未来へバトンタッチ、最後は笑ってバイバイ!──ゆるめるモ!、けちょん&しふぉん卒業公演を独占ハイレゾ配信
“ガールズニューウェーブグループ”ゆるめるモ!が、2021年10月10日に〈Zepp DiverCity TOKYO〉で行ったライヴの模様がMCを除く全曲ノーカット、ハイレゾにて独占配信開始! これまでもOTOTOYでは節目節目のライヴで彼女たちのライヴの模様を音源として配信してきましたが、今回は活動初期からグループを支え続けたメンバーであるけちょんとしふぉんの卒業公演をお届けします。ライヴ音源とあわせて、当日を記録したライヴ・レポートと写真も掲載! この卒業公演を経て、グループは新体制での初ツアーを無事に終了。新体制での新曲もリリースし、今後も新たなツアーを控えたこれからの“新生”ゆるめるモ!にも更なる期待です!
けちょん、しふぉんのラスト・ライヴを独占配信!
LIVE REPORT : DELIVERY LIFESAVERS TOUR 〜ゆるめるモ!を止めないで〜 2021.10.10 Zepp DiverCity
文 : 真貝聡
写真 : 曽我美芽
2021年10月10日、ゆるめるモ!が〈DELIVERY LIFESAVERS TOUR~ゆるめるモ!を止めないで~〉の前半戦ファイナル公演を〈Zepp DiverCity TOKYO〉で開催した。また、この公演を最後に長年グループを支えてきたけちょんとしふぉんが卒業するということで、メンバーやファンにとっても忘れられない1日となった。開演時間になり“ゆるトロ (slo-モ!)”が流れると、初めてお披露目するパジャマ風衣装に身を包んだメンバーが登場。47都道府県の名称を歌い上げる、まさにツアーに持ってこいの“極東47の街”。プロデューサーの田家大知氏いわく、結成当初から掲げていた「世の中を常に驚かせていきたい!」というスローガンを言語化したという“サプライザー!”。2019年にリリースした楽曲でありながら、〈叫べ叫べ 叫べない場所で〉のフレーズがいま、観客の心を代弁しているかのような“WOW WOW WAR 〜スカ・チャンポン斉唱戦線〜”。奇跡、驚き、感嘆、魔法、不思議、芸術的爆発という意味を“ワンダー”に込めた“令和ワンダー”では〈形が変わっても続けさせてくぜ〉というフレーズに、7人体制となったゆるめるモ!のいまを感じられた。このように冒頭から観客の体温を高めつつ、グループの概念を象徴するような楽曲を披露していった。
1回目のMCでは、しふぉんが「7人でZeppに立つのは初めてだよね?」と、なにに話を振ると「そうです。7人でZeppに立つのは初めてで……最後なんです」と喜びと寂しさを交えて答えた。今年4月に加入した新メンバーのまつりは客席を指さして「去年は向こうで観てたんですよ。だから不思議な感じ」と話すと、しふぉんが「ウチとチェキを撮りにきたよね!」と言って、数分間のトークにそれぞれのドラマを知れた。「こうやってZeppで、大きいステージでライヴが出来るのは、けちょんとしふぉんは最後だし、5人は今日が通過点ですから」としふぉんが言った後に披露したのは“DELIVERY LIFESAVERS 〜ゆるめるモ!を止めないで〜”。曲の終盤でけちょんが〈Don’t stop ゆるめるモ! Don’t stop ゆるめるモ! ゆるめるモ!を止めないで〉と喉から絞り出すように歌ったとき、ニコ生でリアルタイム配信を観ていた視聴者から涙を訴えるコメントが連発した。さらにファンの心を濡らしたのは“さよなら世界”。これが7人で歌う最後のステージであることを、改めて実感しつつ抗えない現実を受け止められない気持ちになる。9曲目“ガチャガキ”を歌唱した後、スクリーンには“洗うんだワールド”のロングバージョンに合わせて、本ツアーのダイジェスト映像がで流れた。プツッと映像が切れると、突然サイレンの音が流れて「みんな! 助けにきたぞー!」としふぉんが叫び、新しい衣装に着替えた7人が登場。
中盤戦は“緊急避難速報”で幕を開けた。“NEW WAVE STAR”で観客も一緒になって踊り、陽の熱気が高まったところに“Youとピアザ”でさらにタオルやサイリウムを振り回してメンバーと一体感を築く場内。その後の“ミュージック 3、4分で終わっちまうよね”で、しふぉんが「大したことできもしなかったのに、10年間なんでアイドルやってきたんだよ!」と歌詞を変えると曲中に目を潤ませる、ねるんとなに。
