つるうちはなのエネルギーを君に──デビュー20周年を目前に迎えるメジャー・デビュー作『サルベージ』
15歳からライヴ活動をはじめ、いまではレーベル〈花とポップス〉代表、音楽作家、そして主婦といったさまざまなフィールドで活躍するシンガー・ソングライター、つるうちはな。デビュー20周年を目前に〈日本コロムビア〉からメジャー・デビュー! 酸いも甘いも知った彼女がメジャーのフィールドで表現したかったことは? 彼女の半生を振り返りながら、アルバム『サルベージ』を掘り下げていく。
メジャー・デビュー・アルバム『サルベージ』
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INTERVIEW : つるうちはな
「はじめまして、つるうちはなです! よろしくおねがいします!!」。インタヴューは、まるで新人アイドルのように、はつらつとしたつるうちの挨拶ではじまった。さすがレーベル〈花とポップス〉代表、めちゃめちゃ明るくて元気でポジティヴなパワーに満ちていて、向かい合うだけでなんだか楽しくなってくる。ふと、疑問に思う。こんなにエネルギーに溢れていて、ポップでキャッチーな曲を次々と生み出しているにも関わらず、なぜ20年のキャリアの中でメジャーの舞台に立つことがなかったのだろうか? 決してインディーズにこだわっていたわけではないらしいし、メジャー・デビューのチャンスもこれまで多々あったようだ。そこで「承認欲求」をキーワードに、これまで彼女が歩んできた道のりを紐解きながら、アルバム『サルベージ』を語ってもらった。できれば、普段より心持ちテンション高めに読んでほしい。彼女の言葉がより臨場感豊かに聴こえてきて、たっぷり勇気と元気がもらえると思う。
インタヴュー&文 : 岡本貴之
写真 : 鹿糠直紀
「やったるでぇ〜!!」っていう感じです
──20代の頃にメジャー・デビューをして、30代以降は自主レーベルで活動している、というアーティストはいまとても多いですが、つるうちさんはその逆を行っていて正直珍しいですよね。
はい、すごく珍しいんですよ、本当に(笑)。メジャー・デビューということ自体は、私は15、6歳の頃から「売れるぞー!」と思っていたので。そこから20年かかったな、と思ってます。
──そもそもが、メジャー志向だったわけですね。
めちゃめちゃ、メジャー志向です。16歳のときにソニーの「SDオーディション」に合格して、プレゼンをしたりレーベルを探したりということもあったんですけど、上手く行かなくて。その後も、ほぼほぼ全部のメジャーのレコード会社のオーディションを受けていて、5、6件くらい話はあったんですけど、全部ご縁が繋がらなくて。それで「もういい、自分でやるー!」ってはじめたのが、音楽レーベル〈花とポップス〉だったんです。そしたらまさかのこのタイミングで、自分がメジャー・デビューすることになって。びっくり仰天です。
──ご本人もびっくり仰天でしたか(笑)。
もうチャンスはないだろうなと思っていたので。でも音楽はもちろんやりたいし、食べても行きたかったから、気合いを入れてレーベルをやりはじめたんです。それと、同じように音楽の能力はあるけど、人とうまくやれないとか頑固だとか、プロモーションのやり方がわからないっていう才能のある女の子をいっぱい知っていたから、集めてチームにすれば何か変えられるんじゃないかなって思ったので。レーベルをはじめたことで何かが動きはじめたなっていう感じはしていたんですけど、結果的に私が出ることになったという感じです。
──売れたい! っていう気持ちから一歩引いたときにそうなったんですね。不思議なものですね。
そうなんですよ。私はひとつの物事に対してのエネルギーがすごいので、あんまり「うわ〜!」ってやってないときの方が上手く行くみたいで。「まあいいか、作家で食えるしな」という感じで結構楽しく落ち着いて活動させてもらっていたというか(笑)。夫婦仲も良いし、お金も稼げるし、曲を書いて褒められるし、「裏方最高―!」ってなっていたときだったので、この1年いろんな出会いがあった中で、「そうか、やるんだ。裏方気分じゃダメだな」って、もう1回自分が表舞台に立つためのスイッチを入れるのに時間がかかりました。その状態からいまは「楽しみ〜!!」ってワクワクしてます。プレッシャーもすごくあったんですけど、それも全部通り越して「やったるでぇ〜!!」っていう感じです。
──めちゃめちゃテンション高いですね(笑)。
このアルバムを作ったら、小学生のときの感覚に戻ったんですよ。ずっと1番が良くて目立ちたがりで、学級委員をやって、「エイエイオー!」みたいな。
──そんな小学生時代に歌を好きになって、将来歌手で生きていきたいって思うようになっていったんですか?
