老若男女すべてに響かせる、“青春”の煌めき──LONGMAN、新作ミニ・アルバム『This is Youth』

誰もが一聴して耳に馴染む親しみやすいポップなサウンドと男女混成ツイン・ボーカルが織り成すハーモニーで、着実にファンを増やし続けている愛媛発のメロディック・パンク・バンド、LONGMANが新作ミニ・アルバム『This is Youth』をリリース! 昨年2020年2月にメジャーからのファースト・アルバム『Just A Boy』をリリースしたものの、コロナウイルス感染拡大によってツアーができないという彼らのようなライヴ・バンドにとっては苦しい期間になってしまったが、それにめげることなくコツコツと楽曲制作を続けてきたという。そうした期間を経て生み出された新作『This is Youth』は、彼ららしさとこれまで出来なかった挑戦を盛り込んだ、バラエティに富んだ7曲が収められている。さあ、こんなときだからこそ、このアルバム聴いて叫ぼう「This is Youth」と!!
ドラマ『ゆるキャン△2』主題歌を含む、全7曲入り新作ミニ・アルバム
LONGMAN New Mini Album『This is Youth』全曲トレーラーLONGMAN New Mini Album『This is Youth』全曲トレーラー
INTERVIEW : LONGMAN
あっという間に駆け抜ける“Opening”からストレートなメロコア・チューン“Never Let Go”、高らかなホーンの響きも爽快なポップ・ロック“Hello Youth”が続き、前半から何の衒いもない明るく素直な歌と演奏が並ぶ。と思いきや、中盤からはダークな“Turning Away”、力強くも切ない“HUG”、ちょっとノスタルジックな“PAINT IT!”と、なんとなく心がモヤってる感じ。そして最後は吹っ切れたかのように疾走する“Makes You Rock”で締めくくる。楽しさも悲しさも喜びも苦さも全部ひっくるめた全7曲を、LONGMANは『This is Youth』と言い切った。どんな世代の音楽ファンも、自分の心に寄り添う曲がきっとこのなかにひとつはあるはず。OTOTOY初登場となるメンバー3人に作品へ込めた思いを訊いた。
インタヴュー、文 : 岡本貴之
らしくないものを取り込んで、いかに僕ららしく変えていくか
──2021年4月10日恵比寿リキッドルームで有観客ワンマン・ライヴ〈Just A Boys & Girl Season2〉を開催しましたね。久々の大きなライヴだったと思うのですが、それぞれ振り返ってもらえますか。
Hirai(Vo/G) : 本当に久々のツアーの最中なんですけど、まずは一歩踏み出したという意味ではすごく良かったのかなと思っていて。お客さんも制限があるなかで、できることで楽しんでもらえてる感じはあったので、これをちょっとずつやっていって、音楽の灯を消さないようにしていかないかんな、と思いました。
──ステージから見た景色はどうでした?
Hirai : やっぱり、感動しましたね。わちゃわちゃできない分、(フロアの)枠のなかで手を上げたりジャンプしたりしていて、それがすごくカッコよく見えて、感動しました。
Sawa (Vo/Ba) : 私はTwitterでエゴサするのが大好きなんですけど(笑)、そのなかで、「いまの制限されたライヴを楽しめるかどうか不安なままライヴに行ったけど、その不安をLONGMANが払拭してくれた」っていうツイートがあって。それでこの時期にツアーを始めて本当に良かったなあって思いました。ライヴに行かない生活に慣れていらっしゃる人も多いと思うんですけど、やっぱりライヴハウスに行くと、そういう楽しい気持ちを思い出せるんだなって。その場所を私たちがずっとライヴをすることで守っていきたいなと思いました。(リキッドルームのライヴでは)お客さんは声は出せないんですけど、全力で体で表現してくれて、それが本当に嬉しかったです。
Horikawa(Dr/Cho) : ツアーのスタートから、有観客ライヴまで結構期間が空いたんです。その間に、どうやって取り組んでいこうかすごく考えていて。いまの形だと、みんなでわちゃわちゃ楽しむよりも、音に対する説得力みたいな部分が必要になるなと思っていて。そういった意味で不安だったんですけど、実際にライヴをやってみて、お客さんの反応だったり、関係者の反応も含めて、そういう取り組みをやった上でちゃんと結果が出たんだなっていう実感はすごく感じましたね。

──ミニ・アルバム『This is Youth』が5月19日にリリースされますが、作詞、作曲担当のHiraiさんは今回、DTMを使っての曲作りを試みたそうですね。
