“Infinity”に込めたさまざまな想い、希望を未来へ繋げて──Suara、4年半ぶりのアルバムをリリース
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『うたわれるもの』シリーズの楽曲歌唱などで知られるシンガー、Suara。前作『星灯』から実に約4年半ぶり、多数タイアップ曲を収録した新作アルバム『Infinity 希望の扉』と過去のシングルに収録されたカップリング曲を集めた『B-Side Collection』が同日配信スタート、現在好評配信中です。OTOTOYでは両タイトルともにDSD 2.8MHzとPCM 24bit/96kHzの2つのハイレゾ・フォーマットでの配信とともに、限定デジタル・ブックレットが付属いたします。前作からの約4年半、コロナ禍や彼女の楽曲を多数手掛けてきた作曲家との別れなどを経て、少しずつ希望を見出しながら制作されたという今作。彼女へのインタヴューとともにお楽しみください。
約4年半ぶりとなるオリジナル・アルバム、限定デジタル・ブックレット付き!
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同時リリースとなるカップリング集も好評配信中!
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INTERVIEW : Suara
インタヴュー : 前田将博
この素晴らしい曲たちを歌い続けていかなければ
──今作『Infinity 希望の扉』は前作のアルバム『星灯』から約4年半というスパンが空いてのリリースとなりました。まずはこの約4年半を振り返ってみていかがでしたか?
この2、3年弱の間、コロナによりライブなどの活動は制限されていましたが、4年半で13曲ものタイアップをいただけて、常に新曲を歌う機会はあった感じですね。
──2020年からコロナの流行がありましたが、活動に影響はありましたか?
コロナが流行り始めてすぐに台湾でゲームショーに出る予定だったんですけれど、それが中止になってしまいました。それ以降ライブなどやりたくても、計画出来ない状況が続いた感じですね。
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──楽曲制作の部分ではいかがでしたか?
タイアップ曲に関してはこれまでと変わらずプロデューサーやスタッフとやりとりしながら作っていたのでほぼ影響は無かったんですが、自分の気持ちのなかでの動きはたくさんあった期間ではありました。
──気持ちの面ではどのような変化があったんでしょうか。
コロナで世の中が混沌としている2020年の7月、衣笠道雄さんというSuaraの楽曲やテレビアニメ『うたわれるもの』、〈AQUAPLUS〉に欠かせない作曲家さんが亡くなってしまったのはすごく大きかったです。今まで本当にたくさんの歌を歌わせていただいてきて、私が歌手を続けていく限りは衣笠さんの新曲を常に歌うことができるだろうと思っていたので。Suaraというアーティスト名を最初に付けたとき、この名前は決して一人称ではなく、私とともにスタッフ、作曲家、作詞家さん、さらに言えばファンの皆さんを含めて「Suara」、という意味を込めて付けたので、その大きな柱である衣笠さんが亡くなったのはとてもショックでした。
──衣笠さんが不在の中で今作の制作も進めていかなければならなかったと思うんですが、どう折り合いをつけながら受け入れていったんでしょうか?
もちろん完全に受け入れられてはないんですけれど、今回の収録曲にも衣笠さんが書いてくださった曲がありますし、今までの曲も聴き直してみて、こんなにも素晴らしい曲を残してくださったんだなというのは改めて実感しました。だからこそ、これからもこの素晴らしい曲たちを歌い続けていかなければという気持ちにはなりました。
──今回のアルバムでも衣笠さんが作曲された曲は何曲も収録されていますもんね。
そうですね。亡くなられたあとに発表したリード曲である1曲目の“トキノタイカ”はリリース前からゲームのプロモーションで流れていて、ファンのみなさんも聞いていたんですけど、やはり“衣笠道雄”というクレジットにみなさん驚かれたみたいで。ファンの方も嬉しさと感動があったんじゃないかと思います。
──“トキノタイカ”は衣笠さんが亡くなられた後にレコーディングされたんですか?
レコーディングは衣笠さん立合いの中、一緒に行いました。“トキノタイカ”と2曲目の“戦刃幻夢”はほぼ同時期に録音していて、この2曲が衣笠さんと一緒にレコーディングした最後の曲になります。
──衣笠さんとの最後のレコーディングを振り返ってみて、なにか衣笠さんと話した印象的なことはありますか?
もちろん最後のレコーディングになるとは思っていなかったので、本当にいつも通りでした。普段、衣笠さんがヴォーカルのレコーディングに立ち会ってくださって、ディレクションをプロデューサーとやり取りするんですけど、衣笠さんは自分もヴォーカリストだったので、同じヴォーカリストの観点から、プロデューサーとの通訳じゃないですけれど、プロデューサーが指示したことが難しそうだったら、こういうふうにやってみたらどうかという感じで、歌い手としての観点からいろいろアドバイスをくれました。“トキノタイカ”は歌の表現がすごく難しくて苦戦したので、そこを衣笠さんは本当に優しくフォローしてくれたのを思い出しますね。
──“愛おしき欠片”は衣笠さんが亡くなられた後にレコーディングされたそうですが、プロデューサーとの通訳みたいなことをこれまでしていただいたみたいな話もあったなかで、そういう立ち位置の方がいなくなったのはレコーディングも状況が変わったのかなと思うんですがこの曲のレコーディングに関してはいかがでしょうか?
そうですね、歌い方とかで迷った時は、衣笠さんならこういうアドバイスするかなとか考えながら歌ってましたね。それこそ“愛おしき欠片”は残してくださった最後の曲という思いが強くなりすぎて感極まってしまいそうだったんですが、気持ちを切り替えて、曲に集中することを意識してレコーディングしました。
──タイアップ曲でありながら、歌詞も別れや喪失をすごく感じつつも悲壮感が溢れたものかっていうと、必ずしもそうではなく、明るさや優しさもあって。もちろん衣笠さんのことがあって書かれたものではないと思うんですが、何かリンクを感じざるを得ないというか。'
その人が遠くに居るのか、もう会えないのか分からないですけれど、そういう大事な人からの言葉だったりを噛み締めながら生きていくという曲だと思うんです。想像でしかないんですけれど、実際この曲の歌詞を書いた須谷(尚子)さんの心のどこかに、頭の片隅に衣笠さんがいたかもというのは、ゲームの為に書かれた楽曲であっても何か結びついているのではないかと思います。