【OTOTOYレポート】ライヴ・ストリーミング、配信するならどれを選ぶか
コロナ禍において注目が集まっているライヴ・ストリーミング。思い浮かぶだけでもYoutube Live、Twitch、ツイキャスなど、かなりの数が存在しており、選択肢はますます増えている。配信をする側はどれを選ぶべきなのか、また、配信を行いながら収入を得るためにはどのプラットフォームを選べばいいのか、主要なものを紹介していく。
YouTube Live
動画配信において、最もポピュラーな存在としては挙げられるのはYouTube Liveだ。それなりにネットに詳しくない人でもYouTubeいう名前は耳にしたことがあるだろう。チャンネル登録しているユーザーには告知が出せるため、すでに動画配信をしていてチャンネル登録をしている人数が多いところは有利だ。
また、YouTube Liveが他の配信プラットフォームと比べて大きくリードしているのは、一部の市販の液晶TVやゲーム機、Amazon Fire TV StickなどにYouTubeの再生機能が標準装備されている部分だ。視聴にあたって、大画面で視聴したいというニーズにも問題なく対応できる。これは大きな利点だと考える。
次に収益化についてだが、YouTube Liveにおいて、収入を得るためには一定の条件をクリアする必要がある。
条件は
・収益化ポリシーに準拠している
・有効な公開動画の総再生時間が直近の12か月間で4,000時間以上であること
・チャンネル登録者数が1,000人以上であること
・・AdSense アカウントを持っていること
この条件を満たせばYouTube パートナープログラムに参加することができる。また、投げ銭はスーパーチャットという機能で行われる。さらに、ライヴ配信中に視聴者がメッセージを目立たせることができるSticker(200〜500円程度)という機能も存在しており、こちらの売り上げも配信者側の収入となる。今後もYouTubeによる収入はさらに多様化していくだろう。
YouTube
https://www.youtube.com/
Twitch
次に、無料配信系で大きく広がりを見せているのは、Twitchというプラットフォームである。YouTubeに比べるとまだまだ知名度は弱い部分があるが、Twitchはスマホでバックグラウンド再生が可能であることもYouTubeとは違う点の一つである。
また、Twitchの特徴として、レイドという支援機能が存在する。この機能を使えば、配信者は自分の配信が終了したあと、その視聴者をそのまま自動的に他の配信中のチャンネルに流すことができる。つまり、配信者同士での視聴者の共有が可能なのだ。フォロワーが少ないチャンネルでも、多数の視聴者がいるチャンネルから流してもらうことでフォロワーを増やすチャンスができる。
収益化を可能にするためにはTwitchアフィリエイトユーザーというアカウントになる必要があるが、こちらもYouTubeと同様に、ある条件をクリアする必要がある。
・過去30日間において合計500分以上の配信をした
・過去30日間において7日以上のユニーク配信日数がある
・過去30日間において平均3人以上の同時視聴者があった
・50人以上のフォロワーがいる
以上がその条件であり、Youtubeと比べると条件をクリアする難易度は低いように感じられる。投げ銭は、Twitch内で購入可能な、ビッツ(bits)と呼ばれるポイントを使って行われる。送る側は1ビッツ=約1.4円で購入することができ、配信者は1ビッツ=1円で換金できるので還元率としては約7割。Twitch は秋葉原MOGRA主催のストリーミングのDJイベント〈Music Unity2020〉でプラットフォームとして使われたことから注目を浴びたこともあり、今後もDJ配信などでますます話題になっていくことが考えられる。
Twitch
https://www.twitch.tv/
ツイキャス
無料での配信は広く多くの人に見てもらえることにメリットがあるが、収入面で考えれば、投げ銭は視聴者からの善意に頼ることになるため、どれくらいの収入が入るのかが見えにくい。そんななか、ツイキャスでは、配信する側がチケット制の有料配信か無料配信かを選ぶ事ができる。
有料のプレミア配信は、チケットの値段を300円〜30,000円まで自由に設定することが可能であり、予定した配信日時以外でも、早期購入者向けの特典配信などを柔軟に行うことができる。また、チケットの販売手数料は一件ごとに、一律20%の手数料がかかるが、2020年6月30日までに購入決済されたものについては、手数料が0円となるキャンペーンを行っている。
また、投げ銭はお茶爆と呼ばれるアイテムによって行われる。投げ銭収益を受けるには過去3ヶ月以内における動画の累計視聴時間が100時間を超過しており、なおかつ18歳以上であることが必要である。その算出方法は非公開ではあるが、ユーザーからはその還元率の高さに注目が集まっている。
ツイキャス
https://twitcasting.tv/
ZAIKO
