OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.291 クールダウンなダウンテンポで読書
OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)
クールダウンなダウンテンポで読書
もはや秋は来るのか? 毎週のように気温の低下が先延ばしになる天気予報。先週は今週で最後って言ってたじゃないの、と。このままアベレージ30℃超えのまま10月に突入しそうな東京ですね。ここ数年は……と思い出しても今年はなんつうかひどいですな。
こう暑いとなんか聴く音楽も限られてきそうですが、つい先日リリースされたスルッとサイケデリックな、感覚の拡張を促してくれる王舟『Town Dune』のクールな佇まいにヤラれてしまったので、このあたりをキーに、ここ数ヶ月でリリースされた国産音源 (一部、リマスター+アーカイ奉行 ©高木テンチョー的なリイシューあり) で組んでみました。暑すぎると、こうのんべんだらりとしたアンビエントがなんとかなくダメでして、ニューエイジなんてもっての他! となるので、今回はひやっこい感じのダウンテンポで、なおかつ疑似トロピカル感もありで、秋の読書にもええ感じですよ。
読書と言えば、まだ読了してないんですが最近出た円城塔の小説『コード・ブッダ 機械仏教史縁起』がめっぽうおもしろく。ある対話型のチャット・ボットのコードがブッダを自ら名乗りはじめて……という話なんですが、「機械仏教史縁起」というサブタイトルにあるように、そのコードがぶち上げた「機械仏教」を題材に、仏教史と人工知能史 / コンピューターサイエンスが絶妙に入り交じる形で緻密に展開されていて、ブッダの十大弟子のひとりを名乗るAIがニュース生成AIだったり (そのあたりのネタ元にはもちろん実際の仏教史のなかのキャラクターもあってという) と、もう自分でもなにを書いているのかわからない感じの話が展開されています (たまごっちも出てきたな)。さっき調べたら実際に、仏典を学習させたブッタとの対話を疑似体験できるAIボットってのがあるんですね。
ということで、秋の夜長……ではなく、まだまだ熱帯夜みたいな気温がきそうですが、このあたりの楽曲をBGMに読書なんてどうでしょうかという提案でした。