【LIVE REPORT】あの日彼らは“大人”になった──Sentimental boys『Festival』ツアー・ファイナル

Sentimental boys

Sentimental boysが2018年8月にリリースした2ndフル・アルバム『Festival』のリリース・ツアー・ファイナルが、11月9日に下北沢BASEMENTBARにて開催された。この日の対バン相手は、Sentimental boysがリスペクトを送るロック・バンド、おとぎ話。先輩としてピュアでクールでキラキラしたライヴを見せつけたおとぎ話と、まるで映画のような情景を描き出し、じわじわと熱量を増していくSentimental boys。両者の魅力を存分に感じることができた、あの特別な夜の模様をお届けします。

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LIVE REPORT : Sentimental boys 2nd Full Album『Festival』Release Tour FINAL

文 : 真貝聡

ステージに立つ4人の男たちを照らす眩いスポットライト。それをじっと見つめる観客。〈そろそろね 時間なんです これで最後な気がするんです〉その歌はまるで、青春に別れを告げているようだった──。

堀内 拓也(Sentimental boys / Gt)

11月9日、Sentimental boysの2ndフル・アルバム『Festival』リリース・ツアー・ファイナルが下北沢BASEMENTBARで開催された。対バンの相手は彼らが10代の頃から敬愛している、4人組ロック・バンド、おとぎ話。

開演時間になり、おとぎ話がステージに現れると、演奏を始める前に有馬和樹(Vo / Gt)が口を開いた。「Sentimental boys(のツアー)は最後? ちょっと先に先輩風を吹かせたいと思います」そう言って、「ONLY LOVERS」からスタート。〈東京で暮らす僕と淡い夢から醒めてる君が 重なる時今世界が変わるはずだって誰かが言った〉。コインの表と裏のような2つの世界が交差するストーリー。夢と現実の両方を描くことで、本当のリアルを表現していると思った。

その後、「灯せ!」「ネオンBOYS」「ピーターラビット」と連打して、ドキドキした恋の始まりや、会えない人のことを思いながら音楽に身を傾ける、一途な少年のセンチメンタルな心情を描いた楽曲を繰り広げた。そんな流れの後、5曲目に披露したのは「綺麗」。〈愛を知るのはいつも失ってしまった時だとか自分勝手だね〉。改めて彼らの最新曲を聴くと、結成18年を迎えたおとぎ話は、恋ではなく愛を歌うようになった気がする。本当に大事なものは、無くなって気付く──そんなことを4人から教えられた。

「Sentimental boysがツアーをまわって東京に帰ってきてさ、おとぎ話とライヴをやってくれて“ありがとう”と思ってます。彼らの物語はまだまだ続くと思うし、おとぎ話もずっと続いてるからね。“これからもよろしくお願いします“という気持ちも込めて、この曲を……」有馬はそう言って、弾き語りで「WHITE SONG」のサビを歌い上げたと思ったら、そのまま「SMILE」へ紡いだ。僕の目の前で6歳くらいの子供も、その子のお母さんも、20代の男女も、40代のおじさんも、みんなが笑顔で手拍子をしている。そして間髪入れずに「俺達に明日は無い」を披露すると、サーカス団がやってきたキラキラした高揚感と、それが去っていった後の切なさを味わったような気分になった。

櫻井 善彦(Sentimental boys / Ba)

終盤になり、照明が消えて真っ暗になる会場。牛尾健太(Gt)のメロディアスなギター・リフから始まり、前越啓輔(Dr)の心地の良いバス・ドラム、風間洋隆(Ba)のリズミカルなベースが重なり、有馬の歌声が乗る「COSMOS」。曲がはじまると、暗闇の夜空に星が1つ、また1つと浮かびあがるように4人の背後にライトの光が灯る。次第にテンポが速くなっていき、僕の心臓の鼓動まで一緒にドクンドクンと加速していく。〈水色のキャンパスに浮かべたハートは君色のキャンパスに光を灯しました〉最後のフレーズを歌い終えると有馬と牛尾がギターを空に掲げて、互いのギターを擦り合わせた。

