2011年1月にリリースされた2ndアルバム『Mellow Candle』がロングラン・ヒットを記録し、メロウ・ヒップ・ホップ・シーンの中において、「最も次回作が熱望されるアーティスト」と言っても過言ではないRobert de Boronが、3rdアルバム『ON THE RAINBOW』をリリース。先行配信されたiTunesでは、HIP HOPアルバム・チャートとソング・チャートで共に1位を獲得。そんな同作をOTOTOYでは高音質で配信スタート!! インタビューとともに彼の魅力に迫ります。
Robert de Boron / ON THE RAINBOW
【価格】
mp3 単曲 150円 / まとめ購入 1,500円
wav 単曲 200円 / まとめ購入 2,000円
INTERVIEW : Robert de Boron
傷つき、癒しを必要とする時代が求める音楽家、Robert de Boron(ロバート・デ・ボロン)。彼の作り出す音楽は緻密で、都会的で、先鋭的。現在の音楽市場において、セールスに関しては大成功している… と知れば知るほど、正直言うと当初このインタビューをおこなうにあたり、いったいどんなことを話せばよいのか戸惑った。その隙の無い音楽の背後に、アーティストのエゴが全く見えなかったからだ。しかし、手がかりを探るべく覗いてみたブログで、何やらこちらの思い描いた人物像とは違う姿が浮かんできた。そのスタイリッシュなイメージとは裏腹に、ブログに綴られている文章から垣間見える本人の意外とチャラそうな(失礼!)パーソナリティ。
もう一度、過去の作品も含めて聴いてみる。完璧なサウンド・プロダクション、流麗なメロディ、柔らかく心地よいラップ。都会的な感性を感じさせるおしゃれな音楽。しかしそこに冷たさは微塵も無い。首尾一貫したヒューマニズムに溢れ、温もりがあることに気付かされる。完璧な音楽と、ユーモラスな人物像。本人と音楽のイメージのギャップを埋めているものはいったい何なのか? ロバート・デ・ボロンという人物に俄然興味が湧いてきた。そしてインタビュー当日、OTOTOY事務所に到着したとたん、迎え出た女子社員にフットワーク軽く声を掛けるロバート・デ・ボロン(笑)。そんな飄々とした彼のパーソナリティと音楽を繋いでいるものの正体に迫った。
インタビュー&文 : 岡本貴之
極力、色んな人に届く音楽を作りたいという意識がある
——ボロンさん、とお呼びすればよろしいですか?
ロバート・デ・ボロン(以下、ボロン) : はい、なんでもいいです(笑)。まあみんなボロンって呼びますね。
マネージャー : そうね、ボロンボロン言われてるよね。
——わかりました(笑)。過去の作品も遡って聴かせて頂いたんですけど、すごく聴く相手のことを考えて作っている人なんだな、という印象をまず受けたんです。自分のエゴみたいなものが全面に出ていないというか。もちろんサウンド・プロダクションにはこだわりがすごくあると思うんですけど。
ボロン : うんうん。
——そう思ってブログを拝見してみたところ、かといってそんなにシリアスな感じの人でもないな、と思いまして。
ボロン : そう、ね(笑)。
マネージャー : (笑)。
——そういったギャップから、ロバート・デ・ボロンという人はどういう人なのかな、と思って…。
ボロン : 興味湧きました?
——そうですね、はい。
ボロン : 嬉しいなぁ~(笑)。
——(笑)。人となりをまず知ってもらった方が良いかなと思いますので、そこからお話させて下さい。そもそもロバート・デ・ボロンというアーティスト名はどういった由来があるんですか?
ボロン : 昔、曲を作ってMyspaceに載せる時に、アーティスト・ネームを付けたくて。何にしようか調べていた時にロバート・デ・ボロンていう人の名前が出てきたんです、単純に(笑)。12世紀位のフランスの詩人なんですけど、聖杯伝説を作った人なんですよね。本当は「ロベルト・デ・バロン」らしいんだけど、ロバート・デ・ボロンの方が響きが良かったので。
——じゃあ、もともと特別な思い入れがあったわけではなく?