再びMCになり、客席をバックに集合写真を撮ることに。なにが掛け声を任されて「ゆるめるモ! 最高〜!」といって1枚撮影すると、「掛け声を変えてもいいですか? しふぉけちょさん、辞めないでー!」に変更した。その後、しふぉんが「最後にしふぉけちょでも撮っていい?」と言って、他のメンバーはカメラマンの位置に移動し、しふぉんとけちょんがステージのセンターに座った。しふぉんが「掛け声は『しふぉけっちょー!』にする?」と言ってアハハハ!と笑う、けちょん。「ダサっ!本当に9年やってきたんか!」と話す何気ない1コマも、ファンには沁みるものがあった。撮影が終わると、再びマイクを握ったしふぉん。「いままでの曲たちは、けちょしふぉは最後だったけど、5人はこれからも歌っていくわけで。5人に向けてもだし、ファンの方に向けても大事な曲をここに持ってきました。病めるとき健やかなるとき、自分でいてくれて本当にありがとう。みんないままでありがとうございました。聞いてください、私へ」。さらにファンにとっては感涙の楽曲が続く。“私の話、これでおしまい”で〈目の前の階段 上りきったつもり ここから雲のような 何かに変わる予感〉としふぉんとけちょんが繋ぐと、今度は7人で〈でも あとちょっと ここに居てもいいなら この時間 私にください〉とユニゾン。7年前に生まれた楽曲が、まるでこの日のために作られたように感じられた。
膨れ上がったフラストレーションというの名の風船を破裂するかの如く、衝動を剥き出しにしたのが“Only You”。しふぉんが叫ぶ「全部全部全部破壊して5人で作り上げてく今日の場を、みんなで共有できることがうれしいです! クラップを聞かせてくれぇ! 声出せなくてもウチらは楽しめるってことを知ってるよ! ゆるめるモ!はそういう場だよ!」。すかさず、けちょんも「もっと手ェ叩けよぉ!」とシャウト。畳みかけるように再びしふぉんが「明日のことなんて考えるんじゃねえよ! 一切考えるな! 高く跳べ!」と声を飛ばした。曲が終わりを迎えるとき、しふぉんが目をキラキラさせながら笑顔を浮かべた。「いままでありがとう。これからは5人がうちらの作ってきた道を引き継いで続けてくれるからさ、一緒に作り上げていってくれよ。最後のお願い、ゆるめるモ!をよろしく!」と言って深々とお辞儀をした。その後、19曲目“(除菌99.9)で、また会おう”を歌い上げて本編が終了し、メンバーは袖へとはけた。
すぐに客席からアンコールが起こり、再びメンバーがステージに登場。まずはけちょんが口を開く。「話したいこといっぱいがあったんだけど……あったんだけど……あったんだけどさ」と言って堪えきれずに俯いた。「泣く予定でもなかったんだけどさ、本当に。最後まで笑って終わりたいなと思ってて。本当に9年間、ゆるめるモ!のけちょんとして活動させてくれて、本当にありがとうございました。色んな人と出会えて、会いたくても会えない人もたくさんいてさ。それでも、ずっと応援し続けてくれたみんながいたからさ。今日もこうやってステージに立つことが出来てて。本当逃げ出したいこともたくさんあったけど……」。彼女の目から光るものが溢れていた。「本当にゆるめるモ!が唯一の居場所だったんだよね。挫けそうなときは、いつもしふぉんちゃんが隣で笑わせてくれてね。新しいメンバーも入ってきてくれて。初めはすごい不安だったんだけど、いつの間にかさ、こんな成長しちゃってさ。…ママは嬉しいよ、本当。これから5人のゆるめるモ!が、すごく楽しみだなと思えるようになっててさ。続いていくゆるめるモ!をみんな宜しく頼むよ。9年間、一瞬でも同じ時間を過ごしてくれて、同じ景色を見れて生きれて、私はとっても幸せでした。そして今日もとっても楽しかったです。私のことを嫌いな人がいても、私はすごく好きだよ。いままで本当にお世話になりました。ありがとうございました!」とファンやメンバーに感謝を伝えた。
一方、しふぉんの第一声は「寂しいね…。」だった。「気付いたら自分の人生のすごく大事な時期をゆるめるモ!に捧げて…とは思ってないんだけど、ゆるめるモ!と一緒に過ごしてきたので、本当に大事なものです。Zeppでワンマンをするのがずっと夢だったから、毎年毎年、何回も何回もZeppでワンマンができるアーティストになれたことを誇りに思います。夢もたくさん叶えました。みんなが一緒に歩んでくれたから、叶えることができた夢です。けちょんもずっと一緒に頑張ってきてくれて、ありがとうね。自分たちが作り上げてきたものが形になったときに、やっていて良かったなと思いますし、みなさんは本当に優しくて愛のある人だから。(客席を見て)いまも泣いてくれてたりとか、もしかしたら私のことを嫌いな人がいるかもしれないけど、しっかり話を聞いてくれて、頷いてくれて、本当に優しい人たちだなと思います。私はゆるめるモ!にいたことを誇りに思っていますし、いままでいたメンバーたちが辞めるたびにとても寂しかった。それでも続けて来れたのは、ゆるめるモ!の曲が自分を救ってくれたのがあるから、今度はみんなのことを救いたいと心から思っていたからです。元々アイドルに向いてなかったのに、アイドルにしてくれたのはみんなです。で、5人はこれからも私たちが大事にしてきたものを作っていってくれます。一旦7人は終わりだし、過去のゆるめるモ!に囚われなくて良いから、5人のゆるめるモ!を大事に作っていってください。必ずできます。今日はバトンタッチの日、見届けてくれて本当に本当にありがとうございました。幸せでした」と伝えた。そして、「ゆるめるモ!がずっと大事にしてきた曲です」というけちょんの紹介でアンコール1発目は“逃げろ!!”。その後、“さよならばかちゃん”“あ!世界は広いすごい”を歌唱してアンコール3曲を歌い上げた。
