「Balloon at dawnでできる表現をすべて出せた」──3部作、そしてバンドの最終作『Tide』をハイレゾ配信
海外のインディ・ポップ、シンセ・ポップ、ドリーム・ポップに影響を受け、美しく白昼夢の中にいるようなシンセ・サウンドを鳴らす3人組、Balloon at dawn。これまで3部作の第1弾として『Inside a dream』(2015年)、第2弾として『Our finder』(2016年)をリリースしてきた彼ら。ついに3部作の最終部としてキャリア初のフル・アルバム『Tide』をリリースする。また、今作リリースをもって、バンド活動を完結させる。3年の月日をかけて完成させた3部作の最終部、そしてBalloon at dawnという名のバンドとして最後のリリースとなる今作は、どのような作品になったのか。これまでの活動を振り返りながら、フロントマンの井口聖也に話を聞いた。
バンドとしての集大成! 3部作の最終部をハイレゾで!
【配信形態】レーベル Dead Funny Records 発売日 2018/08/01
01. 02. 03. 04. 05. 06. 07. 08. 09. 10. 11. 12. 13.
※ 曲番をクリックすると試聴できます。
ALAC、FLAC、WAV(24bit/96kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 324円(税込) / アルバム 2,160円(税込)
【まとめ購入特典】
「あたらしい海」シングル・エディット
【配信ページ】
https://ototoy.jp/_/default/p/114679
このタイミングで3部作の第1部、第2部も配信開始!!
INTERVIEW : 井口聖也(Balloon at dawn)
関西を拠点に活動するインディ・ポップ・バンド、Balloon at dawn。彼らは8月1日にリリースする1stアルバム『Tide』をもって活動を完結させる。正直、これからのバンドだと思っていた。結成して早くから〈MINAMI WHEEL〉や〈RO69JACK〉に出演して、業界からの評価も高かった彼ら、それが何故? OTOTOYでは最初で最後となるBalloon at dawnの井口聖也のインタヴュー。彼が「バンドでできる表現をすべて出せた」と話している通り、『Tide』はこれまでにない最高傑作となった。──果たして、彼らが描きたかった作品とは何なのか? 結成から現在までを探る。
インタヴュー&文 : 真貝聡
すごく自然な感じで幕を閉じることにしました
──今作でバンド活動を完結させるということですが、どういう経緯で決まったんですか?
理由はふたつあって。単純にメンバー3人が学生じゃなくなった、ということもあり、モラトリアムの中で自由に動き回れる時間が終わってしまった。それぞれ違う分野にロマンを見出したことです。そして、3年前の『Inside a dream』、2年前の『Our finder』、今回の『Tide』を3部作という構成をしておりまして、それが完結したからバンドも終わる…… そんなものすごく自然な感じで幕を閉じることにしました。
──OTOTOYでBalloon at dawnにインタヴューするのは最初で最後になります。そこで結成当初から現在までを振り返りつつ、解散を決意させた3部作とは何なのかをお聞きできたらと思います。
おぉ…… ありがとうございます。
──結成は2013年。どうやってバンドが生まれたんですか?
高校生の時に組んでいたバンドがありまして。ちょくちょくライヴハウスには出ていたんですけど、本当に遊びの延長でオリジナル曲を作ってました。僕ともうひとりヴォーカルがいて、それが初期メンバーのせきだという男。彼がコミックソング的な曲を歌って、僕が真面目な曲を歌うバンドでした。それが解散して、その一部のバンド・メンバーと「もう1回バンドをやろうか」と。それが大学1年の春です。
──活動のペースはどうでした?
週1回、家に集まって曲を作る感じでした。ライヴは年に2回くらいですかね。めちゃくちゃマイペースだったと思います。
──少ない! 結成当初はそこまで積極的に動いていたわけじゃないんですね。
それも遊びの延長って感じでした。
──2014年に1st demo EP 『Teen』をリリースしました。
ネットでは200円で販売していて、ライヴに来てくれた人だけ無料配布しました。曲もできてきたので、バンドを知ってもらうツールとして。
──その頃、ライヴハウスでの認知はどうでした?
ネットでは反応ありましたね。ただ、大阪の土地柄もあってライヴハウス・シーンではまだまだ……。For Tracy Hydeって東京のバンドの方が僕らをツイートしてくれて、そこから徐々に知られるようなった印象があります。
──その年は〈MINAMI WHEEL2014〉に出演、ロッキンオン主催コンテスト『RO69JACK2014』に入賞するなど飛躍の年になりましたね。
こんなに聴いてくれるんや、と驚きました。友達の家で集まって作った音楽が、いつの間にか多くの人に取り上げられて。正直、ライヴの実績に実力が追いついていなくて地に足が付いてない感覚でした。
──当時、作っていた曲を振り返るとどうですか?
