90年代に発表された2つのアルバムRadiohead『OK Computer』とPortishead『Dummy』。それぞれのバンドの代表作として、20年近くの時が経ったいまも音楽ファンに愛され、影響を与え続けている作品だ。森大地(kilk records / Aureole)、マモル(nhhmbase)、青木裕(downy)、照井順政(ハイスイノナサ)というこの日集まった4人も、“脳内再生”出来るほどにこのアルバムを聴き血肉化することで、表現者としてのアイデンティティの一部としているミュージシャンたちなのだろう。kilk recordsを主宰する森大地が旗振り役を務め完成したコンピレーション・アルバム『Helping Hand -Tribute To Radiohead-』と『Helping Hand -Tribute To Portishead-』について、その制作意図や発売に至るまでの過程を中心に対談をおこなった。
『Helping Hand -Tribute To Radiohead-』
2013年12月4日発売 ※1000枚限定
<Radiohead 『OK Computer』>
01. Airbag(Aureole)
02. Paranoid Android(hydrant house purport rife on sleepy)
03. Subterranean Homesick Alien(Marybelle)
04. Exit Music (For A Film)(青木裕)
05. Let Down(ハイスイノナサ)
06. Karma Police(Loof)
07. Fitter Happier(Meme)
08. Electioneering(camellia)
09. Climbing Up The Walls(Glaschelim)
10. No Surprises(number0)
11. Lucky(nemlino)
12. The Tourist(speaker gain teardrop + uka)
RADIOHEAD『OK Computer』 : 1997年リリース。ほぼすべての曲ではエレクトリック・ギターやピアノ / シンセサイザー、ベース、ドラム、ストリングスまたはそれらのサウンドの加工によって音像を構築しており、ラップ・トップやハード・ディスク・プリセットなどの本格的なコンピューター・サウンドは次作『Kid A』とは違い、一部を除いてほとんど使われていない。レディオヘッドの世界的な出世作となった。世界中で850万枚以上を売り上げ、現在も更新中。
『Helping Hand -Tribute To Portishead-』
2013年12月4日発売 ※1000枚限定
Portishead『Dummy』
01. Mysterons(miaou)
02. Sour Times(cellzcellar + 大野まどか)
03. Strangers(sundelay + 千代 "kottur")
04. It Could Be Sweet(matryoshka)
05. Wandering Star(COgeNdshE)
06. It's A Fire(Ferri)
07. Numb(urbansole)
08. Roads(araitasuku feat.Magdala)
09. Pedestal(monocism)
10. Biscuit(AJYSYTZ)
11. Glory Box(nhhmbase)
Portishead『Dummy』 : 1994年リリース。Massive Attack(マッシヴ・アタック)らと並んでTrip Hopの先駆けなどと呼ばれていたPortisheadの1stアルバム。独特の響きを生む低音とスローで重いビートに、はかなげなヴォーカルが絡み合い、幽玄ともいえる雰囲気を漂わせている。陰鬱なサウンドでありながら、評論家筋の評価も高く、セールス的にも大成功。
対談 : 森大地×マモル×青木裕×照井順政
進行 & 文 : 岡本貴之
写真 : 雨宮透貴
僕個人のターニング・ポイントになったアルバムなんで(森)
ーーまず森さんから、このアルバムが制作された経緯を教えて頂けますか?
森大地(Aureole / Magdala 以下・森) : はじめは僕が個人的に考えていたことで、バンドのファン層を増やすためにカヴァー曲をやろうかと考えてたんです。でもどうせなら自分達だけじゃなくて他のバンドにも参加してもらって発売しよう、という感じで2年くらい前から構想を始めました。みなさんに声を掛けたのがその頃ですよね?
