shallm、「楽しむ」から「伝える」へ── 聴く人を"魅了"するキャッチーなメロディに迫る
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19歳のシンガーソングライター、liaのバンド・プロジェクト"shallm"が、鮮やかで魔法のようなアルバム『charme』をリリースした。TVアニメ『姫様“拷問”の時間です』オープニングテーマ「まっさかさマジック!」やMBSドラマ「女子高生、僧になる。」オープニング主題歌「センチメンタル☆ラッキーガール」など全13曲を収録。バンドを結成したことで、「ひとりじゃない」と思えるようになったと語るlia。shallmとしてのデビューから1年半の月日が経ったいま、心象の変化や楽曲の作り方、深く影響を受けたボーカロイドや今後の野望についても訊きました。
shallmの色々な面を見ることができる1枚
スペシャル・フォトギャラリー
INTERVIEW : shallm(lia)
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ステージに立てば勇ましく、口を開けば柔らかで、心に少年マンガマインドを宿す、19歳のシンガーソングライター、lia。そんな彼女が仕掛けるバンド・プロジェクトが、“Shallm”だ。周りの人や作品から受けた影響を、自身のフィルターを通して音楽へ昇華。ふり幅の広い歌声を器用に操りながら、作品のテーマを自由自在に表現していく。アルバム『charme』に触れると、Shallmが生み出すカラフルなクリエイティブな体感していただけることだろう。本稿では、アーティスト活動を始めたきっかけから紐解き、デビューしてからの心境の変化やアルバムにこめた想いなどについて語ってもらった。
取材&文 : 坂井彩花
写真 : つぼいひろこ
自分の人生経験には限りがある。
――なぜshallmは“liaのバンド・プロジェクト”として始動したのでしょうか。
lia:ひとりで歌うのももちろん好きなんですけど、バンドにすることでメンバーの熱量もプラスされる気がして。後ろに強い味方がいる感じがするというか。「ひとりじゃない」と思えるんですよね。あとは、私が曲を出しているというより、バンドが曲を出している形にしたかった。身に纏うものが1枚あったほうがやりやすいと思い、バンド・プロジェクトになりました。
――バンドが曲を出している形にしたかったのは、なぜですか。
lia:lia個人として曲を出すだけだと、私が思っていることをそのまま書いていると受け止められてしまうような気がしました。私は私が思っていないことも書くし、いろいろな曲を作っていきたい。バンドメンバーも固定ではないので、柔軟にやっていきたいと思っています。いろんなものに手を伸ばしている新しいバンドになれたらなって。shallm結成前、ひとりで作り出せるものに限界を感じていたこともあり、今は価値観が広がる感覚がありますね。自分の人生経験には限りがありますし、何より人と作るのは楽しいです。
――なにか「自分の人生経験には限りがある」と感じるような出来事があったんですか。
lia:学生時代にやっていたバンドの経験が大きいのかな。やってもやっても上がいて、どうしたらいいのかわからなくなっちゃって。すごい人と一緒にやれたら、すごいことになりそうだと、ずっと思っていました。
――作詞作曲では、どのようなことを軸にしていますか。
lia:自分が聴いてカッコイイと思えるかどうか、楽しいと思えるかどうかは、意識しています。一番の影響源はボカロなので、起伏の激しいメロディーラインになりがちだったり、歌詞を詰めてしまったりということはよくありますね。
――曲作りのペースは、早いほうですか。
lia:バラツキがあるというか。作るときは作るけど、作らないときは作らないという感じで(笑)。ちょっと前に作ってあった曲を久しぶりに引っ張りだして、もう1回作り始めようとしても無理なタイプなんですよ。「今の自分なら、もっといい曲ができるんじゃないか」と思って、結局消しちゃう。短期間でワッと作り終えないとダメなんですよね。「ここまで作るぞ」って決めて、完成させないと。でも、本当に無理なときは、チームの人に電話して「ちょっともう無理です。気分転換します」と伝えて、期限を延ばしてもらうこともあります。
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――先ほど「一番の影響源はボカロ」という話がありましたが、作詞作曲以外にも影響を受けている点ってありますか。
lia:ボカロにハマったことで「起伏が激しい曲も音域の広い曲も歌えるようになりたい」と思い、たくさん歌を練習するようになりました。
――ボカロに出会う前後で歌いかたは違うんですね。
lia:そうですね。ボカロに出会って「ただ歌うことを楽しむだけじゃなく、上手くなりたい」と明確に思いました。ファルセットを使わずにボーカロイドの音域を出せるように意識することで、地声の音域も広がったし、けっこう高い音も出せるようになりました。
――歌いかたは、どなたかに教わったんですか。
lia:そういうわけではないですね。幾度もカラオケへ行って、ずっと歌ってました。8時間パックみたいなので入って、本当にひたすら歌うって感じです。両親から聞いたのですが、カラオケは小さい頃から大好きだったらしく、親が連れて行くたびに「帰りたくない!」って騒いでいたみたいです(笑)。当時は3歳とかで曲も全然知らないから、同じ曲を繰り返し歌い続けて。褒めたらもっと頑張るような子だったと親は言っていました。悔しがりで負けず嫌いなんですよね。今でも他の人のカッコイイ曲を聴くと「負けたくない」って思います。勝ち負けじゃないとわかりつつ、「もっと頑張ろう」と思えるんです。
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