魂を震わせる裸のロックンロール!!! ──突然少年、3人の先輩ドラマーの力を借りて作る新作
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左から、とだ げんいちろう(Ba / Cho)、大武茜一郎(Vo / Gt)、カニ ユウヤ(Gt)
激情のシャウト、ストレートな歌詞、衝動的でパワフルな演奏、轟音ながらも繊細なギター。毎年130〜140本のペースでライヴを行い、その圧倒的なパフォーマンスがライヴ・シーンで大きな話題を集めているロック・バンド、突然少年。
2019年9月にオリジナル・メンバーである良原涼太(Dr)が脱退するという、この窮地でも彼らは歩みを止めることはせず、ストイックに音楽を鳴らすことに向き合ってきた。そんな中で川﨑昭(mouse on the keys)、マシータ(ex : BEAT CRUSADERS、NATSUMEN)、岡山健二(classicus / ex.andymori)、3人の先輩ドラマーの力を借りて新作『辺りを見渡せばきっと側に誰かいる』を完成させた。とだ げんいちろう(Ba / Cho)曰く「いつ崩れてもおかしくない状態のときに作った」今作について、メンバー3人にインタヴューを行った。
3人の先輩ドラマーと作り上げた新ミニ・アルバム
『辺りを見渡せばきっとそばに誰かいる』 SPOT映像『辺りを見渡せばきっとそばに誰かいる』 SPOT映像
INTERVIEW : 突然少年
だいぶ前からその名をよく耳にしていた噂のロックバンド・突然少年が待望のOTOTOY初登場。インタヴュー中にもメンバーが口にしているように、ミニ・アルバム『辺りを見渡せばきっと側に誰かいる』は、これまでの突然少年とも、おそらくこれからの突然少年とも違う、ドラマーのいない3人組の突然少年の現在を、ある意味不格好に切り取った“いびつ”な作品だ。3人はいま、どんなことを思いながらバンドを続けているのか? 〈試練の虎2020~タイトラ5DAYS 突然少年リベンジ~〉が終わった数日後、メンバー3人に話を訊いた。
インタヴュー&文 : 岡本貴之
写真 : 宇佐美亮
心機一転、自分らを見つめ直すために
──1月27日(月)から31日(金)まで、神戸のライヴハウス「太陽と虎」で5日間の監禁ライヴ〈試練の虎2020~タイトラ5DAYS 突然少年リベンジ~〉が行われました。2年連続ということですが、今回はお風呂もちゃんと入れたようですね。
大武 : ちゃんとではないですけど(笑)。
とだ&カニ : ははははは(笑)。
大武 : あれを “ちゃんと”にしてしまうとちょっと(笑)。ちょうど3日目の打ち上げ中に、お湯の差し入れがあったんです。近くのクアハウスからお湯をタンクに入れてライヴハウスまで持ってきてもらって、直にかけてもらったりしました。
とだ : でも、あれがあったからぜんぜん違ったよね。
カニ : そうだね。
大武 : 周りからも、「肌の感じがぜんぜん違う」って言われたから。
とだ : マジで(笑)?
大武 : 言われた、言われた。「スッキリした顔になったね」って。それまで楽屋の水道で頭を洗ったりしていたので。お湯を浴びるというのはぜんぜん違うみたいですね。
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──お湯のありがたさも実感したわけですね(笑)。2年連続実施したのはどうしてですか?
大武 : もともとは「太陽と虎」店長の風次さんが軽い気持ちではじめた企画なんですけど、僕らが3番目に行うバンドで。本来はその年にやったバンドが、次の年のバンドを指名してバトンを渡すんですけど、僕らの場合はもう1回やらせてほしいって志願したんです。
とだ : 去年ドラムが抜けて3人になったというのもあったし、心機一転、自分らを見つめ直すのにはちょうどいいんじゃないかと思って。僕らの中では、合宿に毎日ライヴがあるみたいなイメージでした。
──じゃあ、楽しみだった?
