OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.72
OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)
私的シャムキャッツ ベスト・トラック
緊急事態宣言解除からおよそ1ヶ月半が経過しましたが、東京都の新型コロナウイルス感染者が1日に200人を超えるなど、まだまだこのウイルスへの恐怖感は消えていきませんね。ただプロ野球やJリーグなどで観客を入れて試合を開催したり、ライヴなどのイベント開催の制限が緩和されたりと、徐々にこれまで通りの生活が戻ってきているのが本当に救いです。こういういいニュースが増えていくといいな。
そんななかでシャムキャッツ解散という悲しいニュースが届いた。あまりに突然のことだったので、「解散する」ということを聞いたときは言葉が出ていなかったかもしれない。大学時代にシャムキャッツを知ってから、当時東京インディーと言われていたスカートやミツメ、柴田聡子、どついたるねんなどもそうだし、いろんな音楽を聴きはじめるきっかけになった。なんとなく友達の兄ちゃんみたいな距離感で彼らを見ていたのかもしれない。それまでオルタナティヴ・ロックのかっこよさがいまいちわからなかったけど、その絶妙な距離感によってか、彼らの音楽に心を撃ち抜かれた。どこか飄々と、ゆるりと、甘く、ユーモアに富んでいるにも破壊力抜群。
そんなシャムキャッツが大好きだったし、こういう音楽をより多くの人に広めていくことができないか、といまの会社に入ろうと思った。事実、いまの会社の選考時の課題で、シャムキャッツについて書いている。だから菅原慎一さんにアジア音楽を語ってもらうイベント〈夜間音楽ラボ〉を開催できたのは、たぶん一生忘れないできごとになったし、『はなたば』リリース時に記事の編集を担当できたことはとてもうれしかった。
これからも彼らは別々の道で音楽を鳴らすだろうから、いまはもう悲しくない。これから出会う音楽を楽しみに待っている。