【連載】〜I LIKE YOU〜忌野清志郎──《第7回》 のん(女優 創作あーちすと)
INTERVIEW : のん(女優 創作あーちすと)
連載第7回にご登場いただくのは、女優 創作あーちすと、として大活躍中の「のん」。2017年に音楽レーベル〈KAIWA(RE)CORD〉を立ち上げ、8月6日に開催された〈WORLD HAPPINESS 2017〉に出演したことを皮切りに音楽活動を本格させてきた彼女が、2018年5月9日(水)に待望の1stアルバム『スーパーヒーローズ』を発表する。そのリード曲として5月2日(水)にアナログ・配信限定で先行リリースされるのが「わたしはベイベー」だ。矢野顕子作詞・作曲により生まれた同曲のモチーフはズバリ、「忌野清志郎」。かねてから清志郎ファンとして知られ、この連載のタイトルでもあるRCサクセションの楽曲「I LIKE YOU」をカヴァーしているのんに、清志郎の魅力を語ってもらった。
企画・取材 : 岡本貴之 / ゆうばひかり
文・編集 : 岡本貴之
撮影 : ゆうばひかり
ページ作成 : 鈴木雄希(OTOTOY編集部)
協力 : Babys
アルバムからリード曲を先行配信中
のん / わたしはベイベー
【配信形態・価格】
ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAVC
【収録曲】
1. わたしはベイベー
「I LIKE YOU」は“明るく楽しく笑い飛ばして活動していきたい”っていう自分の思いとリンクしたんです
──〈【連載】〜I LIKE YOU〜忌野清志郎〉は今回で7回目になるんですけど、「I LIKE YOU」をカヴァーしていらっしゃる、のんさんにはいつか出ていただこうと連載開始当初から話していまして、念願叶いました。ご登場いただきありがとうございます。
のん : あ、本当ですか!? ありがとうございます!
──まず、のんさんが「I LIKE YOU」をカヴァーしたのにはどんな理由があったんですか?
のん : 〈WORLD HAPPINESS 2017〉の会場でカセットテープを出そうってなったときに、(高橋)幸宏さんに呼んでいただいたということもあって、1曲は「タイムマシンにおねがい」(サディスティック・ミカ・バンドのカヴァー)がいいんじゃないかって決まっていて。もう1曲をどうしようかって考えたときに、いろいろ案が出たんですけど、私が清志郎さんのファンで憧れているということもあって清志郎さんの曲がいいんじゃないかっていう話になったんです。それで3曲くらいピックアップして、その中から考えて行ったんですけど、「I LIKE YOU」の歌詞が、自分の“これから、こういう風に活動していきたい”とか、“明るく楽しく笑い飛ばして活動していきたい”っていう思いとリンクしたんです。「タイムマシンにおねがい」の方はロックで明るいものを自分もやっていきたいと思って選んだ曲なんですけど、「I LIKE YOU」は自分の気持ちとリンクしたっていう感じですね。
──なるほど。とくに歌詞のどのあたりがリンクしたのでしょうか。
のん : 〈ほらうぬぼれてごらん〉っていうところとかですね。そういう歌詞がすごく好きです。
清志郎さんのことを歌った曲が矢野さんから上がってくるとは思いもしなかった
──アルバム『スーパーヒーローズ』から、5月2日にリード曲「私はベイベー」が先行アナログ盤と配信でリリースされますね。清志郎さんが得意なミディアム・テンポのリズムと、矢野顕子さんらしいメロディラインで、お2人の良さが感じられる曲だと思います。この曲への思いを聞かせてもらえますか?
のん : 私はもともと矢野さんの大ファンなので、曲を書いてもらえたらいいなと思ってお願いしてみたんですけど、こういう清志郎さんのことを歌った曲が上がってくるとは思いもしなかったので、すごくビックリしました。
──あ、清志郎さんのことを歌いたいってリクエストしたとかではないんですね。
のん : そうではないんですよ。私が矢野さんの“研究”をしていたときに(笑)、「ひとつだけ」(※1)を清志郎さんと歌っているのを見て、そこから清志郎さんに憧れていったんです。なので、「矢野さんが、のんに清志郎さんのことを歌った曲を歌わせてくれるんだ!?」みたいなうれしさがあって、すごく感動しました。本当にめちゃめちゃ良い曲だと思ったので、アルバムの曲ではあったんですけど、急遽シングル・カットしたいってお願いしまくって、「アナログと先行配信で行きましょう」ということになりました。
※1「ひとつだけ」
もとはアグネス・チャンのアルバム『美しい日々』(1979年)に提供された楽曲で、後に矢野顕子がアルバム『ごはんができたよ』(1980年10月1日)でセルフ・カヴァー。その後、2006年3月8日発売の矢野顕子のアルバム『はじめてのやのあきこ』及び2013年2月6日発売の『矢野顕子、忌野清志郎を歌う』で清志郎とデュエットしている。
──歌詞を聴くと、のんさんが自分の気持ちを書いているのかと思ったら、作詞も矢野さんなんですよね。
のん : 矢野さんはそんなつもりはないかもしれないですけど、最初に歌詞を見たときに、〈清志郎なら励ましてくれるはず〉とか、そういう歌詞にすごくグッときたし、うれしかったです。それ以外の部分の歌詞もすごく共感してしまって。共感できるけど、こんなにはっきり言ちゃうのって矢野さんだからだなって思える歌詞だったりして。それがなんか、カッコイイなって思いました。
──矢野さんには実際にお会いにはなったんですか?