最後、おとぎ話が1時間のライヴを締めくくるのに選んだのは「少年」。大人になった青年が、ロックに夢中だった10代の自分に問いかけているような1曲。〈十代、おぼえているかい?〉。彼らの音楽は決して暴力的ではなく、ただの前向き楽曲でもなく、人生丸ごとを受け止めてくれるようなロックンロールである。誰もが笑顔になる、そんな最高の時間を届けてくれた。

会場全体がおとぎ話の余韻に浸る中、登場したのはSentimental boys。「夜明けの夢」を演奏すると、夜と朝の間を彷彿とさせるような青いライトが会場を包み込む。こうして、Sentimental boysの夜明けが訪れた。

藤森 聖乃(Sentimental boys / Dr)

さらに2曲目の「ワイプアウト」では、曲の展開に合わせてスポットライトの光が強くなっていき、暗い部屋にだんだん光が射していく、映像のない映画を観ているような気分になった。「ユーモアを聴かせて」「アパート」など立て続けに5曲を歌った後、MCになり上原浩樹(Vo/Gt)がおとぎ話と対バンする喜びを話した。「おとぎ話は2007年に1stアルバム(『SALE!』)を出したんですけど、当時からめちゃくちゃ聴いてたね」そう言うと櫻井善彦(Ba)が「聴いてたね。10代の頃から生活の一部みたいなバンドだったので、今日はご一緒できて本当に嬉しかったです。…… ここからはディープ・ゾーンに入ります」と言って、中盤戦は「Festival」で舵を切った。まるで深い霧の中を歩いているような、幻想的な世界観を醸し出す。そして曲のアウトロになると、藤森聖乃(Dr)と堀内拓也(Gt)が演奏の激しさを増していき、上原と櫻井も後に続く。先ほどまでの霧がどんどん晴れていくような、ドラマチックな展開で観客を魅了した。

堀内が口を開く。「おとぎ話は本当に好きで。歴代の機材もわかるくらい好きなんです」すると櫻井が「今日お会いした時に“あっ! 本物だ!”と思ったよね。本当にいるんだ、みたいな」。少年のように目を輝かせて話す姿がとても微笑ましくて、そんな流れから披露したのは「青春が過ぎてゆく」。〈そろそろね 時間なんです これで最後な気がするんです〉。10代の頃からおとぎ話に憧れていた少年達は、いつしか大人になり、ついに念願叶って共演を果たした。いま、この瞬間に4人は“あの頃”の自分たちに別れを告げて、ロック・バンドとして一皮むけたような気がした。

上原 浩樹(Sentimental boys / Vo.Gt.)

本編のラストは「誰もいない夏」。楽しかった今日の1日が走馬灯のようにフラッシュバックする。唸って、笑って、見惚れて、心を熱くして…… 2組のバンドは僕らに色んなエモーショナルを与えてくれた。そんな時間とこれでサヨナラをすると思ったら、少し寂しい気持ちになった。天井に吊るされたミラーボールが観客たちを照らす。よく見たら、みんな同じような表情をしている。12曲を歌い終えて、拍手に包まれながら帰っていくメンバーたち。もちろん、すぐさまアンコールに。「もうちょっと、Sentimental boysと同じ時間を過ごしたい」そんな感情がこもった拍手だ。

そして、再びステージに登場した4人。本当の最後に演奏したのは「metro.」。田舎から上京して、東京での暮らしを綴ったこの曲はここ(東京)にいる観客の心を優しく掴む。〈東京の街並みも全部 見渡せる丘があったらなぁ〉〈今日もまた欲望の風に揺られてふらふらと〉〈夜さりの街に音を鳴らすのさ〉。およそ2時間におよぶツアー・ファイナルは幕を閉じた。

終演後、僕はOTOTOY編集部の人と、下北沢の安居酒屋でライヴの感想を語らないながらお酒を飲んだ。「あの曲、最高だったすよね!」と、傍から見たら大して中身のない話。まるで大学生の頃に戻ったみたいで、この上なく最高な夜だった。

おとぎ話 セットリスト

1. ONLY LOVERS
2. 灯せ!
3. ネオンBOYS
4. ピーターラビット
5. 綺麗
6. SMILE
7. 俺達に明日は無い
8. BOY'S BEAT
9. HOME WORK
10. 光の涙
11. COSMOS
12. 少年

Sentimental boys セットリスト

1. Intro.
2. 夜明けの夢
3. ワイプアウト
4. ここではないどこか
5. 蜻蛉になって
6. ユーモアを聴かせて
7. 情緒
8. アパート
9. Festival
10. 気の合う二人
11. グッドバイ
12. 青春が過ぎてゆく
13. 誰もいない夏

En.
1. metro.

