生命の活力がほとばしる、『アフロ・フォーク』の旗手
Asa来日公演 ライブレポ
9月5日(金)@京都 磔磔 open 6:00 Start 7:00
京都の古びた酒蔵を改造したライブ・ハウス、磔磔に入った瞬間に聴こえてきたAsaの生歌!初めて聴いた時と同じく、心を鷲掴みにされ、さらに何倍も興奮させられた。語るような歌声は、存在感に溢れ、母のような優しさを持つ。
Asaは、何度も客席に飛び込み、コール・アンド・レスポンスを求める。思いついた瞬間にリズム隊に指示を出し、急にギターとの掛け合いを始め、もっとエネルギッシュに、と叱りとばしながら、とにかく楽しそうに歌う。ローリン・ヒルやシャーデーの流れで語られるが、M.I.AやBALKAN BEAT BOXなどに通じる無国籍で破天荒なノリもふんだんに持ち合わせた、‘00年代後半の歌姫なのだ。
中でも、「Asaの世界」を感じたのは、大好きだと言うニーナ・シモンの「フィーリング・グッド」のカヴァー。元のアレンジよりももっと軽快で、Asaのルーツに触れた嬉しい瞬間だった。 座っていたお客は徐々に手拍子を始め、Asaの人なつっこいMCも影響し、会場がみるみる一体となり、最後はスタンディング・オベーションに。アンコールでは、アルバムで最も長かった曲「EYE ADABA」をギターとふたりでじっくりと聴かせ、最後はなんと「FIRE ON THE MOUNTAIN」「JAILER」のヒットソングメドレー、しかも2回目(笑)。
彼女は、ナイジェリアの政治情勢や厳しい環境の中で、決して後ろ向きにはならず、アフリカン特有の陽気さとサービス精神で明日への希望をおおらかに歌い上げる。アフリカにルーツを持つ『アフロ・フォーク』の旗手として、その歌声とライブ・パフォーマンスで、既に大人気のヨーロッパだけでなく、アメリカそして日本を席巻してほしい。
今宵のメンバーは、
ドラム/Jean-Francois Ludovicus
ベース/Jean-Michel Coret
ギター/Nicolas Mollard
コーラス/Janet Nwose
キーボード/Didier Davidas。
生命の活力がほとばしる、至福の一夜だった。(text:JJ)