青木裕(downy 以下・青木) : そうだね。僕downyと並行してやってたもん。
森 : 最初、僕のなかにリストを作ったんですよ。基準は、いわゆるいまの日本での売れ線とは異なる次元で良い音楽をやっていて、もっと評価されてもいいなと思うバンドで。洋楽ファンのなかには熱心には邦楽を掘り下げない人もいるので、もしかしたら邦楽の良いバンドを知ったら聴くんじゃないかと思いまして。僕もこの世界でやるまではあんまり邦楽を聴かなかったから、全然シーンを知らなくて。でもその時でもdownyは知っていて、好きだったので。 業界に入ってからnhhmbaseもハイスイノナサも聴いて、「ああ、こんな良いバンドがいるんだ」って思ったんです。それと同様にいまの洋楽ファンも(邦楽のバンドを)知ったら好きになる可能性もあるんじゃないかなと思ったので、僕基準でバンドのリストを作って声を掛けました。
ーー『OK Computer』は完全に森さんのチョイスですか?
森 : はい。僕個人のターニング・ポイントになったアルバムなんで、これはやっておきたいなと。もう一枚は、Massive Attackにしようかとか、全然違うNIRVANAにしようとか、とにかく名盤と呼ばれるものをやろうとしたんですけど。Portisheadはカヴァーしやすそうだし自分らしいかなと思って。
ーー最初に森さんからの連絡があった時はどう思いましたか?
青木 : おもしろそうだなって思いましたよ。と同時に、誰もが知る歴史的名盤なんで、敢えてメチャクチャにしてやろうかなと(笑)。
一同 : ははははは!
ーーマモルさんは最初にどう感じましたか?
マモル(nhhmbase) : そうですね。もう即レスな感じで(笑)。10代から20歳のころによく聴いていたアルバムなので、単純にやってみたかったですね。
ーー照井さんはいかがでしたか?
照井順政(ハイスイノナサ 以下・照井) : もちろんおもしろいなと思う反面、結構ビビりましたね。歴史的名盤なので「いいのかな?」みたいな(笑)。
森 : 僕もそうですし、オファーを受けた皆さんもそうだと思うんですけど、間違いなく批判が通常のアルバムより何倍もあることを覚悟してやらなきゃなと思ったんですよね。
照井 : でも森さんの意図もわかったし、批判があるのはわかった上で、あんまり表に立ってないインディーの良いバンドをフックアップしよう、みたいな気持ちもわかったし、そのために名盤を出すというのが意思表示としてわかったんで。まあ後は森さんとはずっと仲良くしていたので、それで受けました。
ーー森さん自身、発案者としてのプレッシャーは相当だったんじゃないですか?
森 : もちろん大変なのはわかってたんですけど、想定よりもさらに大変で。最初はグレーゾーンでもいっちゃおうかなとか思ったりもしたんですが、それだけだと、なにかあって回収になる可能性が全然ゼロじゃなくて。もちろん自分だけでやるなら良いんですけど、いろんなアーティストが入っているので、ちょっとまずいなと思いまして、それでお兄ちゃん(※青木のこと)に相談したんですよ。
青木 : 僕サイドからも相談に乗ってくれるような音楽関係の方を紹介したりとか、結構二人三脚でやってましたね。僕はアルバムのアートワークもやらせてもらったので、関わり具合は他のかたたちよりは深いところにいました。
ーー制作は各自に任せていたのでしょうか?
森 : そうですね。皆さんには当初の発売日に合わせて音源を作ってもらってました。そしたら自分のほうがそれに全然間に合わなくて。だからnhhmbaseなんて、特典のほうが先に出ちゃって。
マモル : 先にこのアルバムを出してもらって、特典で乗せようと思っていたんですけど、こっちの発売日が決まらなくて。特典の音源の方が先に出ちゃって。広告とかもそれで打ったほうがお互いプラスだと思ったんで。なんかこっちのほうが先に出ちゃって申し訳ないです(笑)。
森 : いえいえこちらこそすいません(笑)。
愛すべきバンドであるとともに、反面教師的な存在でもありました(青木)
ーーハイスイノナサの活動との兼ね合いはどうでしたか?
