ニッポンのロックンロールに、新たなモッズの風が吹く? ──Layneの1stアルバム『Be The One』に迫る
湘南在住、ザ・ビートルズ、オアシス、ザ・フーなどの英国音楽をはじめ、ザ・コレクターズなどのモッズ・ミュージックの影響も感じさせる4人組バンド・Layne。9月に先行リリースした7インチをきっかけに早耳リスナーの中で話題を呼んだLayneが、満を持して〈Youth Records〉から1stアルバム『Be The One』をリリース! 狂おしいほどのロックンロール・サウンド満載の10曲が収録されています! andymoriなどを輩出した〈Youth Records〉からの、新たな才能の誕生に、絶対に立ち会うべきです! このインタヴューを読めば、Layneがどんなバンドなのか丸わかり! ぜひアルバムとともにお楽しみください。
ニッポンの音楽をアップデートする、記念すべき1stアルバム!
Layne / Be The One
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 250円(税込) / アルバム 2,488円(税込)
【収録曲】
1. ステイウィズミー
2. ビューティフルライフ
3. Sister Tomorrow
4. ゲットイットアウト
5. アドニスブルー
6. スターティングオーバー
7. ベイビーイッツオールライト
8. ビスタライト
9. ON THE RUN
10. スモーキングチャイルドフォーエバー
INTERVIEW : Layne
彼らの音源を聴いて、『さらば青春の光』、『アメリカン・グラフティ』、『ライ麦畑でつかまえて』と同じような匂いを感じた。で、容姿をみたらどこかモッド風味な出で立ち。YouTubeに公開されている「ステイウィズミー」のMVを観ると、ハウス・パーティのようなライヴをしている4人がいた。一体彼らは何者なのか? 今回のインタヴューではバンドの歴史を辿りつつ、この優れたセンスはどこからきたのか探っていく。
インタヴュー&文 : 真貝聡
写真 : 鳥居洋介
何よりも〈Youth Records〉とは、話しててウマが合った
──僕がLayneを知ったのは、ココナッツディスクで手に取った『ステイウィズミー』がきっかけでした。
渡辺岳(Gt. / Vo.)(以下、渡辺) : あの頃から知っていただいてたんですね!
──それで去年の〈YATSUI FESTIVAL! 2016〉ではじめてライヴを観て。本人を前に恐縮ですけど、すごくセンスが良いバンドだな、って。
萩本あつし(Vo. / Gt.)(以下、萩本) : ありがとうございます。そのときは彼(原元)が加入する前ですよね。
──そうでしたね。まずは、どうやってこの4人が集まったのか、バンドの成り立ちから話を進めたいと思います。
萩本 : お願いします。
──上田さんが憂歌団のライヴを観にいって、そこでスタッフとして働いていた萩本さんと出会ったのがすべての始まりですよね。
上田夏海(Dr. / Vo.)(以下、上田) : 前々から、お互いの存在は知ってたんですよ。だから初対面の時は「お前が“あの萩本”か」みたいな感じで。
──なんで知ってたんですか?
上田 : 彼が自主制作で作った音源を聴いてたんです。曲も演奏も知ってたけど、顔を合わせるのはあの日がはじめてでした。
萩本 : 俺は、彼が昔やっていたバンドの音源を知り合いから聴かせてもらってて。その時に良いドラムを叩くな、って思ってました。
──2人は出会った日に意気投合して、Layneを結成することになったそうですね。だけど初対面でしょ? どうして、そこまで仲良くなれたんですか。
萩本 : 木村充揮さんの話を出来たのが大きかったよね。
上田 : そうそう。ブルースの話ができるのがうれしくて。
──いまの話って何歳の頃ですか?
萩本 : 2014年なので、俺が22歳で(上田)夏海が23歳か。
──その年齢で憂歌団が好きって、だいぶ早熟ですよね。
上田 : 同い年で憂歌団の話ができる人と出会えて、すごく嬉しかったです。
──その後、萩本さんの高校の後輩だった渡辺さんが加入。で、2015年に本格的にバンドが始動して。
萩本 : そうですね。
──Layneに入る前、渡辺さんは別のバンドをやっていたそうですね。
渡辺 : ジャズ・ファンクのバンドをやっていたんですけど、活動休止になっちゃって。そのタイミングで誘ってもらいました。
──初ライヴは東高円寺UFOクラブ10月17日に行われた〈ROMANCE〉。
渡辺 : そうですね!
