つんのめるほどリアルな勢い詰め込まれたtetoの新アルバム『超現実至上主義宣言』、メンバー全曲解説!!
初シングル「忘れた」収録の“光るまち”がアルバムの1曲目を飾る今回の新アルバム『超現実至上主義宣言』。前回は弾き語りで収録されていたが、今回はバンド・アレンジで収録。1曲目の時点でこれまでのtetoの最高傑作を予感させる今作では、このほかにもシンセや四つ打ちといったこれまでのtetoにはなかったアレンジ面での進化も見せた。新たな要素は取り込みつつ、生々しいほどにいまのtetoが詰め込まれ、tetoらしくオルタナティヴ・ロックを提示する今作。ぜひアルバムの全曲解説とともにおたのしみください。
tetoらしいオルタナ感が爆発!
INTERVIEW : teto
僕が一番熱心に音楽雑誌を読んでいたのは、大学生の頃だったかもしれない。好きなアーティストのインタヴューは、部屋の中、お風呂の中、トイレの中で何度も読み返していた。イチ読者だった頃、どんな記事を読んでうれしかったっけ? と思い返すと、曲についてメンバーが解説をしてくれているとき。アルバムを流しながら「ああ、そういう思いで作ったのか」と、さらにその曲が好きになれた。tetoの『超現実至上主義宣言』を聴いて、当時の自分を思い返した。今作こそ、ぜひ4人にアルバムを細かく話してほしい。というわけで、珠玉の15曲すべてメンバーに語ってもらった。
インタヴュー&文 : 真貝聡
写真 : 作永裕範
出会ってから今日まで、小池さんはずっとおもしろい人です
(撮影を終えて、下北沢の飲食店『下北沢カフェ ド セット』へ移動した一行)
──今日はお酒を頼んでも大丈夫なので、リラックスしながら喋ってもらえたらと。
小池貞利(Vo&Gt / 以下、小池) : お、良いっすね! 良いインタヴューじゃないですか。
──皆さん、何を飲みます?
小池 : じゃあ、僕ビールで。
佐藤健一郎(Ba&Cho / 以下、佐藤) : あ、私もビールで。
福田裕介(Dr / 以下、福田) : ビールで!
山崎陸(Gt&Cho / 以下、山崎) : 僕はウーロン茶で。
──山崎さんって、いまもお酒は飲まないですか?
山崎 : 最近は結構飲みますよ。いまはちょっと体調悪いのでお茶にしました(笑)。
小池 : 山崎が飲めるようになって、個人的にうれしいんですよね。俺、大人数で飲むのは嫌いなんですけど、この4人で飲むのは結構好きで。
──4人で最後に飲んだのはいつですか?
小池 : 10月のはじめに行った仙台じゃない? ライヴがあったんですけど、前日に現地に着いたので4人で飲みに行きました。
──そういう場では、誰が一番喋るんですか?
福田 : メインで喋るのは、ここ2人(山崎と小池)じゃないですかね。
山崎 : 僕は単純に喋るのは好きなんですよ。
──去年tetoのツアー時に打ち上げを見て思いましたけど、山崎さんは誰とでもラフに喋れますよね。
山崎 : ずっと斜に構えていたんですよ。
──え、いつの話ですか?
山崎 : 25歳くらいまでずっと。バンドをはじめてから、そういうのはやめようと思って。やっぱり喋ったことのない人から聞く話っておもしろいし、そういう気持ちの変化はありましたね。だから昔はぜんぜん違う人だったと思いますよ。本当に他人と喋らなかったので。
──福田さんは、斜に構えていた時期ってあるんですか?
福田 : 俺はずっと変わらないですね。ただ、最近は知り合う人も増えてきてる一方で、人見知りだから仲良くなりきれずにいるんですよ。本当はみんなから話しかけてほしいんですよね。
小池 : 自分から行きなさいよ(笑)。
福田 : やっぱりおもしろくないと会話って続かないじゃん。自分がおもしろくないことを自覚してるから、話しかけに行けなくて。
──いやいや、ライヴのMCだっておもしろいじゃないですか。それは3人が福田さんのおもしろい部分を引き出しているから?
