このバンドは“自由な国”、充実したムードで生まれた新体制初音源──nim、3曲入りシングルをリリース
京都を中心に活動し、エモ、オルタナをベースにしたメロディアスかつダイナミックなサウンドで国内外から高い評価を得るロック・バンド、nim。2020年に新メンバーが加わり、トリプル・ギターでの新編成となった彼らが、4年ぶりのリリースとなる3曲入りシングル「A thousand years」をリリース。OTOTOYでは今作のハイレゾ配信と併せて、ヴォーカル&ギターを担当するHisanaを迎えたインタヴューをお届けします。またOTOTOY限定で次作に収録予定とされる新曲(!)、“Ghosts ask us to come”のアコースティック・ヴァージョンの購入特典もあり! インタヴューと併せてこちらもぜひチェックを。(編集部)
5人体制になって初となる音源をハイレゾで!
INTERVIEW : nim
アグレッシヴで力強いサウンド、静と動を繋ぐツイン・ヴォーカル、衝動的で計画的なバンド・アンサンブル。nimの最新シングル「A thousand years」では、キャリア16年を実感させる重厚感ある音像と凄みを見せつけるとともに、バンドの限界なき可能性を我々に見せつける。メンバー・チェンジを経て、より一層の輝きを放つ新生nimはなにを考え、なにを思うのか。楽曲の作詞作曲を担当し、深い愛でバンドを支えてきたヴォーカル&ギターのHisanaに、新譜にまつわるヒストリーとnimのいまを問う。
インタヴュー&文 : 宮谷行美
写真 : hiro itou (インタヴュー・カットを除く)
精神的にも体力的にも良い方向へリセットするきっかけ
──OTOTOYではnimにインタビューするのが今回初めてとなります。バンド自体は活動16年目とキャリアを積んできましたが、Hisanaさんは2015年からの加入となるそうですね。まずは加入までにどのような経緯があったのでしょうか。
当時はまだ高校生で、ギターを始めたばかりのころだったのですが、スタジオで初期メンバーのnimと出会ったんですね。初対面にもかかわらず「ギターやってるの?」と話しかけてくれて、そこから次はスタジオ・ライヴに誘ってもらって、「身近にこんなにすごいバンドがいるんだ」と衝撃を受けました。それをきっかけにnimを追いかけるようになって、大学生のころには「nimのそばで音楽が聴けるならなんでもやりたい!」というファン精神で、スタッフとして関わるようになりました。
──愛がすごい(笑)!
そうですよね(笑)。スタッフを始めて1年後くらいに、数日に渡ってリリース・イベントを開催するなかで、急遽、当時のギタリストが抜けることになってしまって。ギターの練習としてnimの曲やギター・フレーズを教えてもらっていたこともあり、私がサポート・ギターを務めることになりました。そのまま正式メンバーとして加入することになりました。
──そうなんですね。大好きだったバンドにメンバーとして加入することに対して不安はありませんでしたか?
下手だからとか、年下だから、女性だからとか いろいろと気になることはありました。ですがnimが好きな自信だけは誰にも負けることはないと思っていたので、気合と勢いだけでやってきましたね。
──そんなHisanaさんから見て、nimというバンドがこれまで培ってきたものや大切にしてきたものとはなんなのでしょうか。
私が初めて出会ったときから、nimは“自由な国”というイメージが強いですね。曲を制作するにもライヴをするにも、ひとりひとりの意見や意思を大切にするようにしていて。ただ、自由を尊重する分、ひとつのアイデアに対してとことんまで突き詰めるし、フレーズや音階ひとつひとつにも一切妥協したくないというストイックさもある。あとは見ず知らずの高校生にも話しかけてくれて、ギターを教えてくれるような、優しさや人の温かさみたいなものを持っている人たちで、そういう内面が音やライヴにも表れているなと思います。
──nimはライヴ・バンドとしての印象も強いのですが、コロナの影響でバンド活動に変化ってありましたか?
元々ライヴ・バンドと言われることも多かったし、実際に年間100本くらいライヴをしている時期もあったのですが、その分常になにかに追われた状態が続いていたのもあって。「このままじゃ良くないな」とは各々が気付き始めてはいました。そのタイミングでちょうどコロナの影響が見え始めたというのもあったので、世の中の状況を踏まえつつ、まずは精神的にも体力的にも良い方向へリセットするきっかけにしようと思って、ライヴよりも話し合う時間や制作に時間を充てるようにしました。
──ライヴ・メインだった活動から切り替えることで、バンドとして活動が縮小された感覚はありませんでしたか?
いまの私たちとしては、無理にライヴをする必要はないと思っているので、数を打つことに専念するよりも、自分たちもお客さんも、ライヴハウスも安心できる状況で、1本1本精度の高いライヴをしたいなと思ってます。それに、遠征で時間や体力を使わない分、制作が捗るようになったので、別の形で活動が活発になったと思います。
──制作スタイル自体も大きく変わったんですね。
だいぶ変わりましたね。これまではライヴやりながら楽曲制作を同時進行してきましたが、いまはライヴに追われることなく気楽に制作できるようになりました。こんなにゆっくりと制作ができるのは、nim史上初めてです。