“国民的グループ”を目指し、これからも神宿は突っ走る! ──5周年で到達した成長過程としての幕張メッセ
原宿発のアイドル・ユニット、神宿の結成5周年を記念するワンマン・ライヴ〈神が宿る場所〜君が君らしくあればいいのさ〜〉が2019年9月29日、幕張メッセにて行われた。関口なほの勇退、そして新メンバー・塩見きらの加入をはじめ、神宿にとって大きな変革期となった5周年のタイミングで行われたグループ史上最大規模でのワンマン・ライヴ。OTOTOYでは、連載〈神宿 road to success!!!〉を担当しているライター、真貝聡によるレポートを掲載。OTOTOYだけに掲載している写真もあります!“国民的グループ”を目指す神宿にとって大きな一歩となったこのライヴ、ぜひテキストでもお楽しみ下さい。
アンコールで披露された新曲も配信中!
LIVE REPORT : 神宿5周年記念ワンマンライブ 神が宿る場所〜君が君らしくあればいいのさ〜
文 : 真貝聡
どうして“彼女たち”が好きなんですか? そう尋ねると「みかちんって、プロフェッショナルだなと思ってて。とにかくカッコイイんですよ」「私、ひなぷぅが大好きなんですけど、彼女が笑っているとそれだけで幸せなんです」「めいりんは、すごく美人なのに内面はすごく熱い人で」「みーにゃんって天然なんですけど、実はすごいしっかりしてて。掴めそうで掴めないのが良いんですよぉ」「しおみぃって裏表がなくて。すごく楽しそうに笑うし、心から涙を流すから応援したくなるんです」。話を聞いたのは会場にいたファンの人たち。高校生から社会人までいろんな人が話を聞かせてくれた。
その“彼女たち”とは、5人組グループ・神宿のことである。──2019年9月29日。この日、神宿はキャパ5,000人の幕張メッセで、結成5周年を祝うワンマン・ライヴ〈神が宿る場所〜君が君らしくあればいいのさ〜〉を開催した。これはメンバー、スタッフ、ファン…… それぞれのドラマを記録したレポートである。
午前10時。神宿がリハーサルを行うということで会場へ向かった。到着するとプロデューサー・北川敦司さんやマネージャーの姿はなく、メンバーだけで演出家や音響・照明スタッフに「もっと音をこうしてほしいです」「私、照明のタイミングと合ってますか」とやり取りをしていたり、5人で「次はこっちに移動するんじゃん」とダンスの振りやライヴの進行を念入りに確認していた。一ノ瀬みか、羽島めいは歌いながら考え事をしているように時々、天井を見つめていた。一方、塩見きらはほかのメンバーの話を聞きながら落ち着いて対応。小山ひなは、本番さながらの笑顔を振りまく。中でも印象的だったのはリーダーの羽島みき。彼女は、インタヴューでは見せない真面目な表情でメンバーに指示を出し、時にピリついた空気になるとおどけた表情を浮かべて場を和ませた。いつものヘラヘラ明るく笑う彼女ではなく、自ら5人を統率している。その姿は紛れもなくリーダーそのものだった。
午前11時。メンバーがリハーサルをしている中、僕はライヴ会場を抜け出して物販会場へ向かった。目的はお客さんの様子やブースを見たいのではなく、ある人物に「どうして、幕張メッセでライヴをすることになったのか」を聞きたかったからだ。──その人物は紺のスーツ姿で、会場の様子を鋭い視線で見つめていた。「北川さん、ちょっと良いですか?」「あ、真貝さん! どうしました?」。すでに1000人近いお客さんが物販ブースに詰め掛けており、イヤモニでスタッフに指示を出している慌ただしい中にも関わらず、北川さんはインタヴューに応じてくれた
〈以下、物販ブースで北川プロデューサーに行ったインタヴュー〉
──実はライヴ・レポートを書くにあたって、聞いておかなければいけないことがありまして。どうして幕張メッセでワンマンをすることになったんですか?
