4人のアンサンブルで一貫性を追求──PARIS on the City!、新EP『れあもの』
心踊らされるキャッチーなメロディを奏でるPARIS on the City! がサードEP『れあもの』をリリース! 明神ナオ(Vo /Gt)の甘い歌声とともに、まさに思わず裸足で草原を駆け回りたくなるくらいウキウキとしたサウンドが鳴る“蝶の顔”など、今作も「パリスらしさ」全開。さらにこだわりが詰まったサウンドも前作よりもパワーアップ。昨年12月に開催された渋谷 CLUB QUATTROでのワンマン・ライヴを経て完成された今作『れあもの』は、どのようなテーマで作られ、どのようなメッセージを持って作られたのか、じっくりと掘り下げたインタヴューをお楽しみください。
PARIS on the City!のサードEP『れあもの』
INTERVIEW : PARIS on the City!
最高にキャッチーなメロディとクセのある歌詞、音楽フリークも唸らせる演奏力で、結成3年ながら着実に人気を獲得しているPARIS on the City! 。サードEP『れあもの』は、2019年12月に渋谷 CLUB QUATTROでワンマン・ライヴを成功させ、クラウドファンディングプロジェクトは目標の350%以上を達成するなど、充実したバンドの勢いがそのまま詰め込まれた作品だ。そんな折、今作を届けるべく計画されていた初の全国ツアーは今般の情勢で残念ながら予定通りに開催できなくなってしまった。音楽好きの4人が奏でるポップ・ロックは、現在の鬱屈した世の中の状況下でリスナーにどう聴かれるのだろう。ジャンルや志向、歌詞の表現方法は多種多様だとしても、世に出る音楽には必ず社会との接点があるはずだ。そんな中での“PARIS on the City! らしさ とは ”? いまどんな思いで活動のときを待っているのか、流麗な川の流れの中にキラリと光る砂金のようなメッセージを探して、メンバー4人に話を訊いてみた。
インタヴュー&文 : 岡本貴之
写真 : 黒羽政士
お客さんのパワーが詰まった作品だと思います。
──現在ライヴが行えない状況になってしまっているわけですけど、メンバーのみなさんは、いまどんな気持ちで過ごしていますか?
明神ナオ(Vo.Gt):去年の12月に渋谷クアトロでワンマン・ライヴがあって年明け1月からレコーディングに入って、これから新しいPARIS on the City! を世に広めるためにという流れで全国ツアーも組んで、そんなときに世の中がこういう状況になってしまったので。むずかしい状況ですけど、やっぱり自分たちのバンドを知ってほしいという気持ちは消えていないので、どうやって広めていけるかなって思ってます。ただ、みんなが前向きにバンドを知ろうとしてくれるような状況なのかさえもちょっとわからないというのも正直ありますね。
──こればかりはしょうがないですもんね。そんな中で、バンドがいまできることを考えているということですね。メンバーで集まって話したりはしているんですか。
明神:バンドで集まって、何ができるかというミーティングをしたり。ネットで盛り上げて行こうということで動画撮影をしたりしています。
小林ファンキ風格(Gt.Cho):ツアーに向けてみんなで作品を作っていたので、それがなくなってしまったことに対して、それ以上のリカバリーってどう考えてもできなくて。ツアーがなくなった分を取り戻すという気持ちよりは、とにかくなにかしらやっていたいというところがあります。それがライヴ活動じゃなくても動画配信とか、「なんとか活動を維持して頑張ってるんだな」という姿を見せられば、既存のお客さんたちにはそれがひとつの安心に繋がるというか、元気になってくれたりするのかなって。それと、これをきっかけに新しいコンテンツが自分たちの中で生まれて、新型コロナウイルスが収束した後に武器になるかもしれないと、ポジティヴに解釈していくしかないという気持ちです。
──新作の制作自体は、今年の頭から順調に進んだんですか?
