OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.269
OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)
昨夏、あの場所で
RADWIMPSがライヴ音源を配信リリースしました。CDや特典ダウンロードという形ではこれまでもありましたが、サブスクなど各サービスでライヴ音源が配信リリースされるのはおそらく初のことだと思います。
今回音源化されたのは、RADが昨年6月から全国5箇所のZeppを巡ったライヴハウスツアーの東京公演。全公演のセットリストが新旧ミックスではなくほぼ “旧” で構成されていて、ファンは大歓喜、それはそれは伝説的なツアーでした。その感動をいつでもどこでも思い出せるようになったというこれ以上ないサプライズです。最後に1曲だけZepp Fukuokaで演奏した “ものもらい” が収録されていますが、ちょうどこの日の公演にいた自分にとっては「1曲でも音源化されるなんて。というかむしろ1曲だけなんて!」と、嬉しい報せににまた嬉しさが重なりました。何歳になっても自分にとって絶えず特別な存在であり続けてくれることは、すごく贅沢で有り難いことだなと日々思っています。
RADはいまアジアツアーの最中で、ちょうど先々週と先週末は日本公演でした。漏れなく私も先週は日本公演ファイナルのぴあアリーナへ。(6月に金沢公演が発表されましたが、その後にすぐまたフィリピンや香港などに旅立つのでひとまず日本ファイナルということみたいです。) スタンディング、かつ本当にずっと聴きたかった曲を本編の最後に演奏してくれて大満足以上のライヴでした。ただやっぱり昨夏のZepp公演が自分にとってはどうしても揺るぎないもので、あの日馬鹿みたいに泣きじゃくった思い出がしばらくはいちばん高いところにあるままなんだろうなとも思いました。東京公演当日の様子はこの音源からしか分からないけれど、でもちゃんとその場にあった熱狂とか感動とかそういう刹那的な感情がちゃんとここにパッケージされているはずです。アリーナやスタジアム公演、劇伴など書ききれないくらいの経験を積んだ後、また無邪気で完全なロックバンドとしてライヴハウスに戻ってきた瞬間の記録。ぜひハイレゾで聴いてみてください。
