ダンス+ヴァイオリン = 新たなエンターテインメントのカタチ──“踊る”ヴァイオリニスト、RiO
新たなエンターテインメントのスタイルと言ったらいいのだろうか、OTOTOYに「踊るヴァイオリニスト」のRiOが登場だ。まさにその通り名の通り、軽やかな身のこなしで、颯爽とヴァイオリンを弾きながらダンスするアーティストだ。アイドル・グループ「RY‘s」や自身が所属するクラシック・ユニットやソロのヴァイオリニストとして活動してきた彼女が、さならる表現を求めて、2018年1月より、踊るヴァイオリニストとして装いも新たにソロ・デビューし、このスタイルは生まれたのだという。このたび、ヒゲドライバーと篠崎あやと / Powerlessがそれぞれ楽曲提供した、シングル「Enchanting Melody」がハイレゾ配信を開始。さて、彼女はどこからきてどこへ行くのか、インタヴューを試みた。
ヒゲドライバーと篠崎あやと / Powerlessが楽曲提供した最新シングルをハイレゾ配信
INTERVIEW : RiO
“踊る“などのワードは、彼女のポイントのひとつに過ぎず、そんなことより、まっすぐに前を向いて音楽を演奏していることのほうが、取材してより際立った。4歳からやっているヴァイオリンは、やはり相当の腕前だし、アイドルを卒業し、ソロの演奏家として活動することに決めたその覚悟は、音楽やライヴの力強さに見事に現れている。音楽家としての才能に多くの人が気づくことを祈る!
インタヴュー: 飯田仁一郎
写真 : 大橋祐希
自分に逢いに来てくれる人がいて、それがすごい嬉しい
──今回、ニュー・シングル「Enchanting Melody」を発売するわけですけども、なぜこのタイミングだったのでしょうか。
RiO : RY'sを卒業して、気持ち的にはすぐ新しいシングルをリリースしたくて。自分から「いままでよりペースを上げて動きをつけていきたい」と言ってこのタイミングになりました。
──なるほど。RY'sの加入から卒業までの流れを聞かせてください。
RiO : もともとRY'sの前身に「キャンディボイス」という声優の子たちだけのユニットがあって。そのプロデューサーと私の所属事務所がお付き合いがあり、演奏の人を入れるいまの体制になるオーディションを受けました。
──そのころRiOさんは、アイドルになろうと思っていましたか?
RiO : RY'sに入ったばかりのときはヴァイオリンの講師をやっていたんです。演奏の仕事といえば、講師が休みの日に事務所で演奏家として派遣で使っていただいてたくらいで、演奏家として成功したいという気持ちは、当時ゼロでした。RY’sでも「なんで踊らなきゃいけないんだろう」と思いながら3、4か月は過ごしていたんですけど、途中から意思がはっきりしました。RY'sの活動を続けていると自分に逢いに来てくれる人がいて、それがすごい嬉しくて、アイドルもいいなと思い始めましたね。
──その中で長く在籍したRY'sを抜けるって結構な決断じゃないですか。
RiO : アイドル・ユニットをずっとやるつもりはなくて、どこかで終わるときを決めなきゃいけないなとは思っていて。私自身としてはもう少し早く卒業する予定だったんですけど、居心地もいいし、人数がいるとお客さんも来てくれる安心感があって、不安で抜けれなかったんです。けど、ふと考えたときに、ソロで活動をはじめたのにデビュー・シングルを出しただけでは意味がないのかなと思って、動きをつけるときに一気に全部変えたいなっていう思いがありました。
──ソロ活動があまりにもできなかったんですね。
RiO : ユニットの方が活動が多くて自分が分散してました。ソロでもやっていたんですけど、1年半ぐらいユニット活動がない時にライヴやイベントに出演するくらいで、1人で表現して動きを付けたいなと思っての卒業ですね。
ステージを目一杯使えるヴァイオリニスト
──今回発売されるニュー・シングル「Enchanting Melody」を聴いたとき、歌っぽいヴァイオリンで作ったんだろうなと感じました。
RiO : 人の声って1番の楽器だなって思ってるんですよ。ヴァイオリンの音色を変えるより、歌詞があった方が大抵の人には伝わりやすいなと思っていて。人の声と歌詞に負けたくなかったので事務所の方に「歌と歌詞の勢いに負けない曲を作りたい」と伝えて、共同制作でヒゲドライバーさんと篠崎やとさんに作っていただきました。今回は歌と歌詞に勝てると思っています!
──ソロで表現したかったことは、歌に囚われないということですか?
