ルパンがハイレゾでスウィングする! 大野雄二率いるLupintic Fiveによるルパン・ ジャズ最新作はまるでライヴ盤!
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「聴いてるそこがライヴ会場になる。存分に歌えや踊れ! このノリノリ感、山田康夫さんならこう言うよ。鳥肌モンだぜコケコッコー!」――アナウンサー・土井敏之のMCにはじまり、ジャズのスタンダード・ナンバー「COMIN' HOME BABY」、MISIAのツアー・コーラスでも知られるTIGERを迎えたヴォーカル・ナンバーがふつふつと熱気を高め、「ZENIGATA MARCH」ではライヴさながらのコール&レスポンス! さらにはEGO-WRAPPIN'の中納良恵が歌う「SEXY ADVENTURE」に酔いしれ、ルパン三世のテーマ「THEME FROM LUPIN THE THIRD '89 (Lupintic Five Version)」で気分は絶頂に。"ルパン三世×ジャズ"による最高のエンターテイメント・アルバムが登場です!!
本作が今回ハイレゾ配信!! ライヴ仕立てながらもしっかりとスタジオ録音されたそのサウンド。ハイレゾならではの繊細な音の表現によってジャズ・アンサンブルを潰すことなく、より臨場感のあるサウンドに仕上がっています。Lupintic Fiveを率いるジャズ・ピアニスト / 作曲家の大野雄二へのインタヴューとともにお楽しみください。
Yuji Ohno & Lupintic Five UP↑ with Yuji Ohno & Lupintic Five
【配信形態】
【左】WAV / ALAC / FLAC(24bit/48kHz)
【右】WAV / ALAC / FLAC(16bit/44.1kHz) 、mp3
【配信価格】(各税込)
【左】単曲 300円 / アルバム 2800円
【右】単曲 257円 / アルバム 2057円
【Track List】
01. ATMIDO feat. 土井敏之 / 02. UP with ATM #1 / 03. COMIN' HOME BABY / 04. MANHATTAN JOKE feat. TIGER / 05. UP with ATM #2 / 06. BEI MIR BIST DU SCHÖN / 07. FAIRY NIGHT / 08. UP with ATM #3 / 09. ZENIGATA MARCH / 10. LOVE SQUALL / 11. UP with ATM #4 / 12. SEXY ADVENTURE feat. 中納良恵 (from EGO-WRAPPIN') / 13. UP with ATM #5 / 14. DESTINY LOVE feat.TIGER / 15. UP with ATM #6 / 16. THEME FROM LUPIN THE THIRD '89 (Lupintic Five Version) / 17. SAMBA TEMPERADO
INTERVIEW : 大野雄二
大野雄二について詳しく知ろうとすると、歴史絵巻のような経歴にたじろいでしまう。なにしろ、アニメ主題曲の金字塔「ルパン三世のテーマ」のみならず「きのこの山」「レディボーデン」「目薬アイリス」(アイアイアイリス~ってやつね)まで、誰もが知っているあれもこれも大野雄二の曲なのだ。そんな大野は作家に転身後、しばらく遠ざかっていたジャズ・ピアニストとしての活動に2000年代から本格復帰。現在Yuji Ohno & Lupintic Fiveを率いて全国でルパン三世の楽曲を中心としたライヴ活動をおこなっている。年々盛り上がりを見せているというそのライヴの模様をまるごと再現した“疑似ライヴ盤”となった今回のアルバムは、「ジャズをより身近に楽しんでもらいたい」という、大野が長年抱いてきた願いを具現化したひとつの完成形ともいえるエンターテイメント作品だ。
今回、改めて経歴を振り返ってもらうと共に、アルバム収録曲について詳しく話を訊くことで、ルパン三世をきっかけとして有名・無名問わず良いジャズ・ナンバーをリスナーに伝えていきたいというスピリットが氏の活動意欲を支えていることを知り、深く感銘を受けた。“グルーヴは我慢”という持論を披露してくれたことをはじめ、金言が詰まった貴重なインタヴュー、本当にジャンルを問わずすべてのバンドマンに読んでほしい!