小池 : 俺らは引き出してないっすよ。ただ、出過ぎてる。そこを俺らも隠せないところがあって。福岡でライヴをやったんですけど、MCで突然「僕は豚骨ラーメンも嫌いだし、明太子も嫌いなんですよ」って素で言っちゃいますからね。
──十分、おもしろいじゃないですか。佐藤さんは、斜に構えてた時はありました?
佐藤 : あぁ、あったと思いますね。別に、何歳がそうだったとかじゃなくて、ポイントポイントでそういう時はあると思います。
小池 : ありますよ。健ちゃんと話してると、人に言えないようなびっくりする発言をすることがたまにありますからね。
──へえ!
山崎 : 貞ちゃんと健ちゃんは、ずっと2人で喋ってるんですよ。夫婦って思うぐらい、ずっと。
小池 : 昔、住んでいたところが近くて、よく2人だけで飲んでいたりして。
──それは、いつの話ですか?
小池 : 5年前くらい。その頃から2人だけで飲み続けてますからね。
佐藤 : 出会ってからなので、5年間ずっと小池さんと喋り続けてます。
小池 : もう、ずーっとだよね。
──もはや親友っすね。
小池 : あくまで先輩と後輩の関係なので、それがおもしろいんですけどね。
──出会った時の小池さんって、どんな感じでした?
佐藤 : 20歳ぐらいの時に、専門学校で出会いまして。当時はそんなに喋ったことがなかったんですけど、端から見る分に「目立つ人がいるな」って。最初は会話をするというより、顔を合わせたら挨拶をする程度でしたけどね。
──どこで距離が縮まったんですか。
佐藤 : たまたま食事へ行く機会があったんですけど。その時に話してみたら「この人はおもしろいなぁ」って。…… 出会ってから今日まで、ずっとおもしろい人です。
──小池さんは、佐藤さんと仲良くなったきっかけは覚えてます?
小池 : 同じっすよ。みんなでご飯へ行く機会があって。で、席が近くになったから話してみたら「俺の言いたいことが、ちゃんと通じる人なんだな」と思って。
──最初から、そう思えたんですね。
小池 : 山崎の場合もそうで、僕の考えをちゃんと汲んでくれると思ったからバンドに誘ったんです。
山崎 : 裕介は?
小池 : 裕介はそういうのなかった(キッパリ)。
──ハハハハ。じゃあ福田さんのどこが好きなんですか。
小池 : 俺が裕介のどこが好きか言うんですか!? (笑)。
たまには、そういう質問も良いじゃないですか。
小池 : …… まあ、やっぱり福岡のMCのように、自分の考えをストレートに言えちゃうところじゃないですかね。
山崎 : 悪気ないもんね。
福田 : うん。
小池 : 同じことを俺が言ったら鼻につくんですけど、裕介の場合は鼻に付かないのが良いなって。
結局、誰もが感じていることは一緒だよなって
──…… お、そうこうしてたら飲み物が届きました。
小池 : じゃあ裕介、音頭をとって。
福田 : えー、この度はリリースおめでとうございます! 乾杯っ!
(メンバー、スタッフ一同で)乾杯〜〜!