小学生の頃に、矢野顕子さんの影響を受けてすでに曲を作って弾き語りをはじめていたんです。もともと、小さい頃からクラシックピアノをゴリゴリに習っていたんですけど。矢野さんの音楽と出会って、こっちの方がやりたいなと思って。でもそれを商売にしたいとか、売れたいと思ったのは、中学のときに不登校になってからです。学校に行けなくなっちゃって。
──えっ、そうなんですか。
小学生のときに香港に住んでいたんですよ。その頃はのびのびしていたんですけど、帰国子女で中学で日本に帰ってきたときに、ものすごく居場所がなくて。ヤンキーの先輩だけ仲良くしてくれたんですけど(笑)。学校に行けなさ過ぎて、見るに見かねた親がこのままじゃダメになると思って転校させたぐらいで。そのときにはじめて、ハイ状態じゃない自分を知ったというか。
──ははははは(笑)。
「私って、こんな暗いところがあったんだ!?」って知って。その反動で、「見返してやるー!!」っていう反骨精神みたいな気持ちがはじめて生まれたのが、中学生の思春期以降ですね。
──ここ数年、「自分を変えたい」という理由で音楽活動をはじめる人がすごく多い気がするんですよ。つるうちさんはそういう気持ちもわかるという感じですか。
それは、ないです。もともと小さい頃から音楽が得意だったから、音楽をやった方がいいなとは思っていました。それをどういう風に世に出すか、どうしたらそれで人を幸せにできるのかなっていうことを考えたときに、たぶん“明るくて元気でパワーがある”だけだと、そんなに歌う内容ってないじゃないですか? 中学のときはそれの真逆だったので。その頃に、ようやく表現者としてその両極端の間に生まれる表現を知ったんです。それで「これはできるな、やりたいな」と思ってどんどん曲が書けて行って。
──そこから本格的に音楽活動がはじまったんですね。これまで、活動を辞めたことは1度もないわけですよね。
辞められなかったです。1回、声が出なくなったりもしたんですけど。20歳前後のときに、ジストニアになって、日常会話もできなくなっちゃって。でも病院に行っても原因がわからなくて、喋れないし歌えないし、家に引きこもっていたんです。そのときにどうしてもアルバムを作りたくて、MTRを買ってきて作ったのが1番最初の自主制作盤『ミクロコズム』なんです。声が出ないはずなんですけど、「さあ録るぞ!」ってなると、なんとか声が出るんですよね。「この発声ならいけるな」とか。そういう、声が出るか出ないかわからない博打みたいな状態でライヴをやっているうちに、治ってきたんです。いま思うと、「本当に音楽が好きなんだな、おまえ!」っていう感じですね。
──そういう音楽活動が進んで行くにつれて、つるうちさんの中から日本に帰ってきたばかりの小学生時代の自分はいなくなって行ったんでしょうか。
引きこもりはしなくなりました。恋愛もしたし、社会にも出たし。でもどこに行っても、人と喧嘩するのは変わらなかったですね。バイトをしていても、レコード会社の人と音楽の会話をしていても。
──でも、曲を聴くとすごく人間愛のある方だなって感じましたけど。ずっとラヴ&ピースな人だったのかと思いきや。
ははははは(笑)、いろいろあって、いまはマジでラヴ&ピースなんですけど。でもよくこういうアイラヴユーな感じになったよなあっていうぐらい、20代は泥まみれというか。むちゃくちゃでした。昔から、まわりの全員と仲良くしたかったんですよ。いろんな人に、パーンッと向き合って話をしてほしくて。でも、そこをヒュッとかわされると、ワーッと怒っちゃうみたいな感じでした。若かったし、私もバカだったから。女で若くてバカだから、フェアに接してもらえないこともあって。当時は、まわりがバカばっかりだと思ってました。「なんでこんなに話ができないんだろう?」って思ったし、「なんでこの人たちは自分の言葉で喋らないんだろう?」って。
それは学校に行けなくなったときから、同級生とか先生に対してもずっと思ってましたし、社会に出てからもずっと怒ってました。誰かが言った言葉とか、「こういうもんでしょ?」っていう言葉が、世の中の人の会話にあまりにも多すぎて。自分の心から出た言葉じゃないのになんでそんな言葉で喋るんだろう? って、怒り狂ってました、当時は。あはははは(笑)。
──SNSの時代に、そういう感じだと気が狂っちゃいそうですけど。それは大丈夫なんですか?