──で、そこからコンスタントにライヴ活動を始めて。早い段階から各方面で評価されてましたよね。
萩本 : 周りのリアクションは良かったですね。自主盤をリリースしたら、いろんなイベンターの人からも注目してもらえて。モッズ系のイベントをやっている人たちや、ライヴハウスにきたお客さんからもいいねって言ってもらいました。
──去年の4月にはShibuya Milkywayで〈ユース的全肯定〉に出演して。
萩本 : GOING UNDER GROUNDとか(古舘)佑太郎くんとやったイベントですね。
──〈Youth Records〉主催のイベントに、どうしてLayneがいるんだろうと思ってました。
萩本 : 〈Youth Records〉の庄司(信也)さんと出会った時期っていうのが、初ライヴをやった3ヶ月後くらい。2016年1月に高円寺のグリーンアップルっていうロック喫茶で〈Here Come the Nice〉ってイベントに出ている時に来てくれて。すぐに「契約しよう」って話なったんですよ。でも、ベースが抜けてメンバーが固まってなかったり、色んな事情で延ばしてもらって。その渦中でイベント(〈ユース的全肯定〉)に呼んでもらいました。
上田 : お話をもらったのは早かったんですけど。正式に所属するまでが長かったですね。
──庄司さんとはじめて会った時の印象ってどうでした?
萩本 : あの日は、女の人がワンピースを着て、男の人はモッズ・スーツを着てるようなゴリゴリのモッズ系イベントで。
上田 : だいぶニッチなイベントだったよね。
萩本 : そんななか、ジャージのセットアップにハチ巻きの人がいるな、と思って。「誰なんだ、あの人は!?」って(笑)。
上田 : イベントを間違えてきたのかなって思いました。
庄司信也(〈Youth Records〉)(以下、庄司) : あははは、思いっきりヒップホップの格好だったよね。
萩本 : まんま今日と同じ服装(笑)。そこで声をかけてもらって、お話をしました。
──〈Youth Records〉の存在は知ってました?
萩本 : 実は知らなかったんですよ。andymoriも知らなくて。
上田 : 庄司さんに会って、はじめて事務所の存在を知りました。
庄司 : 何回か飲み行ったよね。
萩本 : あれが大きかったですね。そこでディスカッションをして、「ここでやりたいな」と思いました。他のレーベルからも声がかかっていたんですけど、しっくりこなくて。〈Youth Records〉だったらバンドのイメージとも合うし、何よりも話しててウマが合ったので是非入りたい、って。
ザ・コレクターズが大好きで、15歳の頃からずっと憧れてました
──今年の8月、〈Youth Records〉に所属することを発表。10月には原元さんが加入して現在の4人になりましたね。
原元由紀(Ba. / Vo.)(以下、原元) : 僕は別のバンドをやっていたんですけど、Layneがベーシストを募集しているのを聞いて、すぐにやりたいと思いました。もともと萩本とは高校からの付き合いで、昔から彼のファンでもあったんですよ。
萩本 : 知り合いなのに「初めまして」みたいな感じでメンバー募集にメールくれたんです。で、そのあとに飲みに行って。
──加入する前はLayneに対して、どんな印象でした?