大武 : う~ん、でもやっぱり覚悟がいるというか。あと何週間とかに近づいてくると、「ああ~そろそろだなあ」とか、「ちょっと東京の空気吸っとこう」とか思ってました(笑)。
とだ : 5日間、一切外出できないし窓もないので、外の空気が浴びれないというのはかなり試練だなって思いました。ただ曲を作って練習する分には合宿に近いんです。ご飯もいただいた差し入れで食べられたし。でも籠りっぱなしなのは結構しんどかったですね。
──試練があった分、毎日のライヴにはカタルシスがありましたか?
カニ : 毎回同じようにはやりたくないというのはありました。5日間観ている人もいるわけだし、対バンも違うし。5日間同じようなライヴは1回もなかったんじゃないかと思います。
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──思い返してみて、とくに印象的だったことってどんなことでしょう。
大武 : 4日目と最終日にクリトリック・リスさんに出てもらったんですけど、4日目に、誰を観に来たというわけじゃなくてたまたまライヴハウスに遊びに来たおじさん2人組のお客さんがいて。スギムさん(クリトリック・リス)以外のライヴのときも、ヤジを飛ばしていたんです。それでクリトリック・リスのライヴになったら最前列でずっと、スギムさんの股間のテルミンを必死に触ろうとしていて。最終的に、そのおじさんはステージに上がって全裸になられて(笑)。でもスギムさんもさすがで、そういうお客さんにも上手く対応していたんです。スギムさんの神対応を見たなと(笑)。
──1番の印象がスギムさんの神対応(笑)。
大武 : もちろんそれだけじゃないですけど(笑)。
とだ : 4日目はみんな頭も働かなくなってきていて、打ち上げもギスギスな感じで(笑)。
カニ : みんなイライラしてたよね。
大武 : 心も身体も疲れのピークに達していて、ただスギムさんもいるし、どうしても酒相撲をやりたいと思っていて。スギムさんと酒相撲するのが僕の1つの夢でもあったので。でも早々に潰れちゃって。その後が結構凄まじかったらしいです(笑)。
カニ : みんな酔っぱらっちゃって、「誰が1番ヤバいことをできるか」みたいな話になって。
とだ : それがエスカレートしすぎて、大変なことになってしまって。全員が制御不能になっていた4日目が1番印象に残ってます。最終日は、ある意味それで一致団結したというか。「こんなんじゃダメだ!」って(笑)。
ある意味「意地でも続けて行かなきゃな」っていう感覚
──あまり記事にはできなそうですね(笑)。最終日は新曲を披露したんですよね。
大武 : 5日間で新曲を作って、最終日に店長の風次さんにドラムを叩いてもらって披露するというルールが決まっていたので。それに向けて、毎日ライヴしつつ朝起きて曲作りを並行して進めていました。
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──それで出来た新曲が、“Thank you my Friend and my Family”。これは1stアルバムのタイトルと同じですよね。
とだ : そうです。曲が完成して歌詞とか演奏の感じをみたら、ここでアルバム名が曲になるのってめちゃめちゃいいなと思って。
カニ : レッド・ツェッペリンのアルバム『聖なる館』(Houses of the Holy)のタイトル曲が、次のアルバム『フィジカル・グラフィティ』に入っていたりとか、そういうのはよくあるなって。
──ドラマーの脱退、5日間のライヴを経てこういうタイトルが出てきた感じですか。
大武 : 歌詞も、あとあと読み返すと、どうしても今年の5日間を1日1日過ごしつつ、去年の5日間監禁ライヴとかその後の出来事を思い出すこともあって。それが最終的には自然に歌詞に入ってる部分はあるなって。それもあって、アルバム・タイトルをそのまま曲にするのはどうかって聞いたときに、いろいろなものがリンクするなって思いました。
──突然少年は、もともと高校の同級生4人でずっとやってきたということもあって、ドラマーが変わるというのは相当大きな出来事ですよね。
大武 : とだげんとカニは他のバンドのサポートをやることがちょこちょこあったけど、ほぼずっと4人だけでバンドをやってきたので、8年の年月ってバカにならないというか。正直、ドラム募集をかけたけど、応募があったとして誰と演奏しても「これはダメだ」ってなってしまったらどうしようって不安がありました。でもいざ応募があって1人目の方と一緒にスタジオに入って音を鳴らしたときに、「あ、なんとかバンドが続いていけるな」って思えた。
とだ : えっ、マジで?
