2023/10/13 18:00

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.242

OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)


秋空と猫

長期で留守にする知人夫婦が飼い猫のお世話を頼んでくれて、しばらくのあいだ通っていました。お世話といっても基本的にはご飯と飲み水の補充、トイレ掃除くらい。あとはひたすらにかわいい猫をながめたり触らせてもらったりして猫とのスーパーくつろぎタイムを堪能しました。大好きなその猫になんとか気持ちを伝えたくなって、名前を呼んだりかわいいねと話しかけたり触りにいったりと、ついつい人間のクセを発動させてしまいがちでしたが、いつも華麗にスルーしてくれるので、あ、そうだ違う生き物なんだったと毎度実感させられていました。猫にとっての幸せってなんだろう。ご飯もたっぷりあげて、お水も交換して、トイレもきれいにしてあるのにアーアーと鳴いてなにかを伝えようとしているときが何度かありました。遊ぼうとしてもすぐに飽きられるし、なにをしてほしいんだろうとあれこれ猫に話しかけてみるものの、あたりまえに返事は返ってこず、どうしたものかと考えていたのですが、もしかしてただ鳴きたくて鳴いてるだけなのかも、とふと思ったときがありました。それだったら私にも分かる、分かるよ。私もなんとなくボーッとしたいときもあるし、なんとなく走りだしたいときもあるし、その時々の気分ってある。共通言語がなくてなかなか分かりあえない生き物同士だけど、猫にだって気分はあるだろうし、なんだったら気分屋の代表格みたいな生き物といわれていることを忘れていたのでした。とはいえ、ただの気分でアーアー鳴いていたのかは定かではありません。猫と人間は互いに違った生き物で、一方的な人間の事情で猫と暮らすことが多いと思います(そうじゃない場合もあると思います)が、猫にできるだけ幸せに過ごしてほしいと思うのは人間側の共通でもっている認識だと思います。でもどうするのが猫にとっての最適なのかは、分からない。分からないから、想像し続けるしかないんですかね、たぶん、見当違いだったとしても。ほかの生き物と違って、人間はそういう生き物なのかなと思いました。と、人間目線でつらつら書きましたが、今回改めて実感したのが、やはり生き物は癒しのパワーがすごい。視覚で、触覚で、たまに聴覚で(猫のプープー鳴る鼻息ってかわいすぎませんか?)、会うたびに胸がぎゅーっとさせられて、こんな気持ちにさせる生き物ってすごいなあとしみじみ思いました。いつか一緒に暮らせたら。

プレイリストには、知人宅の窓辺で猫と一緒にながめた青く澄みわたった秋空がとてもきれいで、クラシックの曲が似合うかもなあと思い、バッハやハイドン、モーツァルトなどの古典派からロマン派のシューベルトや印象派のラヴェルなど、クラシックのピアノの楽曲を選曲しました。オトトイにもクラシック音楽の有名どころはわりとそろっているので、ご興味があるかたはぜひ検索してみてください。

この記事の筆者
石川 幸穂

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