小林:年末に渋谷 CLUB QUATTROでワンマンをやったんですけど、ライヴを準備して行く中で、曲がどんどん出来ていて。それを、3月にツアーを回りたいという目標のもと、1ヶ月で録りきるという強硬スケジュールで(笑)。「本当にいけるのか!?」っていう感じはありました。今回、既存曲1曲と新曲6曲の7曲なんですけど、既存曲のうち4曲は2019年内に出来ていて、ワンマンでもやっていて。残りの3曲は1月になった時点でデモだけの状態で、レコーディング1週間前まで構成が決まっていなかったんです。本当に追い詰められていたんですけど、なんとかいろんな人の力も借りて完成しました。
田中裕一(Ba.Cho):『れあもの』には、一昨年の年末のO-WESTのワンマン・ライヴで、「寧ろ最低だった恋のストーリー」というテーマのエピソードを募集して、それを題材とすることを掲げた上で作った2曲が入ってるんです(“喜びに憧れて”と“春の夜”)。そこも含めて、お客さんとのコミュニケーションを取りながら作った感じです。なおかつ、その後にクラウドファンディングでお客さんとPARIS on the City! で一丸となってチームを作って何か目標を達成するということを第一に2019年後半は活動してきて、クアトロでのワンマンがあっていまに至っていて、それが全部詰まったのが、今回の『れあもの』です。そういうこともあって、音としては自分たちが出したい音を出しているんですけど、お客さんのパワーが詰まった作品だと思います。それをツアーでお客さんに伝えたいという意気込みでやってきたので、ちょっと出鼻をくじかれた感じで(苦笑)。でも、そのパワーが詰まった作品をどうにかして伝えたいという気持ちでやってます。
全部が全部、正解を求めて音にしているわけではない
──阿久津さんは今日、先行配信曲“めぐるちゃん”のジャケ写が使われた服を着てますけど、バンドをアピールしようという気持ちで?
阿久津信也(Dr.Cho):いや、服を買ってないだけです(笑)。ツアーがあるので節約していかないといけないという気持ちで。
田中:わかるわかる。(阿久津は)ツアーで一番、バンドの経費を管理する係だったので、すごい気にかけてたよね? ライヴハウスに炊飯器を持って行って米を炊こうぐらいに考えてましたから。
小林:ライヴをやってる間にごはんが炊けて終わってから食べるっていう(笑)。それめちゃめちゃ新しいね。
阿久津:ツアーに出たら1週間近く家に帰れなくなるので、たぶんいろいろかかるだろうなって準備してたんです。そういう意味ではツアーがなくなってしまって残念ですけど、こればっかりはしょうがないので。すみません、話が逸れましたけど(笑)。
──いやいや、こちらこそ失礼しました(笑)。ただ、グッズを着るぐらい“めぐるちゃん”という曲に愛着があるのかなと思って。
阿久津:そうですね。(明神に向かって)でもなんか、作り方が変わったって言ってたよね? ブレがなくなったというか。これまで「売れるためには?」みたいなこととか、いろんな方向から楽曲を考えていたけどって。
明神:そうだね。いままでタイトルを結構意識していて。『お陰様で彼氏ができそうです。』とか、タイトルで印象が残るようなところを意識していたんですけど。
──たしかに、いちばん最初に“悪魔の遊歩道”(『この世で一番嫌いな君へ』収録)って見たときは印象に残りました。
明神:ああ、そうですよね(笑)。そこをあまり意識せずに、ありのまま自分がおもしろいと思う方向に素直に行けるような曲作りをするようになりました。いまはあんまり何も考えてないですね。歌詞を書くにしても、エグい物語をわかりやすく再現してたつもりなんですけど。今回の『れあもの』に関しては、そういう捉え方をされてもいいですし、いろんな捉え方をしてもらってもいいと思います。音楽そのものが、そういう捉えられ方でいいなと思っているので。あんまり、そういうインパクトは意識しないようにしていました。
──なるほど。毎回ちょっとひっかかる言葉が意識的に歌詞に入れられている気がしますけど、今回の収録曲からはあまりそれを感じなかったです。
田中:タイトルとかも、シンプルなものが多いという印象はありますね。(明神に)そういえば、個人的に聞こうと思っていたんだけど、“ビローバ”ってどういう意味か調べてもわからなくて。このタイトルはどういう意図でつけたの?