ボロン : つけた時はそこまで考えてはいなかったけど、ここまでやってくると意味を持ってくるというか。生き方的にも。聖書を読んでみる気になったりだとか。ブッダの教えを読んでみたり神社行ってみたりだとか(笑)。今はすごく気に入ってますね。
——ご出身は東京ということですけど、音楽に目覚めたきっかけって覚えてます?
ボロン : 親父がビートルズが好きで、週末になると必ず朝から夕方まで流れてるような家だったんですよ。だからそこら辺の音楽が好きで。他にもピンク・フロイドやキング・クリムゾン聴いたり、エマーソン・レイク・アンド・パーマーを聴いたり、60、70年代のサイケデリック・ロックにはまってから音楽をすごい好きになりだして。
——へぇ~、それは今の音楽性からすると意外ですね。
ボロン : そうなんですけどね。でも、戻ってきてますね。またビートルズを聴きだして。楽しいんですよね。越えられないなというか。ジョン・レノンとかすごいなというか、価値観とか生き方がいいなと。相手がどう反撃していいのかわからないように闘うやり方とか。アーティストとして真似する所は沢山ありますよ。
——ロックを聴いていたけど、バンドをやろうという風にはならなかったんですか?
ボロン : それがね、ならなかったんですよ。でも今はバンドやりたいんですよね…。(突然こちらに向かって)ドラムとかできそうじゃないですか?
——(笑)。いやいや、叩けないですよ。太ってる奴がドラマーっていう固定概念は捨てて下さいよ(笑)!
一同 : (笑)。
ボロン : 失礼しました(笑)。最近音楽ってすげえ簡単でいいって思ってるんですよ。技術的な所より、アイデンティティというか、頭の中に平和とか平等っていう意識を持ってやりたいと思うんです。俺の中ではそこに、音楽をやっている意味があって。例えば、ある1つのコミュニティの中で「世界平和だ!」って訴えても平和になるわけがないし。だから極力、色んな人に届く音楽を作りたいという意識があるんですよ。
——個人個人のマインドを変えるような音楽を出来るだけ広く届けたいということですか?
ボロン : そうですね。うん。どーんと(音楽を)出して、ポジティヴになれたりとか、癒されたりとか、自分に還れる時間を作れたりだとか。音楽で人生変わる事なんてないかもしれないけど、少しでもその鍵になればと思って今はやってるんですけどね。
お前、目で物見てから言えよって思って
——ボロンさんが音楽に目覚めてから現在に至るまでの変遷はどんな感じだったんですか?
ボロン : 元々ヒップ・ホップを高校生位から聴きだして。あとMPC(MIDIシーケンサ、サンプラー)を叩いてました。懐かしいな(笑)。相当昔ですけど。その頃は本当、ドラム、ドラムで。一小節二小節のループとか。ビートメイクから初めて、知り合いがちょっとラップしたりとか。
——デビューのきっかけは、高校時代から作ってきたトラックが何かしら広まったことですか?
ボロン : インターネットの力がすごく大きかったんじゃないかと思うんですよね。トラックを作ってて、イベントとかやってたんですよ。クラブ借りて。まあそれもなんか時代の流れというか、アホを集めて酒飲もうよみたいな(笑)。でもそうやってると音楽のコミュニティが出来るじゃないですか? そこで友達が「Myspaceに載せてみれば?」 って言ってくれて。そしたら色んなオファーが来て。そこから始まった感じなんですけどね。
——初めての音源リリースはご自分のソロ名義のアルバムではないんですよね?