──8月の〈UKFC on the Road 2019〉へ行った時のことなんですけど。tetoのライヴを観た後に、外に設置されている喫煙所でタバコを吸っていたんですよ。そしたらギャルっぽい女の子がやってきて。「tetoって名前は知ってたけど、曲もメンバーも知らなかった。でも、今日のライヴは演奏もMCもマジでめっちゃ感動した」と話してて。
小池 : ああ、良かった。
──その女の子とtetoの4人は、聴いてきた音楽も過ごした環境も違うと思うんですけど。それでも音楽が届くのは、めちゃくちゃ良いことだなって。
小池 : たとえ違くても「普遍的な」とか「人間誰しも」というのはあると思うんですよね。結局、誰もが感じていることは一緒だよなって。
──撮影前、小池さんと僕でモーニング娘。の話をしたじゃないですか。それで“ザ☆ピ〜ス!”の〈好きな人が 優しかった(PEACE)〉の歌詞って誰もが共感しますよね、と小池さんが言ってて。
小池 : あれも普遍的なことですよね。
──tetoの音楽にも普遍性がたぶんにあるからこそ、はじめて聴いた女の子も感動したわけで。だからこそ、今日は『超現実至上主義宣言』をどんな思いで作ったのかを知るために、全曲語っていただこうと。
1曲目 : “光るまち”
──これは去年の『手』のリリース・ツアーでも必ず演奏してた曲ですけど。ギターを弾いてて、当時といまで感覚は変わりました?
山崎 : 変わってきましたね。具体的なエピソードがあるとかじゃないんですけど、その心境の変化はアレンジに詰めました。
福田 : この曲に出てくる登場人物は俺も知ってて、みんな友達だったので最初からイメージしやすかったですね。演奏しながら、貞ちゃんの見ていた光景が浮かぶんですよ。
──佐藤さんはどうですか。
佐藤 : 私は曲に出てくる人たちは知らないんですけど、曲が訴えてくる画をイメージしながら演奏するのはおもしろいなと思いましたし、それが曲の雰囲気にも表れるんじゃないかなって。
──小池さんは?
小池 : 先ほども仰った通り、この曲はどのライヴでもマストで歌ってて。それぐらい大切な曲だと思っているし、歌詞の中で〈狭い狭い狭い世界こそが正解だ〉と言ってますけど…… まあ、正解ではあるんですよ。だけど、そこで止まる気は一切なくて。だからこそ曲の後半で壮大に向かっていく感じにしたし、しっかり4人で音に出せたと思う。こういう曲って間が重要で、平たく言えば自分の歌のペースでもっていくのが1番良いと思っているので。そこを直接「ここはこういう風に」と言ってはないですけど、ライヴの感じでお互いに共有できてて。それが今回のアレンジに出ていると思いますね。
──これが1曲目に入ってるのも、個人的には好きですね。
小池 : 単純にそういうアルバムが聴きたかった、っていうのはありますね。ロックというかバンドの文化というのは、世間から見たらすごく小さなものではあると思うんですけど。でも、自分たちはそこに感化されていまもバンドをやっているし、こういう音楽をやっているわけだから。
2曲目 : “蜩”
山崎 : “蜩”は割とアッパーなんですけど、ちょっと寂しい感じもあって。その切なさを表現できたんじゃないかなと思ってますね。これは裕介、苦労してたね?
福田 : 苦労したね。いままでtetoの曲って、速ければ速いまま進んでいくのが多かったんですけど。この曲は静と動っていうか、決めるところとブレイクするところがあるので、その点も苦労しました。
──佐藤さんはどうですか?
佐藤 : これは、特にサビがすごく好きですね。シンプルに歌詞とメロディの感じが刺さります。そこがすごく良いなと思って。
──小池さんは?
小池 : この曲は、切迫感とか緊張感みたいなのを1番大事にしてて。それこそ裕介が「静と動」って話してましたけど、ずっと突っ切っていたら緊張している感じは出ないんですけど。あえてビートを変えるとか、キメを作ることで緊張感を出そうと思いましたね。歌詞は聴いての通り、実際に緊張感のあった出来事だったので。
──“蜩”は何歳の話なんですか。
小池 : 21、22歳くらいの話なんですけど。当時、知り合いの女の子とこの先どんな関係になっていくのかっていう。「普通に付き合っていくのか」「結婚まで考えて親密になっていくのか」っていうことを、相手の方から言ってくれたんですけど。僕がそれに対して、ちゃんと答えられなかったのがあって。それも緊張感のある場面じゃないですか?