チケット制の有料配信において、いま一番注目を浴びている配信プラットフォームはZAIKOストリーミングというサービスだ。
ZAIKOはもともと電子チケットの配信サイトで、3月13日に配信されたceroによる電子チケット制配信ライブで話題を集めた。チケットは通常のライヴと同じように販売され、購入者には、Vimeoを経由したライヴ配信の閲覧用リンクが含まれた購入確認メールが届くという仕組みだ。
次に、チケット販売手数料という点で考えていく。ZAIKOは主催者の配信チケット販売手数料として、通常10%+50円が配信者側にかかってくる。しかし、5月15日から、チケット1枚ごとに、購入者チャージとしてチケット代に220円を上乗せすることで、チケット販売手数料を0%に設定することができる機能が追加された。これにより、従来ではチケット料金に含まれていた販売手数料を、購入者への負担とするかの選択が配信する側が行えるようになり、売り上げ金額の分配方法をコントロールが可能である。
さらに、チケット代に加えて、他のプラットフォームと同様、投げ銭で追加の収益を得ることが可能だ。ZAIKOではチケット購入時や視聴中(Stickitsというデジタルスタンプを購入する)さらに視聴後など様々なタイミングで、ことができ、 (アーカイブ時)にそれを利用することができる。投げ銭とStickitsの売上金からは利用手数料として20%引かれるため、その80%は配信者に入ってくる。他のプラットフォームより高い投げ銭還元率である。
また、他の無料配信と違う部分でいえば、チャット機能がない事がないため、サイト内での交流はできない、ライブ配信中は巻き戻して再生できない(アーカイブをのこせば可能)など差別化が図られている。ZAIKOは現在急成長している会社なので、どんどんアップデートされることが期待される。
ZAIKO
https://zaiko.io/
Streaming+
有料サービスとして、ZAIKOを紹介したが、5月15日に大手チケットエージェンシーであるイープラスが、新たに配信プラットフォームStreaming+として名乗りを挙げた。
Streaming+はZAIKOと同じように通常のチケット販売と同じ手順でチケットを購入する。購入時のIDでログインすることで、イープラスのサイトにて視聴ができるという仕組みである。また、Streaming+ではオフィシャル・グッズ販売サイト「e+ SHOP」に委託したグッズを視聴ページで紹介することが可能だ。
また、Streaming+は配信環境をサポートすることで配信者のニーズに対応するプランを用意している。配信者が持っている配信設備で配信する“セルフプラン”、会場から配信環境まで提供する“「eplus LIVINGROOM CAFE&DINING」トータル・サポートプラン”、配信機材やカメラマン、スウィッチャー、ディレクター、配信管理担当(当社配信チーム含む)の手配を行う“配信サポートプラン””から選択することができる。
手数料の面で言えば、チケット販売に関わる決済、販売システム、プロモーション、配信に関わるサーバー、システム運用等のコストを含めて、視聴チケット売上の8%〜15%が差し引かれる。(6月30日までの配信分については、キャンペーンとして、一律3.9%(購入者システム利用料なし))。
さらに、7月からは独自開発の「AWS Elemental MediaLive」というサービスを開始し、多拠点を結ぶマルチ・ロケーションや投げ銭、視聴画面からグッズ購入、海外向けインバウンド販売など様々の機能が順次追加する予定であり、ますます需要は高まっていくだろう。
Streaming+
https://eplus.jp/sf/guide/streamingplus
ライブハウス主導の配信
最近の流れとしては、ライヴハウス主導の配信の動きも続々と誕生している。たとえば、チケットシステムを独自開発した下北沢BASEMENTBARや、撮影&配信機材、人件費込みでの配信サポートプランを提示している下北沢GARDENや青山月見ル君想フなどだ。配信のプラットフォームはライヴハウスごとに違ってくるが、ぜひ合わせて検討してみてはいかがだろうか。
下北沢BASEMENTBAR
https://toos.co.jp/basementbar/
下北沢GARDEN
http://gar-den.in/
青山月見ル君想フ
http://www.moonromantic.com/
最後に
以上、今回紹介した他にもニコニコ生配信の人気は根強く、LINE LIVEやインスタライブ などの手軽にできるものや、音楽配信をメインにしたもの以外でもSHOWROOMや17 Liveなどの双方向コミュニケーションを重視したものも存在している。大手でいえばチケットぴあの参入なども始まり、これからの注目を浴びるであろうライヴ・ストリーミング業界。他にも情報があればぜひ、OTOTOYまでお寄せいただければ幸いだ。
OTOTOYお問い合わせフォーム
https://ototoy.jp/contact/?volatile_init=true