ボロン : 最初はコンピレーション・アルバムに呼ばれて一曲やってくれって言われて。ビリーブなんとか… (※『Listening is Believing vol.3』)あんまり覚えてないんだけど(笑)。
——ははは(笑)。覚えてない!? でも確かにリリースされているものは多いですもんね。
ボロン : そうですね。『IN YA MELLOW TONE』も、もう8作品やってますからね。
——音楽だけじゃなく、アートワークにもこだわりがありそうですね。
ボロン : そうですね。2ndアルバムでは「コムローイ」っていう、タイのローソクみたいな熱気球を飛ばすお祭りの写真がジャケットになってるんです。これはやっぱり震災の後だったんで、少しでも癒されて欲しいっていう気持ちもあって。
——例えば今回のアルバムにも「pt.4」が収録されている「Shine a Light」という曲は以前のアルバムから収録されていて、震災があったことで、メッセージとして受け止めた方も多かったみたいですけど。
ボロン : そうですね。
——震災後ボロンさんの心境的なものは大きな変化があったんでしょうか?
ボロン : もう、モロですね。やばかったです。表現はアーティストだから自由だし、どういうことをやっても良いと思うんだけど… 浅はかな問題じゃねえぞって。お前、目で物見てから言えよって思って。俺は次の日(被災地に)行っちゃったんですよ、たまらなくて。
——そうだったんですか。
ボロン : もう… 何度も泣いたしね。行く間にも、大変な光景が…。でも、「Shine a Light」っていう曲は、そういう風に作ろうとして作ったんじゃないですよ。もう半年も前から音源は出来ていたし。たまたまタイミングがそこだっただけで。でも聴いてくれた人から反響がすごくあって。「Shine a Light」を聴いて救われました、とか。すごく色んなことを言ってくれていて。だから、震災のことは俺の中ですごく影響ありましたね。
——ご自分で車を運転して行かれたんですか?
ボロン : そうですね。十何時間かけて。ずっとTwitterをしながら被災地に向かったんですよ。そしたら、現地で「ボロンさんですよね?」って。Twitterで繋がってた人と会えて。少し話せたんですけどね。あと、大したものは持って行けなかったけど途中で色々買って行って。
——それは3月11日直後の事ですか?
ボロン : 着くまでに時間がかかって2回夜が明けたから、翌々日かな。バールで自販機こじ開けてる外国人がいたりとか。俺が見ただけでもそんなことがあった位だから、もっとひどい事もあったんじゃないかな。コンビニがあったんだけど、食べ物はもちろんないじゃないですか? でもおにぎりを20個程入荷したから、1人1個です、って言われてるのに、2、3個レジに持ってきて「ニホンゴワカラナイ」とかやってる外国人もいたり、もちろん助けてくれた外国人もいただろうから一概には言えないけど。
——もちろんそうですね。
ボロン : その一方で、しっかり助け合ってた姿に心をうたれた事もたくさんありました。自衛隊が水いっぱい持って来てみんな並んでるんですけど、だいたいおじいちゃん、おばあちゃんが先頭にいましたからね。不謹慎かもしれないですけど、ああ、いいな。って思いましたね。
俺のキャラと音楽の溝が埋まらないんですよ
——なかなかこういう話を公の場でする機会はないんじゃないですか?
ボロン : ないですね。あ、あとすごく感動したのが、国道6号線かな? 北茨城を抜けたあたりで、テレビで見た光景がバ~って現れて、現実になってくるんですよ。そしたら朝方におじいちゃんとおばあちゃんが、道路の一車線を塞いでる木を動かしていたんです。でも、明らかに2人じゃ動かせないんですよ。僕らが降りて行って手伝っても無理で。「おじいちゃん、どかしたいのはわかるけど、これは無理だよ」って言ったら、どうしてもどかさないと駄目なんだって言うわけですよ。どうしてか聞いたら、自分の家の木だって言うんですよね。「みんなが東京からの物資とかを運んでくれるのに、この木が邪魔して… 」って。それ聞いてワ~って涙が出ちゃって。やばかったです、本当。でも、ものすごい数の人が車を降りて集まってきてくれて、動かせたんですけどね。そんなドラマがいっぱいありましたよ。
——音楽を通してだけでは伝わらないものがありますね。こういう話をブログに書いたりはされてたんですか?