いや、SNSはつまらないものは見ていないので、ぜんぜん。むしろいまこうやってお喋りしているような回転速度で、ず〜っと頭の中で何かを考えて感じてるから、SNSは吐き出せるから助かるんですよ。ライヴだけだとぜんぜん追い付かないので。いまは自分の頭の中をどんどん発信できるから「楽しいな〜!」って言う感じ。
──SNSができるまでは、そういう発信したいエネルギーをどうしてたんですか? 発信したすぎてやり場がないような気がしますけど。
恋愛です、恋愛。もう、“血みどろの恋愛”ですよ。歌詞にもありますけど(“宇宙の神秘女の子”)。
「何も変えなくていい、そのままが1番良いんだから」って
──あれは実録の歌詞でしたか(笑)。そういえば、noteをいくつか拝読したんですけど、結婚について書かれている文章がとても興味深くて。ご主人と出会うまでは、まったく恋愛にも興味を失くしていたんですよね。どうしてそれまでに恋愛に懸けていたエネルギーを突然パタッと使わなくなっていたんですか?
もう、「恋愛の行き着く先は死しかない」と思っちゃって。突き詰めると、「一緒に死んでくれ〜!!」みたいな(笑)。
──ははははは! 本当に血みどろじゃないですか(笑)。
過激な人ばかり引き寄せちゃうから(笑)。「殺す!」「殺される〜!」みたいなのが続きすぎて、これは非生産的でダメだなと。「もうやめた、これで曲は書けない!」と思って。散々そういうので曲を書いたし。もういいや、と。
──恋愛もして、それを曲にして。自分が生きてることを全部音楽で表現してるんですね。ひとりでいるときのつるうちさんってどんな感じなんですか。
基本的にめちゃくちゃ暗いです。じっとしていて、ずっと何かを考えてます。
──ぼーっとしたりしないんですか。
私、ぼーっとするやり方がわからなくて。でも、結婚してはじめて、温泉旅行でぼーっとすることを覚えて。「ぼーっとするってすげえいいじゃん!!」って思いました。唯一、夫と温泉に行くと脳が弛緩するというか。唯一、それがぼーっとできますね。それまでも温泉に行ったことはありますけど、何にもおもしろくなかったんですよね。夫だからたぶん楽しいんだと思います。
──それだけ、結婚がものすごく大きな転機だったんですね。
もう、激変です。なんでかわからないんですけど、夫だけは、ムカつくことがあっても、「もうダメかも」と思っても、関係性をその先に繋げられたんですよ。「人間、いいところも悪いところもある」っていう当たり前のことを、夫を通して気付かせてもらえたというか。自分にとって都合の良いところだけ抽出しようとしていたから、人とうまくいかなかったんだっていうことに、夫と向き合うことで気付かせてもらったのが、大きかったですね。あとは、はじめて私に何の要求もしなかったのが、夫だったんです。「こうしろああしろ」とか、「俺はこういう女が好きだから」「こういう服が好きだから」とか言わない。
──なるほど。
あと、両親のことも超大好きで仲良いんですけど、親は親で子どもに対して「こうなってほしい」という期待もあるじゃないですか。 それをすごく敏感に察知して応えようとする性格なので、むちゃくちゃやってるようで、じつはすごく空気を読んでいるっていう状態が何十年も続いていたんです。それを夫が「もういいよ、そういうのしなくて」って、破壊してくれたんですよね。「あんたはそのままで良いんだから、好きにしなさい!」って、毎日毎日言い続けてくれたんです。それでいい感じに洗脳されたというか(笑)。
──全部、肯定してくれたんですね。
そうなんです。それで、「そんなに思いつめて、人に好かれるためにやらなくてもいいんだ」って思うようになっていって。そこに、今回の日本コロムビアさんが現れて、同じことを言われたんですよ。「何も変えなくていい、そのままが1番良いんだから」って、何も変えようとされなくて。そのダブルパンチがきて、このアルバムができたもんだから、(両手をバシっと叩いて)いま、絶好調なんですよね〜!!
