"ひとりひとり"から"5人"へ、そしてQ'ulleは変わっていく! 短期連載「Q'ulleがマイクを持った理由」 ver.2 ゆずきとまぁむ
ニコニコ動画の「踊ってみた」ジャンルで絶大な人気を誇った7人組ダンス・グループ、DANCEROID。惜しくも2014年7月に解散した彼女たちのなかから5人のメンバーが、Q'ulleとして戻ってきた。その手にはマイクを持って… あらためて活動するにあたって、なぜ彼女たちは歌うことを選んだのか? そして歌うことを選んだことによって何が変わったのか? サウンド・プロデューサーであるボカロP、DECO*27を含め6人。これから3ヶ月に渡って2人ずつにじっくり話を訊くことで、彼女たちの始まりのストーリーを描く。
2回目となる今回は5月13日にリリースされるサード・シングル『HEARTBEAT』の予約注文を開始するとともに、きんぐの愛称で知られるゆずきとまぁむに登場してもらった。シングルのリリース、そして各地でのライヴを重ねるとともに見えてきた光景、そして変化を訊いた。
ver.1 まなことやっこのインタヴューはこちら
Q'ulle / HEARTBEAT
【配信開始日】
2015年5月13日(水)0時
【配信形態 / 価格】
WAV / ALAC / FLAC(24bit/48kHz) : 単曲 540円(税込) / アルバム 1080円(税込)
>>ハイレゾとは?
【Track List】
01. HEARTBEAT / 02. Chain / 03. HEARTBEAT (Off Vocal karaoke ver.) / 04. Chain (Off Vocal karaoke ver.)
INTERVIEW : ゆずき×まぁむ
今年のニコニコ超会議でのQ'ulleのパフォーマンスには、後ろの方まで、多くのお客さんが足を止めて、彼女たちのそれを眺めていた。そう、そのダンスは、来場者の気持ちを確実に捉えていた。その時に思った… やっぱり彼女たちを、もっともっとでかいステージで見たい。ゆずき、まぁむは、強く語る。Q'ulle全員でそこに向かうんだと。新曲「HEARTBERT」は、〈なりやまないHAPPY…〉 そんな一節から始まる。そんな光景を、武道館で見れる日を待っている。
インタヴュー : 飯田仁一郎 / 渡辺彰浩
文 : 飯田仁一郎
写真 : 外林健太
〈1人じゃないよ まだまだ行くよ〉とか、全体的にみんなで一緒に行こうって歌詞なんです
——今はアルバムに向けて動いている時期だと思いますが、Q'ulleはどんな状態?
まぁむ : 新曲の「HEARTBERT」は、ライヴですごく盛り上がる曲なんです。
——盛り上がるんだ! 「HEARTBERT」はライヴでやってみてどんな反響でした?
ゆずき : 以前、音源にお客さんの声を入れるっていうので「HEARTBEAT」を披露したんですよ。曲の中の「おーおー!」っていうところを録ったんですけど、それを覚えていてくれたみたいで、それ以降も聴いた瞬間にコールしてくれて。
まぁむ : 他のフレーズも「イェーイ! イェーイ!」とか「オッオー!」とか一緒に言いやすいし。
——なるほど。この「HEARTBERT」は、自分たちにとってどういう曲になりそうですか?
ゆずき : 〈1人じゃないよ まだまだ行くよ〉の部分だったり、全体的にみんなで一緒に行こうっていうような歌詞なんです。背中を押してくれるので、いろんな人に聴いてもらいたいです。今までの「MONSTER」とかは、ロックが好きじゃない人には受け入れにくかったかもしれないけど、今回の曲は聴きやすいので広い層に受け入れてもらえるんじゃないかなと思います。
——「みんなで一緒に」っておっしゃいましたが、「みんなで」っていうのはQ'ulleにとっては誰なんですか?
ゆずき : ファンの人達ですね。
——Q'ulleにとってファンの人たちはどんな存在ですか?
まぁむ : 「一緒にQ'ulleを作りあげていこう!」みたいな存在ですかね。
——Q'ulleって「踊ってみた」のファン、ニコ動のファン、いろんなファンがいますけど、先日観させて頂いたライヴ(3月15日@渋谷サイクロン Q'ulle セカンド・シングル「MONSTER」発売記念リリース・イベントLIVE!)で、10分の1の人たちはQ'ulleからファンになったって、手を挙げてましたよね。そういうなかで、おふたりが見ているファンっていうのはどのファン?