ボロン : いや、書いてないです。その当時は、それをネタにしたくないっていう思いもあって、書けなかったですね。リアルすぎちゃって。見てきたものが。
——アーティストの葛藤ってそういう所にあると思うんですけど、やっぱり見た事、伝えたい事を自分の作品に落とし込みたいとか、いやこれはやるべきじゃないとか。そこはその人の感性なんで誰が良い・悪いということではないんですけど…。
ボロン : そうですね。ただ、考え方と価値観と、人間性みたいなものがある程度の所へ行きつかないと、やっちゃいけないことじゃないかな、と俺は思うけどね。なんかこう、沈黙もまた正しい選択方法なんじゃないかなって。情報が10ある所を1しか知らないで、その1が「真実だ」って思って伝えたら、9は伝わらないわけでしょ? だったら黙ってろっていうか。7か8くらい知ってから喋った方が良いよね。アーティストとしてはそういう風に考えてます。
——今お話を聴いていて、最初に言った、ボロンさんのパーソナリティと音楽との間にあるものが繋がった気がしました。ボロンさんの音楽は、元来人々が求めている癒しであるとか、普遍的なものが以前から一貫して表現されているからこそ、多くの人の心が傷ついていた時に琴線に触れたんじゃないかと思うんです。
ボロン : みんながそう思ってくれると嬉しいなぁ(笑)。本当に、俺のキャラと音楽の溝が埋まらないんですよ! ず~っと埋まんないの。何年もやってんですけど、大変なんですよ(笑)。やっぱ映像に出たりがいいですかね?
——映像もいいですけど、ライヴとか直に現場で伝えていった方が良いんじゃないですかね。トラック・メーカーとして、あんまり表に出ることはないですか?
ボロン : そもそも滑稽じゃないですか? 逆カラオケやるみたいな。アカペラ流してそこに演奏合わせるみたいなのはあまり意味を感じないというか。
——ご自身でラップするとか?
ボロン : いや、… やめときます(笑)。
——急にしおらしくなりましたね(笑)。
ボロン : 嫌な思い出が(笑)。でも歌は歌いたいんですよね。ギター持って。でもウンコとおしっこ一緒にする位大変でしょ? あれって?
——別にウンコとおしっこ一緒に出来るでしょ(笑)?
ボロン : えぇ? 難しくない!?
一同 : (爆笑)。
ボロン : まあ、ギターと歌、頑張ります。勉強して(笑)。
——バンドをやりたいというのはどうしてですか?
ボロン : 去年の夏にジャック・ジョンソンにハマったんですよね。よく海に行ってたっていうのもあったんですけど。
——あ、それが今回のアルバムに収録されている「Shine a Light Pt.4」でウクレレが使われている理由ですか?
ボロン : そう! ウクレレ買ったらハマっちゃって。ウクレレ使った曲いっぱい作ろうと思ったんですけど。結局1曲だけでしたけどね(笑)。
——でもすごく印象的でしたよ。
ボロン : AWAがポリネシアンだから島国系なんですよね。だからハマりが良かったんじゃないかな。
もっと音楽シーンから飛び抜けたものが出てきてほしいな
——より耳触りの良い音を目指したのかな、と感じたんですが、今回のアルバム『ON THE RAINBOW』の全体的なコンセプトってありましたか?
ボロン : あんまりコンセプトという感じは自分の中にはなくて、良い物を集めて出そうというのと、一貫しているのは「優しくなれるもの」、かな。たまたまウクレレがハマった、という感じだったんですよね。
——生楽器をどんどん入れていこうという気持ちはあるんですか?
ボロン : 基本的にほとんど生楽器ですよ。ドラムも全部サンプリングなんですよ。実はデジタル音は一切使ってなくて。極力オーガニックに。結構デジタルの(ドラム・マシン)808とか909とか乗っけたのかとか言われるんですけど、一個も使ってなくて、全部サンプリングか生ドラム叩いたやつで構成されてます。
——それは、やはりそうした方が丸い音になるからですか?