RiO : ヴァイオリンを弾くだけじゃなくて、せっかく踊れるようになったし、動き回れるから、観てて「うわー」って思ってもらえるようなものがいいなと思って、目指すところは、一人ミュージカル、とでも言うんですかね……。
──視覚的にもエンターテインメントでありたいってことですよね。
RiO : そうです! ステージを目一杯使えるヴァイオリニストっていないのかなと思って。
──”踊るヴァイオリニスト”で1番難しいことはなんですか?
RiO : 私、弾くのと踊るのが合わさっちゃうと呼吸が止まっちゃうんですよ。最初は動きながら弾くのが難しかったですけど、いまは呼吸に苦労してます。
──なるほど。”踊り”はやったことありましたか?
RiO : 小学生の頃はSPEED全盛期でみんながダンス・スクールに通っていたので、その波に乗ってダンスを習いました。本格的じゃなくて、SPEEDを踊りたい小学生たちが、みんなで発表会をするキッズ・ヒップポップ・スクールで。私は中1、2ぐらいから高校受験の準備をはじめたので、その流れでダンスを辞めちゃいましたけど。
──ヴァイオリンはいつから?
RiO : ヴァイオリンは4歳からはじめました。
──なんと!
RiO : でも、本当にヴァイオリンを好きになったのは大学卒業後ですね。私って勉強をしてるのにできないタイプなんですよ(笑)。高校受験するときに、私は周囲に流されやすいタイプだから、もしヤンキーがいる高校に行ったら、きっと私もヤンキーになっちゃうなと思って(笑)。そんな進路に迷っているときに、中学の先生から音楽高校への進学を勧められて、そのほうが道を外さないかなと思って、音楽学校に入学しましたね。
──逆に、そこまで好きじゃなかったのはなぜですか?
RiO : ただ唯一できることがヴァイオリンだったんですけど、周りにはとても志の高い人が多くて、なんでこんなに練習するんだろうってずっと思ってました。私は、高校、大学で単位が取れる最低限の練習と試験をクリアするレベルしかやってなかったんです。でも、大学は卒業したくて。この活動をはじめてからヴァイオリンにちゃんと向き合ったと思います。20年近くやってきてやっと意思が芽生えてきました。
青い空の下を“タァーー”と走って最後まで止まらないイメージ
──シングルの話に戻りますが、「Enchanting Melody」をはじめて聴いたときはどんな感想を持ちましたか?
RiO : 「Enchanting Melody」をはじめて聴かせていただいたときは、青い空の下を“タァーー”と走って最後まで止まらない感じのイメージを持ちました。
──(笑)。レコーディングはどうでした?
RiO : わりとすぐ終わっちゃいましたね。1、2番、メロディが一緒なんですけど、後ろで鳴っている音が違うから弾き方を変えるように指示を受けました。
──曲があって、そのあとに踊りが付いてくるんですか?
RiO : そうです。レッスンを受けて、一度振りを入れてから、「ここが厳しいです」みたいな話をしながら修整をする作業の繰り返しですね。ダンスの先生に「よくあの動き難しそうだね」って言われる方が実は簡単だったりして、逆にすごい単純なポージングが難しかったりするので、1回曲とダンスを両方覚えてから直す感じですね。
──ダンスの先生もわからないんだ。
RiO : そうなんですよ。だからまずは踊りにくさを考えずに、振り付けを持ってきてくれます。ダンス用の楽譜があるんです。1回どこかで披露したあとに、レッスンに譜面を持っていって、先生と1小節に何分かかけて、もう1回作り上げていくというのを全曲やってます。
──そのときは、変えるのは踊りの方?
RiO : そうですね。だいたい音を録っちゃった後なので。
──踊りは、どれくらいの練習するの?
RiO : いつも期限が決められてて、慌ただしく3日くらいで仕上げてますけど、私自身の中では2か月ぐらい経たないと身体に馴染まないですね。振りがある曲ができるときは、披露の日が決まっていて、曲の制作と披露の日程上、練習する時間がすごい少ないんですよ。長くても1週間ぐらいなんですけど、その1週間で披露したときに通しで成功したことはまだないですね(笑)。
──なるほど。
RiO : 振りはすぐ覚えられるんですけど、上手くバランスを取れてない状態でいつも披露しちゃってます。2か月ぐらいやり続けると、ここをこういう感じにすれば楽だなっていう感覚を生み出せるようになってくるんです。
「音卓の騎士」とは?
──RiOさんが参加されている「音卓の騎士」はどういうものなんですか?