のん : 曲を作っていただくにあたってはお会いしてないですね。
──直接話したわけではないけど、のんさんが共感するような歌詞を書いてきてくれたってすごいですね。
のん : 私が勝手に矢野さんに共感して憧れているところがあって。「矢野さんみたいになりたい」って思っているところがあるから、自分の中でリンクしたのかもしれないですね。〈私を見てください〉とか〈私を決めつけないあなたが好き〉とか、そういうのをはっきりそのまま言っちゃうところがめちゃくちゃカッコイイなって思いました。
「ごきげんだぜベイベー!」って入ってるのを聴いてめちゃくちゃ嬉しかった
──最後に清志郎さんの声で「ごきげんだぜベイベー!」と入ってますね。これがあることでのんさんと、矢野さんと清志郎さんが3人で共演してるかのように感じます。
のん : そうですね(笑)。これはスタッフの方が「清志郎さんの声を入れたい」って言い出して、そんなことできるのかなってビックリしたんですけど。私も最終的にできあがった曲を聴いたとき、めちゃくちゃうれしかったです。
──アナログ盤のB面にはチャボさん(仲井戸"CHABO"麗市)がアコギを弾いているバージョンが入ってますけど、チャボさんはアコギ1本でものすごく存在感があるなって。
のん : うん、そうですよね。
──これはチャボさんのギターと一緒に歌って一発録りしているんですか?
のん : そうですね、一緒にやりました。レコーディングは緊張しましたね。「オヒロメ・パックEP」(2017年8月6日)を出したときに、「I LIKE YOU」をチャボさんのギターと一緒に同じような形で録音して、そのときもめちゃくちゃ緊張したんですけど、今回は「1回やってるから大丈夫だ!」って、自分に言い聞かせながら頑張りました(笑)。
自分が清志郎さんと出会った曲、矢野さんとのデュエット「ひとつだけ」
──では、のんさんが好きな清志郎さん関連の3曲を挙げてください。
のん : まず1曲は、清志郎さんが書いた曲ではないんですけど…… 自分が清志郎さんと出会った曲ということで、矢野さんと歌っている「ひとつだけ」を挙げたいです。2曲目は、「ドカドカうるさいR&Rバンド」です。
──「ドカドカうるさいR&Rバンド」はどんなところが好きですか。
のん : 歌詞の〈ドカドカ〉っていう言葉遣いとかが陽気な感じがして。聴いてておもしろくて笑わせてくれる感じがすごくカッコよくて好きです。
──では3曲目は何の曲ですか。
のん : 3曲目は、曲名が思い出せなくて。今日判明させたいです。
──判明させましょう!
のん : なんか、“ガッタガッタ”か“グチャグチャ”っていうか、“ガッガッガッガッ”って言ってる曲なんですけど。
──“ガッタガッタ”は清志郎さんの代名詞ですからいろいろな曲でやってますよね。
のん : そうですよね。でも、それをいっぱい言ってるやつ。
──「ガ・ガ・ガ・ガ・ガ」(1981年11月21日発売『BLUE』収録曲)ではなくて?
のん : 違うんですよね〜。「ガ・ガ・ガ・ガ・ガ」じゃない気がするんですよね。あれなんて曲だっけ。
──“ガッタガッタ”だと、たとえば「高齢化社会」(1992年3月25日発売『Memphis』収録曲)とか?
のん : ああ、それかもしれない。
〜実際に「高齢化社会」を一緒に聴いてみた〜
のん : 違いました!(笑)。“ガッタガッタ”ってはっきり聴こえない曲なんですよ。“ガッガッガッガッガッガッガッガッ”って歌ってるやつ…… これじゃ書けないですよね?(笑)。
──そうですね(笑)。じゃあ、思い出したら教えてください!
※検証した結果、「Sweet Soul Music」だった模様。
のんが選ぶ忌野清志郎の3曲
①「ひとつだけ」(矢野顕子作詞・作曲)
②「ドカドカうるさいR&Rバンド」
③「Sweet Soul Music」
『OK』はやる気に満ちてくるのが感じられて、すごく楽しいアルバム
──ではアルバムを1枚選んでもらえますか?
のん : アルバムは何が良いか迷ったんですけど、『OK』(1983年7月5日)にします。「ドカドカうるさいR&Rバンド」が最後に入っていて良いアルバムになっていると思うんですけど、そこに行くまでにちょっと湿っぽい感じの曲も入っていますよね。でも、清志郎さんが歌うとグッと心にきながらも幸せな気持ちになれるというか、やる気に満ちてくるのが感じられて、すごく楽しいアルバムです。
のんが選ぶ忌野清志郎のアルバム
聴いていてしんみりならないというか、湿っぽい気持ちにならないところが好きです
──では最後に、のんさんと同じ若い音楽リスナー、アーティストに向けて清志郎さんのどんなところをとくに知って欲しいかメッセージをお願いします。
のん : 曲も詞もすごくカッコよくて、楽しかったりとか力強かったりとかして聴いていてドキドキする曲がいっぱいあるんですけど、「I LIKE YOU」だと〈ほらうぬぼれてごらん〉とか、潔い感じが聴いていてすごくしんみりならないというか。湿っぽい気持ちにならないところが好きです。聴いていて自分自身もやる気に満ちてくるし、そういうところが魅力だと思います。
【5月9日(水)には、アルバム『スーパーヒーローズ』特集ページも公開予定。アルバムについて詳しくインタヴューしています。】
【>>>連載第8回は5月18日に掲載予定。お楽しみに!】
「わたしはベイベー」のご購入はこちらから
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 250円(税込)
【配信ページ】
https://ototoy.jp/_/default/p/101986
のんの過去作もOTOTOYにて配信中!