明神:いや、これは教えたくない。
一同:(笑)。
阿久津:植物じゃなかったっけ?
小林:この前、ラジオで同じ質問されて思いっきり喋ってたけど(笑)。
──教えてもらっていいですか(笑)。
明神:知り合いの家に行く途中の道にあるマンションの名前が「ビローバ」で。そのときたまたま、この曲のタイトルを何にしようか考えてたんです。曲と名前の印象が自分の中で感覚的にマッチしたんですよね。
小林:その着想ってすごいよね。
田中:うん、意味深にも捉えられるし。
明神:まあでも、これはあんまりちょっと言いたくないんだけど……。ちゃんと、植物の「二葉性」というところにもちょっと基づいているような内容で。ふたつの命があるという意味に近いのかな。
──“ビローバ”という歌詞に置き換えると、「疲れ果てながら生まれる2つの命」になりますね。
田中:ああ〜なるほど。たしかにそれだとしっくり来ますね。
小林:でも俺、そのマンション名から着想を得たっていう明神の感じがすごく好きで。明神と曲作りをするときによく出る会話が、「なんか怖い感じにして」とか、そういう抽象的な言葉で。それでふたりとも納得してウワモノが出来上がることがすごく多いんです。マンションの名前というのも、ちょっと曇っていて淀んだ空気の中にポツンとあるマンションの名前なのかなとか、いろいろ想像するところがあるので。言葉にできない着想がワードとして表れている部分が、彼の歌詞のカッコイイところ、好きなところですね。
──バンドの中でも、そういう疑問を思ったまま世に出ていたりするんですね。
田中:そういうことはありますね。全部が全部、正解を求めて音にしているわけではないですし、歌詞の意味ってたぶんメロディに乗るんですよね。それを聴いて3人が察しなければバンド感って生まれないと思うんです。ライヴでもレコーディングでも、それがわからないとズレが生じるんじゃないかと思います。
明神:歌詞の意味を教えたい反面、教えたくない気持ちもあって。それぞれの楽器のアウトプットで、そのアンサンブルをバンドで楽しむみたいなこともいいなと思いつつ、やっぱりひとつのステージからお客さんに届けるためには、4人が共有して1つの思いとしてぶつけた方がいいのかという気持ちもあるので、そこはすごくむずかしいところなんですけど。
田中:言葉に出して共有するっていうのは、なんか違う気がするんですよ。わざわざそれをみんなに毎回説明していくっていうのは、そもそも伝わっていないということだと思うから。
明神:うん、だから中間をとって、ざっくり教えるというか。
田中:わかるわかる、そうだよね(笑)。
明神:それを、それぞれの感覚でアウトプットしてもらうというスタンスを取ってます。
──“答えは言いたくないけど伝えたい”という気持ちがある?