Hirai : そうなんです。これまでは、僕がギターと歌でラフ音源を作って、あとはスタジオに入ってみんなで考えていくというやりかただったんですけど、ステイホーム期間はスタジオにも入れなくなっちゃったので。とはいえ、その期間を無駄にしてもいけないから、なにができるか考えたときに、PCだったらいったんひとりで完結できるということもあって始めました。いままでドラムに関しては、「ここグワッときて」とか、抽象的な伝え方をしていて、僕の理想を具現化するのにすごく時間がかかっていたんですよ。PCを使って自分でできるようになったことでいろいろ試しやすくなって、「ここをこうしてみよう」っていうのがPCだとすぐにできるので、そこはすごく楽になりましたし、可能性はすごく広がったと思います。
Horikawa : デモが共有されるときにはほぼほぼアレンジができているので、そういう意味では考える時間が減って、その分練習に充てられるようになった気はしますね。
Hirai : 細かいことだけみんなで考えるっていう。
Sawa : Hiraiさんの思ってることと、ほりほり(Horikawaの愛称)の「こういうドラムがいい」っていう意見をすり合わせるのが、ちょっと大変だった(笑)。
Hirai : それはやっぱり、ほりほりの自我もあるので(笑)。しかもPCだとどうしてもむずかしく作っちゃうので、そこもやっぱり苦労するだろうし。
Horikawa : そうなんですよ。打ち込みだと簡単に聴こえても、手で叩くと意外とむずかしいフレーズだったりとか。そういうのはドラマーじゃないとわからないので。
Hirai : そこのお互いの良いところを探すのは、ちょっと苦労しました。ただ、僕の素人ならではのドラムというか(笑)、いろいろ考えられるようになったので、そこは上手いことハイブリット感になったんじゃないかなって。
Horikawa : 僕も、そこで完結するんじゃなくて、より良くするために変えたりして肉付けしてました。
──4曲目の“Turning Away”はアルバムのなかではちょっと異色というか、間奏で変拍子になったりしますよね。こういうところにDTMでの曲作りが反映されているのかなって。
Hirai : ああ、そうですね。
Sawa : この曲は大変だったね。
Horikawa : 僕も、「変拍子とか使うんだ?」って思いましたもん。8分の7拍子だと思うんですけど。そういうの知ってるんだって(笑)。
Hirai : (笑)。
──絶妙に気持ち悪い感じがしますよね(笑)。
Hirai : ありがとうございます(笑)。
Sawa : それが良い感じに耳に引っかかって、好きなポイントですね。
Horikawa : これはむずかったっすねえ。慣れてないし、打ち込みでテンポも速かったので。「手が足りんな」って。8分の7の部分はレコーディングまでに相当練習しました。
Sawa : たぶん、このコロナ期間がないとできなかった曲です、これは。
──DTMはあくまでも制作手段だと思うんですけど、もともとどんなものを目指して作ったミニ・アルバムだったんですか。
Hirai : 大きなテーマみたいなものはなかったですね。大きいものを決めて、というわけではなくて、ひとつひとつ、「こういう曲が来たら次はこう来て欲しいな」みたいな7曲が揃った感じです。
──相当曲数もあったようですね。
Hirai : そうですね、とにかく時間しかなかったので(笑)。「LONGMANはあんまりこういうことはせんやろな」みたいなことにこだわらずにたくさん曲を作りました。最初はライヴもリリースもなかったので、追われるものがなかった分、伸び伸びと作れたのかなって思います。
Horikawa : DTMを覚えたことで、逆に楽しく音楽を作れたところはあったんじゃない?
Hirai : そうだね。本当に、改めて音楽にハマって、1日13時間ぐらいずっとやってて。「音楽オモロ!」と思いました(笑)。
Sawa : 地元のラジオ番組のジングルを作ったりとか。
Hirai : ジングルを送ったら使ってくれるんですよ。お金とかは発生しないんですけど(笑)。
──それだけ色々と曲を作って行くと、これまでのLONGMANらしからぬ曲ができたりもしそうですけど、そこはブレたりしていないですよね。
Hirai : そうですね。そこはやっぱり3人で揉んで、ヴォーカルもさわちゃんが歌うことでLONGMANっぽくなっていったりもするので。
Horikawa : らしくないものを取り込んで、いかに僕ららしく変えていくかっていうことを結構大事にしていて。
Hirai : うん、そうだね。結果、LONGMANらしい作品になったと思いますし、好きなバンドがあんまり変わっちゃうとさみしいよなっていうのもあるので。とはいえ、あんまり変わらすぎても飽きられると思うので、バレんように変わっていくというか(笑)。上手いこと進化していくことは割といつも目標にしていますね。