──そうですね。
小池 : その感じが歌詞に出せれば良いな、というのがありましたね。
3曲目 : “kill&miss”
山崎 : ハッキリした静と動の曲で、ストップ・アンド・ゴーみたいな。そういう音楽のカッコイイところが詰まってますよね。シンプルにカッコイイ曲だと思います。
福田 : このアルバムの中で、1番tetoらしい曲な気がしてますね。
佐藤 : 切ない曲でもあると思うんですけど、同時に破壊力みたいなものもある。しかも聴いてて気持ち良さもあるから、すごい好きな曲です。
小池 : 健ちゃんの話してた「聴いてて気持ち良い」に関して言うと、俺の中では思っていることをそのまま出すと下品になるし、不潔になると思うんですよ。だから、そうならないように気をつけましたね。不潔とか下品なものっておもしろかったりはするんですけど、俺は“表現をする”という意味では魅力を感じてなくて。あくまで俺がやりたいことは、表現をすることなんですよ。一辺倒にならないようにとか、素の部分をそのまま出さずに、いかに料理して出すかが俺の中では大切で。歌詞で〈うざったるいカップル〉と言ってますけど、結局そこに対するフォローというか自分なりの解釈も歌詞の中に入ってるし。そういうところで下品になってないかなと思いますね。
──自分の感情のままに曲を作るんじゃなくて、人に届けることを意識して曲作りをする姿勢。それは結成初期から変わらないですか。
小池 : そのはずですね。だけど、そう言えるようになったのは最近になってから。あくまで他人が聴いて、どう感じるかなので。「生魚のまま出されてもなぁ」と思うから、そこはちゃんと調理しないとなって意識はあります。
4曲目 : “ねぇねぇデイジー”
──この曲はギターのテンポ感だったり、リフの入れ方だったりがおもしろいなと思って。弾いてて難しかったですか。
山崎 : そんなに難しいことはしてなくて。全体的にシンプルに弾いているんですけど、通して聴いた時に印象に残るんですよね。
──ドラマーの観点ではどうですか?
福田 : 叩いてて楽しいですよ。作ってる時から「この曲って突っ込んでるのが良いね」と言われてて、その突っ込み具合がカッコよく録れたかなと思います。
──佐藤さんはいかがですか。
佐藤 : まず、このタイトルが好きなんですね。メロはポップだと思うんですけど、内容はシニカルだったりするし、そういう対比もおもしろくて。これからもたくさん弾いていきたいなと思います。
──この曲の背景には、どんなことがありました?
小池 : アルバム全体を通して言えることなんですけど…… みんな日の当たっているところに目が行きがちですけど、影の存在があるから光が生まれるわけで。その影の部分も忘れちゃいけないし、それを認識しないのも間違っていると思ってて。〈革命を起こされるのはごめんだって〉というのも、それに近いことが言えるんですけど。影の当たらない場所をないがしろにするのは違うなと思うし、ちゃんとそこにフォーカスを当てて曲を作りたいと思うんですよね。──あとは身近なことが大切ですよね。どんな大それたことよりも、好きな人と美味しいご飯を食べたり、綺麗な海を見たりすることの方が大切で。現実があるからこそ、そういう美しさがわかるのも僕の中ではありますね。
──tetoの音楽って、たしかに2つの視点が混在してる気がしてて。「あいつが嫌いだ、世間が嫌いだ。だけど、そんなこと言ってる俺が俺は嫌いだ」みたいな。
小池 : 先ほどの話と繋がりますけど、たとえば辛いことがあれば、それをいかに気持ちいいメロディで伝えるかが大事だと思うんですよね。たとえば芸人さんが「僕は辛いんです」って言うのは簡単ですけど、それは人前に見せるものではなくて。芸人さんだったら、それをいかにおもしろく伝えるかが重要だし、バンドだったらいかに気持ちいいメロディで出すかが表現の大事なところだと思うんですよね。
5曲目 : “suimo amaimo”
山崎 : これは基本的に、貞ちゃんの作ってきたまま曲にした感じなんですよね。
小池 : だけどカッティングは山崎じゃん。
山崎 : それは考えたね。
福田 : この曲はノリが良いですよね。リズムというか語感が軽快じゃないですか。だから聴いてて気持ち良いなって。
佐藤 : こういう曲があるのはおもしろいですよね。アルバム通して聴いても、この曲があることは大事だなと思います。
小池 : 割とノリを重視して作りましたね。歌詞にはもちろん、僕なりの意味は持たせているんですけど。ヴォーカルも楽器の1つとして聴かせることで「重いことを言ってるけど、あんまり重くなり過ぎてないな」と。
6曲目 : “ラストワルツ”
福田 : 個人的には、人生初の4つ打ちだったから大変でしたね。
──シンセと4つ打ちというアレンジをtetoがしたのは、個人的に意外でおもしろかったですね。
山崎 : んー…… 貞ちゃんから曲が届いた時に、僕はぜんぜん意外に感じてなくて。こういう曲もtetoでやるだろうと思ってましたね。
──佐藤さんはどうですか?