明神:言葉にしてしまうと、軽くなるというか。本当に大事なことは知らなくていいこともあると思っていて。自分の固定概念だけをお客さんに届けてしまうよりは、自分の発した言葉で好きなように捉えてほしいという気持ちがあるので、そこを大事にしてしてます。
──歌詞、メロディ、楽器演奏があって、そこから聴く人それぞれに伝わるものがあるということですね。
明神:そうですね。
最終的に一貫した作品にしたいという漠然としたテーマはありました。
──一方で、いまの状況みたいなときに音楽で何が伝えられるのかってなったときに、たとえばエレファントカシマシが「さあ がんばろうぜ!」(“俺たちの明日”の歌詞より)ってこれ以上なくシンプルな言葉で歌うことで、ストレートに伝わるようなものもあると思うんです。そういうメッセージ性と自分の音楽というのは明神さんはどう考えていますか。
明神:自分の中では、結構、軽くていいなと思ってるんですよ。もちろん、熱いものも大好きなんですけど。僕ら4人の共通点として、なにも考えずに音楽を楽しめるような場所とか空気とかを大事にしているんです。なので、そういうところに関しては軽くていいと思ってるんです。ただ、メッセージはちゃんと歌詞の中にあるんですけどね。
──PARIS on the City!なりの表現方法で発信しているメッセージがあるということですね。それをリスナーにキャッチしてほしいという。
明神:そうですね。それに、メロディがいちばん最初に耳に入るものだと思うので、メロディを聴いてほしいです。シンプルだけど違和感のあるメロディというのを、コード進行も含めて気にかけて聴いてほしいと思ってます。インタヴューの度に言ってることかもしれないですけど(笑)。
──アレンジは、明神さんと小林さんがまずウワモノを作って方向性を決めているんですか?
小林:いや、そんなこともないですね。いったんみんなにデモが配られて、スタジオで4人「よーいドン」でやってます。ただ、やっぱりお客さんの耳に伝わりやすいのってウワモノの部分だし、自分のギターも名刺代わりの一発っていうつもりで弾いているので、そこはやっぱりいちばん最初の印象作りから入ってます。ドラムとベースに関しては、アンサンブルの中での「ここは8ビートが気持ちいいのか、16ビートがいいのか」というものがライヴを繰り返すことで形成されているっていう印象はありますね。
阿久津:リズム隊として、まだまだ発展途上な気はしているんですよ。ライヴって自分たちの生の演奏を聴くことって一生できないじゃないですか? もちろん録音して聴き返すんですけど、それは生の演奏じゃないわけだし、自分たちの演奏でまだまだ見えてないところもあるし、もっと良くなる部分もあると思っていて。それは今回のレコーディングからすごく感じていることですね。レコーディングはやり直しが効きますけどライヴはそうはいかないですし、そこの緊張感も含めて、まだまだやれるなっていうのがいまのモチベーションになっていて。発展途上だなっていう気持ちです。
──今回はこういうテーマの1枚にしようというのはあったんですか?
明神:「ワケわからなくしたい」っていうのはありました(笑)。1曲を通して、いろいろな表情があって、なおかつ最終的に一貫した作品にしたいという漠然としたテーマはありました。
小林:新作を作っていく中で、僕たちって「コンセプト・アルバムが作れないバンド」だなって感じていて。これは良い意味で言ってるんですけど、なにかを表現したいからこの作品を作るというよりは、明神がいま思ってること、やりたい音楽が、毎回その時期ごとに集まって、作品として完成されているんです。そこから半年、1年後に作品を出すとしたらまたぜんぜん違うことをやり出すだろうし、「今回はこういうテーマで作る」っていう型にはめすぎない感じが、この『れあもの』に出ていると、個人的に感じていました。ただ、一貫性というところで言うと、明神が0から生み出して作っているのは間違いないので、「ああ、パリスの音だな」って感じてもらえると思いますし、そこはすごく自信を持っています。
田中:今回の作品は、単純に4人で音を出す機会が増えたんです。家でアレンジを練る個々の作業もあったんですけど、それにも増して全体で出した音、自分以外の楽器の音を聴いて、「ああしよう、こうしよう」って考えるコミュニケーションを、前の作品よりも取れた作品なので、それがアレンジにつながっていたらうれしいですね。何よりもメロディを伝えるために、どうつなげていくか、1曲で物語性をどう出していくかもいろいろ考えてました。あとは限られたレコーディングの時間の中で上物の音色を小林君が考えていろいろと試したりした成果がすごく出ていると思います。そのときでしか出せない音を乗せられた作品だと思います。
──みなさんが自分の中で思う「パリスらしさ」とは、『れあもの』の中で言うと、どんなところなんですか?