──絶好調、伝わってます! なるほど、私生活のパートナーと音楽活動のパートナーが同時に肯定してくれたら、そりゃあ心強いですよね。
本当に、ありがたいです。
──さっきのnoteの文章の中で、「承認欲求を得たいとかじゃなくて、目の前の誰かのために歌いたいと思うようになった」という趣旨のことを書いていたのが印象的で。でも、そう思ったときに、メジャー・デビューっていう承認欲求が最大限に満たされる出来事が起こったのがすごくおもしろいなって。
そうなんですよ!! 承認欲求がなくなったときに、そういう話が来たんですよね。(しみじみと)そういうもんだよなぁ〜。人生って不思議。おもしろいですね!
──2曲目“おまじないを君に”のような曲って、まさに目の前のあなたに本気で伝えたいっていう気持ちがないと書けない曲だと思います。アルバムを通して、誰かに対して歌うというのはテーマとしてあったんですか。
このアルバムは、タイトルをつけた時点でその覚悟で、明確に“誰かを助けよう”という思いで作りました。誰かひとりでもいいから助けようって。私も、音楽でめちゃくちゃ人生を救われてきてるので。そのひとりの世界が変わるっていうのは、“音楽が世界を変えている”のと同意義だと思っているので、誰かの世界にあともう一歩何かが足りないとか、何かヒントが欲しいなって思っている人の、思考のヒントになる材料をどの曲にも詰めこんだ気はしています。
──歌っていることがこれまでとガラッと変わったというわけではないですよね。
基本的に変わっていないといえば変わっていないんですけど、いままではもっと「自分を知ってほしい」が先だった気がします。今回のアルバムの曲にはそれがまったくなくて。もう、私は自分を主張することに、興味がないんです。それよりも、自分を媒介にして、どれだけ人を幸せにできるのか、どれだけ人に与えられるのかっていうことにしか興味がないんですよ。だから「あげるー!! ドーンッ」っていう気持ちで作ったアルバムです。
──そういう心境になれたのって、結局自分自身が満たされたからなんでしょうか。
承認欲求って、承認されたからって満たされないんですよね。餓鬼というか、「もっとくれ」って、キリがないじゃないですか? そういう意味では、承認欲求が満たされたんじゃなくて、それ自体が無くなったんだと思います。でも、やっぱり〈花とポップス〉が大きいですね。1回裏方に回って、みんながやりたいことを実現しようと思って手伝っているうちに、良い意味で自分のことがどうでも良くなってきたので。
──いまの世の中には、承認欲求によって苦しんでいる人がいっぱいいると思います。
そうなんですよ。だから、“宇宙の神秘女の子”に〈プライド捨ててフライト〉っていう歌詞もあって。そこにしがみついている限りずっと苦しいから、プライドを捨てて自由になっちゃえよって。“新次元ガール”もそういう歌詞なんですけど、自分自身がその過程を通ってきて、圧倒的にいまの方が幸せだし、おもしろいし。誰かのためでも、誰かに認められるためでもなく、「自分を生きてる」という気がするから。
──「どうしたら、そんな風になれるんですか?」とか聞かれませんか?
若い女の子に、めっちゃめちゃいっぱい聞かれてます。そういうときは、「一生懸命生きてきたんだよ」って答えるしかないけど。「私も同じだったよ、大丈夫だよ10年経ったら変わるよ」って言ってます。ただ、具体的なアドバイスを求めれたときは、「人になんとかしてもらおうと思うな」「人のせいにするな」っていうふたつですね。これだけは自分のルールとして守ってきたので。どんなに地べたを這いつくばろうと、辛酸をなめようと、これは私が呼び起こした現実だって認めて人のせいにしてこなかったからこそ、たぶん私の成長を促してくれたんだと思ってるから。それだけやってればなんとかなるよ、って若い子にも言ってます。
──お話を聞いていると、次々とポンポン曲ができそうな印象なんですけど、この12曲というのは、生み出す上での苦労ってありました?