佐藤 : 4つ打ちをやるのもシンセを入れるのも前から話してましたし、だからそうなったっていう。
──小池さんはどんな思いで作ったんですか。
小池 : なんか、すごいバカっぽいことをやりたいと思ってて。ギターでは出せないバカっぽさが、シンセによって表現できたんじゃないかなと思いますね。
7曲目 : “螺旋階段”
山崎 : アルバム全体的に開けている曲が多いんですけど、“螺旋階段”は貞ちゃん1人の中の世界っぽいなと思いましたね。ただ、そんな話をしたことないので真意は分からないですけど。
──「小池さん1人の世界」っていうのは、歌詞の中で感じたんですか。
山崎 : 両面的なことを歌った曲が多いんですけど、どちらかというとこの曲は否定的かなっていう。
小池 : 山崎の言った通り、自分の部屋で1人だけで作った感覚ですね。言ってしまえば「分かってもらわなくてもいいや」という思いで作ったんですよ。
福田 : “螺旋階段”、“夜想曲”で雰囲気が変わるので、ここのゾーンは好きですね。
佐藤 : こういう曲はアルバムの中にないと、って思いますね。「螺旋階段」によってアルバム自体のバランスもすごく良くなっているなと。
8曲目 : “夜想曲”
──“夜想曲”は“螺旋階段”の続きを歌っているように感じて。
小池 : この曲もぶっちゃけ「分かってもらえなくてもいい」と思ってて。だけど1つ違うのは、後半になってだんだん開けていく。だから家にいるんですけど、そこからドアを開けて飛び出した感じがしますね。
山崎 : 僕が感じたのは「決意表明」かなって。そんな時期だった気がしますしね。
福田 : 音のことでいうと、ベースではじまるのがカッコよくて好きですね。
佐藤 : “夜想曲”はシングルカットされている曲ですけど、それが新しく作った曲と並んだ時にすごく意味を感じますね。
9曲目 : “不透明恋愛”
山崎 : これはアルバムの中でも、最後に作った曲なんですよね。これはね…… 良い曲ですよ。みんなが感じるtetoっぽさが出ているんじゃないかなと思いますね。
福田 : アルバム制作が佳境になった時に「もう1曲やるわ」って、急遽作ることになったのが“不透明恋愛”で。
佐藤 : やっていることがシンプルな分、曲のメッセージ性も届きやすくなっていると思いますね。
小池 : 曲名に「恋愛」とつけたのははじめてだったし、恋愛のことに限定して曲を作ったのもはじめてで。他の曲は女の子というより、家族とか友達に向けたものだったりするので、ある意味、この曲は自分の中で新しいことに挑戦した感じですね。
10曲目 : “声のもと”
山崎 : これは非常に私好きなんですよ。キャッチーな曲だし。健一郎は「必殺のサビ」と言ってたんですけど、まさにそれですよね。
佐藤 : そうですね。洗練された感じが曲にもしっかり出ていると思います。
福田 : 本当に無駄がない構成でキレイな曲だと思います。
小池 : 曲自体は2年前に出来てて、当時は3連だったんですけど。どんどんキャッチーにしていこうと思って、なんならアイドルの方でも歌えるようなポップなものを目指すつもりで歌詞を作りましたね。言ってしまえば、これも普遍的なことを歌ってるじゃないですか。人間誰しもが思っていることをあえて口にしましたね。
11曲目 : “コーンポタージュ”
山崎 : シンプルな感想になっちゃうんですけど、これはソロを頑張りましたね。…… そんなところかな。
福田 : この曲ってサビが2段階になっているじゃないですか? それが珍しくて、tetoにはなかなかなかった感じの曲なんですよね。個人的には後半部分のサビが好きですね。
佐藤 : 言ってることにすごく納得するというか、自分に置き換えてもグッとくる曲だなと思います。
小池 : タイトルはスナック菓子の“コーンポタージュ”のことなんですけど、昔はよく食べてたなと思って。10年前、俺の見たこと感じたことをそのまま書いて、最後に言いたいこと伝えた。筋道を通して、物事を順序立てて「だから俺はこうしていきたい」という構成にして作りましたね。
12曲目 : “時代”
山崎 : これこそ普遍的な曲というか、教科書に載っていてもおかしくないような。個人的には卒業式でみんなに歌ってほしいですね。
佐藤 : みんなに歌ってほしい、という気持ちはすごく分かります。ベースで言うと、この歪んでいる感じが曲のドラマチックさを増している気がしました。
福田 : シングルカットした曲が、ちゃんとアルバムの中に混じって存在感を出しているのが良いなと思いますね。