小林:イントロのギターと明神の甘い声からはじまって、めちゃめちゃキャッチーというのは、ほぼ全部に共通するところだと思うので、僕からすると全部なんですけど(笑)。そういう意味では、“蝶の顔”なんかは、いままでにない試みで、いきなりサビからはじまるパターンなんですけど、中間で僕のギターソロが来るというのは、ほぼお決まりの型で。本当にどストレートな邦楽のロックっていうところを走ってる感じがしてすごく好きで、パリスらしさがある1曲ですね。
明神:良くも悪くもやりたいことだけを全部詰め込んだ作品になってるんですけど、『れあもの』って、僕らがいちばん最初に作って手売りしていた3曲入りのデモ音源の雰囲気に近いと思ってるんです。4人が会ってからはじめて一緒に演奏したライヴの雰囲気に戻ってるような印象があって。ここをひとつの原点として、今後は僕が作る曲だけじゃなくて、メンバーでセッションしてできる曲があってもいいと思うし、伝えたいことがもっとハッキリあるような曲があってもいいような気がしています。まずは、ここを原点としてやっていきたいというか、インディーズらしさがある作品だと思っています。
阿久津:これは目標的な意味にもなってくるんですけど、“これまでのこと”をいろんな人に届けられたら、すごく良いバンドになってるだろうなって思うんですよ。自分の中で、7曲の中で一番シンプルな作りで、それ故にメロディが入ってくる印象があって。それってすごいと思っていて。スピッツとかもそうなんですけど、名曲って言われる曲ってドラムでむずかしいことをやっていないんですよね。その、「何もやっていないようでいて緻密」っていうところが“これまでのこと”では音源としてできてるなと思ってます。
田中:らしさということで言うと、4曲目の“めぐるちゃん”です。これまでのPARIS on the City! が詰まっていて、そこから次のやりたいことにつながってる曲で。ベース単体で言うと、この曲だけ昔からPARIS on the City! で使っているオクターブ奏法で弾いているので、いままで通りのバンドらしさが出ている曲だと思うし、歌詞にもパンチのある単語やちょっと皮肉っぽいところは、PARIS on the City! らしさがあると思います。それ以外の曲というのは、自分の中では「あ、何か新しいことをしようとしてるな」って伝わればいいなと思っていて。個人的には違う雰囲気を出します。
──“喜びに憧れて”は、違うメンバーでやってるんじゃないかっていうぐらいサウンドの雰囲気が違うように聴こえたんですが。
明神:本当ですか? じつはこの曲がいちばん自分に近い曲だなって思ってます。歌謡曲が自分のルーツなんですけど、アコースティック・ギターを持ってはじめて曲作りをしたときの感覚に近いような作り方をしていて。そこにプラスしてバンドではロックを表現したいので、“喜びに憧れて”は自分らしさという意味ではいちばんしっくり来ている曲です。
──音が結構、ガレージロックっぽい荒っぽい感じですよね。
明神:そうですね、ゴリゴリな感じで。
──だけど間奏でいきなり様式美メタルっぽいギター・ソロが入っていて。
小林:これは意外と自分のルーツに近いですね。「ファンキ風格」とは名乗ってるんですけど、結局は8ビートのロックが好きなので。そこに対してバッキングとかイントロとか歪み感でそこのロック感は出しているんですけど、カッティングはタイトにやって間奏の3連符のところは遊んでみたり、すごく楽しかった曲ですね。
本当に、音楽をやりたいから集まってる感じなんです。
──4月1日からYouTubeで4回に渡って、メンバーそれぞれが影響を受けた曲を語る企画動画「PARIS RECORD」が公開されるとのことですが、こういう企画になったのはどうしてですか。