照井 : このアルバムの話を頂いた時に、僕らもアルバムの制作の渦中というか、忙しい時期で。基本的にバンドの曲は僕が書いているので、あんまり手が付けられないような感じだったんですよ。でもオファーは受けたいし。だから実際今回やった曲(「Let Down」)なんですが、僕は実はノータッチなんですよ。兄にやってくれって言って、ほとんどお願いしちゃって。僕は自分のバンドのことをしつつ、この作品は他のメンバーが、という感じでしたね。
ーー皆さんご自分のバンドと並行しながらも、森さんの意気に感じて音源を制作していたんですね。
森 : 実は、もう1つ理由があって。最初は震災救済コンピとして考えていて。僕が儲かるようにはしたくなくて、売り上げの全部を寄付しようと思ってたんです。それもあって皆さん参加してくださったのもあるんですけど。ただ正直にいうと、あくまできっかけは震災じゃなくて、先程お話したように、どうすればインディーズ業界をもっと盛り上げていけるか、という気持ちだったんです。でも儲けを出さないで、そのお金をなにに使うかといったら、やっぱり震災救済の為に役立てられたらなと思いまして。
青木 : うん。そこには反対は全くなかったです。ただ、押し売りみたいになるのは嫌だし、そういう言葉には気を遣ってしまいますけど。
森 : そんなわけで、『Helping Hand』という題名もそのまま残したんです。権利問題なんかの関係で“震災救済コンピ”とかっていう文字はジャケや帯に入れてはいけなかったので、こうなったんですけど。だから両方の“救済”の意味があるんです。インディー業界に対してもそうですし、震災もそうですし。
ーーオリジナルの2作品をリアルタイムで聴いていたかたはいますか?
森 : 僕は『OK Computer』は発売日に買いました。
青木 : 僕もリアルタイムですね。
マモル : 僕はちょっと遅れてですね。“今年売れた作品”的な感じで聴きました。Portisheadの『Dummy』もそのころ一緒に聴きました。
照井 : 僕も後追いですね。『OK Computer』は高校の頃聴いて、『Dummy』は20歳手前くらいの時に聴きました。
ーー今日お集まり頂いた皆さんはギター・プレイヤーですけど、『OK Computer』も『Dummy』もギターが前面に押し出された作品ではないですよね。ご自分のなかにこの2つのアルバムはどんな影響を与えていると思いますか?
青木 : 音楽的に言ったらアンサンブルですね。ギターだけではなく、全てのパートが構築することで曲を表現しているじゃないですか。そういう所は知らず知らずのうちに影響を受けているんだと思いますけど。それとRadioheadが作りあげたシーンや、そのエネルギーは凄く感じますよね。でも、実は食傷気味というか、リアルタイムで散々聴き込んだんで(笑)。だから、この話があったときも僕なりの解釈で原型を残さないアレンジをしてやろうかなという自分のなかの楽しみがありました。
ーー愛情の裏返しじゃないですけど(笑)。
青木 : まさにそうだと思いますよ。やっぱり時代を超えて愛されている作品なので。音楽シーンには常にこのアルバムがあるんですよね。当時はdownyのギターアプローチが彼らと比較されることもあって。気にしていなかったけど、何度か指摘されるとね(笑)。自分のの表現に対して、段々と面倒臭い存在になってくるんですよ(笑)。「あなたはこういう所にRadioheadの影響を受けてますね?」ってね。それに対して物凄い嫌悪感を抱き始めて。だから僕にとっては愛すべきバンドであるとともに、反面教師的な存在でもありました。目線を変えて、とにかく似てると言われないように模索しましたね(笑)。おかげで自分なりの演奏スタイルを見つけることができたとも言えますが。
森 : ファッション・パンクじゃないですけど、ファッション・Radioheadみたいなのがいたりしますもんね。
青木 : そうね。うんざりっていうか(笑)。“Radioheadっぽくて良い”とか言われても全然嬉しくなくて。
ーー愛憎入り混じった気持ちがあるというか(笑)。
青木 : はいはい、そうですね。
森 : そこは皆あると思います。“ポスト・ロックっぽい”とか言われると逆に嫌な気分になるというか。
青木 : “シューゲイザーっぽい”とかね。
「このフレーズを残せば両方の良さが残る」っていうのがわかった(マモル)
ーー今日の対談に臨むにあたって、“ポスト・ロック”っていう言葉はなるべく使わないようにと思ってました(笑)。
一同 : ははははは!
