【BiSH】Episode91 アイナ・ジ・エンド「リアルに終わりだから、やるしかない」
昨年2021年12月24日に、2023年をもって解散することを発表した“楽器を持たないパンクバンド”BiSH。解散という大きな発表を行ったいま、彼女たちはなにを考え、どのような想いを抱いているのか。それを探るべく、どこよりも早くメンバー個別のインタヴューを実施。今回は、昨年ソロとしても大活躍のアイナ・ジ・エンドに、今回の解散のことや、2021年末に出場した「第72回 NHK 紅白歌合戦」の感想。さらに、最新楽曲“FiNAL SHiTS”のダンスについて聞きました。OTOTOYは最後の最後まで、BiSHを追いかけ続けます!
BiSHの2022年最初の新曲、『FiNAL SHiTS』
INTERVIEW : アイナ・ジ・エンド
もう14回目だけど、それでもBiSHのアイナ・ジ・エンドにインタビューできるのはあと少しとなってしまったことは、やっぱり悲しい。衝撃的なオーディション、タジタジの初インタビュー、明かされていく彼女のキャリアと個性、そしていつも僕やスタッフに気をつかってくれるその姿勢。今回のインタビューも本当に面白い。彼女のインタビューはいつも面白い。OTOTOYも全力で追いかけるので、読者の皆様もラストスパート、ガッツリ追いかけましょう!!!
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 井上沙織
写真 : 大橋祐希
天国と地獄が両立する瞬間だった
──2019年に渡辺さんから解散の投げかけがあったんですよね。
アイナ : 私は解散って言われたときが一番つらくて。ぶっちゃけ言うと解散なんて絶対したくなかったし、渡辺さんが解散っていう言葉を口にした瞬間から、次に出てくる言葉が全部嫌なものになる気がして、もう渡辺さんの口が見れなくて。その時期が一番“BiSHの解散”っていうものに対して向き合ってましたね。ツアー中で、お客さんの前で“オーケストラ”とか歌ってるときも「あと何回“オーケストラ”を歌えるんだろう、いま歌ってるのって奇跡みたいなものなのかな」とか、頭がこんがらがっちゃって、ステージの上でも泣きそうになったりして、清掃員の人と離れたくないっていう気持ちがすごく強くなって。今日は泣かずにいられたけど明日は泣いちゃうかもしれない、でも泣いててもお客さんは意味がわからないだろうし絶対に泣いちゃいけない、みたいな状況が結構きつかったです。誰にも相談できないことだし。
──そこからどう折り合いをつけていったんですか。
アイナ : いま自分がやるべきことは何か、紙にめちゃくちゃ書いてたんです。そしたら、チケット代って結構高いし、お客さんは仕事とか学校とかあるのに、頑張って来てくれてるんだ、遠征してくれてる人もいるんだって改めて気づいて。その人たちが来てくれてるのに、わんわん泣いて、なんで泣いてるかもわからない子を見るよりかは、いいライヴっていうか、頑張ってるライヴ、心が晴れやかになって帰るライヴを観たいだろうなと思って、やるべきことが見えたっていうか。悲しむ前にまず清掃員のためにしっかりライヴをやることがいま自分のできることなんだって思って、そこからちょっとずつ目の前の来てくれたお客さんのことだけを考える、終わりのことは考えない、みたいなライヴの仕方をして感情がコントロールできるようになりました。そのあたりでメンバーとも本当に解散するか話して、渡辺さんともお話しして、もう解散するんだって腹を括った。それが個人的には解散のことに対しては一番のピークでしたね。
──覚悟を決めてそのあとも活動をしてきて、去年の12月24日の解散発表はどんな気持ちで迎えましたか。
アイナ : 天国と地獄が両立する瞬間だったんですよね。自分が嫌だからとかじゃなくて、清掃員の人の心をずっと考えちゃってた日で、いまどんな気持ちなんだろうなって、ずーっと頭がぐるぐるしてました。「清掃員の人たちの生きがいを1年間かけて、じわじわ奪っていくんだ」みたいな。それは言い方を変えると「思い出を増やしていくんだ」ってことでもあって。この日はライヴの良し悪しなんか関係なくて、感情の赴くままにメンバーがやればいいし、私もやればいいし、清掃員も泣き喚いても笑ってもなんでもいいし、警察にお世話にならなかったら、どんな行動だってしていいって思ってましたね。
──年末には紅白のステージにも立って。
アイナ : “プロミスザスター”って高音でロングトーンで、BiSHのなかでも私的にいちばん体力を使う歌なんですよ。歌い終わったあとやばいぐらいフラついて、頭が真っ白でくるぶしから折れる感じになっちゃって、でも立たないと絶対ダサいと思って、立とう! みたいな感じでいたらそれが全部おさえられちゃってて。「なんかもう地獄や、死にたい」ってなってたら、終わったあとにハシヤスメが「お疲れアイナー!」って、7年ぐらい一緒にいて1回もしたことのないハグをしてきて。しかも結構強めの(笑)。そのまま2人で歩いて行ったら、渡辺さんが来て、渡辺さんの顔を見た瞬間に無自覚で駆け寄っていきなりめっちゃ泣いたんですよ。そしたら渡辺さんも眉間に皺寄せて「お疲れ!」って言ってきて、私が「歌詞間違えた、ごめんなさい」ってもう涙が止まらなくなって。出ようと移動したら、メンバーがまた全員駆け寄ってきてくれて「大丈夫だよ!」って。でもみんなイヤモニしてるんで、めちゃめちゃ声でかいんですよ。「大丈夫だよ!!!!!! 」って(笑)。すごい死にたいって思ったけど、皆も絶対緊張したし、一緒に頑張って乗り越えたんだって思ったら感謝の気持ちで少し楽になりました。ただ、家に帰ったあとはやばかったですね。1年分の反省をしはじめました(笑)。