インタヴュー&文 : 岡本貴之
日本は基礎の部分をあんまりやっていないのに流行を追っていたというか
――大野さんは大学を出てジャズ・ピアニストとして活動するようになってから、70年代以降はCMや映画・TVの作曲・編曲家に転身されたんですね。かなりスパッとピアニストをやめた印象なんですが、悩んだりはしなかったんでしょうか。
大野雄二(以下、大野) : すごくスパッとやめましたね。僕がやっていた1960年代から70年代からかけて、ジャズの世界がものすごく大きく動くわけですけど、そのなかでジョン・コルトレーンという2度と出ないような人がリアルタイムで出てきて、どんどん変わっていったんです。それで日本の、ジャズを聴く人はもちろん評論家から何からみんな「アメリカのリアルタイムはこうなっているぞ」という方向に行っちゃったんですよね。
――みんながアメリカの流行を模倣するような感じだったんですか?
大野 : いやもう、模倣しないと人じゃないくらいの感じで(笑)。でも向こうの人の音楽をちゃんと聴くと基礎がしっかりしているというか、その前の段階の音楽をものすごく理解して、飽き足りなくなって新しいところに行っているんだけど、日本は基礎の部分をあんまりやっていないのに流行を追っていたというか。アメリカには昔の人をずっとリスペクトしていくような、トラディショナルな部分があるわけです。サッチモ(ルイ・アームストロング)あたりから。そういうところをちょっとないがしろにしているような気がして。僕はジャズがわかってくればくるほど、やっぱりトラディショナルな部分をキッチリやらないとそっち(流行)にいく意味がないと思うようになっていったんです。たまたまそういう時期にCMの仕事がきたりしていたんで、これはおもしろいなと思ってピアニストの活動をやめたんです。片足をジャズに突っ込みつつという感じでやってたら、今の僕はいないと思いますよ。
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大野 : 一言でいえば、CMですよ。一番興味があったのはCMの音楽です。CM音楽が1番厳しいのは、制約があるから。短い時間にお金をかけてる人が、それで完璧にそこの会社を有名にしたいと思うわけでしょ? その時間で商品を知らしめたいわけだから、クオリティが違うわけですよ。
――CMだけでも本当に膨大な作品を手掛けていらっしゃいますが、そうした作家としての活動を経て、現在はジャズ・ピアニストに復帰しているわけですけど、そのきっかけとなったのが『LUPIN THE THIRD「JAZZ」』ですよね。そもそも「ルパン三世」(TVシリーズPart2から担当)の音楽を手掛けるようになったのは、作家として分け隔てなく色んなジャンルに携わってきた結果だったんでしょうか?
大野 : 僕はピアノをフェイドアウトして作曲家の仕事をやっていくと心を決めたのが1970年ですから、「ルパン三世」が始まった77年までに7年経っているんです。それまでに死ぬほどCMをやったりして、色んな下地が出来てる一番良い時期だったんですよね。それともうひとつは、石立鉄男のテレビドラマが71年から始まっているんですけど、そのプロデューサーが「ルパン三世」もやることになったからなんです。
――その後かなりの年月を作家として過ごして、ステージに復帰したわけですが、そのきっかけはなんだったんでしょうか。
大野 : 最初は90年代の初めくらいに昔のジャズ仲間から「頼むから、月に1回で良いから一緒にやってくれ」って言ってきたんです。それで人前でやったわけ。僕が休んでいる間は人前で弾いたことがなくて全部スタジオなんですけど、最初は人前で弾いてたプレイヤーですから、「やっぱり人前で弾くのはおもしろいな」と思ったんです。
――そのときにライヴの快感が甦ってきたんですね。
大野 : そうそう、元々がそういう人ですからね。CMとかも飽きてきちゃってたんで。
――長年やってきた結果飽きちゃったんですか(笑)。