北川 : 今回は幕張メッセでワンマン・ライブをしますが、別に武道館でやる選択肢もあったと思うんです。ただ、5周年で武道館をやってしまうと“やりきった感”が出るんじゃないかと。
──「神宿はまだ成長過程である」という意思表示としても、この場所を選んだわけですか。
北川 : そうですね。今日のライヴは結成5周年ですけど、それ以降に何か大きなことをやるとしたら次は10周年のタイミングだと思っていて、5周年以降は周年ライヴにとらわれず、個人の活動にも注力していきたいと思ってます。僕らが目指している“国民的グループ”は、一人一人個人としても魅力的なタレントが、グループとして集まったときに更に大きな力を発揮するイメージなんです。「神宿」という容れ物に価値があるのではなく、ひとりひとりのメンバーに力があって、その集合体として「神宿」があるイメージです。言い方は難しいですけど、大所帯のグループさんは“ハコビジネス”になりやすいと思うんですよ。中身の人よりも「ハコ」があって「プロデューサー」がいることに価値がある。
──なるほど。
北川 : なので、神宿は「人」を大切にしたエンターテイメントを目指してます。だから、メンバーが誰か1人でも欠けたらライヴをしないということを貫いてきたし、(関口)なほの「勇退」という言葉を選んだのも、それぞれのストーリーをしっかり考えていきたいからで。
──すいません、もうちょっと聞かせてください。今日の幕張メッセに臨むまでの期間、メンバーの意識やモチベーションって、北川さんにはどう見えてました?
北川 : メンバーは、かなり試行錯誤してましたね。豊洲PITまでは、“大人によって作られたエンターテイメント”を彼女たちが体現する形だったんです。そこから彼女たち自身がセルフ・プロデュースをするシステムに変えたことで、かなり責任感が芽生えるようになりました。いま、隣の会場でリハーサルをやっている最中なんですけど、基本はメンバーと演出家さんでディスカッションしてて。
──はいはい! 先ほどリハーサルを見て、「どうして北川さんやマネージャーさんがいないんだろう?」と思ってました。
北川 : それは「彼女たち自身で幕張メッセの舞台を作ってほしい」と思ったからなんです。正直、ここまでの大きな舞台をメンバーに任せるのはどうなんだろう? という話もありました。しかし、そこのトライ&エラーも含めて彼女たちにやらせたいという思いがありました。たとえばゲームでも、最後に敵にとどめを刺したプレーヤーが1番経験値をもらえるってことあるじゃないですか。それと一緒で、自分で責任をもって最後までやりきらないと経験値が上がらないわけで。今日の幕張メッセも、本当にここでライヴをするかどうかの最終判断は彼女たちに委ねてて。自分たちの意志で「やりたい」と決めたんです。だから「彼女たちにやりきらせる」ことを心がけました。
──以前、「ここからは親離れ子離れをしなければ」と言ってましたもんね。北川さんたちの親心を感じるし、その期待に応えたいという彼女たちの気概も伝わりました。そうか…… 彼女たちの5周年でもあるけど、北川さんの5周年でもあるんですよね。
北川 : そうですね。なんか親と子供のような関係で。子供が5歳になったとき、同じように親としても5歳になった。僕も彼女たちと一緒に、なにもない状態から探り探り歩いてきた5年間ですからね。
本当はインタヴューどころじゃないはずなのに、「彼女たちのためになれば」と気を遣って話してくれた北川さん。ここでお礼を伝えて僕は会場を後にした。
午前11時30分。リハーサルから1時間30分が経過したところで、およそ250人のファンを招いて公開リハーサルが行われた。メンバーの邪魔をしてはならないと、静かに座って控えめな拍手を送るファンに、羽島みきは「立ってみます? 良いですよ、ぜんぜん。立ってみましょ! 自由に楽しみましょ!」と優しく声をかけた。本当はみんな本番前で一杯一杯のはずなのに(相手を優先する優しいところ、北川さんと似てますね)。そして、羽島めいは「本番前にみなさんの顔を見れて安心したよ。ありがとう」と伝えて、15分間の公開リハーサルを終えた。
午前11時45分。ファンの皆さんを見送ると、休むことなくリハーサルを再開。先ほどの穏やかな空気とは打って変わり、開場時間が近づくにつれて場内はとんでもない緊張感が漂っていた。そして2時間におよぶリハーサルが終了。
5周年ワンマン、ついに開演
午後0時45分。ついに重い扉が開かれて、今か今かと待っていたお客さんが場内へ。そして…… その時はやってきた。