まぁむ : 今までの踊ってみた、ニコ動からのファンの人も大事にしつつ、新しいQ’ulleから知ってくれてる方も増やしていきたいです。
ゆずき : 結構悩むんですよ。元々やっていたユニットDANCEROIDのころとQ'ulleとではライヴのノリ方が変わったので、今まで観てくれてたファンの方々のとまどいが見ていてすごくわかるんですよ。
——ノリ方が違うというのは?
ゆずき : 今までのファンの方が、アイドル・ファンが多いんですよね。DANCEROIDのころからアイドル路線だったので、オタ芸とか打つようなのとはちょっと違ってきちゃっている…。アーティストとして違う風になりたいんですよ。
——違う方向にいきたいんですね。結構オタ芸打ちたいタイミングはありますけどね。
ゆずき : そうなんですよね。みんなもやりたいんだろうなっていうのはわかるんですけど、そこが難しいところで。
——おもしろい話ですね。それはお客さんには、どうしてほしいのでしょうか?
ゆずき : アイドルのファンの方たちってミックスとか、コールとかの対応力がすごいあるんですよ。私たち的にはそのライヴ1回1回で違うものにしたいし、ファンの方々にも変わっていってほしいなっていうのがあるんですよ。その場の雰囲気で変えていってほしいんです。
——聴いてほしいし、観てほしいってことですか?
ゆずき : そうですね。それもありますね。
まぁむ : アイドルのファンの方々って自分も出演者みたいな、そういう節がある。私たち的には音楽を楽しんでほしいというか、聴いてほしいのかも。
ゆずき : 聴いて、私たちを観て真似すれば毎回違うノリ方ができると思うんですよ。私たちも毎回煽りを変えたりしてるので。
——なぜそう思うようになったんですかね?
ゆずき : アイドルっていう枠におさまりたくない… Q’ulleというアーティスト像を創りあげていきたいなというか。
でも、5人が並列になりたいです
——おもしろい話ですね。おふたりが目指している、または憧れているアーティストは誰かいますか?
まぁむ : Tommy heavenly6の川瀬智子さん。
——それはなぜ?
まぁむ : Tommy heavenly6もTommy february6も好きなんですけど、川瀬さんは自分の世界観がしっかりしてるし、創り上げているものが可愛い。
——きんぐさんは?
ゆずき : MIYAVIさんですね。この「HEARTBERT」が好きって言ったのも、曲調が似てるというか。MIYAVIさんってみんなを引っ張って行ってくれるし、背中を追いかけたいなと思える人なんですよ。
——MIYAVIさんの引っ張ってくれる感じに憧れたんですね。自分も引っ張る人になりたい?
ゆずき : そうなりたいんです。私、自分だけのために頑張れないんですよ。自分に甘いんですよね。人が関係していると頑張んなきゃって思えるんですけど、自分1人だといいやってなっちゃう。
——Q’ulleのポジショニングの話で、5人が並列でいるのか、例えば2人、いくら(いとくとら)さんとまなこさんがセンターでいて、盛り立てていくみたいなグループなのか。そこに関してはどう考えていますか?
ゆずき : たぶん今は2人がセンターみたいな感じだと思うんですよね。でも、5人が並列になりたいです。
——それが目指すところ?
ゆずき : そうですね。
まぁむ : ひとりひとりの役割を今は確立できているのかわからないんですけど、いずれはちゃんと5人の役割を確立したいですね。
——5人が役割を確立するために、今2人が努力してることは何かありますか?
ゆずき : 発声とかストレッチとか、歌の基礎を毎日やってますね。
——歌は特にね。「踊ってみた」出身ですもんね。
ゆずき : 上手くもならきゃいけないし、「グループでやってるからには個性も必要」ってこのあいだ言われて。「もう、どうしたらいいんだ!」みたいな(笑)。
——個性っていうのはなんでしょう?