大野 : 飽きた、最終的には(笑)。最初は注文を受けて制約だらけの世界に痺れたわけですよ。なぜかというと、ジャズなんて人からああいう風にやれこういう風にやれって言われたら「バカヤロウ」っていう感じで、自分で勉強して自分で好きなことをやっているんだから。(CMは)その真逆だったのが楽しかったんだけど、それがやっているうちにある程度色んなことがわかってきちゃって。絶対ここは注意する点だよな、とかほとんどわかるようになっちゃったんで。打ち合わせをする段階からわかっちゃうわけ。それがちょっとつまらなくなっちゃったんです。
――そこでジャズのライヴをやってみたところまた真逆の良さがあったんですね。
大野 : それもそうなんですけど、Lupintic Fiveみたいに大きい会場でやろうなんて思わなくて、もうそろそろ街の小さなお店でたまにピアノを弾くような生活をしていこうと思ってたんですよ。でも、たまたま98年のテレビ・スペシャル「ルパン三世 炎の記憶~TOKYO CRISIS~」の中で「ラブ・スコール」を僕のトリオでやったことがきっかけで、トリオでジャズ・アルバムを出すことになり、段々大きい会場でも演奏するようになったんですけど、トリオだとやれる曲に限界があるんで、もっとパンチの効いたパフォーマンスの出来るバンドを作りたくて6人編成で結成したのがYuji Ohno & Lupintic Fiveなんです。
普通のジャズやソウル系のやたら上手いシンガーとは違う“貪欲な感じ”
――今回のアルバムは“ノリノリアゲアゲ”がテーマということですが、ライヴを再現した内容にしようと思った理由はどこにあったんでしょうか?
大野 : ライヴをやっていくうちに、進化してきてジャズの枠を超えてきちゃって。8、9年経って、みんな演奏も上手くなったり1000人規模のでっかいステージに慣れてきたわけです。そうしたらどんどんエンターテイメント的な世界もより盛り上げよう、というのがここ2、3年出てきて、最近はお客さんも最後は立って踊ってタオル回したりウェーブしたりしてますからね。だったらそれをそのままアルバムにしちゃおう、と。でも本当のライヴだと音質が良くならないので、プレイヤーがスタジオで録音するときも、ライヴでやっているような感じで演奏し、お客さんが聴いた時もライヴ会場にいるかのような感じでやろう、と。
――確かにライヴ会場にいるような臨場感を感じるアルバムになっています。合間に曲紹介する土井敏之さん(TBSアナウンサー)のMCも面白いですね。土井さんは前作のオリジナル・アルバムにも参加していますが、実際にライヴにも良くいらっしゃるんですか?
大野 : しょっちゅう来ます。ステージではメンバー紹介をしてもらったりはありますけど、ずっと袖にいてもらうわけにはいかないから(笑)。単なるお客さんとして来てくれてるのを見つけると「土井さんいるからやらせちゃおう」って(笑)。
――これまでも何回も大野さんの作品に参加しているEGO-WRAPPIN'の中納良恵さんも参加していますね。「ルパン三世」のTVスペシャルのエンディング曲は必ず女性ボーカルを起用しているとのことで、これまでも今井美樹さんや、カヒミ・カリィさん、2013年はPredawnさんが参加しています。その中でも中納さんはどういったところを気に入っていらっしゃるんでしょうか?
大野 : やっぱりドカンと“入神”するところでしょう。曲に入り込みますからね。あそこまでの人はいないですよ。こういったらなんだけど「純ジャズ・シンガー」じゃないんですよ。ちょっと歌謡曲も入っている気がする。そういう雑味のあるところが良いですね。普通のジャズやソウル系のやたら上手いシンガーとは違う“貪欲な感じ”というか。それとさっきも言ったようにいわゆるご入神というか、女優的な部分。曲が始まったときに顔が変わりますからね。成りきるんですよ。普通の歌の人はそこまで成りきれないんです。
――その中納さんが歌っている「SEXY ADVENTURE」はかなりロックなアレンジでアルバムのハイライトになっていますね。今回中納さんにはバラードよりも激しめの曲を歌わせたかったんですか?
