OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.36
OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)
WARP30周年を10曲で振り返り
リーズにてUK最初期のエレクトロニック・ダンス・ミュージック・レーベルとして誕生したWARP。いまやそのジャンルの枠を極限までに拡大させ、今年で30周年を迎える。初期はLFOに代表されるブリープ・ハウス(ダビーな低音と効果音のような電子音で構成されたテクノ)のレーベルとしてスタート。1990年代に入ると、チージーなレイヴ・ミュージックへの反抗として、“聴くテクノ”アーティシャル・インテリジェンス・シリーズを高らかに宣言。さまざまな批判はあったものの、オウテカを世に送り出し、その流れは同時にエイフェックス・ツインを取り込み、最終的には1999年後半のボーズ・オブ・カナダに至るまで、その後に続くエレクトロニカ / IDMの流れを作り出した。その横でスクエアプッシャーとエイフェックスがドラムンベースのオルタナティヴを、ナイトメアーズ・オン・ワックスが『スモーカーズ・デライト』やアンドリュー・ウェザオールのセイバーズ・オブ・パラダイスがトリップホップ~エレクトロニック・ダブを牽引。さらにドレクシアなどエレクトロを……と、常にエレクトロニック・ミュージックの刺激的な極点であり続けている。2000年代に入ると!!!やバトルスなど、ダンス・バンド~ポストロックと、その焦点をエレクトロニック・ミュージックからさらに広げている。もちろんその間にも、WARPの王道路線とも言えるテクノのレフトフィールド・サイドは、(クリス)クラークがエイフェックス・ツインの不在を埋めるように活躍。そして2000年代後半にはフライング・ロータス、ビビオ、そして御大、ブライアン・イーノ、2010年代には、さらにワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、ケレラやイヴ・トゥモアといったきら星のようなアーティストが連なっていく。その流れは常に、なんらかのオルタナティヴを提唱し、振り返れば自らの道を作ってきた、そんな30周年のWARP。今後はいかに!