PIGGSがメジャーとバトル!? 第1弾シングルのプロデュース権をかけ真剣勝負!──徹底検証、『#PIGGSメジャーへの挑戦』!!!

【メジャーとは? インディーとは? for PIGGS vol.1】
2022年5月9日に渋谷Spotify O-EASTにて開催されたPIGGSの「SOUL MEAT 2929 TOUR」のファイナルは、本当に本当に素晴らしかった。低かった技術は修正され、高かった技術はより高く、メンバーの不断の努力が見事に結実した瞬間だった。そしてアンコールで突如発表された、インディーズラストシングル2種類発売!その意図とはいったいなんなのか。
TEAMメジャー vs TEAMインディー !!!!!!!???????
どうも7月13日に発売されるインディーズのラスト・シングルは、メジャーの第1弾シングルのプロデュース権をかけて、某メジャーレーベル制作陣が集ったTEAMメジャーと、プープーランド制作陣が集ったTEAMインディーが、楽曲やジャケットデザインなどの様々なクリエイティブを発表し、それらをリリース翌週の7月19日に、TEAMメジャーとTEAMインディー、どちらのクリエイティブが好きだったのかをリスナーに投票してもらい、得票の高いTEAMがメジャーデビュー・シングルのプロデュース権を得るとのこと。
編集部が仕入れた情報によると...
どうも内部では、メジャー路線の売り方がいいのか、今までのプールイを象徴するようなインディーのマインドを持った売り方がいいのかで大論争が繰り広げられてたそうで、議論は深まるが決まることのないこの論争に終止符を打つべく、プールイはなぜかお客様にその方向性を委ねることにしたのだ(なんでやねん!)。
とりあえず、いくつかの疑問が湧き上がる。
1、TEAMメジャー、TEAMインディーとは!?
編集部が仕入れた情報によると...
TEAMメジャー・・・ブタ山氏(仮名)率いる某超有名メジャーレーベル会社の繋がりの制作陣。
TEAMインディー・・・プールイ率いる、プープーランド制作陣。
Ryan.B(サウンドプロデューサー)、METTY(プロデューサー、デザイナー)、カミヤサキ(振付師)、まとしー(プー・ルイの友達、映像)は、確定のはず!
2、何で勝敗が決まるの?
編集部が仕入れた情報によると...
楽曲、アーティスト写真、ジャケットデザイン、MUSIC VIDEO、グッズ、PR方法 などは決まっているそう...(決まってないんかい!)
3、何でそんなことするの?
なによりも、これが一番疑問だった編集部は、PIGGSにも所縁のある音楽ライターの南波一海氏にお願いし、プー・ルイとブタ山氏を呼び出し、「この企画はいったんなんなのだ? なんでこんなことになっているんですか!?」と、そのいきさつを問うてみることにした。
INTERVIEW : プー・ルイ(PIGGS) & ブタ山(某メジャーレーベル A&R)

インタヴュー&文 : 南波一海
リード文&まとめ: 飯田仁一郎
撮影: 大橋祐希
いま描いているカーブをもっと変えなければいけないと思っている
──そもそもブタ山さんがPIGGSに声をかけようと思ったところから、うかがっていいでしょうか。
ブタ山 : どこで知ったかというところから話すと、PIGGSのライヴ制作をしているシブヤテレビジョンの高松さんと鈴木さんと昔から知り合いで、色々お世話になったりしていて。その高松さんから、いまPIGGSというアイドルをやってるんだよね、と聞いて。すごくいいし、動員も伸びてきているので、このタイミングで見てくれないかと言われたんです。それで音源を聴いて、YouTubeを見て、おもしろそうだなと思ってライヴを見に行ったのが出会いですね。
──それはいつくらいのことですか?