大野 : よっちゃんが、というよりも、今回は“ノリノリアゲアゲ”しかやらない感じですから、バラードはその次のTIGERが歌っている「DESTINY LOVE」しかないんです。本当は普段だったらチェンジ・オブ・ペースでもう1、2曲バラードを入れるんですけど、今回はわざと「どんどん行っちゃえ!」って感じにしているんで。
――その分、TIGERさんが歌っている「DESTINY LOVE」が目立ちますし、ソウルフルですごく良い曲ですね。“隠れた名曲”と土井さんの曲紹介にもありますが、これは93年放送のTVスペシャル『ルパン暗殺指令』のEDテーマ曲で、マニアの方以外にはそれほど知られていない曲なんですか?
大野 : 昔やってた30分のTV放送のEDテーマって何十回も聴くチャンスはあるんだけど、TVスペシャルって1年に1回しか放送しないんで、その1回を聴き逃すと一生聴かないくらいなんですよ。だからちょっともったいない気もしますけどね。
コアなジャズ・ピアニストから出発していますけど、いち早く辞めちゃったというのが今に繋がっていると思うんです
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大野 : どのくらいのコアなファンの比率と普通の人の比率があるかによるんですけど、結構どこでやっても、コアな人は3割くらいは来るんですよ。そういう人もいるから、あんまり違和感はないです。
――この曲もすごくブルージーなギター・ソロが入っていてかっこいいですね。「THEME FROM LUPIN THE THIRD ’89(Lupintic Five Version)」でもメイン・テーマを歪んだギターが弾いていて新鮮です。このあたりはやはり“ノリノリアゲアゲ”ということでギターをフィーチャーしたということですかね。
大野 : そうですね、今回は意識してギターを多めにしていますからね。
――そうしたルパンの有名曲と一緒に「COMIN' HOME BABY」「BEI MIR BIST DU SCH ÖN」というジャズ・スタンダードを入れているというのは、やはりルパンをきっかけにこういうジャズの名曲を知って欲しいということでしょうか。
大野 : 今までのアルバムも全部そうなんですけど、ちょっとおせっかいですけど「こういう曲もあるんだよ」って。あんまり知らないかもしれないけど良い曲があるから聴いてくれという感じで、有名無名に関わらず僕の基準で良いと思った曲を、もう8年間入れ続けていますから。
――そうした、ジャズは敷居の高いものと思わずにより気楽に聴いてほしいという大野さんの想いは以前からずっと持っていらっしゃるものだと思うのですが、周囲の反響などを見て変わってきた感じはありますか?
大野 : あると思いますよ。やっぱり僕は、ある種コアなジャズ・ピアニストから出発していますけど、いち早く辞めちゃったというのが今に繋がっていると思うんです。それはどういうことかというと、ジャズをやっている人たちは自分たちのためだけにジャズをやっていたような気がするんですよ。最初に話したように、なにしろ今一番流行っていることがこういうことだっていうと、日本人にはありがちなんだけど、すべてそこに行っちゃうわけ。それでジョン・コルトレーンみたいなテナー・サックスの人が突然増えちゃう。ビル・エヴァンスが流行った頃にはビル・エヴァンスみたいなピアニストばっかりになっちゃう。僕はすごくそれが不思議で。「自分がねえのかな?」って。向こうの人は全部オリジナリティを出さないと虫ケラ扱いですよ。「この人に似てる人だね」で終わっちゃう。
――似てるだけなら本物を聴きますもんね。
大野 : そう。僕がジャズをやっているなかでも、わりかしそういう1番新しいことを追いかけていた時代もあったけれども、その中でもやっぱりお客さんは大事にしてたんですよ。お客さんがいないとこでやってもつまらないんで。だからって媚びたりはしないけど、ちょっとはお客さんのことも考えてあげようよ、というのは昔からずっとあったんです。ピアニストをやめてCMとかをやるようになったらますますそれがわかったんですよ。それと、ライヴをやっているとね、お客さんがどういうことを望んでいるかということがわかるんです。地方とか色んなところに行くときに、こっちがたまには違う曲をやりたくて「もう飽きちゃったから違う曲やろうよ」ってやっちゃうと、せっかく楽しみにしてくれてた人たちは喜ばないですから。コアな人たちの為だけにやったら駄目だなということは、嫌っていうほど感じたんです。北海道とか九州の田舎でやるのと、東京のど真ん中でやるのは違うんですよね。例えば演歌の人たちが“これだ”っていう曲があったらそれを持って回るでしょう。やっぱり一種それがないと駄目なんだな、と。だからすごく難しいんですけど、何曲かずつ入れていくというね。
――その中にジャズのスタンダードも混ぜて行ってるということですね。そういう意味でいうと、今回のアルバムはその理想形ということでしょうか?