──そこはちょっと捉え方が違った?
とだ : 俺は、最初にやったときに「このバンドが続いていくな」とは思わなかった。なんていうか、ある意味「意地でも続けて行かなきゃな」っていう感覚があって。ドラムが辞めるタイミングで、「いま、1番つらいと思うけど、絶対続けないといけないと思うから、必死に堪えろ」とか、何人かの友だちが言ってくれて。それを聞いて「ああ、そうだな」って思ったし。8年間やってきたドラマーだから、「じつはこういうことがやりたかったんだ」とか、お互いの深い情報が入って来ていたというか。今回、20人ぐらいのドラマーとスタジオに入ったんですけど、そのことで3人の中身がより濃く出てきて、それがしんどいなと思うときもあったり、逆にすごく楽しいなと思うこともありました。でも、すげえしんどいなと思っても、友だちの言葉とかがよぎってきて。必至でここは堪えて、何か繋ぎとめるものがあるんじゃないかってやってきて、俺からすると、5日間監禁ライヴが終わってやっと4人のバンドが見えてきたなっていう感じなんです。だから、俺はいまやっと少し前に行けるのかなって思えてるぐらいの感覚です。
──カニさんは、いろんなドラマーと演奏してみていかがでしたか。
カニ : だいたいライヴをやった人は10人弱なんですけど、ドラマーによってみんな曲の捉え方が違うので。それぞれの違う解釈を1つ1つ覚えてやらなくちゃいけないのが大変でした。ただ、一緒にやってくれるということ自体がめちゃくちゃありがたかったです。
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とだ : そうですね、その感覚がすごくありました。
カニ : 年下の子でも、バイトを全部休んで無理やりライヴを組んでくれたやつがいたり。だから、「ああしてほしいこうしてほしい」ということはあったけど、なかなかこっちが偉そうなことを言える立場じゃなくなるなって。
大武 : 僕らはドラマーが抜けたとしても、たとえ4人編成じゃなくて3人でも、ソロだとしても、目の前のライヴを絶対飛ばしたくないというのがあったんです。応募してくれた人はきっと、突然少年が好きという気持ちで大半の人はきてくれるわけで。そういう気持ちがある人とだったら、ひとまず突然少年という名前でライヴはできるなという思いはありました。
今作は“超いびつで不自然なもの”
──今作『辺りを見渡せばきっと側に誰かいる』は3人のドラマーと演奏した曲とメンバー3人のソロ曲で構成されていますが、いまだからこそできた作品ですよね。
大武 : はい、そうですね。
──いまの状況から自然にこういうものになったというか。
カニ : いや、自然にこうなったというのは違います。ドラマーがそれぞれ違うし、そこにソロ3曲が入っているということ自体、超いびつで不自然なものなので。
──たしかに、本来はこうじゃないんですもんね。
とだ : まあ、そうですね(笑)。これは割とひねくれた感じ、ちょっと違うことをやってみたくてソロも入れてみようという感じで。いまだからこそというよりは、3曲入りだとヴォリューム的にももったいないし、それにライヴ音源を入れるのも普通だなって。いろんな案もあったんですけど、もしかしたらここでソロを入れてみるのもおもしろいねっていう、本当にそんな感じでした。それを聞いて「あぁ、そうだな」って純粋に思えて。