原元 : 良い曲を書くなと思ったけど、これは絶対にウケないだろうって(笑)。おっさん好みなところはあるから。
上田 : それは大いに認める。
萩本 : そうやって客観的に見れる人が入ったのは大きいですね。バンド自体の間口も広がったし。
──Layneの公式ツイッターでは、メンバー募集をしてた当時の用紙を掲載してますよね。
文中に出てくるメンバー募集用紙
該当のツイートはこちらから
萩本 : そんなところまでチェックしてもらって(笑)。
──募集条件に「ザ・ビートルズ、オアシス、ザ・フーが好きなこと」って書いてるのを見て、このバンドにブリティッシュな要素は欠かせないんだと思いました。
萩本 : そうですね。
──あと、スタイルが良いことも条件でしたよね。音だけじゃなくて、見え方にもこだわりがあるのはモッズらしいと思いました。Layneにとって理想のバンドっていますか。
萩本 : ザ・ビートルズ、オアシス、ザ・フーもそうですけど…… 特にザ・コレクターズが大好きで、15歳の頃からずっと憧れてました。
──そんな年頃からモッズに傾倒していたんですか。
萩本 : 13歳ぐらいの頃は邦楽を聴いていたんですけど、いつの間にかロカビリーが好きになってて。「ロカビリーでメシ食っていきたいわ」って思ってたんです。
──(笑)。
萩本 : だけど、俺は髪質が細くてリーゼントはできないんですよ。これじゃあロカビリーで食っていけないと思って、そこで出会ったのがザ・ビートルズ。「この髪型なら俺でもイケる!」って。
上田 : ロカビリーの話ははじめて聞いたわ。
萩本 : 卒業文集でエルヴィス・プレスリーについて書いてたぐらい、ゴリゴリのロカビリー・キッズだったんですよ。それで行き着いたのがザ・ビートルズでしたね。あとは15歳の頃に『さらば青春の光』を友達の家で観たのも、モッズにハマったきっかけですね。「これからどうしていく……」っていうラスト・シーンが忘れられなくて。
──それがモッズの原体験なんですね。
萩本 : ただ、あの映画の世界観をマネするんじゃなくて、モッズ・カルチャーを活かして新しいことがしたいって思ったんです。で、「日本語でモッズをやっている人って誰だろう?」って探して、ザ・コレクターズに出会いました。
──他のメンバーも昔からモッズが好きだったんですか?
原元 : 僕は他の3人に比べたら全然で、ターゲット・マークも知らなかったし。割と広く浅く聴いてきました。
渡辺 : 僕は(萩本の)高校時代の後輩なので、いろいろと教えてもらってましたね。
上田 : モッズというよりもブラック・カルチャー寄りですね。ファンクとかソウルも聴いてましたけど、特に好きなのはブルース。
──憂歌団がまさにそうですよね。
上田 : はい。ドラムなのに好きなのは1920年代のブルースっていう。
コレクターズもエレファントカシマシ、スピッツ、Theピーズもやっぱり本物だなって
──ところで、Layneのことを調べていたらすでに音楽サイトに取り上げられていたり、やついさんがオススメしていたり。結成してすぐに注目された要因ってなんだと思いますか?
萩本 : みんな「懐かしさを感じる」とか「焦燥感がある」って言ってくれます。60'sを感じつつも、演奏や容姿は新しい要素を盛り込んでいるのがもしかしたら魅力なのかなって。あとはシンプルに曲が良いんじゃないかと(笑)。
──曲が良いっていうのは間違いないですよね。1曲目の「ステイウィズミー」から「おおっ!」って驚く人は多いと思います。
原元 : あの曲ってキーがCなんですね。誰もが馴染みのあるドレミファソラシドの音階の羅列で、あんなにキャッチーなメロがあったのかって衝撃を受けました。
──なるほど。
原元 : 誰でも弾けるコードなのに、新しいメロディが乗ってるって良いですよね。
上田 : 歌詞が良いなと思ってて。たとえば、傷ついたりとか、何かを失った人がそれでも前に進まきゃいけない時に、萩本の言葉がめちゃめちゃ染みるんですよ。それってブルースとかゴスペル好きの人間としては響くんです。そこが1番の良いところだと思います。
萩本 : コレクターズの「夢見る君と僕」って曲は博物館の恐竜のことを歌っているらしくて。作詞に関しては、ああいうほどよい不適切さ、曖昧さに影響を受けました。
──楽曲について、どんなことをイメージしながらつくってますか?
萩本 : 生まれたのが神奈川県の藤沢なんですけど、あそこの海岸沿いだったり、浜辺とか。地方都市なので、そういう風景が曲にも出てるかなって。
──てっきり『さらば青春』とか『アメリカン・グラフティ』のような世界観を意識してると思ってました。
萩本 : どちらも大好きなんですけど、日本にいるとパーティって馴染みがないじゃないですか。タウンホール・パーティとかハウス・パーティとか。だから、それに対しての憧れがにじみ出ているのはあるかもしれないです。体験した風景が曲になってるんじゃなくて、「いいなぁ」って思ってたら出ちゃったみたいな。
──「憧れがにじみ出ている」っていうのは、すごくしっくりきました。ちなみに今後はどんなバンドになりたいですか?