大野 : うん、それを反映させてます。聴く人もライヴじゃないというのはわかっているけど、なんとなくライヴにいるような気持ちにさせてあげたくてこういう内容にしたんですよ。
グルーヴという言葉を安易に使い過ぎていると思う、僕は。グルーヴって、年に2回くらいしか出ないですよ
――僕も「LOVE SQUALL」がルパン三世の曲で1番好きなんで、これが入ってるのは嬉しいですし、ライヴで聴けたら嬉しいです。
大野 : そうでしょ? そういうことです。アレンジをただ変えれば良いわけじゃないけど、マイナーチェンジをしつつ、という方が良いんだろうなというのは最近つくづく思っていて。あんまり新曲、新曲ってやってもお客さんからするとね(笑)。もちろん聴きたい人もいるんだけど、1000人いるなかの何人いるかというと900人くらいはそういうものを聴きたいんじゃなくて「せっかく来たんだからあれを聴きたいな」というのがあるというのは、コンサートをやってると明白にわかるんで。でもそれだけじゃなくて、こっちから提案もしてあげなくちゃいけないんだけど、それをやり過ぎちゃうとお客さんからするといい迷惑だっていうことにも気が付かないと。お客さんにも何種類もあるんでね。でも、僕のコンサートでちょっと嬉しいのは、親子三代で来てくれるんですよ。僕は73歳ですけど、同じくらいの人も、リアルタイムでルパンが好きだった人もいるわけですよ。その人の息子とその子供が10歳くらいだとすると、三代で来てくれたりするんです。小さい子供にはアドリヴのところなんかはわからないかもしれないけど、やっぱりメロディを知ってると「ZENIGATA MARCH」(銭形マーチ)をやった、「ルパンのテーマ」「LOVE SQUALL」をやった、という風になるんですよ。モダン・ジャズのアドリヴをワーっとやってわけのわからないものを(笑)、4分間我慢するとまたメロディが出てきたみたいな。子供からするとね。
――我慢といえば、大野さんが「バンドのグルーヴを出すのは我慢だ」と著作に書いていらっしゃったのがすごく興味深かったんです。僕は自由にみんなが演奏していく中で熱を帯びてくることを“グルーヴ”と呼ぶのだと思っていたんですけど、改めてどういうことか教えてもらえますか?
大野 : それはグルーヴの解釈の仕方なんですけど。グルーヴという言葉を安易に使い過ぎていると思う、僕は。グルーヴって、年に2回くらいしか出ないですよ。
――年に2回ですか!? それは毎日のように演奏していてもめったに出ない?
大野 : 出ない。200日やってても2回くらいしか出ない。要するに、弾いてるときに全員に力が入ってない状態で、こんな良い気持ちになってるんだからもったいないからこれをもう少し持続しようぜっていうことなんですよ。だから我慢なんです。要は、何か仕掛けてもらいたくないということ。「なんで今こんなに良い気持ちなんだろう?」っていうことが知らない間に出来ることがあるんです。だからドラムもベースも余計なことはやらない。ベースのメロディが、こっちも演奏をやめて聴きたくなるくらいのバッキングになるときもあるわけですよ。そういうときに、それに対して自分がどういうアドリヴを弾こうかとかドラムはどう対応しようかとか、ものすごく全員が息があったときに、“誰かが何かで壊したら絶対にもったいない”と思うことが年に2回くらいしかないんです。“もどき”はありますけどね。そこに行く寸前のね。
――そこに行く寸前で壊してしまうのは、自分のエゴが出てしまうからなんですか?