小林:さっきの話じゃないですけど、「パリスらしさってなんだろう?」というのは、結構訊かれることが多くて。それを自分の中でも、それをずっと問いかけるようにしていて、4人でも話したりしていたんです。結局は客観的に見たときに、本当に音楽が好きな4人が楽しそうにやっている、その姿が良いなって感じていて。それにひとつ気付かされたところがあったのが、あと、昨年クラウドファンディングを実施したときに、お客さんからもらったトークテーマに基づいて、1人1人の方に動画を撮って送ったんです。僕が動画の編集をしていたんですけど、そのときにメンバーのおもしろさを感じることがあって。こういう人たちが、さらに深みのある音楽をやっているということが届けられたらいいなと思ったし、僕たちをきっかけに新しい音楽の楽しみ方を知ってもらえたらと思って企画しました。あんまり深い意味はないんですけど、本当におもしろそうだからやってみようかなっていうのが一番の理由ですね。
──4回とも、単純にめちゃめちゃおもしろかったです。両端の小林さんと田中さんがしゃべって、真ん中にいる明神さんと阿久津さんがたまにしゃべる感じが良かった(笑)。
一同:ははははは(笑)。
小林:ぜんぜんしゃべらないんですよ(笑)。
田中:とくにあくっちゃん(阿久津)はなにもしゃべらなくて。ずっとマスコットキャラみたいに真ん中にいる(笑)。それでたまにポッとしゃべるっていう。
阿久津:出所は伺ってるんだよ、常に。ピンと来ないときには俺は言葉を発しない方がいいなと思って(笑)。
明神:4人共にワーッて喋っちゃうとね。
──普段のメンバーの感じがわかって、バンドが身近に感じられるんじゃないかなって思います。
小林:そうですよね。僕らってライヴのMCが苦手で、なにをしゃべってるかわからなくなっちゃうんですよ。だけど、普段話している会話は絶対おもしろいっていうもどかしさを感じていて。学校で言うと、クラスのちょっと暗めのやつらの中ではおもしろいのに、それをクラス全体の中で表現できないやつみたいな(笑)。それを、自分たちに最適なポジションを作って配信できればおもしろいんじゃないかなって。
──選曲に、4人それぞれの個性があってすごくおもしろいですね。
小林:普段、ツアーの移動中とかにはお互いが好きな音楽のことをすごくしゃべるんですけど、この4人で飲みに行ったり飯を食いにいったりすることってほとんどなくて。本当に、音楽をやりたいから集まってる感じなんです。でもこれをきっかけに、お互いどんな音楽を聴いているのかっていう話ができているというか。たぶん、これを踏まえて作る音楽ってまた違ってくるんじゃないかなっていうのも、楽しみですね。
──この動画を見れば、ライヴが再開されたときにより楽しめるという。
小林:それを踏まえた上で、ライヴとMCを聴いてほしいですね。
一同:ははははは(笑)。
田中:挑戦だね(笑)。
──最後に、今後について明神さんからひと言もらえますか。
明神:こんな状況ですけど、僕たちなりに伝えたいものはあるので、それを表現するためにはライヴをしないことにはっていう、もどかしい気持ちもあります。とにかく、一刻も早くライヴをしたいです。そのためにも、まずは楽しく健康に暮らしていけたらいいなと思っています。
編集 : 鈴木雄希、東原春菜
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PROFILE
PARIS on the City!
恋愛に対するコンプレックスから起こった出来事を、シンプル且つ大胆な歌詞と曲で繰り広げる4人組ロック・バンド。
作詞作曲を手掛ける明神ナオ(Vo / Gt)の、様々な角度から想像できてしまう棘のある歌詞に加え、60年代モータウンを主軸としたメンバーそれぞれの幅広い演奏力で、ジワジワと全国に知名度拡大中。
【公式HP】
https://parisonthecity.aremond.net/
【公式ツイッター】
https://twitter.com/PARIS_ontheCity