──そもそも“時代”はどういう思いで作ったんですか。
小池 : 合唱曲みたいにしたいと思ったのが発端ですね。“大地讃頌”みたいなね。ピアノだけの演奏でも合うと思うんですけど、あくまで僕らは4人でやっているから。じゃあ、どういうアレンジにするかを意識しました。
──ライヴではアコギ・セットで歌うこともありますよね。
小池 : ああ、良くやってますよね。こういう曲って音数が少なくて、メロディだけの方が良かったりするんですけど。まあバンドなので、だからこそノイズを入れてるのもあります。
13曲目 : “ただいまおかえり”
山崎 : “コーンポタージュ”から“ただいまおかえり”までは、割と普遍ゾーンというか。誰でもこういう経験したことあるんじゃないかなっていう感じがします。うん…… 良い曲ですよね。
福田 : 3連の曲ってやったことがなかったんですけど、いざやってみたらノリやすいというかアクセントが分かりやすいんですよね。だから、このノリやリズムは好きです。
佐藤 : 福田さんの言ったように3連ですし、オケだけ聴いたら重いんですけど、そこに歌が乗ると前向きな印象になる。そこが良いなと思います。
小池 : 音楽的なことを言ったら、3連のバラードを作りたいと思ってたんですよ。それと曲の雰囲気でいうと、物事には終わりがありますけど…… 終わった後に何かのタイミングで再開することもあるじゃないですか。終わったままになることって、意外とないというか。
──え? どういうことですか。
小池 : 昔は好きだったものが嫌いになることって、よくあると思うんですよ。そういう時に、また人と人が出会えたら良いなと思いますね。分かりやすい例えをすると、「あのバンドが好きだったけど、なんか嫌いになったな」という人も何周かしたら好きになることもあると思う。ライヴをやっている側も「あの人、また観に来てくれた」と気づいたらうれしいし。それぐらい人と人が会うことって、しっかり約束をしなくても良いと思うんですよ。お互いのタイミングで、会いたい時に会うことが理想の形だし、美しいなって。
14曲目 : “全肯否定”
山崎 : これがアルバムタイトルでも良かったぐらい、1枚通してのテーマになっている曲だと思いますね。
福田 : これに限らず、歌メロなしのまま曲を作ることがあって。録音してから「こんな曲だったんだ」と特に驚いたのが“全肯否定”でした。ラスサビでドラムと歌の絡みがあるんですけど、あそこも良くハマったなって。計算されているなと感心しました(笑)。
佐藤 : これがアルバムの最後でも良かったと思うんですけど、こうして聴いてみると14曲目にあることが僕としてはシビれるなって。
小池 : 俺の中では“夜想曲”と同じ位置にある曲ですね。言わなくてもいいことを歌っていたりするんですけど、あえて言ってるというか。
──ライヴで「俺は全部肯定もできないし、全部否定することもできない」と言ってましたけど。そのフラットな姿勢が小池さんらしさだと思いましたね。
15曲目 : “LIFE”
山崎 : これはね、めっちゃ良いソロが弾けたんすよ。“LIFE”は4人だけのものというか、僕の中ではボーナス・トラック的な感じなんですよね。
福田 : はじめてバンドのライヴを目撃した時のことを綴った「光るまち」からはじまって、最後はバンドを組んだいまの気持ちを歌った“LIFE”で終わる。このキレイな流れが良いっすよね。
佐藤 : バンドに限らず、何かはじめる時の動機ってシンプルなものだと思うんです。だけど、一歩踏み出すことで色んな葛藤や悩みが生まれるようになって、当時の純粋な気持ちが薄れていく。この「LIFE」を聴くと、はじめてバンドをはじめた頃のドキドキが蘇ってくるから、すごく大事な曲なんですよね。
小池 : 理想を持ち続けたら現実にできるかもしれない。そういうのが俺の中では、すごく大切で。日に当たらなかった時間があるからこそ、日に当たった時はめちゃめちゃ眩しく感じる。なので、その当たらない過程とか、理想を追い求めている過程が大事だと思ってるんです。そんな想いを込めたのが“LIFE”ですね。
──いやぁ…… 皆さん15曲語っていただいて。
山崎 : いやいや大変でしたよ。
小池 : これ本当に終わるのかなと思ったけど、何とか全曲言えて良かった。
──じゃあ、最後はみんなタバコ1本吸って帰りますか。
まだまだ続くぞ、teto特集! 乞うご期待!
編集 : 鈴木雄希
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LIVE SCHEDULE