ブタ山 : リキッドです(※2021年4月28日に恵比寿リキッドルームで開催された〈GREAT MUSCLE TOUR FINAL〉)。
プー・ルイ : 1年前ですね。4人のときの。
ブタ山 : 当時はメンバーもあまりわかってなかったんですよね。ライヴを見に行く直前にそのお報せを受けて、色々あってひとり辞めることになったと。新しくオーディションをやるんだけど、今回は4人でやりますということで。
プー・ルイ : その日に会ったわけではないんですけど、リキッドあたりからメジャーに行きたいねという話も出てきていて。じつは何社か、ほかのかたにも来ていただいていたんです。そのなかで、ブタ山さんが興味を持ってくださったという感じです。

──リキッド以降はどういう流れだったのでしょうか。
ブタ山 : 全部正直に話しますと、じゃあすぐにやりましょうという感じにはなってなかったんですね。ライヴを見て、魅力があるなと思ったものの……これは全然偉い立場から話してるわけではないんですけど、課題はあるのかなと思ったんですね。そこらへんをどうしていったらいいのか僕なりに色々考えたり、高松さんを通じて色んな話をしていって、何回も何回もライヴを見ました。何度も見ていると人間性の面白さも見えてきて、プー・ルイさんの歴史も知りました。パフォーマンスもだんだんよくなっていったし、音もよくなっていったと思っていて、そうした変化を感じるなかで、メジャーで一緒にやろうと決意したという流れです。
プー・ルイ : 4月に見ていただいて、そのあと4か月くらいは話してなくて。8月にちゃんと会って喋りました。私の話とか、PIGGSのいま決まってるプランとか、これからどうしていきたいかを話して。いつまでに武道館でやりたい、横浜アリーナでやりたい、とか。そこから進んでいきました。じつは100kmマラソンも来てくださっていて。メンバーはシブテレの人だと思ってずっと過ごしてきました(笑)。メジャーの人だとは1ミリも思ってないんですよ。
──シブテレのスタッフのひとりとしてそばで見ていたんですよね。すごい話だと思いました。
ブタ山 : シブテレの人ってメンバーの近くで仕事しているじゃないですか。僕はなにもやらないので、なんの人だろうと思われていたと思います。
プー・ルイ : ライヴ後に雑談したり、マラソンでKINCHANと一緒に走ったりしてくれて。
──このやりとりを見ているとおふたりの関係性は良好なように見えます。
プー・ルイ : ケンカしているわけではないので。

──ただ、PIGGSとしては叶えたい夢やヴィジョンがあって、一方のブタ山さんはPIGGSには課題があると思いながら見ていて、そこで今回の本題となる意見の相違が出てきたと。
プー・ルイ : はい。でもこれは表には出さなくても、メジャーに行く人は誰もが水面下でやることだと思うんですよ。それもみんなにも見てもらいたいんです。ブタ山さんと一緒にやる前提で、なにがいいのかを探していきたいと思っています。
──改めてどういうことなのか、プー・ルイさんから話していただいていいですか?
プー・ルイ : 要は制作チームを変えるということなんです。私はそれが頭になかったので、会話が噛み合わなかったんですよ。私はいままでのチームでやる前提で話していて、ブタ山さんはそこは決定じゃなくて変わるかもしれない、一番よいものを探そうという前提で話していたんです。そこがお互いで当たり前すぎて。
ブタ山 : 僕は当初、Ryan.Bさんの詞と曲がマストなのか、チームがどこまでがマストなのかというのがあまり把握できてなかったんです。
プー・ルイ : 1ヶ月くらい話してきて、途中で気づいたんですよね? 私たち、前提から違うこと話してませんかって。コントみたいでした(笑)。
──ブタ山さんの言う課題のひとつはそこなんじゃないかと。
ブタ山 : いま右肩上がりで動員が伸びていて、CDもしっかり売れている。コロナ禍で厳しいこの時代にすごいことだと思うんですよ。確実にいいものをやっている。そこは間違いないと思っていて。それで今後どうしていくかとなって、よく調べていくと、デジタルの数字とフィジカルの数字にあまりにも不自然なことが起きているなと。CDがこれだけ調子いいのだから、YouTubeやサブスクの再生回数がもっと伸びてもいいんじゃないかと思ったんです。
──たしかに複数枚買いがあったりもするので、数字のバランスは特殊だとは思います。