青木 : 逆に使っていいですよ(笑)。今回、皆さんのカヴァーの質が高いことで、かえってオリジナルが新鮮に思えましたね。聴き飽きたと感じていた楽曲ですが、単純に“良い曲だな”と思って。やっぱり支持される意味があるんだな、と再確認しました。
ーー森さんのAureoleは『OK Computer』一曲目の「Airbag」をカバーしていますが、これは先頭に立ってやろうという事で選んだんですか?
青木 : それ、誰も選ばなかったんじゃなかった?
森 : そう、結構人気あるかと思ったら、「Airbag」と「Paranoid Android」が人気無かったんですよ。
青木 : 「Airbag」のイントロのディストーション・ギターをもしそのままやっていたらちょっと叱ろうと思ってたんですけど(笑)。聴いたらさすがだな、と思いました。
森 : でも最初、「Airbag」はポジティブなバイブスみたいな感じで作ってたんですけど…。
青木 : あれ!? 俺の音源聴いてから変えなかった!?
森 : そうなんですよ! 一回飲んだ時に、(青木の音源を)「ちょっと途中だけど聴いてみる?」って言われて聴いたんですよ。それで「あ、マズイな…」って(笑)。
青木 : カンニングじゃん(笑)。
森 : カンニングしちゃったんですよ、僕。すいません(笑)。
一同 : ははははは!
森 : その時に、「Radioheadのメンバーが誰かしら聴くから、その辺まで想定しておいたほうが良いよ」って言われて。
青木 : 可能性がありますよ、というね。ないわけじゃないよと。
マモル : そうですよね。
森 : それを踏まえてRadioheadのメンバーとかファンが聴くとしたら、その時出来たバージョンは違うなと思って。全部ゼロからやり直したんですよ。
青木 : 聴かせてよ、それ。
森 : それは駄目です(笑)。せっかく叱られるのを回避したのに(笑)。
一同 : (笑)。
ーー森さんはAureoleの他に ”araitasuku feat. Magdala”としても参加(『Dummy』の「Roads」をカバー)していますね。
森 : 実は、Magdalaってこのアルバムへの参加を機に結成したんですよ。丁度この企画を始めようかなって時にハチスノイトに話を持ちかけたんですけど、その時は夢中夢は動いていないしソロだったんで、「誰か音を作ってくれる人がいたらやりたい」って言ってて。それで「ああ、じゃあ俺やってみるよ」みたいな感じで始めたんです。このアルバムではarai tasuku君というアーティストとやっていて、彼はミックスやマスタリングも出来るし、やってるうちに彼の色が強くなっていったんですけど。その作業過程もなかなかおもしろかったので、じゃあこの勢いでもう一曲やってみようか、という感じでそのままMagdala結成に至ったんですよ。
ーーMagdalaのアルバムはちょうど一年前、去年の12月5日にリリースされていますね。
森 : そうですね。だからそっちのほうがだいぶ早くリリースになっちゃったんですけどね(笑)。
ーー今日お集まり頂いたなかで唯一、nhhmbaseが『Dummy』の方に参加してますね。
マモル : nhhmbaseのアプローチって、もともと音数が少なくてループが多い感じなんですけど、Portisheadもループが多いんで。ただニュアンスとして、ヴォーカルが女性だしちょっと細い感じじゃないですか? そういう感じを出しつつ自分達の特徴も出せるかなっていう迷いは凄くありましたね。でもアレンジしていくうちに「このフレーズを残せば両方の良さが残る」っていうのがわかったんで。
ーー「Glory Box」はアルバムの最後の曲ですが、なにか意識することはありましたか?
マモル : 他のバンドさんとあまり違い過ぎるとマズイなとは思いました(笑)。nhhmbaseでは割とチープに作ることも多いので。チープでも、他のバンドさんと並べて聴いたときにスムーズに聴けるような音像で、とは思いました。
Radioheadって音楽だけじゃなく広く文化として尖っている(照井)
ーー照井さんはご自分ではタッチしていないということですが、ハイスイノナサがカヴァーした「Let Down」の制作過程を教えて頂けますか?