萩本 : この間、ザ・コレクターズがデビュー30周年で武道館公演をやったじゃないですか。そんな風にバンドを長く続けることって難しいと思うんですよ。だから、Layneを何十年もやっていくことが理想かな。
上田 : もうちょっと続けていれば売れたかもしれないのに、いろんな事情で解散したバンドって多いんですよね。この年になると、続けなきゃ意味ないなって思います。
萩本 : いまはシーンの移り変わりが早く感じてて。そんな中で唯一無二な存在として、ずっと聴いてもらえるようなバンドになりたいです。ザ・コレクターズもエレファントカシマシ、スピッツ、Theピーズもやっぱり本物だなって思いますね。
──最後に訊かせてください。萩本さんは15歳でモッズ・カルチャーに出会って、いまも憧れ続けているわけじゃないですか。どうしてそこまで好きになったんですか?
萩本 : 小さい頃から「俺は何でもできるぜ」とか「俺は人とは違うんだ」と思ってたんですよね。モッズってそういう人の集まりじゃないですか。その気持ちとアティテュードがシンクロして、好きになりました。
──パンクは違うんですか?
萩本 : パンクを好きになる前にモッズにハマったのが大きいですね。あと、モヒカンにはできなかったので……。
上田 : そこなんだ(笑)。
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RECOMMEND
2 / VIRGIN
Layneと同じく〈Youth Records〉所属「2」の初アルバム。初期衝動的でありながらストーリーテリングな古舘佑太郎(vo./gt.)の歌と、それを彩る、加藤綾太(Gt.)、yucco(dr.)、赤坂真之介(ba.)が織りなすキレ味抜群のオルタナティヴかつ疾走感満載のサウンドは、聴いたものの心にストレートに突き刺さる!
こちらも〈Youth Records〉所属のGOING UNDER GROUND、最新アルバム。青春を終え、懐かしい風景ではなく、いまのバンドの音を鳴らした彼らの“いまの音”が詰まっています! 夏が終わったこの時期にこそ聴いてほしいアルバムです。
LIVE SCHEDULE
myeahns presents〜〈脳内ヒットメイツ 2017秋〉
2017年11月23日(木)@下北沢SHELTER
出演 : Layne / myeahns / The Songbards
〈HOW TO GO〉
2017年11月26日(日)@Shibuya O-nest
BANDS : Layne / Helsinki Lambda Club / SEBASTIAN X / she said / キイチビール&ザ・ホーリーティッツ
DJ : やまのは(余命百年)
〈lights out lounge room〉
BANDS : Layne / スーパーアイラブユー
DJ : カタさん / yuyanakamula / 伊香賀守 / yusk / けーぱん / minisky
VJ : 大内イッソウ
〈NEXT BATTER'S CIRCLE 〜いきなりセーフティバント編〜〉
2017年12月9日(土)@梅田シャングリラ
出演 : Layne / GOODWARP / 林青空 / sui sui duck / The Songbards
〈ロマネ "VOYAGER" Release Party〉
2017年12月14日(木)@下北沢DaisyBar
出演 : Layne / ロマネ / 34 / RAT / ROKI
Tobali×clothing club×JACKSON kaki共同企画〈pounding〉
2017年12月21日(木)@渋谷LUSH
出演 : Layne / Tobali / the shes gone / しんきろうのまち
PROFILE
Layne(レイン)
2014年某月 彼らの地元である藤沢市のライヴハウスで知り合った萩本あつしと上田夏海が意気投合。バンド結成の約束をする。
2015年5月 渡辺岳と前任のベーシストが加わり、Layne結成。ライヴ活動は一切行わず楽曲制作に勤しむ。
2015年9月 高円寺UFO CLUBにて初ライヴ。
2015年10月 都内のライヴハウスやハードコアなモッド・パーティーを中心にライブ活動を行う。駆動感を宿した楽曲の良さが一部のメディア、DJたちに注目され、同時期に自主制作 demo EP盤を都内外のレコード店で販売し、好評を得て完売。
2016年4月 ベーシスト脱退。幾つかのメンバー・チェンジを経て、原元由紀が2016年9月に加入。
2017年5月 インディーズ・レーベル〈Youth Records〉と契約。
2017年9月 7inch Single「ステイウィズミー / リーガルエイジティーンエイジャー」をリリース。
2017年11月 1stアルバム『Be The One』をリリース。
Layne 公式HP : http://www.layne.jp/
Layne 公式ツイッター : https://twitter.com/layne_radio