ブタ山 : それで、もっと音楽を聴かれてもいいんじゃないか、ということに少し疑問を持ち始めて。いまはフィジカルよりもそこの数字を見られることが多いんですよね。一緒にやるんだったらそこにはメスを入れたりしないとな、と思って、なにが原因なのか日々考えていて。音なのか、映像なのか、ビジュアルなのか、そもそもアイドルという界隈の問題なのか。とにかく、なにかチャレンジしないといけないと思っているなかのひとつに音や映像があるんじゃないか、という考えなんです。このままやり続ければ伸びていくとは思います。いまの制作チームがダメなものを作っていて、これじゃ売れませんから全部変えましょう、ということではないんです。だけど、さっき言っていた目標があって、メジャーデビューのタイミングがここで、というのがあるなかで成功させるためには、いま描いているカーブをもっと変えなければいけないと思っている、ということなんです。
プー・ルイ : そこに対して違うという思いもないんですよ。ただ、PIGGSは不思議な感じで始まっているんです。Ryan.Bは最初のアルバムの十数曲をタダで書いてるんです。
──……すごい話ですね。
プー・ルイ : METTYにも衣装の布代すら渡せてなくて。最初はできる限り自分たちでチームを作って、売れたら返すというスタンスでやってきたんですね。だからMVの予算の10万すら通らないレベルだったんです。決してボランティアというわけじゃないけど、私が説得して、みんなの善意でお金をかけずにやってもらう、というところから始めたんです。そういう人たちとのチームなので、私からすると、制作チームはなんならメンバーよりも先に決まっていたメンバーなんです。だからメジャーに行くタイミングで変えるのは不義理だなと。
──その話を聞くとたしかにそうだよなと思います。
プー・ルイ : ずっとRyan.Bだけに曲を作ってほしいとか、METTYだけに衣装を作ってほしい、という話でもなくて。然るべきタイミングで然るべき人を提案されたら、みんなで話をして決めていくのは全然いいと思うんですけど、メジャーデビューのタイミングでそれをやるのは違うと思っているんです。いままでチームで頑張ってきたことが実ってのメジャーだと思うので。このチームのレベルアップが求められることについてはなにも思わないんです。曲を書き直してくださいと言われたら書き直すのは当たり前だなと思いますし。でも、コンペで知らない人から集めたなかから選ぶのは違うのかなと。Ryan.Bのいっぱいある曲のなかから選んで、それをよくしていきたいんです。
──コンペで曲を募るという案が出たんですね。それを聞いたときはどう思ったんですか?
プー・ルイ : まだ曲がない状態で「コンペどうかな」と言われちゃったからムキになってしまったというのはあります。メジャーでの1枚目でRyan.Bじゃない人にするんだったら、例えばですけど、ミスチルの桜井さんとか桑田佳祐さんとか秋元康さんとか……話題性込みの人を提案してくださるのかなというのがあったんですよ。
──この人でいきましょうという決め打ちで制作していくと。
プー・ルイ : はい。そういうことでもなかったから、だったら絶対Ryan.Bがいいですという話でした。
ブタ山 : 僕はメジャーデビュー曲をどういう曲にしよう、というところから入りたいんですよ。こういう曲にするんだったら誰にしようっていう流れなので、とりあえず集めます、という考えでもないんですよね。でも、もうここは決まってますっていうチームじゃないですか。プー・ルイさんのいまの考えだと、歌詞と曲はRyan.Bさんでいくという気持ちがある。あ、そうだったんだというところから始まってますよね。メンバーとしては正しいと思うんですけど、最初から決まってます、ではなく、考えましょうという感じですかね。
──ブタ山さんは先ほどプー・ルイさんが言ったような、Ryan.Bさんの曲から選んでクオリティコントロールしていくというアイディアに関してはどう考えているのでしょうか。
ブタ山 : 僕のなかでの正解が見えていないというのが正直なところで。Ryan.Bさんの作った曲でこのままいくことが正解かもしれないな、とも思っていて。どれが正解かわかっていたらゴリ押しでやるんですけどね(笑)。こういう道もあるんだぞ!とPIGGSに提案したいという感じなんです。