ボロン : そうなんですよ、優しいんですよ。サンプリングして、E5000っていうのに落としてて、48kHzで録って28kHz位まで落とすんですよ。そうするともっとジャリっとするというか。で、ハイ落ちして。それをEQでまた上げて… っていう。これ企業秘密だよね(笑)。まあ、そういう面白いことをやるんですよ。ただ、サンプリングして終わりじゃなくて。
——ボロンさんの中でサウンド面の変化というのはこれまでと比較して何かあったんでしょうか?
ボロン : 2枚目で結構変化したかなと思ってますけどね。1枚目から2枚目に行くときに、自分の我を極力排除して、大衆的にしたというと言い方が悪いですけど、あんまり小さなコミュニティとかスポットに出していくものじゃなくて、まあ誰が聴いてもそれなりにうなずけるなというものを提示したかったですね。
——なるほど。
ボロン : 前は大衆に寄らなきゃ、と思ったりもしたんだけど、今は、自分が持っている価値観と、リスナーが求めているものっていうのが、意外とピタっときてるんで、無理して寄せてる感もないんですよ。かといって好き勝手やってるわけじゃないし… まあ、好き勝手やってますけど(笑)。
マネージャー : ははは(笑)。
ボロン : だからどちらかというと、音楽的変化というよりは心境の変化がありますね。あ、でも今回楽器のチューニングにこだわったというか、考えてやったかなぁ。440Hzでやった曲が一曲もないんですよね。
——そうなんですか!?
ボロン : 444Hzと432Hzと。色んなこと試してみたんですけど。でも昔の音楽家だって、チューニングとかに未来を見てたと思うんですよね。今は当たり前に設定されたものに乗っていくスタイルっていうのがあんまり音楽的じゃないなというか、面白味がないんですよね。じゃあ440Hzでやる意味って何? って聞かれた時に答え持ってんの? って。
——まあ、そういうもんだから、と思ってやってますからね。そういうフォーマットに乗っかりたくないっていう気持ちがあるんですか?
ボロン : 何かね、表現したいことがあるから表現してるんでしょ、っていう基本に立ち返ると、当たり前にあったものをそのままやってるっていうのが既に違うんじゃないかな。俺はありきたりっていう所から離れたいというかね。だからまだ悩んでるんですよ。いい歳こいて(笑)。
——毎回、楽しんで試行錯誤している感じですか?
ボロン : そうですね。例えばアルバムは、まあ音が粗いから良いっていう理由で、作ってる段階でもう24bit / 44.1kHzでやってるんですよ。前は24bit / 48kHzだったんですけど。48kHzだと、(CDにするとき)44.1kHzに落とした時にどうやって劣化してるのかがわからなくて。まあ結局耳だから、なんとも言い難いんですけど。数字で追っかけて行くと、88.2kHzを44.1kHzに落とした時はハーフだからいいけど、でも48kHzで作ってると、CDにフォーマットを落とした時に44.1kHzって割り切れないし、どういう劣化をするのかなと。劣化していく過程がすごく疑問なんですよね。
マネージャー : だから、ボロンは音に関しては本当、すごくオタクなんですよ。何時間もメーター見て「これじゃない、これも違う」って、ずっとやってたり。
ボロン : そうですね。オタクですね。でも出来た音楽を聴くとサラっと聴けちゃうから、「どこにこだわりあるの?」とか言われちゃうんですよね(笑)。
——でもオタクらしさが出てないのがいい所で、やっぱり聴く人のことを考えて作ってるという印象になってるんですよね。
ボロン : そうですか? ありがたいことです。時代に名を残そう、というんじゃないけど、多くの人に聴いてもらいたいとは思いますね。
——改めて今回の作品について伝えたいことがあれば。
ボロン : “ポジティヴ”っていうのがジャケットにしても音にしても今回のアルバムのキーワードなんです。2ndを聴いた人はポジティヴになってくれて嬉しいんですけど、作り手としては結構ネガティヴな自分がいたんで。今回はのっけから、自分がポジティヴな気持ちを音に乗っけていこう、と思って作りました。この音楽が俺の手を離れていって、今、闇に入っちゃってる人とか、人生で暗いゾーンにいる人たち、落ちてる人の所に届いて、少しでもポジティヴに、前を向けたらいいなって。そうなったら嬉しいなって思います。たぶん、そんな作品だと思います。それと、60年代、70年代の音楽みたいに、もっと音楽シーンから飛び抜けたものが出てきてほしいな、と自分は思ってます。
マネージャー : ね、カリスマ待ちだよね、音楽シーンが。
ボロン : でもね、こんなシーンの低迷期にこそ出てくるんだよね、そういうやつは。
マネージャー : そう言いながら、5年10年待ってますけどね(笑)。
ボロン : だから、それが俺なんだよ! なんて(笑)。
一同 : おおっ(笑)!