ゆずき : 歌い方もあると思いますし、声自体にもあると思います。自分で歌ってみて、これがハマるのかなとか、日々研究ですね。
——歌の個性は今回の「HEARTBEAT」では活かされましたか?
ゆずき : まだですね。「HEARTBEAT」は歌の個性って話を聞く前だったので(笑)。次のレコーディングのときにも個性が出せてるかはわからないです。まだ研究中なので、自分が「これだ!」って思っても人に聞いてみたら違ったりもするので、個性を見つけるのはまだまだかかるかなって気はしますね。
——僕はもう5人の歌声に個性は出てると思っています。一瞬で「あ、これQ'ulleだ」ってわかりますよ。
ゆずき、まぁむ : おぉー。それは嬉しいですね。
いろんな人が支えてくれたDANCEROIDをあんな形で急に終わらせたくなかった
——そもそもの話になりますが、おふたりは、なぜDANCEROIDに入ろうと思ったんですか?
まぁむ : 「踊ってみた」の動画をすごい観てて、愛川こずえさん(DANCEROID元メンバー)もいくらさんも、もちろん知ってて、「もしかして会えるのかな」とか、そういうファン意識みたいなので応募して受かった感じです。
ゆずき : 私は「踊ってみた」をニコ動に投稿しようと思っていろいろ調べてたんですよ。いくらさんのブログとかで投稿の仕方を調べていたときに、ちょうどDANCEROIDのオーディションを見つけたんです。
——なるほど。ではDANCEROIDが解散してもQ'ulleをやろうと思ったのはなぜ?
まぁむ : 急にDANCEROIDが終わって、不完全燃焼すぎて。やっぱり大きい舞台を目指したかったし、そう思ってるメンバーがいたので、ならみんなで頑張ろうと思って。
ゆずき : いろんな人が支えてくれたDANCEROIDをあんな形で急に終わらせたくなかったんですよね。Q'ulleでもっと大きいステージに立って、お世話になった人たちに観てもらいたいっていう気持ちと、いくらさんについて行きたいっていう気持ちと。
——いくらさんが憧れの対象なんですね。
ゆずき : すごい人だと思います。頭の回転が早いんですよ。あとは、DANCEROIDを結成したのもいくらさんだったし。そのいくらさんを悲しませたくなかったって気持ちもありますね。
——いくらさんが、このままじゃ終わりたくないみたいな感じだった?
まぁむ : はい。そして、私にとっていくらさんはついていけるなって思える存在でした。
——Q'ulleの中で、いくらさんはどんな存在なんですか?
まぁむ : 普段は馬鹿みたいなことばっかりやってるんですけど、しっかりするところは1番しっかりしてるし、みんなを引っ張っていってくれる存在ですね。
——おふたりにとって後輩2人(まなこ、やっこ)はどんな感じですか?
ゆずき : 後輩とは思ってないです、全然。
まぁむ : 歳とかも感じてないというか。
ゆずき : 2人のパワーがすごい。ハングリー精神というか、すごいガツガツ行きますよね。2人がいると刺激もされますし、ありがたいです。
まぁむ : 2人を見て、「私も頑張らなきゃ」って思えるので。
ゆずき : 本当尊敬してます、2人は。メンバーみんな尊敬してますね。
まぁむ : 言わないけどね、絶対。メンバーの前では(笑)。
今ではもっとみんなでやろうっていう気持ちの方が強まってる
——Q’ulleが武道館を目指していく上で、今必要なものってどういうところですか?
ゆずき : 歌や踊りだったり、技術面っていうのは常に課題だとは思うんですけど、以前の渋谷サイクロンでのライヴのときに仰ってくれたように、話し合いも重要だと思います。
——あのときは、1回目の昼のライヴがそんなに良くなくって、っていうのがみなさんもなんとなくわかっていて。それから話し合いをして、リハをもう1回して、2回目のライヴがびっくりするほど良くなってたんですよね。
ゆずき : やっぱり話し合いは大事だと思いますね。1人がバーッて意見を言っても駄目だし、メンバーであれ、周りのスタッフさんであれ、みんなで意見を言えるようにならないと意味がないと思うので、意思疎通は常に大事にしていきたいです。
——意思疎通に関して足りてないと思うところはありますか?