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──“ギター”はマシータ(ex : BEAT CRUSADERS、NATSUMEN)さんとやっていますが、もともとどんな関係なんですか。
とだ : もともとマシータさんのドラムが大好きで、バンドでマシータさんとお会いするのははじめてだったんですけど、カニが“忘れらんねえよ”のサポートをしているときに、マシータさんもサポートをしていたので突然少年のことは知ってくれていて。他にもいろんなご縁があってライヴを観に来てくれたんです。僕らももともとマシータさんのドラムが好きだったから、レコーディングに参加してもらいました。
カニ : マシータさんは、叩きながら「そんなもんじゃねえだろ?」みたいな感じをメンバーそれぞれに出してくるんです。言葉じゃなくて、ビートで「もっとこいよ!」って。
とだ : とことん、厳しくやってもらった感じです。真っ直ぐ本当にピュアに接してもらえたなっていう感覚があって、それがすごくうれしかったですね。当初は「つらいなあ~」ってすげえ思ったんですけど(笑)。「どうやろうかな?」って。
大武 : 特にリズム隊ということもあるから、とだげんはレコーディングに向かう井の頭線で、「ちょっとどうしよう…」って。
とだ : そういう場面もありました(笑)。マシータさんのビートに対して、これだけやらなきゃいけないということが、一緒にやってわかって、でもいまの自分の技量だと追い付かないなということがわかったので。そこは先輩に食らいついていかなきゃいけないという感覚もあって、野球部の頃を思い出しました(笑)。先輩のノックを受けて「こんな球も取れねぇのかよ!」みたいな。悔しいからアザを作りながらひたすら球を取ってた頃を思い出しました、マシータさんのドラムで。
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──曲としては、タイトル通りギターのことを歌っているわけですか。
とだ : ギターと人間関係は出したい音にはならないと思うことがあって。ギターはひたすら練習しないと自分の出したい音にならないですけど、人間関係もひたすら愛情を注いだりとか、その人のことを考えないと自分と向き合ってもらえないなというときがあって。自分とギターの距離感と対人との距離感ってすごく似ている気がして、閃いた曲です。
──岡山健二(classicus / ex.andymori)さんが叩いている“フロムアンダーグラウンド”は以前からライヴでやっている曲ですよね。
大武 : そうです。ライヴ盤には入っていたんですけど、スタジオで録るのははじめてです。健二さんは、今回の3人のドラマーの中ではバンドとしても前から繋がりがあったんですけど、ドラマーが抜けるタイミングで次にドラマーが入るとしたら自分はどんなビートが好きかなって考えて。その中の1人に健二さんがいたんです。個人的には、恋愛相談とか乗ってもらったこともあるんですけど(笑)、1回一緒に演奏してみたいという気持ちもあって、この機会にお願いしました。
──“フロムアンダーグラウンド”という曲自体にはどんな思い入れがありますか?