照井 : その当時に作っていた僕らのアルバムというのが、『動物の身体』っていうアルバムで。それは「情報社会の中での動物としての身体感覚」っていう感じのテーマだったんですけど、それってRadioheadが当時の時代感でやっていたことにつながる部分があると感じたので、いま自分達がやっている方向性でそのままやれば良いと思いました。それと、事情があってあまりスタジオを使えず、PC内で大部分を作らないといけなかった。それならば逆に、プラスチック的な人肌感のないものにしたいというのがありました。ある意味でのチープさを世界観として出すような感じでお願いします、とメンバーに言いました(笑)。さっきの話にもありましたけど、ギター・プレイヤーとしての影響は特にないんですけど、Radioheadって音楽だけじゃなく広く文化として尖っているというのが他と違ってるなと思っていて。僕がそれまで聴いていた人は音楽のなかだけで尖っているのが多かったんですど、それって結局いずれ閉じて行くな、と思ったんですよね。さっき森さんや青木さんの話に「にわかRadioheadみたいなのがいっぱい出てきた」という話がありましたけど、ある意味それは凄い開いているという意味でもあると思うんです。音楽のなかだけに閉じこもらない、にわかみたいなものも生み出してしまうような影響力は凄いなと思いますね。
ーージャケットのアートワークは青木さんがデザインしていらっしゃるということですが、これはなんという魚ですか?
青木 : これはベタっていう魚です。2つの作品を対にして描ければと思いまして。これは鉛筆で描いた原画をパソコンに取り込んで色を着けています。ヒレの部分をもっとボロボロにしてガイコツの手みたいにしたかったんですけど、ちょっと暗すぎるかなと思って、この辺にしといてやろうかなと(笑)。なんとなく、Portishead『Dummy』は青いジャケ、Radioheadは『アムニージアック』とかジャケに赤が使われるイメージがあったんで、その2色を生かせるものって魚かな、と。生命を描きつつも無機質なイメージを狙いました。
森 : 『Helping Hand』っていうタイトルと無機質なジャケットっていう逆な感じがね。
青木 : ミスマッチで良いよね。
ーー今後アルバムの参加バンドが集まるイベントなんかは考えていますか?
森 : そうですね~。僕はやりたいんですよ、イベントを。
青木 : 本当? 後付けじゃない(笑)?
照井 : あんまり考えてなくないですか(笑)?
森 : (笑)いやいや、本当に考えてましたよ!
青木 : じゃあやろうよ。
森 : 早速、このあと会場押さえときます(笑)。
ーーではそれぞれ最後にアルバムについてのメッセージを頂けますか?
照井 : 結構いまの若い音楽ファンの方は、実は本家の作品を割と聴いてないんじゃないかと思うんですよね。だからそういう人に興味を持ってもらえたら良いなと思いますね。あとはイベントをやりたいです。森さんお願いします(笑)。
森 : はい、じゃあ後で話しましょう(笑)。
マモル : イベントもやりたいですけど、今回1曲だけだったんで、他の曲も聴きたいですね。どんなアプローチになるのか、続編があれば(笑)。例えば青木さんが1枚Radioheadをやっているアルバムとか聴きたいです。あとRadioheadも機会があればやってみたいですね。
青木 : 森が「これをきっかけにインディーズ・シーンを知ってもらえれば」と言ったように、まさに僕はこのアルバムで皆さんの音を改めてちゃんと聴いたんですよね。僕も凄く楽しんで作ったし、実験音楽を好きなだけやらせてもらったんで。“Radioheadだから”とかあまり深い意味は感じずに、単純に楽しんで頂ければ。すごく良いアルバムだと思いますよ、2枚とも。
森 : 音楽の聴きかたの発見、だと思ってます。僕が学生の頃『OK Computer』を30回くらい聴いてやっと良さがわかったように、聴いてもらえればわかって貰える人もいっぱいいると思うので。僕はなにも「こういう音楽こそが最高なんだ」とは言わないし、いろんな音楽が好きなんですけど、こういう聴きかたでより音楽の感動とか楽しみかたがまたひとつ増えるんだなとか思って貰えれば嬉しいです。もとのアルバムや収録アーティストのファンのかたはもちろんなんですけど、邦楽のインディー・シーンを全然知らない人にも、1人でも多くの人に聴いて貰えれば大成功ですね。
参加バンドの音源をチェック!
Aureole / Reincarnation(HQD ver.)
