2023/11/17 18:00

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.247

OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)


小説を読む、音楽を知る

最近、また小説をよく読むようになりました。ここ1年くらいは漫画ばかりでしたが、いまは文字をたくさん読みたい気分なので本を買っては読んでを繰り返しています。

漫画は絵と文字で構成されますが、小説は文字だけしか情報がないので読み手の想像力が試されるような瞬間に溢れています。自分が見た景色や登場人物に似ている知人を思い出しながら、物語に自分の人生を重ねたり、はたまた自分が知らないことを好き勝手に空想したり。そういう時間はとても心地がよく、小説もとてもいいものだなと改めて思います。

ちょうど昨日、伊坂幸太郎の『アヒルと鴨のコインロッカー』を読み終えました。登場人物の面倒臭い会話に深く共感したり、伊坂さんの耳には玄関のピンポンの音が「ピン」という軽快な音と「ポーン」という長い音とに分かれて聴こえているのねって感心したりして、読みながら何度も心をくすぐられました。物語も構成も素晴らしく、約20年前に出版された小説のようですがここ最近でいちばんのお気に入りです。

プレイリストには小説を読むときに聴いている曲と最近読んだ小説のなかに登場した曲を入れました。歌詞に引っ張られてしまうことがあるので、読書中はヴォーカルが少なめの曲かインスト曲が中心。普段進んできかないような曲ばかりなので、小説を読んでいなかったら生涯知らなかったかもしれません。ちなみにボブ・ディランの “風に吹かれて” は、『アヒルと鴨のコインロッカー』に何度も登場します。読みながら改めて聴いていたら、物語もあいまって好きな曲になりました。新しい小説を読んでいくにつれ、「読みながら聴いていた」「読んでいた本に出てきた」から好きだという曲が増えていくのでしょうか。それってとても楽しいことのような気がします。

この記事の筆者
梶野 有希

1998年生まれ。誕生日は徳川家康と一緒です。カルチャーメディア『DIGLE MAGAZINE』でライター・編集を担当し、2021年1月よりOTOTOYに入社しました。インディーからメジャーまで邦ロックばかり聴いています。

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