ゆずき : 前よりも話し合いはしっかりするようになりましたし、回数も増えてますけど、まだまだ足りないかなって。いろんな人の話が聞きたいっていうのもあります。聞くだけじゃ駄目ですけどね。そこをどう活かしていけるかが私たちの課題なので。
まぁむ : 話し合いの回数を増やすようになって、改善しようって気持ちが前よりみんなにあると思います。あのときのライヴよりかは上を目指そうという結束が強くなったんじゃないかな。
ゆずき : 技術面でも音程がずれてるとか、フォーメーション間違えたら「ここ間違えたでしょ?」とか。今までは個人個人で頑張ろうっていう気持ちの方が強かったんですよ。それが今ではもっとみんなでやろうっていう気持ちの方が強まってるんだと思いました。
——今でも「踊ってみた」の動画を上げるじゃないですか? しかも、5人の名前で。でも、Q'ulleではない。あれについてはどう考えているんですか?
ゆずき : 「踊ってみた」は私にとって気楽に楽しんでやれるものなんですよ。
まぁむ : ニコ動をQ'ulleのプロモーションとして使いたくないというか。趣味じゃないけど楽しむ場なんです、ニコ動は。
ゆずき : 楽しんでやってる。誰でもできるじゃないですか、気軽に投稿出来る場。
まぁむ : 真似して踊ってほしいね。
ゆずき : 「踊り手目指してます! 歌い手目指してます!」みたいな、そうじゃないんですよねニコ動って。誰でもなれるんですよ。
——誰でも主役になれると。
まぁむ : 上げちゃえばこっちのもんみたいなところがあるので、別に目指さなくていいというか。主役になりたいんだったらなればいい。
——例えば、Q’ulleがニコニコ超会議でライヴをして、全員が「踊ってみた」みたいになったら、それはそれでありなんですかね? ライヴしてるけどみんなが踊ってる。普通のライヴハウスではなかなかないじゃないですか。その現象って。そういうことが望むことなんですか?
ゆずき : Q’ulleの曲の「踊ってみた」ヴァージョンも上げてますけど、そうじゃない気がしますね。踊ってみたから結成されたことを大事にはしてるんですけど、だからってライヴやってる目の前でめっちゃ踊られたら「おぉ…」ってなる(笑)。だから、5人がひとりひとり個人で上げるのとかは別にそう思わないんですけど、Q’ulleだとなんか違うんですよね。
——楽しんでるんですよね。もしかしたら、アーティストとして大きいところを目指すのであれば、それもいつか卒業しないといけないときがくるのかもしれないですね。もしくは、卒業しないでそのまま確立していけるかもしれないですしね。
ゆずき : ニコ動とか、「踊ってみた」もアーティストとしては創作の場じゃないですか。そう考えると、むしろ続けていった方がいいのかなって思いますね。クリエイティブな場じゃないですか、ニコ動って。もっとアーティスト性を出していけたらなと思います。
ファースト&セカンド・シングルもハイレゾ配信中!
【右】セカンド・シングル『MONSTER』
【配信形態】
WAV / ALAC / FLAC(24bit/48kHz)
【配信価格】
単曲 540円(税込) / アルバム 1080円(税込)
RECOMMEND
LIVE INFORMATION
Q'ulle 1stアルバム『Q' & A ~Q'ulle and Answer~』全国6都市ツアー「君の答えは…?」
2015年6月21日(日)@福岡VIVRE HALL
2015年6月28日(日)@池下CLUB UPSET
2015年7月5日(日)@北海道cube garden
2015年7月12日(日)@大阪FANJ twice
2015年7月18日(土)@宮城HooK SENDAI
2015年7月26日(日)@渋谷WWW
PROFILE
Q'ulle
動画投稿サイトの人気カテゴリ〈踊ってみた〉で人気を集めたDANCEROIDの元メンバーで結成されたガールズ・ユニット。メンバーは、いとくとら、ゆずき、まぁむ、まなこ、やっこの5人。踊りに特化したDANCEROIDの解散後、DECO*27をサウンド・プロデューサーに迎え、“歌って踊れるダンスロック・アーティスト”を目指し2014年10月に結成。2015年1月、デビュー・シングルとなる『mic check one two』をリリース。ネットからリアルへと飛び出し、精力的な活動を展開。