午後1時30分。ステージ中央と左右に設置された大型モニターに「KAMIYADO」の文字が映ると、袖から現れて無言で横一列に並んだ5人。そして暗い場内で、突然スポットライトの明かりが一ノ瀬みかを照らした。彼女は深く息を吸ってから、ゆっくりと口を開いた。〈はじまりを告げる合図は君が君を愛せたその時さ〉まさかのアカペラを披露。静寂した空間に彼女の叙情的な歌声だけが響く。〈ここで鳴らすんだ はじまりの合図を〉。その瞬間、無数のスポットライトがステージ全体を照らした。こうして“はじまりの合図”とともに神宿のライヴがスタートした。
その後、“CONVERSATION FANCY”、“Life is やっぱ Beautiful! ”と息つく暇がないほどのオフェンシヴな楽曲の連打で盛り上げた。そしてMCに突入すれば、羽島めいが「どう!? 幕張メッセ! 後ろの人、見えてる?」と投げかけるとワッと歓声が上がった。「なんか、泣いちゃいそうになりました」と塩見きらが言えば「泣いてたよねぇ?」「そんなことないですよ!」「いやいや泣いてたよぉ(笑)」とからかう羽島みき。再び、羽島めいが「なんと言っても5周年ですよ。幕張メッセでやることは今年の4月くらいに決めてね。待ち遠しかったし、何よりも皆さんが集まってくれたことが本当にうれしいです!」と喜びを伝えて“Action! ”へ。その後も“ビ・ビ・ビ♡”、“Ultra Cheer”と中期の楽曲を重ねた。
前半6曲を怒涛の勢いで歌い上げると、袖へはけていく5人。誰もいないステージ。再び会場が真っ暗になるとスピーカーから“はじまりの合図”のオルゴール音が流れて、大型モニターにパン! と映像が映し出された。そこにはインタヴューに応える一ノ瀬みかの姿があった。「私たちが活動しはじめたのは2014年。ワンマン・ライヴをはじめてやって。さらにいろんなところでライヴが出来るようになって。そこから、なほの勇退などがあって、より自分たちが動かなければいけない状況にもなってきていて。私は、その状況をチャンスに変えたい。先の未来を見据えて…… 全力でここまで来たので」。
続いて、映像に映ったのは羽島めい。「本当に、数えきれないほどのライヴをしてきたなと思ってて。ツアーだったり、そういうので各地の人に会える機会も沢山あったなと思って。東京にはいろんな人が歩いてて、『この中の何人が神宿のことを知ってるかな』とか。そういうことをいろいろと考えたりするんですけど、(私たちのライヴに来る)ファンの皆さんは『ただいま』って言ってくれるんですよ。それがなんかうれしくて。ライヴが舁夫(神宿ファンの呼称)さんにとって、帰る場所になれば良いなって思ってます」。
そして3人目は羽島みき。「私にとって原宿という場所は、人生が変わった場所だなってすごく思います。5年やってきた中で楽しいことも沢山あったんですけど、心配もすごく多かった気がして。みきがふざけたりとか、失敗とかしても笑える環境があるのは…… 舁夫さんがみきを優しい目で見てくれるから。これからも、こんなヘナヘナなみーにゃんですけど、みんなにたくさん撫でてもらいたいなと思います」。
4人目は小山ひな。「私はアイドルをはじめて、『もっと愛されたいな』ってすごく思ってて。私はわがままで、舁夫さんたちに迷惑ばっかりかけていると思うんですけど。それを受け止めてくれるから、私は今日もちゃんとステージに立って生きていると思うし。…… 神宿の小山ひなには、舁夫さんしかいないの」。
最後は塩見きら。「9月29日は、私が加入してちょうど5ヶ月目。最初は豊洲PITからはじまって、やっぱりあの日のことは忘れられないし、他の候補者6人と過ごした、あの時間はすごくかけがえのないものになったなと思っていて。あの日から応援してくださる人の顔も、やっぱり覚えてて。前夜祭で会って『頑張ってね』と応援してくれた方のことも覚えている。やっぱり感謝を大事にしたいなって思います。…… あの日の豊洲PITの景色を忘れず、これからも頑張っていきたい」。
インタヴュー映像が終わると、ステージのセンター花道をスポットライトが照らした。そこには塩見きらの姿があった。“好きといわせてもらってもいいですか? ”の出だしを1人で歌いあげると、センターで待つ4人の元へ歩いて行った。──愛媛で育った彼女は、小さい頃から「アイドルになりたい」という夢を持っていたが「親が望んでいる堅実な人生を送ろう」と自分を騙して過ごしてきた。それでもアイドルになる夢を諦めきれず、大学進学をきっかけに上京。東京へ来て、アイドルのオーディションを受けるがうまくいかず、心が折れかけていた頃、たまたまYouTubeで神宿の動画を見つけて心を掴まれた。オーディションでは「自分を変えたくて」と泣きながら訴えていた彼女は、いま、神宿の一員として立派にステージで歌っている。