teto 47都道府県ツアー 「日ノ出行脚」
2019年11月15日(金)@千葉LOOK
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
※対バンあり
2019年11月28日(木)@郡山CLUB ♯9
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
※対バンあり
2019年11月30日(土)@ミュージック山形昭和SESSION
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2019年12月1日(日)@秋田CLUB SWINDLE
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2019年12月5日(木)@長野LIVEHOUSE J
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
※対バンあり
2019年12月7日(土)@富山SOUL POWER
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2019年12月8日(日)@岐阜ants
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2019年12月13日(金)@神戸太陽と虎
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
※対バンあり
2019年12月15日(日)@和歌山CLUB GATE
時間 : OPEN 17:00 / START 17:30
※対バンあり
2020年1月19日(日)@HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年1月21日(火)@滋賀B-FLAT
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
※対バンあり
2020年1月23日(木)@長崎DRUM Be-7
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
※対バンあり
2020年1月25日(土)@大分DRUM Be-0
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年1月26日(日)@佐賀GEILS
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年1月28日(火)@岡山PEPPER LAND
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
※対バンあり
2020年2月8日(土)@徳島club GRINDHOUSE
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年2月9日(日)@松山Double-u studio
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年2月11日(火・祝)@静岡UMBER
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年2月19日(水)@奈良NEVERLAND
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
※対バンあり
2020年2月21日(金)@熊本DRUM Be-9 V2
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
※対バンあり
2020年2月23日(日)@鹿児島SR HALL
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年2月24日(月・休)@宮崎SR BOX
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年2月26日(水)@四日市CLUB CHAOS
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
※対バンあり
2020年2月29日(土)@高知X-pt.