大野 : そうです。誰かが何かを仕掛けて壊しちゃうんですよ。キープしていられなくなっちゃうんです。キープしてるというのは“我慢”ですから。全員がそれぞれの我慢をしているわけ。
――今、Yuji Ohno & Lupintic Fiveとして演奏している中でそれはいかがですか?
大野 : 大きい会場だとグルーヴが出にくいです。50人くらいの会場が限度。だからピアノ・トリオの方がグルーヴは出やすいです。人数が増えると出にくい。3人が6人になったら誰かが我慢しない確率が高くなるでしょ(笑)。それと、1人じゃグルーヴは出ない。1人でピアノを弾いていてもそれはグルーヴとは呼ばないんだよね。他人が入ってこないと。他人が入ってきて、1人になった感じですよ。3人でやっているのに1人になったような感じは年に2回しかないんです。
――このアルバムを聴いた方もライヴに足を運びたくなるんじゃないでしょうか。
大野 : あんまり余計なことは考えずに楽しみに来てもらいたいですね。なすがままに聴いてもらえれば絶対楽しいはずですよ。
LIVE INFORMATION
Lupintic Jazz Live TOUR 2014 〜UP↑ with Yuji Ohno & Lupintic Five〜
2014年12月25日(木)@Motion Blue YOKOHAMA
2014年12月29日(月)@Billboard Live OSAKA
2014年12月30日(火)@NAGOYA Blue Note
PROFILE
Yuji Ohno & Lupintic Five
大野雄二(Pf)、井上陽介(Ba)、江藤良人(Dr)、松島啓之(Tp)、鈴木央紹(Sax)、和泉聡志(Gt)
ジャズの楽しさと奥深さを、わかりやすく世の中に広める大役を果たしてきた人気シリーズ『LUPIN THE THIRD「JAZZ」』の記念すべき10作目『LUPIN THE THIRD 「JAZZ」 the 10th~New Flight~』(06年4月リリース)で、結成されたセクステット編成。
「ルパン三世」の楽曲を中心に作られたそのファースト・アルバムのクールでホットなプレイがセールス・ツアー観客動員ともに大好評を得る。その後、バンドとしての活動が本格化し、以後の「ルパン三世」テレビ・スペシャルのサウンドトラックは全てYuji Ohno & Lupintic Five with Friends名義でリリース。
07年11月には、ソウルナンバーからルパン三世のテーマまで極上ジャズにアレンジされた、2枚目のオリジナル・アルバムと言える『What's Going On』をリリースし全国ツアーを敢行。「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2008 in EZO」においてもジャズ・バンドとは思えぬ大迫力のパフォーマンスでオーディエンスを圧倒。09年には大野が立ち上げた「Lupintic Label」第2弾として今井美樹とのコラボレート・アルバム『Feelin' Good」をリリース、翌年10年2月にルパン・セルフカバー・アルバム『LUPIN THE THIRD ~the Last Job~』をリリース、4月には自主企画「Lupintic Night」を開催(東京ゲスト「quasimode」、大阪ゲスト「勝手にしやがれ」)。2010年4月にそれまでの俵山昌之にかわり井上陽介がベースで加入。新体制での最初のアルバム『Let's Dance』では、LUPIN×JAZZ×昭和! をテーマに、ゲスト・ヴォーカルに中納良恵(EGO-WRAPPIN’)を迎えそのリリース・ツアーも各地ソールドアウトが続出。2012年、DOUBLEがゲスト参加した「Another Page」を発売。さらに2013年11月、Predawnをエンディング・ディーバに迎えた最新作『PRINCESS OF THE BREEZE』を発売。インスト・ジャズバンドとは思えぬ活動スケールで日本全国のクラブハウスから会館、さらにはライヴハウスまで怒涛のツアー・スケジュールで精力的に活動中!
>>Yuji Ohno & Lupintic Five Official HP