塩見きらがセンター曲を務めると、続く8曲目の“全身全霊ラプソディ”は一ノ瀬みか、9曲目の“星空帰り道”は羽島めい、10曲目の“ほめろ! ”は羽島みき、11曲目の“グリズリーに襲われたら♡”は小山ひながそれぞれ順番にメインを務めた。
その後MCへ突入すると、羽島めいが先陣を切って口を開く。「先ほどは映像が流れて、なんか内容はエモい感じになってたと思うんですけど。その後に歌わせていただいた曲は、私たちひとりひとりが思い入れのある曲をそれぞれテーマを決めて歌わせていただきました」。
そして、順にメンバーが曲を選んだ理由を伝える。まずは塩見きら「“好きといわせてもらってもいいですか? ”は、私がまだ候補生だった時にメンバーと一緒に歌わせてもらった曲なんです」。
続いて一ノ瀬みかは「“全身全霊ラプソディ”は、4人だった頃から歌っていた曲で。いままではああいう声で歌ったことがなくて、新しい自分を見つけられた曲でもあるんです。それをきっかけに『歌声が好きです』と言ってくれた方もすごく沢山いらっしゃって。私の新しい一面をみんなに見せられた曲だと思ったから、選ばせてもらいました」。
羽島めいは「今日、はじめて観に来てくれた人もいると思うんですけど。私たちは年がら年中、ツアーばっかりやっているグループなんですよ。意外と、東京より地方を回っていることの方が多くて。毎回同じライヴハウスで歌わせてもらうことも多いんですけど、前回観に来てくれた地方の方が同じライヴハウスにまた来てくれるんですよ。そのおかげで“帰ってきた感がすごくあるな”と思って。で、“星空帰り道”を歌うと『地元の温かさ』を実感するというか。先ほどの映像でも言いましたけど、この場所が皆さんにとって帰る場所になったらと思ってます。私は神宿をやるまで『行くあてがない』とか『自分の居場所なんてない』と思っていたんですけど、もしかしたら同じように思っている方がいるのかなって。だから皆さんがここに帰ってきたら、『楽しい時間を一緒に過ごそうよ』という居場所になったらと思ってます」。
羽島みきは「なよなよなリーダーなんですけど、何か失敗しても舁夫さんは笑顔で見守ってくれるし、メンバーも優しく教えてくれて。だから、“ほめろ! は自分にピッタリだなと思いました」。
4人が熱を込めて曲紹介をしていたのに対して、小山ひなは「クマと一緒に歌いたかったから」と簡潔な答え。(ステージにはミュージックビデオにも出演した大きなクマのぬいぐるみが登場した)。それも彼女らしさが出ていて良かった。
まだまだ、これからも突っ走っていきたい
あっという間にライヴは後半戦に差し掛かり、12曲目“必殺! 超神宿旋風”、13曲目“原宿戦隊! 神宿レンジャー”と神宿の底力を見せつけて、観客とメンバーでまさに“一体感”のあるライヴを展開。さらに14曲目“春風Ambitious”では、会場全体で腕を振り回して乱舞した。
迎えた本編最後の楽曲は“お控えなすって神宿でござる”。小山ひなと羽島みきがステージを降りて客席へ行くと、会場から歓喜の声が上がった。まさにクライマックスに相応しい盛り上がりを見せて、メンバーは再び袖へと消えていった。
当然このままで終わるわけなく、すぐさまアンコールが起こる。ステージに現れた神宿。羽島めいの「みんなー! 今日も健康第一です! みんな、内臓を大事にしてますか!?」というカオスな呼びかけで“ないぞうサイコー”へ。続く“Summer Dream”を披露すると、観客に向けて5周年の胸中を伝えた。
特に、一ノ瀬みかの言葉は力強かった。「5周年で幕張メッセに立ちました、と言っても10周年はどうなっているかわからないし。まだまだ、これからも神宿のセンター・一ノ瀬みかとして突っ走っていきたいと思います」。
──少女は小さい頃から目立つのが好きで、明るく活発な女の子だった。しかし、小学3年生の頃に精神を病み、時を同じくして父親が倒れ、はじめて人生に絶望を味わったという。その後、バスケットと出会い心の救いを見つけるが、中学1年生になると、以前から抱えていた足の病気が悪化して一時は立つことすらも困難になり、当然部活にも参加できなくなった。病気の事情を知らない先輩からは「あいつはサボりだ」と言われてイジメにあい、少女は学校へ通えなくなった。「日中はクラスメイトに会うのが怖くて外出できなかった。だから、夜遅い時間にちょっと外へ出るような感じで。あとは、ほとんど家に引きこもっていました」。輝かしいはずの中学1年生という時期に、少女は見えない暗闇をさまよっていた。…… しかし、思わぬチャンスが訪れる。ある日、姉から誘われて原宿へ出かけると、アイドル・グループにスカウトされたのだ。14歳のことだった。それから少女は、赤い衣装に身を包んで最年少ながら5年間も神宿のセンターを守り続けている。以前、OTOTOYでインタヴューをしたとき、彼女はアイドルについて「ぶりぶりで可愛いというよりかは、アイドルって本来はカッコイイものだと思うんですよ。そして弱っている人を救える存在なんです」と答えた。幕張メッセのステージでも、彼女はやはりカッコよかった。