ないです(キッパリ)。もう、ポポポポポ〜〜ン! です。「できたできたー!」って。もう、ディレクターが「1回やめて〜!」って言うぐらい(笑)。
──常に頭の中に音が鳴ってるから、それをアウトプットするだけ?
そうです。だから作家仕事は超楽しいんですよ。もう打ち合わせしている間に曲が頭の中で出来るっていう感じです。コンセプトをもらって書くのも早いですけど、1番早くできるのは、私がベランダでちょっと一服とかしているときに、歌詞とメロディが浮かんできて、ピアノの前に座って弾いて、それで出来てます。“天国”や“おまじないを君に”は、最初に浮かんできたもので最後まで作ってます。
──〈天国が〜〉っていう歌い出しから、最後まで?
そうそう、あのイントロが出てきて。これはもう、無我の境地でした。最後転調するんですけど、「なんでいま転調したの? カッコイイ〜!」って。
──本当に天国から降りてきたような。曲作りに苦しむっていう経験がなさそうですね。
してないですね。曲を書くことが、私にとっての『サルベージ』なんですよ。全部自分の内部から出来ているものなので、引き揚げ作業なんです。人間の脳ってほんの何パーセントしか使ってないっていうじゃないですか? まさに2、3日前に夢の中でフルで3曲書いたんですよ。ただ、細かいところは覚えていないので、そのうちズルっと上がってくるからいいやって。そういう感じで、自分の中に眠っているものを日々生きている中で感じて、それが種になってどんどん生まれてくるものを、いかに苦しまずに救出するかっていう方が向いてるなって思ってます。まだまだここからぜんぜんいけるなって思います。
1曲でも、お役に立てればうれしいですね
──中盤の“tears for dear”、“天国”、“花”と続くところは、ミディアム・テンポだったり音数が少ないこともあって、つるうちさんの内面が垣間見える気がします。この曲はこの位置で聴いてほしいとか、アルバム全体の構成はどう考えていましたか。
結構悩んだんですけど、これはこの順番しかないなって。最終的に収まるところに収まったなという曲順で。おっしゃる通りで、6曲目〜8曲目が、私のコアな部分、深層部分というか。単純に言うと明るくない、沈んでるところなんですよね。ライヴとかもそうなんですけど、私はアッパーから1回落ちてまた上がるっていうのが好きなんですよ。それって私の人生の図式と同じで、ずっとそういうバイオリズムなので。だから、アルバム自体もそういう流れになってますよね。絶対これは通して聴いてもらった方がおもしろいと思います。ひとりの人生があるというか、赤ちゃんからおばあちゃんまでっていう気がしていて。このアルバムはこの流れで通して聴いてほしいです。ぜひ、全曲ダウンロードして聴いていただきたい(笑)。
──ラストの“やさしい魔神”はイマジンと魔神をかけている歌詞がイイですね。
これ、“やさしい魔神”っていうタイトルにしてくれたのは、シンガー・ソングライターのNakanoまるなんですよ。うちの旦那さんが、魔神ピッピっていう名前で音楽をやっているんです。だから最初、「やさしいイマジン」で新曲としてライヴでやったときにNakanoまるが「新曲、めっちゃ良かったです。あれ、旦那さんの歌ですよね?」って言ってきて。聞き間違いなんですけど、「それいいな!」って、使うことにしたんです。
──なんか、言いそうな気はしますね(笑)。
言いそうでしょ? あいつ、基本的に全部聞き間違えるので(笑)。でもナイス聞き間違いだなって。最後の曲で「イマジン」より「魔神」の方がつるうちはなっぽいし、旦那への感謝もあるし“やさしい魔神”にしました。
──旦那さんに歌っている?