過去作もチェック!

Sentimental boys Discography

新→古

おとぎ話 Discography

新→古



LIVE SCHEDULE

Sentimental boys
〈Sentimental boys 2nd Album「Festival」Release Party in KYOTO〉
11月20日(火)@京都nano
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
出演 : Sentimental boys / mama fu-fuh / goldrink / bud&herber

【その他のライヴ情報はこちらから】
https://sentimentalboys.jimdo.com/live


おとぎ話
〈きゅーと研究会〉※有馬和樹ソロ・ワンマン
2018年12月1日(日)@東京下北沢 風知空知
2018年12月8日(日)@京都SOLE CAFE

〈おとぎ話 ライヴ2018 THE BOY WITH THE O.T.G.V〉
2018年12月24日(月)@大阪十三FANDANGO
2018年12月26日(水)@名古屋今池 得三
2018年12月30日(日)@東京新代田FEVER

【ライヴ情報詳細はこちらから】
http://otogivanashi.com/live

PROFILE

Sentimental boys

長野県上田市出身の4人組ロック・バンド。上京後、幾度かのメンバー・チェンジを経て、2012年より現メンバーにて活動を開始。

【公式HPはこちら】
https://sentimentalboys.jimdo.com
【公式ツイッターはこちら
https://twitter.com/Sentimentalboys


おとぎ話

おとぎ話

2000年に同じ大学で出会った有馬と風間により結成。
その後、同大学の牛尾と前越が加入し現在の編成になる。
2007年に〈UKプロジェクト〉より1st アルバム『SALE!』を発表、以後2013年までに〈ROSE RECORDS〉からの2枚を含め6枚のアルバムを残す。
2015年、おとぎ話にとって代表曲となる「COSMOS」が収録された7thアルバム『CULTURE CLUB』を〈felicity〉よりリリース。従来のイメージを最大限に表現しながら、それを壊し新しい扉を開いたこのアルバムにより、おとぎ話はまさに唯一無二の存在となった。
2016年秋、8thアルバム『ISLAY』をリリース。また、ライヴバンドとしての評価の高さに加えて、映画や演劇など多ジャンルに渡るアーティストやクリエイターからの共演を熱望する声があとをたたない。
日本人による不思議でポップなロックンロールをコンセプトに活動中。

【公式HPはこちら】
http://otogivanashi.com
【公式ツイッターはこちら
https://twitter.com/otogivanashi

この記事の筆者
ライター真貝聡

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この記事の編集者
鈴木 雄希

OTOTOY編集部で基本的にロックを担当。 せい家で育ちました。

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折坂悠太「さびしさ」を読み解く──「岡村詩野音楽ライター講座」より合評

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期待の新人、ATGが山中さわお(the pillows)プロデュースの新作をリリース!

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The Songbards、躍進の1枚! 最新作『The Places』をハイレゾ・リリース

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奇妙礼太郎の表現はどこからやってくる──メジャー2ndアルバムをハイレゾで!

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モールルはドクターペッパーになりたい!?──初のセルフ・プロデュースに挑戦!

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25周年を迎えて目指す“プロ・ミュージシャン”──新作を独占ハイレゾ配信開始

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ベランパレードがつくりだす狂気的かつコミカルな世界──代表曲を独占配信開始

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明るく楽しい未来のために「踊らなソンソン」──佐藤タイジ、配信限定リリース

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teto、限りなく“純度”にこだわった待望の1stフル・アルバム『手』をリリース

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tacica「煌々/ホワイトランド」ハイレゾ試聴会レポート&公開インタヴュー

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Yap!!!、2作同時リリース記念対談──石毛輝(Yap!!!) × MONJOE(DATS / yahyel)

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ソフトタッチ、11年ぶりのフル・アルバムを先行ハイレゾ配信スタート!

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