RECOMMEND
VA / In Ya Mellow Tone 7
世界で一番売れてる"JAZZY&MELLOW HIP HOP"モンスター・コンピ第7弾。限定流通盤&mixCDを含めたシリーズ総セールスは、とうとう130,000枚を越え、コンピと同タイトルのクラブ・イベントもスタート。そんな、シーンを引率するレーベル"GOON TRAX"が送る革命的人気シリーズの第7弾は、日本初上陸初となる海外アーティストを多数収録した、新たなスタートを切るに相応しい1枚!
VA / Tribute to Jun 3: Modal Eternal
NujabesフォロワーをはじめUS拠点の新鋭アンダーグラウンド・トラック・メイカー / MC達が集うN.Y.のジャジー・ヒップ・ホップ・レーベル、Digi Crates。同レーベル所属アーティストやその周辺サポーターらが一堂に会し2010年にリリースされた故Nujabes氏に捧げるトリビュート・アルバム『Tribute To Jun』のVol.1、Vol.2、そして1と2を合わせたデラックス版『1 & 2』に続き、3作目が登場! 世界を股にかけ無数のフォロワーを生み出した偉大なアーティスト・Nujabes氏の遺伝子を受け継ぎ、才気溢れるヒップ・ホップ・アーティストが想いを一つに集結した一大プロジェクトで、ジャジー / メロウ・ヒップ・ホップ愛好家はスルー厳禁な必携盤!
VA / Melancholic Jazz Supreme
鍵盤を主体とした、煌びやかさに満ちた最高のインストゥルメンタル・コンピレーション・シリーズ『Melancholic Jazz』。ジャジー・ヒップ・ホップ~ラウンジ・ミュージックの超重鎮プロデューサーがズラリッ! シリーズを彩った超豪華アーティストが一挙集結! 究極の「哀愁」がここに集結!!
PROFILE
Robert de Boron
東京を拠点に活動するサウンド・プロデューサー / トラック・メーカー。2008年9月に初のリリースをして以来ほぼ全ての作品がヒットを記録し、今やシーンの中心的存在となる。国内主要チャートでの1位はもちろん、韓国の配信チャートでも軒並み1位を獲得するなど、国内のみならず世界的な評価を獲得し世界を魅了しつづけている。そしてなんと言っても2011年1月にリリースされた 2nd Album 『Mellow Candle』。この作品が更なる高みへの一歩を作り上げ、空前のロングラン・ヒットを記録。ジャンルを越え多くのリスナーを虜にし、さらに幅広い層からの評価を獲得。確固たるMELLOW HIPHOPシーンの中心的存在となる中で、ついに待望の3rd Album 『On the Rainbow』を2013年4月にリリース。自身の集大成ともいえる3rd Album 『On the Rainbow』はより多くの人々の心を救い、癒しつずける作品になっている事は言うまでも無いであろう。12世紀後半から13世紀初頭に活躍したフランスの詩人に由来している、印象的なアーティスト名以上に神秘的な輝きを放つ彼の音は、心を世界を暖かく包み込む異色な存在である。