斎井直史「パンチライン・オブ・ザ・マンス」 第19回──沖縄からの新たな注目株、3Houseへインタヴュー!!
センスがある人って、どんなバックグラウンドを持ってるんでしょうか。先月ベタ褒めをした沖縄の3house。「Purple Rain」はトラックも、声も、ビデオも、アーティスト情報に至るまでもが控え目な打ち出し方をしているのに、強烈に印象に残ってしまいました。今月、新曲「Devaju feat.Yo-Sea」のリリースに際して、気になって仕方が無い3houseにインタビューを申し込みました。とはいえミステリアスさが彼の魅力。意図して作ったシルエットにわざと光を宛ててしまう事にならないかと不安もありましたが、非常に落ち着いた受け答えをする3houseはビデオのイメージ通りの人物でした。彼は誰から影響を受け、「Purple Rain」以前はどんな活動をしていたのかを答えてくれています。今月は3houseのインタビューをお送りします。
今月ピックアップ、3Houseの最新シングル!
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC
第19回 INTERVIEW : 3House
──色々とお聞きしたいことがあるんですけど、まず気になったのは、もともと音楽をやっていた人なんですか?
音楽は1年前くらいに始めました。
──学生時代ってどんな学生だったんですか?
学生時代は、結構好きなことばっかりしてましたね(笑)。もともと野球部だったんですけど、親に入れられてただけで好きじゃなかったんです(笑)。
──インスタグラムを見たら、昔はデザインとかをやっていたのかな、と思ったんです。
絵は趣味で結構描いてますね。昔はちょっとだけダンスもやってました。
──それから音楽を始めたきっかけは何だったんですか?
もともとダンスをやってたんですけど、そこからヒップホップを聴くようになって、ある時、自分のCrewのビートメイカーの家に遊びに行った時にピアノを弾いて見せてもらったんですよ。レコーディングする機材もその場にあったので、遊びで声入れたら「本格的に1曲作ってみたらどうなんだろう」という気持ちになって、1年前ぐらいから真剣に少しずつやっていきました。
──音楽的に影響を受けたアーティストを挙げるなら、誰になるのですか?
マイケル・ジャクソンですね。マイケル・ジャクソンを見てダンスを始めて、そこからどんどんヒップホップに入っていきました。
──最近の人でマイケル・ジャクソンが好きでダンス始める人って、正直稀ですよね。
あんまり聞かないですね。
──3house君の年齢だと、マイケルって音楽よりもスキャンダルで知られる年代じゃないです?
実はマイケル・ジャクソンが亡くなる前までは、あまり知らなかったんです。亡くなった後にニュースで凄い人だと知ってYouTubeで見たら凄く衝撃を受けて、そこから真似し始めてダンスを始めて今があるって感じです。
──親が聴いてたとかは結構多いけど、そういうことではなく?
親は、自分がお腹に居る時に聴いてましたね(笑)。自分、アメリカで産まれて1、2歳の時から沖縄に来たんですけど、それまで両親は7年間くらいアメリカに住んでいたので親が洋楽を結構聴いてたので。
──なるほど。ちなみにダンスを始めたのはいつ頃?
中学校2年生ぐらいの時ですかね。
──マイケル・ジャクソンから音楽に入っていって、その後はどんな音楽遍歴を辿りましたか?
あまりジャンル関係なしに聴いてますね。ジェイ・パークとか韓国の音楽もすごく聴いてます。最近聴いてるのはポスト・マローンとか。
──韓国のR&Bやラップは、レベルが本当に高いですよね。
そうですね。韓国って結構ヒップホップに対しての市場がデカいと思ってます。日本に比べるとビデオとかのクオリティとかも全部高いので、影響は受けてたりしますね。
──きっかけになったビートメイカーの人っていうのは、SouthCatのメンバーの人?
Jaywalkerっていうビートメイカーですね。
──「Purple Rain」と「Dejavu」もJaywalkerが作ったんですか?
「Purple Rain」はYouTubeで見つけたビートを買いました。Jaywalkerのビートは「Dejavu」で初めて使いました。Jaywalkerはギターもピアノも弾けるビートメイカーで、前はEDMを作っていたんですけど、自分達がヒップホップを勧めて、彼も最近ヒップホップとか聴くようになりました。だからSouthCatは皆、ヒップホップを始めた時期が、1年とか2年前とかなんですよね。
──いいですね。最近のカッコ良い人達ってそういうタイプの人が多いですよね。
自分たちCREWはひとりひとり役割があって。他にもMC2人いるのでラップが4人と、Jaywalkerっていうビートメイカーと、あと1人が「Purple Rain」のMVを撮ってくれたKiyoraっていう人と映像ディレクター。あと女性も1人います。
──その方は何を担当してるんですか?