大武 : 高校を卒業して、バイトをしながらバンドをやるぞっていうときに作った曲です。
カニ : たしか曲が出来たのが2015年ぐらいで。ちょうど月1で企画ライヴをやるという時期で、その中でできた曲です。
大武 : いまだったら普段通っているスタジオで曲を持ち寄って作るんですけど、この曲はどこでどういう風に作ったかっていう景色を覚えているんですよ。この曲は、4人で一緒に回転寿司を食べた後に、カニの実家でまず「このコード進行で作りたいんだよ」って話して作ったのを覚えてます。
カニ : えっ? 俺、もう実家出てたよ、そのとき。
大武 : いや、実家だった。
カニ : いや絶対違う。
大武 : わかった、わかった(笑)。本当、覚えてるんだって。その後に、自分の家で曲の続きをやったりして。
カニ : 俺の記憶だと、せんちゃん(大武)が「これやろう」ってスタジオに曲を持ってきたんだよ。
大武 : いやそれは、“開戦前夜”だよ。マジで覚えてるから。まあ、それはそれほど大事なことでもないんですけど(笑)。
とだ : 記憶が曖昧なぐらい昔に作った曲です(笑)。たぶん、4人のときに1番やった曲なんじゃないかな? それを改めて違うドラマーの人とやって、昔を思い出すことも大事なことだなと思いました。
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──“メモリートレイン”の川﨑昭(mouse on the keys)とはどんな繋がりがあるんですか。
大武 : 川﨑さんは、僕が弾き語りのイベントに出たときに、MCをされていて。僕らがドラマーを募集していることを知って、「もしよかったら叩くよ」って言ってくれて、お願いしたら本当にライヴを一緒にやることになったんです。
とだ : 川﨑さんとのライヴがめちゃめちゃ楽しくて、それにいままでにない感覚のビートを教えてもらったというか。川﨑さんも「またやりたいね」って言ってくれて、レコーディングへの参加をお願いしたら、二つ返事でOKしてくれました。
カニ : (突然少年のことを)1970年代~1980年代のバッド・ブレインズとかの感じがするって。
とだ : バットホール・サーファーズとかザ・ブルーハーツみたいだよねって言ってくれて。
カニ : 「あの感じがいいんでしょ?」みたいな。「そうっすよ」って(笑)。
──これはいつ頃に書いた曲なんでしょうか。
とだ : 7月末にフジロックのレッドマーキーに出演した後、本当にドラムが辞めるか辞めないかっていう時期に書いた曲です。この頃にいろんな人たちと関わることが多くて。僕は工事現場のバイトをしていて、その場限りで出会う人が多いんですよ。ライヴハウスもお客さんとか対バンの人たちって、意外と出会って別れてっていう感じで。この間を記憶として繋ぎとめるものって何かないのかなって考えて作ったような気がしますね。
本当に、いましか録れないものだと思います
──では、ソロ3曲についてですが、カニさんの“stuff”はインスト曲ですね。全部1人で演奏してるんですよね。
カニ : そうです。ギターとウッドベースと、ピアノを弾きました。曲の構成は頭の中にずっとあったものなので、それを譜面に起こしてやりました。イメージとしては、マーク・マグワイア(ex.Emeralds)とか、フレッド・フリスとかの感じに近いかもしれないです。
とだ : スタジオに入ってるときとか移動中の会話とかで、みんながいま聴いてる音楽のトレンドみたいなものが、なんとなくわかるんですけど、僕は2人のソロ曲を「いまこんな感じなんだな」って受け止めてました。あんまりバラバラになるよりは、「3人っていったい何なんだろう?」っていうことを紐解く感じをソロでやりたいという意識はありました。
──そのとださんのソロがはなぢまみれ名義で“教室”。
とだ : はなぢまみれ、はそんなに意味はないんですけど(笑)。僕らは教室で出会っているんですけど、このミニ・アルバムの6曲の中にお互いのソロもある中で、ここが1つの教室、自分らのいた場所みたいに見えてくればいいなということを意識しました。3人で一緒にいた頃の記憶とか、いままでと照らし合わせて、いまも昔も変わらないものっていったい何なんだろう? とか。歌詞にはそういうことを意識しました。
──そこで、昔を遡ってランドセルという単語が出てきた?