RiO : 「RPGに影響を受けたインストゥルメンタルで映像が付くコンテンツ」と言った方が分かりやすいかな。
──なるほど。「音卓の騎士」にどういう経緯で参加することになったんですか?
RiO : 音卓の方が演者を探してるときに、声をかけていただいたのがきっかけです。リンジー・スターリングというアーティストのような演者を探していて、お声をかけていただきました。
──あれは、ものすごい難しい世界観を表現しようとしてるじゃないですか。難しい世界観ってつまり、新しいことなので単純に表現するだけで難しいですよね。「音卓の騎士」はどういうイメージでやってるんですか?
RiO : 設定上、仮想の国があって。私は踊る国(舞)と演奏する国(奏)のハーフという設定なんです。で、まだ踊る力を与えられてないんだなっていう曲は、がっちりその場にいて弾いたりしてます。
──「音卓の騎士」の難しさはどういうところ?
RiO : 単純に曲が難しくて、演奏でいっぱいになっちゃうことが多々あります。
──チェロとコントラバスと一緒にバンドで演奏することも楽しさのひとつ?
RiO : それは楽しいです。最近は1人で活動しているから、生の弦楽器と弾く機会が少なくて。忘れかけたことを思い出させてくれるというか、高校、大学でちゃんと勉強してた時代は、室内楽やオーケストラの授業がいっぱいあって、いろんなパートの音を同時に聴く練習をいっぱいしたんです。でもソロとかRY'sは音源に合わせるので、人の呼吸に合わせる必要があんまりないというか、人の呼吸に合わせる感覚をいま忘れてるんですよね。
──なるほど。
RiO : ソロだとテンポも機械的だから、最悪違う音を弾いても自分しかいないから、それもそれで有りになったりするけど、誰かと合わせるとなると、呼吸のタイミングを間違うわけにはいかないので。
──グルーヴっていうやつですね。そういう演奏をソロでもしたいと思ってる?
RiO : 過去に大きいイベントではバンドをバックにしてライヴをしたんですけど、ファンの方に喜んでいただけていることが目に見えたのでやりたいなとは思うんですけど。(小声で)お金が……。
いまは大きいステージで演奏したいっていうのがモチベーションです
──(笑)。ソロのヴァイオリニストとして目指しているところはありますか?
RiO : この前はじめてZEPPダイバーシティさんのステージに立たせていただいて。広いステージで何も気にせずに弾いたのが初めてだったんです。いつもは、ステージの幅や奥行き、天井の高さ、周りにいる人や機材など、ヴァイオリンを弾いたり踊ったりする以外にいつも気を付けることが多すぎて。何処に何があるかっていうのを毎回覚えるんですけど、その必要がなくて、ダンサーさんも離れて踊ってくれて、「あ、こんなに広いステージって気持ちいいんだ」って思えて。いまは大きいステージで演奏したいっていうのがモチベーションです。
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LIVE SCHEDULE
〈Primo Delicious 10th~Memories~〉
2019年9月15日(日)@ビルボードライブ東京
OPEN 16:30 / START 17:30
〈RiO ニュー・シングル「Enchanting Melody」リリース・イベント〉
■タワーレコード横浜ビブレ店
日程 : 2019年8月1日(木)
時間 : START 19:30
■タワーレコード吉祥寺店
日程 : 2019年8月3日(土)
時間 : START 13:00
■SHIBUYA DESEO
日程 : 2019年8月4日(日)
時間 : OPEN 15:00 / START 15:30
※入場無料+1D¥600。入場はTIGET(チゲット)での予約が必要となります。
■タワーレコード梅田NU茶屋町店
日程 : 2019年8月10日(土)
時間 : START 16:00
■HMV三宮VIVRE
日程 : 2019年8月11日(日)
時間 : START ①13:00 / ②15:00
【詳しいイベント情報はこちら】
https://www.violin-rio.dance/news/
PROFILE
RiO
4歳からヴァイオリンを弾きはじめる。他に類をみない、踊って弾けるヴァイオリニスト。 現在、ソロ・ヴァイオリニストとして室内楽やアーティスト・サポート演奏をこなしつつ、2015年7月からは、アイドル・グループ「RY‘s」のヴァイオリン担当として精力的にライブ活動やイベント出演をこなす。2018年1月、踊るヴァイオリニストRiOとしてソロ・デビュー。デビュー・シングル「Weekend/Monochrome Ruins」はオリコンインディーズウィークリーチャート6位。
【公式HP】
https://www.violin-rio.dance/
【公式ツイッター】
https://twitter.com/violin_rio