いや、それだけじゃないです。魔神といったら怖い感じですけど、そういう人が本当に怖い人とか本当に悪い人なのかということに関して、あなた方はもう少しイマジンする必要があるんじゃないですか? って問いかける、結構意地悪な曲ですね。最後にモヤっと考えさせて終わらせようと思って。「サボらせないぞ、おまえらの脳みそを!」っていう気持ちはありますね、いつも(笑)。
──それはきっと、つるうちさんの脳みそがサボってないからですよね。
ははははは! サボり方がわからないんです。旦那と温泉に行くしかない(笑)。
──今日お話を伺って、よくわかりました。いまのつるうちさんにとって「歌う」ということは、自分を知ってほしいということじゃなくなったんですね。
そういう気持ちはぜんぜんないです。自分自身にエネルギー量が多いのは昔からわかっているので、いまはそれを、どれだけたくさんの人たちの人生に有効に使っていただけるかなって思ってます。私がすったもんだしながら生きてきて、私なりに消化して得たもの、いま私の中にあるディクショナリーを、「はいどうぞ、ご利用ください! 何かお役に立てればうれしいです!」という感じです。1曲でも、お役に立てればうれしいですね。よろしくおねがいします!!
編集 : 鈴木雄希、東原春菜
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つるうちはなが登場した過去の特集ページも要チェック
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LIVE SCHEDULE
つるうちはな×新宿マーブル企画「愛の反逆 2019」
2019年11月9日(土)@東京 新宿マーブル
時間 : open 11:45 / start 12:00
つるうちはな×まきちゃんぐ「はなのたねまき〜鈴のね2019〜」
2019年12月1日(日)@東京 桜新町 Neighbor
時間 : open 17:00 / start 18:00
2019年12月20日(金)@愛知 名古屋 SUNSETBLUE
時間 : open 18:30 / start 19:00
2019年12月21日(土)@岡山 城下公会堂
時間 : open 18:00 / start 18:30
2019年12月22日(日)@大阪 歌う魚
時間 : open 17:00 / start 17:30
つるうちはな「サルベージ」リリース記念ワンマン
2019年12月15日(日)@東京 新宿マーブル
時間 : open 18:00 / start 18:30
詳しいライヴ情報はこちらから
PROFILE
つるうちはな
1983年7月9日生まれ、東京&香港育ち、蟹座のO型。
"存在そのものが愛"と表現される、爆発的エネルギーを放つシンガー・ソングライター。
2006年にミニ・アルバム『メロディー』で全国デビューを果たし、以後、フル・アルバム『つるうちはな』ミニ・アルバム『DAY GIRL』シングル「あたしバカ」「あいゆうえにい」をリリース。
2011年には〈出れんの?!サマソニ?!〉より、異例の敗者復活枠から〈SUMMER SONIC2011〉に出演を果たす。
また、自身の活動に加え、各方面での楽曲制作(ATSUGI×最上もが「柄、じゃない?」「してみタイッ!」、カルビー堅あげポテト×ゆうこす「カタアゲ女子の幸福論」、森永乳業ピノ ストロベリームーン×里咲りさ「シンクロニシティ」、振袖の「オンディーヌ」TVCM、avandoned、 etc)・トータルプロデュース(Nakanoまる etc)・鍵盤サポート(シュノーケル、瞳みのる(ザ・タイガース)、etc)・CM歌唱(「家サイト」、丸永製菓「白くま」、京都銀行、haletto(ハレット)etc)など、幅広い音楽シーンにて活動中。特に楽曲提供に於いては、女性ならではの切り口と「切な可愛い」歌詞とメロディに定評がある。
2016年、“タフな乙女のアパートメント”をキャッチコピーに音楽レーベル〈花とポップス〉を立ちあげ、自身がプロデュースを手がける女性ミュージシャンたちと共に、新作『あいゆうえにい』を全国発売。8月〜11月にかけて〈花とポップス〉に10代〜30代の幅広い女性アーティストが多数参加&4ヶ月連続全国発売(計10タイトル)を果たし、11月にはつるうちはな4年ぶりとなるフル・アルバム『LOVE』をリリース。2018年2月に最新シングル「ぶっちぎって光」を発売。
2019年、満を持しての日本コロムビアよりメジャー・デビュー決定。デビューに先駆けて、2019年5月22日に“おまじないを君に”を配信リリース。2019年10月23日、メジャー・デビュー・アルバム『サルベージ』発売決定!
【つるうちはな 公式HP】
https://tsuruuchihana.hanatopops.com/
【つるうちはな ツイッター】
https://twitter.com/HanaTsuruuchi