harhaの思い描く”未来”とは──何回でも、子供の頃の昂りを
トラックメイカーのハルハと透明感のあるボーカルのヨナべによるユニット、harha。子供の頃に抱いた高揚感を思い出して欲しいという願いが込められた『未来再来』というタイトルを掲げ、今回ファースト・EPをリリースする。正反対とも言える2人が織りなすharhaの楽曲について、どのような想いで楽曲を制作し、歌ったのか、全4曲について詳密に語ってもらいました。PENGUIN RESEARCHのベーシストやボカロPのkemuとして活動している堀江晶太が編曲を担当しているリード曲の”草縁”も必聴です。
待望の1stEP!
INTERVIEW : harha(ハルハ、ヨナべ)
トラックメイカーのハルハとシンガーのヨナべによる音楽ユニット、harha。このインタヴューは、ふたりの結成についての話からはじまるのだが、これがとにかくおもしろい。天性の才能を持ちながらも、デビューするまでは、それを世に出そうとは思っていなかったというヨナべ。そして学生時代から音楽にのめり込み、情熱を注ぎ続けたハルハ。ふたりが生み出す楽曲は、あらゆる人々に寄り添いながら、心に響き続けるだろう。harhaの物語はまだはじまったばかりだ。
取材&文 : 西田健
100%歌が上手いって確信していました。
──結成の経緯はSNS上でのやり取りからなんですよね。
ハルハ:そうですね。僕が女性のボーカルの方とユニット組んで活動していきたいと思っていて。その時たまたまYouTubeでヨナベさんがアップしていた動画を見て、ビビッときたんです。そこからSNSを見て「面白い人だな」と思ってDMしたのが始まりですね。
──ヨナベさんの歌声のどこにビビッときたんですか?
ハルハ:僕としては、楽曲に溶け込んで、共に歩けるように歌える方を探していたんです。ヨナベさんがまさにドンピシャでした。元々僕が作った曲があって、それに合う人を探していて、そこにめちゃくちゃハマったんです。その曲はまだリリースも、今回のEPにも入っていないんですけど。
──ヨナべさんは声をかけられたときは、どうでしたか?
ヨナべ:実は普段Twitter(現X)をあんまり見ないので、DMに気づけなかったんです。すごく丁寧に連絡をいただいていて、「人生こういうことがあってもおもしろいかもな」って思って会ってみることにしました。
──レコーディングのときに、はじめて会ったんですか?
ハルハ:そうです。スタジオで初顔合わせです。ヨナべさんは、YouTubeの動画では顔出ししていなかったので、スタッフさんと「どんな人なんだろうね」ってドキドキしながら話してました。普通はじめて会う人の前だと緊張すると思うんですけど、ヨナべさんは全然物怖じせず「すごーい! このマイク高いですか?」みたいな感じでスタジオに入って来たので、おもしろい人に間違いないなって思いました。
ヨナべ:覚えてないな(笑)。スタジオで歌ったこともなかったし、「すごい!おもしろい」って思いながら歌ってた気がします。
──ヨナべさんはなぜYouTubeに動画をあげていたんですか?
ヨナべ:カラオケで歌った動画を録っていたんですけど、自分の練習用にあげていただけなんです。スマホの容量が足りなくなっちゃうし、カメラロールに置いておくのが邪魔だなって思っていました。YouTubeにあげておけば、後から自分でもチェックできるしタイトルもつけられるから、「これは良い!」と思って。
──ということは、もともと歌い手やシンガーとして活動したいみたいな気持ちもなかったんでしょうか。
ヨナべ:そうなんです。誰かに見てもらいたいみたいな気持ちもなくて。限定公開のやり方もわかんなかったです。だから、まさかそこで声をかけられるとは思ってなかったです。
──ハルハさんは、よくそんな方を見つけましたね。
ハルハ:ヨナべさんの動画は結構再生回数自体は回っていたんです。「カラオケ直録り界隈」の中では相当上の方でした。カラオケ直録りだから、ミックスもなにもしていないけど、ダントツ上手かったですね。
──確かに。いわゆる「歌ってみた」のものだと、ミックスやエフェクトがかかっているから、直録りの方が素の歌声が分かりますもんね。
ハルハ:そうなんです。その点でいうと、ヨナべさんはカラオケ以外にもアカペラ動画をアップしていて、それもめちゃくちゃよかったんですよ。だから最初から100%歌が上手いって確信してました。
ヨナべ:「歌ってみた」をする発想もなかったので、iPhoneの純正のイヤホンのマイクで録ってました(笑)
──すごい。本当に素材のまま録ってたんですね。
ハルハ:そうそう。素材が高級食材だったので、どう調理しても美味しくなるだろうなって感じでしたね。
──先ほどからお話を聞いていると、ヨナべさんは「歌ってみた」や歌い手的な文化からは遠い感じがするんですけど、そういう動画は見たりしていましたか?
ヨナべ:いや…それがYouTubeをあんまり見なくて...。
ハルハ:不思議な話なんですけど、彼女はSNSに疎くて全然何も通ってないんです。YouTubeも曲を聴くぐらいしかしてないよね。
ヨナべ:そう。何にもわかんないです。
──歌を歌うのが好きだったんですか?
ヨナべ:歌を歌うのも別に好きではなかったんですけど、高校生の時にヨルシカさんの曲がすごく好きになったんです。ヨルシカさんは、はじめてひとりで新幹線乗ってライヴ見に行くぐらい好きになったアーティストだったので、歌ってみたいと思って歌を歌い始めました。
──好きになったのは、ヨルシカさんがはじめてですか?
ヨナべ:そうですね。あとは、RADWIMPSさんとか米津玄師さんとか。それまでは本当に時々流行りの曲を聴いていました。人にオススメされたものを聴いてみたりとかでしたね。
──でも、それでここまで歌えるのはすごいですね。
ハルハ:ボイトレもしたことなくて、カラオケで歌ってただけなのに、スタジオでハモリのメロディを教えたらその場で歌えるんですよ。
ヨナべ:なんでだろう?
ハルハ:多分めちゃくちゃ耳がいいんだと思うんです。普段のレコーディングの時も、僕が抽象的なディレクションをすると曖昧な返事が返ってくるんですけど、なぜかできてるんですよ。特に音程は外さないですね。僕よりも繊細なピッチ感を持っているんだなと思っています。