ、前作とは別世界のボーカリストへと変化した一枚が誕生した。今作はオリジナル楽曲の3曲に加え、カバー曲も2曲収録。「Bad Cat」時に悪ぶり、時に切なさを歌い上げる多面性を発揮した彼女の歌声は、すべての人の胸に強く突き刺さる作品に仕上がった。
LIVE INFORMATION
トーキョー★キラーストリート発売記念ライヴ
2015年4月24日(金)@渋谷BYG
東京うたの日コンサートvol.10【10th Anniversary Grand Cabaret】
2015年6月17日(水)@TSUTAYA O-EAST
『トーキョー★キラーストリート』発売記念インストアイベント
2015年6月13日(土)@タワーレコード新宿店7F イベント・スペース
PROFILE
トーキョーキラー
21世紀ファズ・ギター・ヒロインのケメ、元GO!GO!7188のベーシストのアッコほか、ツワモノ・ミュージシャン四人が集結したインストゥルメンタル・ロック・グループ「トーキョーキラー」。 バンド結成から約11年、活動休止等を経て、2012年ごろから現在のメンバーで固定、2015年ついにCDデビューとなった。
ケメ(ギターキラー)
トレード・マークは言わずとしれたファズ・ギター。まさに“21世紀のファズギター・ヒロイン”! トーキョーキラーの他、矢沢洋子、元GO! GO! 7188のアッコとの3ピース・ガールズ・バンド、“PIGGY BANKS”としても活動中。ソロではフォーク・ギター弾き語りを“keme”名義で継続中。 トーキョーキラーではリーダーをつとめ、60'sの香り漂う渋いカヴァー選曲を行っている。本作中「トーキョーキラーのテーマ」を作曲。
アッコ(ベースキラー)
元GO! GO! 7188のベーシスト。パワフルなベースは本作でも健在!トーキョーキラー・サウンドの大黒柱。地元鹿児島を拠点にしつつ、トーキョーキラーや、ケメ、矢沢洋子とのスリーピース・ガールズ・バンド“PIGGY BANKS”としても精力的に活動中。本作のリード曲「サーフ★スナイパー」を作曲。
ケイ(ケンバンキラー)
アーバンギャルドをメインに、様々なユニット、サポートで活躍するキーボーディスト。3月に脱退したキャプテンズではケイ伯爵として活動。どんなジャンルも弾きこなす技巧派、トーキョーキラー・サウンドのサイケな味付けが光る。本作中「タイム★トラベラー」を作曲。
キョウイチ(ドラムキラー)
暴走ドラマー。2014年10月までアーバンギャルドで活動。ロック、ハードコアからインプロまでこなし、cocobat、航空電子、アーバンギャルドなどのバンド活動の他、ライヴ、レコーディングのサポートも多数。作曲やボーカルもこなすマルチ・プレーヤー。本作中「円山町の殺人」を作曲。