とだ : いまもランドセルを背負ってる感覚ってあるんですよ。小学生の頃にランドセルを買ってもらって、大事に大事に教科書とかを入れて持って行っていたわけですけど、いまもギター・バッグにベースとかを入れて背負ってスタジオやライヴハウスに行くのって、その感覚なんです。考えようによっては、いまも一緒だなって。
──大武さんの“夏のきおく”は、せんいちろうBig Dick Drive名義ですね。
大武 : ソロでライヴをやるときはこの名前でやっています。この曲は、前のドラマーのヨッシーと、去年の夏の時期に2人でユニットを組んでツアーを回ったことがあって。そのときに、毎日2人で1曲作ることを自分たちに課して、その日のライヴで披露していたんです。それぞれのソロを入れることになったときに、2人で作ったこの曲を入れようと思ったんです。
──〈明日のことなんて忘れてしまいたい〉とか、そのときの心境をそのまま表しているんですか。
大武 : 〈気持ちの良いことだけずっとしていたい / 明日のことなんて忘れてしまいたい〉という歌詞を曲の中で何度も繰り返しているんですけど、そういう感覚が僕とヨッシーの唯一似てる部分だったというか。2人で作ったときは、そういうことを何も考えずに自然に出てきたんです。大船渡でライヴをする日に、本番30分前なのにまだ曲ができてなかったんですよ。近くの川の辺りで2人で「ヤバい! どうすんだよ!?」って言いながら、なんとか作って歌詞をバーっと書いて「これ歌って!」って。でも本番はぜんぜん歌詞を追えなくて(笑)。そういう2人の思い出もある曲ですし、まわりのいろんな人との思い出も詰まった曲なので、記録として残しておくなら、このタイミングだと思って収録しました。
──突然少年の作品なんだけど、これまでにもこれからにもない作品になったんじゃないですか。
カニ : イエスのアルバム『こわれもの』が好きでめちゃくちゃ聴いてたんですけど、メンバーそれぞれのソロ曲が入っていたり、1曲すごく長い曲が入っていたり、すごくアンバランスなアルバムなんですよ。なんであのアルバムが『こわれもの』っていうタイトルなのかが、このミニ・アルバムを作ってわかりました。この音源も、壊れやすいデリケートな感じがするなって思います。ドラマーが抜けて、めちゃくちゃアンバランスな時期にいろんな人の手を借りて作ったので。そういう意味で言うと「こわれもの」なんだなって思いました。
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とだ : みんなで頭をフル回転させて、いつ崩れてもおかしくない状態のときに作ったという意味では、たしかにそうですね。本当に、いましか録れないものだと思います。タイトルが『辺りを見渡せばきっと側に誰かいる』というぐらいなんで、誰もまわりにはいないんじゃないかと思っちゃうような時期に録った作品です。だからこそ、安定剤としてこのタイトルをつけたかったというか、自分らに言い聞かせていたようなところもあります。
大武 : 突然少年のメンバー3人だけという時期が、空白の時期じゃなくて、あくまで突然少年というバンドの途中というか。ちゃんといまの突然少年というのを記録できた作品になったと思います。
──ジャケット、最高ですね。
とだ : これは、自分らが高校生の頃によく通っていたラーメン屋の「とりとん」っていう店があるんですけど、そこのシャッターです。このジャケ見てもわかんないですけど(笑)。
──この記事を読んだファンの方には聖地巡礼していただいて。
とだ : ははははは(笑)。
カニ : こんなボロシャッターが聖地って(笑)。
大武 : どこの何なんだよって(笑)。
編集 : 鈴木雄希
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過去作もチェック!
新→古
LIVE SCHEDULE
突然少年企画スタンディングスティックス-ヴァレンタイン劇場-
2020年2月14日(金)@新代田FEVER
時間 : 開場 18:30 / 開演 19:21
チケット : 前売 0721円(+2D)
【詳しいライヴ情報はこちら】
https://suddenlyboyz.tumblr.com/live
PROFILE
突然少年
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一意専心。その眼差しは前だけを睨み続ける、全国津々浦々にホームタウンをもつ日本のバンド。呼吸をするように日々ライヴに明け暮れ、時に心も体も一糸纏わぬ姿で全てをさらけ出すネイキッド・ロック・バンド。高校の同級生で結成。
2014年、最後の〈閃光ライオット〉で優勝。〈FUJIROCK‘18〉の《ROOKIE A GO-GO》に出演、〈FUJIROCK’19〉初日の《RED MARQUEE》に出演を果たす。
2019年は合計年間142本のライブを行った。現在ドラム募集中。
【公式HP】
https://suddenlyboyz.tumblr.com/
【公式ツイッター】
https://twitter.com/blueheaven128