いま聴いておきたい!!!──歌唱力がスゴイ 令和の女性SSW 6選
松任谷由実や西野カナ、あいみょんなど、日本の音楽シーンを彩ってきた女性シンガーソングライター。時代は令和へ移り変わっても、彼女たちのような存在が才能を煌めかせていることは変わらない。それどころか、SNSの台頭により続々と新たな原石が発掘されている。本稿では、2024年の今、絶対に抑えておきたい6組のシンガーソングライターについて触れていく。
文:坂井彩花
tuki.
現在高校1年生の15歳。幼少期からピアノを習い始め、13歳になると自粛期間で学校が休みになったのを機にギターと歌をスタート。趣味感覚でTikTokへ投稿したカバー曲やオリジナル楽曲の弾き語りが話題となり、「突如現れた謎のシンガーソングライター」として一躍有名に。なかでも、2023年にSNSで発表した「晩餐歌」の反響は大きく、同年9月に各種配信サービスでリリースされると、歴代最年少で累計2億回以上の再生回数を記録した。
日本語を基調とした歌詞は、あまりにも表現が洗練されていて彼女が15歳であると忘れてしまうほど。日常生活の出来事であっても、研ぎ澄まされた感性で受け取れば、こんなにもドラマチックに描かれるのかと驚かされる。言葉を繊細に紡ぎあげていく声は、凛とした芯の強さを感じさせるのが印象的だ。ヒットソング「晩餐歌」のアンサーソングとして「愛の賞味期限」がリリースされたので、物語や言葉の繋がりを感じながら聴いてほしい。
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乃紫
作詞作曲から編曲やアートワークまでセルフプロデュースする24歳。大学3年生の夏、知り合いにDTMを触らせてもらったのを機に、楽曲制作の面白さに目覚めた。2022年6月にはSNS上での音楽活動を開始し、2023年には活動を本格化。もともと写真を撮ったり映像を創ったりするのが趣味だったため、作りたい世界観を明確に持っており、楽曲もコンセプトファーストで生み出されている。
UGC(「User Generated Content」の略称であり、「ユーザー生成コンテンツ」を意味するマーケティング用語)を意識して作られた作品は、一度聴いたら耳に残るほどキャッチー。フックになるワードを巧みに入れこみながら、自由な発想で音楽を組み立てていく。もともとのミーハーな性質や一般的なリスナーとして過ごしてきた時間によって培われたユーザー視点が、大衆に刺さるアプローチを見出すのに一役買っているのだろう。歌唱スタイルも枠に捉われず、楽曲を魅力的に聴かせることに重きが置かれている。TikTok総再生数が19億回超えを記録している「全方向美少女」を聴かずして、2024年は終われない。
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野田愛実
三重県出身。演歌を歌っていた祖父の影響で、幼い頃から演歌教室に付いていき、一緒に歌っていた。大学進学と共に上京してからは、下北沢のライブハウスを拠点に活動。コロナ禍に「自分の歌声を届けることを辞めてはいけない」と始めたYouTubeへのカバー動画が大きな反響を呼び、現在はチャンネル登録者数25万人、総再生回数7400万回以上を突破している。また昨年7月にリリースした「ロスタイム」を皮切りに、先週10/31にリリースされた「明日」を含め全7作品をリリース。さらにこれまでリリースした全ての楽曲にドラマ・アニメのタイアップがつくなど業界内外でも実力が評価されているアーティストである。
たくさんの人を魅了する歌声は、混じり気がなくブライト。無意識に喉をギュッと締めたりパワーで押したりしがちな高い音やロングトーンであっても、解放感のある声色でスパンと当てていく。なおかつ楽曲を読み解く能力も高いため、カバーをする際には、自分の個性に落としこんで表現することができるのだ。最新曲「明日」では、ドラマ『わたしの宝物』と溶け合う彼女の世界観を感じてもらえるに違いない。
野田愛実 INFORMAION
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ざらめ
ネガティブとポジティブの狭間の想いを歌い続ける21歳。小・中学生の頃は、周りと馴染めず不登校に。家庭環境も複雑だったことから、どこにも居場所がなく、歌を唯一の生きがいとしていた。歌手になる夢を諦められず、姉の反対を押し切って2022年に福島県から上京し、新宿を中心に路上ライブをスタート。TikTokと『Red Bull Jukebox 2023』の特別企画として2023年に行われたハッシュタグチャレンジ『#優里から翼をさずかるチャレンジ』で優勝者に選ばれ、特典として優里から楽曲提供を受けた。
“陰陽併せ持った歌声”を謳っている、ざらめ。力強く言葉を届けたり、透き通って響かせたり、歌声を柔軟に操るスキルもさることながら、特筆すべきは歌声にこめられる感情の重さだろう。気持ちを端的に吐き出すのではなく、その裏に秘められた希望や葛藤、困惑だって声に濃縮して放つ。ざらめが所属しているバンド、アオの楽曲でも違う角度から彼女の高い伝達力を感じてもらえるだろう。
ざらめ INFORMAION
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紫 今
作詞作曲のみならず、編曲や映像制作のプロデュースも手掛ける22歳。両親の影響で音楽が身近にある幼少期を過ごし、アフリカンミュージックやゴスペル、ソウルなどに慣れ親しむ。自分で音楽を掘るようになってからは、アニメやアニソン、ボーカロイド、K-POPなどにも触れ、音楽的な素養を拡げてきた。中学生になりギターを弾き始めると、YouTubeチャンネルを開設してカバー動画の投稿を開始。2023年には「ゴールデンタイム」がSNSで話題となり、配信リリースをスタートさせた。
聴く者を惹きつける歌声は、スキルフルかつ懐が深い。定められた通りに音を刻むボーカロイド的な無機質さと感情に全てを委ねる有機的なアプローチを両立させるだけでなく、ホイッスルボイスやハスキー、ウィスパーボイスなども使いこなし、さらには言葉の奥にある意味を声に乗せて表現する。幼い頃から彼女が吸収してきた全ての音楽が、紫今という媒体を通してオリジナルに昇華されているのだ。
紫今 INFORMAION
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浦小雪
長崎県出身の24歳。幼い頃から両親の影響でビートルズやカーペンターズなどに触れ、小学校中学年のときに出会ったアヴリル・ラヴィーンをきっかけに音楽へのめりこんでいった。中学3年生の頃には作詞作曲を開始し、高校生になると音楽投稿アプリへ楽曲投稿を開始。2020年には長崎大学でSundae My Clubを結成し、大学卒業をきっかけに2022年からはソロ活動を始めた。
真っすぐにスカッと抜けていく歌声は力強く、一直線にライブハウスの奥まで飛んでいく。晴れた日に外を歩いていると哀しみが太陽の光に溶けていく感覚があるが、浦小雪の歌声はそれと同じようなパワーを放っている。また、吉本ばななや西加奈子、綿矢りさといった作家の影響を受けた、柔らかな文体の歌詞も特徴的だ。日常で感情が動いた瞬間を真摯に受け止めつつも、表現に落としこむ際には丸く優しく世界を創っていく。「スウィートトゥース」には、そんな彼女のしなやかな言葉と心地よい歌声が溢れている。
浦小雪 INFORMAION
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