しかし、ここで観客の興奮が消化されるはずもなく、再びアンコールが起こり、ステージに現れたメンバー。なにが「ちょっと皆さんに観てもらいたいものがあります」と言ってスクリーンに5人のサプライズ映像が投影された。そこには聖地巡礼と称して、新メンバー4人がゆるめるモ!にまつわる土地を巡る内容だった。けちょんがスカウトをされた秋葉原の路上、ゆるめるモ!が結成した場所である渋谷、しふぉんがゆるめるモ!の面接を受けた青山、初めてワンマン・ライヴを行なった阿佐ヶ谷ロフトAなど……次々に思い出の場所を巡っていく。そして最後に行き着いたのは、日本武道館だった。「けちょんさんと、しふぉんさんが叶えたかった武道館に立つ夢を引き継いで、絶対に叶えます」と頼もしい宣言。その様子を見ながら、涙を流すけちょんとしふぉん。映像が終わると花束を持って、後輩5人は先輩2人に別れの言葉を送った。
へそは「7人では終わりだけど、『終わり。(まる)』ではなくて『、(点)』で、そこから明日からまた始まるから、会場にいる皆さんもこれからもずっと見続けてくれると嬉しいなと思います。みんな、ゆるめるモ!の曲に救われてきた人ばっかりだと思うから、これからもその曲を届け続けたいと思うから、応援してほしいと思います。自分は色々とご迷惑をおかけしたと思うんですけど、一緒に活動できて幸せでした」。まつりは「次のゆるめるモ!を作っていくメンバーだと分かってしっかりライヴします。ライヴを観に来て、成長した姿を見てください」。めありは「私は加入して5ヶ月くらいなんですけど、その短期間で成長させてくれたしふぉんさんとけちょんさんに感謝しています。大切にされていたゆるめるモ!を残せるように、私たちが頑張っていきますので、ずっと見守っていてください」。なには「初期からのメンバーがいなくなったらゆるめるモ!じゃないじゃん。とか言われるのが、私すごい嫌で…すっごく嫌なんですよ。だってゆるめるモ!が好きで、みんなに歌を届けたくて、信念をなくしたくなくて、がんばって音楽をみんなに届けてるのに、なんでそういうこと言うのかなって思ったりするんです。もう、そんなこと言うやつが誰ひとりいなくなるくらい、5人がマジで新しいゆるめるモ!を作っていくって私は覚悟したんで。もうゆるめるモ!じゃないって言わないでください。ゆるめるモ!として見てください。気持ちは変わらないので!伝えたい想いとか、伝えたい歌とか、みんなを救いたい気持ちとか私たちは変わらないので。ライヴでそれを感じ取ってほしいと思います」。ここで話題はしふぉんとけちょんになり「私は本当にお二人が大好きでして。ここまで続けてきて、バトンを私たちにパスしてくれてありがとうございます。渡してくれたバトンを絶対に離さないように、私たちが卒業することになっても次の世代にバトンを渡せるようにしますし、武道館に立つ夢も絶対に叶えたいと思いますので、暇があったらライヴに来てください」。ねるんは「性格的に扱いづらかったと思うんですけど、仲間に入れてくれて嬉しかったです。これを機に、離れてしまう方もいるという話を聞いたりするんですけど、今後のゆるめるモ!も、まだまだ私自身も、全然これからの人なので。いまを見て決めるとかではなく、また来たいなって思わせるようなグループになれるよう、偉大なおふたりが抜けても加速するようにがんばるので、みんなまた来てください」。
5人の涙混じりのメッセージを受け取ったしふぉんは「あとは頼んだ! とても期待してます。5人なら大丈夫。残り数曲やらしてもらって、けちょしふぉは終わりです。5人はもっともっといいライヴやれるように、とてもとても期待してます」と返すと、ねるんは「頑張ります」と力強く答えた。そして、7人は腕を高く上げて“逃げない!!”を歌った。別れ惜しさに涙で歌えなくなる、ねるんの姿に観客も涙腺をノックされる。そして多幸感に包まれた“Refresh Your Jewellery Box”のあと、本当のラストを飾ったのは“なつ おん ぶる ー”。ビーチボールや浮き輪を持ち込んで、さらに高揚感を増長した。縦横無尽にステージ上を動き回り、7匹のイルカは大喝采の波を自由に泳ぐ。さよならだけが人生だ。それなら最後は笑ってバイバイしようぜ。そんなグッドエンドを見せつけられた2時間50分のステージは有終の美で幕を閉じた。