Aureoleの通算3枚目となる最新アルバム『Reincarnation』。オルタナティヴ・ロック、エレクトロニカ、現代音楽、アンビエント、ダブステップ、ポスト・ロック、クラシックやシューゲイザーなど様々な要素を飲み込み、前作2作から、より進化を遂げたキャリア最高作。『Reincarnation』=再生、輪廻と題された今作では前世、現世、来世、生、死をテーマに、その先の希望に満ち溢れるアルバム。
ハイスイノナサ / 街について
静と動、光と陰という二面性に収まらない多様性を持ち、ストーリー性のある楽曲群で、浮遊感のある歌、ブレイク・ビーツを取り入れたオリジナリティーのあるサウンドは悲しい位に美しく、歌声、世界観、一音一音全てが心地よく、心に響く。ミニマリズムの快楽、マーズ・ヴォルタの熱量、コーネリアスの緻密さをあわせ持ち、ポスト・ロック、エレクトロニカ、歌モノの要素も昇華している。あらゆる音楽ファンに聴いてもらいたい一枚である。
nhhmbase / 3 1/2
問題作『波紋クロス』から約5年。拍点をずらし予想の斜め上を行く独特の数学的リズム解釈から生み出される唯一無二の絶妙の間と、転調を繰り返しながらもかろうじて調性を成す機能和声はさらに洗練され、nhhmbaseの構築の美学は新たな境地に達する。脱ポスト・ロック・シーンに布石を打つセカンド・フル・アルバム。
downy / 第五作品集『無題』
downy復活! 活動休止期間を経て9年ぶり待望のニュー・アルバム発売!! 張り詰めた緊張感が導く鋭利で硬質な響き。心象風景を喚起する革新性を内包した独自の音響は唯一無二。妥協を許さずに新しい歴史を刻み込んだ名盤の誕生。斬新なビート感を以って、フレキシブルにサウンド・スケープを描いて見せるエレクトロニクス・サウンドの構成力は圧巻です。
PROFILE
kilk records(森大地)
2010年、Aureoleの森大地により設立。「精神に溶け込む、人生を変えてしまうほどの音楽との出会い」。kilk recordsはそういった体験を皆様にお届けすることを第一に考えております。オルタナティヴ・ロック、ポスト・ロック、エレクトロニカ、テクノ、サイケデリック、プログレッシブ、フォーク、アヴァンギャルド、アンビエント、ヒップ・ホップ、ブレイクコア、インダストリアル、ジャズ、クラシカル、民族音楽…。魂を震わせるような音楽であれば、ジャンルは一切問いません。kilk recordsが最もこだわりたい点は「独創性」です。信じられないほどの感動や興奮は「独創性」から生まれるように思えます。これから多数の作品をリリースしていきます。末永くkilk recordsにお付き合いくだされば幸いです。
nhhmbase
2004年より都内を中心に活動を始める。問題作『波紋クロス』から約5年。拍点をずらし予想の斜め上を行く独特の数学的リズム解釈から生み出される唯一無二の絶妙の間と、転調を繰り返しながらもかろうじて調性を成す機能和声はさらに洗練され、nhhmbaseの構築の美学は新たな境地に達する。脱ポスト・ロック・シーンに布石を打つ大傑作を6月5日にリリース。各方面で拍が取れなくなる。
ハイスイノナサ
ミニマルやアンビエントを筆頭とした『現代音楽』などの、一見難しいイメージの音楽を、ポスト・ロックとエレクトロニカとポップスといったフィルターを通して、これらを全て人力で具現化させる、まさに打ち込みの様なテクニックを持つバンド。
downy
2000年4月結成。メンバーに映像担当が在籍するという、特異な形態をとる5人編成のロック・バンド。音楽と映像をセッションにより同期、融合させたライヴ・スタイルの先駆け的存在とされ、独創的、革新的な音響空間を創り上げ、視聴覚に訴えかけるライフを演出。ミュージック・ビデオの制作、プロデュースもメンバーが手掛け、世界最大級のデジタル・ フィルム・フェスティバルRESFESTに於いても高い評価を得る。日本に於けるポスト・ロックの走りともされている。