高校から曲を作るようになって、その流れで作っていた感じですね。中学・高校生時代は、くるり、Base Ball Bear、SUPERCAR、フジファブリック、Letting Up Despite Great Faultsが好きで聴いていて。特にBase Ball Bearの小出さんが書く詞には影響を受けていたと思います。
結局、僕は僕として書いていたんだなって
──2015年に1stミニ・アルバム『Inside a dream』がリリースされました。いま考えるとどんな作品でしょう。
シングル曲を集めたEPではなく、1枚絵として作ろうという思いがあって。この頃からコンセプトありきで、作品を作るようになりました。
──この作品に収録されている「七月」はSpotify JAPAN公式プレイリスト『Tokyo Rising』 に選出されました。
やたら海外の人が聴いてくださったみたいで、その反響にビックリしました。
──この時のバンドはどんな状況でしたか?
マニュピュレーターを担当しているメンバーがいて。夏頃にそのメンバーが辞めることが決まったんです。2人で曲やアレンジを考えていたので、かなり悩みの年ではありました。バンドはじめての危機というか、ターニングポイントですね。
──2016年に2ndミニ・アルバム『Our finder』をリリース。鹿野淳さんがラジオ番組で「三月」を取り上げて、より名前が広まりましたね。
これがはじめての全国流通盤で、当初は「ベスト盤としてリリースするのはどうか」という話だったんですけど、レーベルが僕らの意向を尊重してくれてミニ・アルバムという形で出すことができました。それで『Inside a dream』の続きを書いた方がおもしろいな、ということで手をつけはじめて。そしたら自然と3部作で終わるストーリーが見えてきたんです。バンドの終わりということではなく、作品の終わりとして着想していきました。
──じゃあ、『Our finder』を作っている時は、3部作にはするけどバンドを解散しようとは思ってなかった?
ぜんぜん思ってなかったです。ようやく地に足をつけて、自分の書きたい曲を書けるようになった感覚ですね。特に「Our blue」を書けたことで、音楽じゃないと詞が活きないような曲を書けたんです。音楽的なフックと日本語詩の両立。その手応えが大きかった。当時は三部でバンドを解散にしようとは考えてなかったです。
──それから2年後。満を持して8月1日にリリースされる『Tide』で3部作が完結します。改めて、一部からどんなストーリーなのか教えていただけますか。
『Inside a dream』が昔の回想だったり、追憶ですね。当時は10代だったので現在地点としての青春という感覚でした。『Our finder』が回想を抜けた、夢から覚めた現実。より差し迫った逃避主義と現実。そして『Tide』が現実でもなく、回想でもない場所という流れです。
──現実でもなく、回想でもない場所?
「並行世界」、つまり「パラレルワールド」のことです。3部作を並べてみて、Balloon at dawnは“時間”がテーマになっていたんだな、と思いました。実際に活動してきた時間軸と曲に出てくる登場人物たちの時間が実際に進んでいて、次に向かう場所はどこなのかを『Tide』で描けていると思います。
──僕は作品をお聴きして、井口さんの人生を歌っている気がしたんですよ。たとえば「Byyourside」の〈大切とは思えなくなるのかな / 僕は今でも減ったものもない〉という歌詞は、バンドを解散することを言及しているようで。
うれしいです。僕は知らない誰かに投影して曲を書いたり、自分じゃない物の目線になって書くことがあるんです。だけど、結局は自分でしかないことに気づいて。僕は3部作で虚構を描いていたんですけど……虚構として描いていたはずが制作やライヴ、MV撮影を通して手元に何かが残る感覚で…… 結局、僕は僕として書いていたんだなって。
──何者かになろうと遠くにある光を目指して。そこに到達した時、その光の正体は自分だった、という。
まさに、そういうイメージでアルバムは構成してますね。「結局、ここにあったんや」って感じです。だけどいままで歩んだ道がなければ、たどり着けなくて。3部作を通して、“いま、ここにいる自分”を肯定したかったのかもしれないです。
──そういう意味でも今作が1番リアリティを感じました。
たしかにそうかもしれないですね。今回の作品は曲名を見てもらうと、前半が英語タイトルで後半が日本語タイトルになっていて、前半がこれまで描かなかった都市やパラレルワールドのことを歌っていて、後半がこれまで作ってきた僕らの詞世界のこととして構成しています。これらがクロスオーバーしたり離れ離れになったりすることで物語ができると思って作ったんです。東京へレコーディングに行って感じたことを書いた曲もあって。確かにいままでで1番、現実味のある作品になったと思います。
曖昧こそを愛してほしくて作りました
──改めて『Tide』はどんな作品でしょうか。
全体を通して言えるのが、余白とか意味を愛してほしいなと思います。センシティヴで、わかりにくいかもしれないですけど、曖昧こそを愛してほしいと思って作りました。そもそも、なぜ「並行世界」をテーマにしたのかというと…… 去年ツアーをしたんですけど、そこで出会った町の人々や土着性にふれたことが大きくて。あとは、札幌へ行った時に大阪では桜が散っていたのに、向こうでは咲いてすらないことを知って。「同じ日本なのに、こんなにも違うんだ」って。そこから詞が生まれた感じですね。
──アルバムを通して「この曲が出来たのは大きかった」と思う曲はなんでしょう。