スズっていう名前で、今は海外に留学中ですけど、その子が「Purple Rain」のコーラスをやってくれました。歌も出来てダンスも出来るんですよね。多彩な才能を持った人が集まったなぁ、と。
──そのSouthCatが出来たのも1年くらい前?
そうですね。Yo-Seaが入ったぐらいからちゃんとやり始めたって感じですね。小・中学校が一緒の奴とか、地元で集まる子で始めて。
──ちなみに、SouthCatの名前の由来って何ですか?
沖縄だからサウス、南で。あとは自分達はゆったりしてて、あんまり時間とか気にせず結構ルーズなんですよね。そこが猫っぽいから、南と猫でいいんじゃない?みたいな(笑)。全然犬派なんですけどね(笑)。
──(笑)。そういえば3houseって名前も結構特徴的というか。
実は自分の本名、ミカモトは三に家に本て書くんですよ。そのまま英語にしました。
──珍しい苗字ですよね。そういえばインスタグラム見てるとりゅうちぇるとぺこの結婚式の写真があるじゃないですか。ぺこ本人からも「みかもとくん、ありがとう」なんてコメントがあったりして。地元の友達みたいな感じなんですか?
りゅうちぇると高校が一緒で、2年前に東京に住んでいた時もよく遊んだりしました。東京に行った時には、たまに会ったりします。
──東京に住んでいた時もあったんですか。
ダンスで19歳ぐらいの時に東京に行って2年ぐらい3人でシェアハウスして住んでました。本格的にCREWで集まって活動していこうってなったのがきっかけで、自分が沖縄に帰って今はSouthCatで家を借りて、皆で家賃出し合ってそこで住みながら今作ってる感じです。そこに住んでるのは2人ですけど、皆で鍵持って何かあったら集まる場所です。
──「Purple Rain」に話が移りますが、音も声もビデオも要素を絞っていながら、ミニマルさを感じさせないクールな仕上がりが凄いなって思いました。そのスタイルは音楽を始めた当初から出来ていたスタイルなんですか?
探り探りやって、今がありますね。ラップラップするのもあんまり好きじゃなくて、一番最初どう初めていいか分からなくて。結構フロウを重視して、言葉よりも最初にフロウを作っていきます。
──どういう風に曲を作っていく事が多いですか? 曲が先か、歌詞が先かとか。
色々ですけど自分はビートを聴いてフロウが最初に出ますね。そこから感じた歌詞をハメていったり。最初は違かったんですけど、最近は作りたい方向性が作っていくうちに分かってきました。
──その時ってスタジオで曲聴いて、その場で書くんですか?
まずビートを探して、ある程度フロウとか歌詞とかコーラスまで固めた上で、どういう感じに聴こえるのかっていう仮録りをしてますね。それを聴いてみて違和感が無ければ、ちゃんとしたスタジオにいって録るっていう感じです。
──レーベルであるATOLからのディレクションも入るんですか?
今のところは無いですね。自由にやらせてもらってます。
──「Purple Rain」の曲が出た時も突然だったけど、それもレーベルからの誘いだったんですか?
そうですね。元から自分達でPVを撮る予定だったので、そこまでは自分達でやって、後は任せた感じです。PVも自分とKiyoraっていうディレクターと話して、完全に2人で撮った感じですね。Kiyoraは初めての作品なのに映像も結構クオリティ高くて。
──本当ですか!めちゃめちゃクオリティが高い。
誰も教えてくれる人が居ない環境なので、自分達でライトとか全部準備しました。
──最初って言うのはすごいですね。「Purple Rain」の色を絞ったり、シルエットだけを映すビデオの撮り方は意図的だったんですか?
そうですね。あんまり最初に自分をがっつり見せたくないのと、雰囲気だけのビデオにして「何なんだこいつは」っていう感じに仕上げた方が観てくれるかなって思いました。
──もう一本ビデオ撮影予定みたいですね。
「Dejavu」は東京で撮る予定です。今日もSouthCatのラッパーのビデオ撮影なんですよね。その子達のPVもまたKiyoraが撮るんですけど、それが決まってないけど9月ぐらいに公開予定で(SouthCatから)また新しく2人出ます。
──すごく楽しみです。テイストはどんな感じですか?お楽しみかな(笑)。
結構ラップぽいですね。
──今3house君も2曲テンポ良く出てますけど、今後出るプロジェクトで決まっているものはあります?
9月ぐらいに4、5曲ぐらいEPを作りたいなって思っていて今3曲目にとりかかっているところです。
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