そして小山ひなは、声を震わせながら話す。「この5年間はいろいろなことがあって、平坦な道のりではなかったですけど。それでも5年で、この景色が見れて。この5人と一緒に…… なほも含めて6人で神宿として、幕張メッセに立てていることが本当に私は幸せです」。そこには仲間を想う、彼女の優しさがにじみ出ていた。
羽島めいは、かつての自分に想いを馳せた。「人生、何が起こるかわからないなと神宿をやってて思います。神宿をやる前は、サッカーしか取り柄がなくて。そのあと、サッカーを辞めて『私、もうなにもないわ』と思っていた時に原宿を歩いていたら神宿に出会って、いま、5周年目で幕張メッセに立っています。なにかやりたいことがあるとか、自分の成し遂げたいものがあるとか、そういう人っていっぱいいると思うんですよ。だけど環境のせいで出来ないとか、そういうのいろいろあると思うんです。でも、諦められないなら行動するべきだなって。私たちが皆さんの夢の一押しができればなって思ってます」。
次に歌ったのは、彼女たちが歩んできた5周年の思いを込めた新曲“それから”。サビで〈果てしない この世に生まれたことがすてき / それから こうして君と出会えたことが奇跡〉と歌ったとき、塩見きらは感情を堪えきれずに大粒の涙を流した。羽島めいも小山ひなも、ステージの上で涙を流しながら一生懸命歌った。泣いてるメンバーの肩を抱き寄せる一ノ瀬みかも、優しく頭を撫でる羽島みきの姿もまた、こちらの涙腺を刺激する。これが北川プロデューサーの言う「“人”を大切にするエンターテイメント」なのだと思った。
──その後、「じゃあ、皆さんで記念撮影をしましょう!」と羽島めいが言うと、驚いた様子のメンバー。予定では、記念撮影はもう1曲歌ったあとだったのだ。思いもよらないピンチな状況の中、すかさず声を上げたのが羽島みきだった。「ちょっと段取りが違うんだなぁ! 本当は暗転して、次の曲を歌ってから記念撮影なんだけど…… ま、いいよねぇ。みんなで写真撮りましょう! イエー!」と場を仕切ると、メンバーの誰かが「みーにゃんがいて良かったなぁ」と漏らした。やはり、この人はポンコツではなく優秀なリーダーである。笑いあり、涙あり、トラブルあり、絆あり。予定調和のない型破りなステージは、こうして幕を閉じた。
〈神宿5周年記念ワンマンライブ 神が宿る場所〜君が君らしくあればいいのさ〜〉セットリスト
01. はじまりの合図
02. CONVERSATION FANCY
03. Life is やっぱ Beautiful!
04. Action!
05. ビ・ビ・ビ♡
06. Ultra Cheer
07. 好きといわせてもらってもいいですか?
08. 全身全霊ラプソディ
09. 星空帰り道
10. ほめろ!
11. グリズリーに襲われたら♡
12. 必殺! 超神宿旋風
13. 原宿戦隊! 神宿レンジャー
14. 春風Ambitious
ENCORE
01. ないぞうサイコー
02. Summer Dream
03. それから
04. KMYD
ライヴの様子はこちらにも!
編集 : 鈴木雄希
編集補助 : 東原春菜
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新→古
これまでの《神宿 road to success!!!》も振り返り!
PROFILE
神宿(かみやど)
2014年9月結成。原宿発のアイドル・ユニット。UUUM所属。
メンバーは一ノ瀬みか(赤)、羽島めい(青)、羽島みき(黄)、小山ひな(ピンク)。
グループ名の「神宿」は「神宮前」と「原宿」を合わせたもの。神宿(KMYD)の頭文字 K=KAWAII(可愛い!) M=MAX(全力!) Y=YELL(応援!) D=DREAM(夢!)を届けるために原宿を拠点に活動している。2019年1月に緑担当・関口なほが勇退。4月29日、東京・豊洲PITにて開催された神宿のワンマン・ライヴにて、新メンバーの塩見きらが加入した。
【公式HPはこちら】
https://kmyd.targma.jp
【公式ツイッターはこちら】
https://twitter.com/kamiyado0907
【神宿YouTubeチャンネル】
https://t.co/85tty8kxWC?amp=1