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年3月1日(日)@京都磔磔
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年3月7日(土)@桜坂セントラル
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年3月14日(土)@HEAVEN’S ROCK 宇都宮VJ-2
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年3月28日(土)@甲府KAZOO HALL
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年4月2日(木)@苫小牧ELLCUBE
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
※対バンあり
2020年4月4日(土)@北見ONION HALL
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年4月5日(日)@旭川CASINO DRIVE
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年4月18日(土)@福井CHOP
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年4月19日(日)@金沢AZ
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年4月23日(木)@周南rise
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
※対バンあり
2020年4月25日(土)@松江AZTiC canova
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年4月26日(日)@米子AZTiC laughs
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年4月29日(水・祝)@高崎club FLEEZ
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年5月14日(木)@水戸LIGHT HOUSE
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
※対バンあり
2020年5月16日(土)@盛岡CLUB CHANGE WAVE
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年5月17日(日)@青森quarter
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※対バンあり
2020年5月31日(日)@川崎CLUB CITTA’
時間 : OPEN 17:00 / START 18:00
※対バンあり
2020年6月11日(木)@高松DIME
時間 : OPEN 18:15 / START 19:00
※対バンあり
2020年6月13日(土)@なんばHatch
時間 : OPEN 17:00 / START 18:00
※ワンマン公演
2020年6月14日(日)@名古屋CLUB QUATTRO
時間 : OPEN 17:00 / START 18:00
※ワンマン公演
2020年6月20日(土)@福岡DRUM Be-1
時間 : OPEN 17:15 / START 18:00
※ワンマン公演
2020年6月21日(日)@広島セカンドクラッチ
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※ワンマン公演
2020年6月27日(土)@新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
時間 : OPEN 17:30 / START 18:00
※ワンマン公演
2020年7月3日(金)@仙台CLUB JUNK BOX
時間 : OPEN 18:15 / START 19:00
※ワンマン公演
2020年7月5日(日)@札幌PENNY LANE 24
時間 : OPEN 17:00 / START 18:00
※ワンマン公演
2020年7月17日(金)@Zepp Divercity TOKYO
時間 : OPEN 18:00 / START 19:00
※ワンマン公演
【詳しいライヴ情報はこちら】
http://te-to.net/19-20-sp/
PROFILE
teto
2016年1月、ヴォーカル&ギターの小池貞利を中心に山崎陸(Gt)、佐藤健一郎(Ba)らとtetoを結成。同年10月、自主音源となるファーストEP「Pain Pain Pain」を発売(現在廃盤)。同年12月、福田裕介がドラマーとして正式加入し、現編成となる。
2017年8月、1stミニ・アルバム『dystopia』を発売。8月度のタワレコメンに選出される。同年11月から〈teto tour 2017「dystoipia」〉を開催。
2018年3月、1stシングル「忘れた」を発売。同年4月から全国9か所を廻る「teto 〈60分2,800円ツアー〉」を開催。各公演、軒並みSOLD OUTとなる。同年7月からバンド初のワンマン・ツアー〈始発〉を開催。全公演即日完売。同年9月、1stアルバム『手』を発売。全22公演のリリース・ツアーとなる、teto ツアー2018〈結んで開いて〉は、ファイナルの恵比寿LIQUIDROOMを含め、各地SOLD OUT公演が続出。年末には〈COUNTDOWN JAPAN 18/19〉〈RADIO CRAZY 2019〉〈GT2019〉に出演。
2019年2月から、全国9か所を廻る〈スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2019〉に出演。ファイナルのマイナビBLITZ赤坂ではイベントのトリを務める。同年4月、2ndシングル「正義ごっこ」を発売。ワンマン・ツアーとなる〈tetoツアー2019 正義売買 -seigi bye bye-〉を開催。2019年10月23日、1stアルバムと同じく15曲を収録した2ndアルバム『超現実至上主義宣言』を発売。併せて47都道府県を周るteto 47都道府県ツアー〈日ノ出行脚〉を開催。
【公式HP】
http://te-to.net/
【公式ツイッター】
https://twitter.com/teto_info