MVにもなっている「あたらしい海」という曲ができて、バンドとしての完結を色濃く意識しました。あとは「紗幕と鉄塔」も大きかったですね。あれが書けて「やっと到達したな」と思いました。学生演劇をテーマにしていて、アルバムの曲を作中作として登場させたり、「脚本を書くこと」自体が虚構を描いた僕自身の視点と重なったりして、曲の終わり方の演出も含め現実と虚構を行ったり来たりする表現ができました。
この曲は自分で書いている感覚じゃない時がありました。気付いたら「ありがとう」という言葉を使おうとしてて我に帰りました(笑)。その時に「やっぱり普遍的な言葉は強いんだな」と。小学生の時に覚えた言葉に行き着くんやな、という感覚がありました。
──いままでいろんな手法で曲を書いてきて、行き着いた先は普遍的な言葉だった。
それがわかったタイミングで、やっと辿り着いた気持ちになりました。
──なんか、1番良い時期にバンドが終わるんですね……。
そうなんです。僕もベストができたと思ってます。
──リスナーとしては「なんで終わっちゃうんだよ!」という気持ちもあって。
アハハハハ、ありがとうございます。ホンマにね、Balloon at dawnでできる表現をすべて出せたと思います。だから悔いは全くないです。「バンドが良い時期に終わる」と言っていただいた言葉の通りだと思うんです。突っ走ろうと思ったわけじゃなくて、気付いたらここにいた。川が海へ流れるような、それぐらい自然なことなんです。…… なんか最近「Balloon at dawnを組んでなかったらいま頃どうなってたんやろう?」と思うんですよね。ある意味、バンドによって人格形成をされた気がします。
──5年前にバンドを組んだ時、自分にとってそこまで大きい存在になると思ってました?
全く思ってないですね。大学生活を楽しんでるつもりやったんですけど、うまくいかず。結果、音楽を作り続けていました。
──解散を決断した時、メンバーはどんな反応でした?
最初は驚いてましたけどレコーディングが終わって、アルバムを聴いた時に「これは自然なことなんやな」と納得してましたね。
──これからはどんな活動をされる予定ですか?
60歳ぐらいまで詞と曲は書き続けたくて。そのための準備というか、人間らしく、長期的に続ける準備という感じですかね。あとは楽曲提供をする夢があるので、それを叶えたいです。
──誰かのために曲を書くのは、フロントマンっぽくないですね。
ああ、そうなんですか(笑)。めちゃくちゃやりたいですよ。もともと曲を作る時は誰かに投影するタイプなので、自然な感じでできると思いますね。
──いま、井口さんはおいくつなんですか?
今年で24になります。
──井口さんにとって24歳はどんな年齢でしょう。
いま、まさに感じてることなんですけど…… 「何も考えずに楽しむ」ってすごいなと思うんです。僕は学生時代から斜に構えて、深読みするようなタイプだったんですけど、いまになると過去の自分に「もっと文化祭でダンスを踊ったり、体育祭で盛り上がったりしようよ」と言いたくなりますね。
──なるほど。素直に楽しむタイプではなかったんですか。
そうですね。言い換えるなら、健康的なマインドにならないといけないし、求められている気がする。それはクリエイターとしても、人としても。次の目標はそこですね。
『Tide』のご購入はこちらから
【配信形態】レーベル Dead Funny Records 発売日 2018/08/01
01. 02. 03. 04. 05. 06. 07. 08. 09. 10. 11. 12. 13.
※ 曲番をクリックすると試聴できます。
ALAC、FLAC、WAV(24bit/96kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 324円(税込) / アルバム 2,160円(税込)
【まとめ購入特典】
「あたらしい海」シングル・エディット
【配信ページ】
https://ototoy.jp/_/default/p/114679
LIVE SCHEDULE
Balloon at dawn × EASTOKLAB(ex.The Skateboard Kids) Split Tour 2018 “SYMPATHY”
2018年8月18日(土)@大阪・南堀江SOCORE FACTORY
時間 : OPEN 18:00 / START 18:30
出演 : Balloon at dawn / EASTOKLAB / polly / sayonarablue
チケット : 前売 ¥2,500 / 当日 ¥3,000 +1Drink
2018年8月25日(土)@名古屋・鶴舞K.D JAPON
時間 : OPEN 18:00 / START 18:30
出演 : Balloon at dawn / EASTOKLAB / ein fiance / スーベニア
チケット : 前売 ¥2,000 / 当日 ¥2,500 +1Drink
2018年9月8日(土)@東京・代々木Zher the ZOO
時間 : OPEN 18:00 / START 18:30
出演 : Balloon at dawn / EASTOKLAB / For Tracy Hyde / …… and more
チケット : 前売 ¥2,500 / 当日 ¥3,000 +1Drink
ワンマン・ライヴ〈Time and Tide〉
2018年10月6日(土)@東京・渋谷乙-kinoto-
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
チケット : 前売 ¥2,500
【詳しいライヴ情報はこちら】
http://balloonatdawn.tumblr.com/live
PROFILE
Balloon at dawn
海外ドリームポップ / シンセポップに影響を受けた淡くきらめいた音像
翳りのある歌詞とのコントラストと平行線
【公式HP】
http://balloonatdawn.tumblr.com
【公式ツイッター】
@Balloonatdawn