ファンタジックな新作には仕掛けあり! ——DE DE MOUSE、3年ぶりの新作ハイレゾ配信
12月2日、待望のオリジナル・アルバムをリリースしたDE DE MOUSE。これまでドリーミーなエレクトロニック・サウンドを魅力としていた彼だが、今作ではファンタジックなオールディーズ・サウンドへと舵を切っている。そんな彼の現在の心境や、3年という月日の間に見つめ直した本当に表現したい音楽について語ってもらった前編。後編では、作品の世界観を補強するために彼が施したさまざまな仕掛けやライヴで世界観を構築する方法に着目し、その詳細を探る。
また、リリースに合わせてアルバムの世界観を体験できる企画展「OTOTOY×Rolland presents DE DE MOUSE『farewell holiday!』exhibition」が渋谷ヒカリエにて開催中。そこで試聴できる超高音質の32bit float/48kHz音源はOTOTOY独占配信! その、ちょっと驚くほどの低音の響き、上モノの滑らかな鳴りを体感してほしい。
インタヴュー前編はこちらから
DE DE MOUSE / farewell holiday!
【Track List】
01. friday comers
02. nice avaianche
03. farewell holiday!
04. a thousand better things
05. thursday waltz
06. bedtime flight
07. a dozen raindrops
08. play tag
09. finally evening
10. wooden horse rendezvous
11. bloomy chorus
12. carousel theme(OTOTOY限定ボーナストラック)
【配信形態】
左 : 32bit float/48kHz WAV
右 : 24bit/48kHz(WAV / FLAC / ALAC) / AAC
※ハイレゾとは?
【配信価格】
単曲 250円(税込) / アルバム 1,800円(税込)
アルバム購入特典としてサイン入りデジタル・ブックレットが付属します。
現在開催中!
Roland × OTOTOY × not records presents
DE DE MOUSE「farewell holiday!」exhibition
5thアルバム『farewell holiday!』のリリース週である12月初週に、アルバムの世界観を体験できる企画展を開催。Rolandの高音質対応のUSBオーディオ・インターフェース「Mobile UA / Super UA」とDynaudio Japanの高級スピーカーを使用した、32bit/48kHzのハイレゾ音源を体験できるブースをはじめ、DE DE MOUSEが楽曲解説をする特別映像の上映、オリジナル・アルバム・アプリの展示や、プラネタリウム・ライヴ・シリーズにて会場装飾を手掛けてきたアーティスト、chahoによるデコレーション等、『farewell holiday!』の世界をCDとは違った形で体験できる特別展示となっている。
日時 : 2015年12月1日(火)-12月6日(日)
時間 : 12:00-20:00
場所 : 渋谷ヒカリエ8F SHOWCASE aiiima2
料金 : 入場無料
協力 : OTOTOY / Dynaudio Japan
協賛 : ローランド株式会社
トーク・イベント開催!!
DE DE MOUSE アルバム発売記念 friday comers talk session
日時 : 2015年12月4日(金)
時間 : 18:00-19:30予定
ゲスト : DE DE MOUSE / BAB
司会 : 飯田仁一郎(OTOTOY)
※先着順入場者数限定(受付開始 : 17:30〜)
INTERVIEW : DE DE MOUSE
「長い制作期間、苦労しました。」という言葉と安堵の笑顔から始まったこのインタヴュー。その表情はこの作品に込めた思いやその原動力について語り始めた途端、熱を帯びた真剣なものへと変わり、切実な『farewell holiday』への愛情を感じた。後編では、この作品を聴く人の心の底へ届けるために彼がひそませたという数々の”仕掛け”について探る。彼の中で育ち続ける世界と、尽きることのない表現の追求について触れるインタヴュー後編。
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 稲田真央子
写真 : 大橋祐希
このアルバムを発表するのはやめようかってところまで話したこともあったんです
——『farewell holiday』って、今回のリリースだけで終わるものではないプロジェクトですよね? このPVの世界も何か関係あるんですか?
このPVは、『sky was dark』の時に立体視聴アプリを作ってくれたBABさんが作ってくれました。1曲1曲にイメージのモデリングを作ってもらっています。それをそれぞれ提示するか、全部合わせてひとつのイメージとして出すかはまだ未定です。でも、このアルバム自体にキャッチーさがあるわけではないので、音の派手さがないとみんなの心の奥まで届くのに時間がかかってしまって難しいなと思ったんですよね。
——それを補うためのジャケットや映像なんですね。
はい。間に合うかが微妙なところではあるのですが、今のところアルバムの半分くらいの曲のイメージ映像はできあがっていて、リリース・パーティーを映像と一緒にできたらなと考えているんです。今回はアメリカのオールディーズのアメリカン・ポップスの他にヨーロッパの移動遊園地、フェアグランド・ミュージックのようなものがテーマとしてあるのでそれも織り込まれています。実はヨーロピアンなイメージもアルバムの半分くらいを占めているんです。彼と僕はもう付き合いが長いので、彼もすでに僕の趣味や嗜好をよくわかってくれていて、イメージを伝えただけで僕の好みに合わせて期待以上のものを表現してくれます。
——リプロダクション音源がダウンロードできるカード(※1)については、どういう企画なんですか?
※1 : CDには16桁のID番号を刻印されているダウンロード・カードが封入。12月2日はオリジナル楽曲「before a holiday」が収録されており、毎月1曲ずつリプロダクション音源がアップロードされていく。
これはこのアルバムをどうやって売るかっていう話をスタッフと一緒にしていたときに出てきた案ですね。実はスタッフと話し合いをしているなかで、このアルバムを発表するのはやめようかってところまで話したこともあったんです。
——そうなんですか!?
はい。すごくいい仕上がりからこそ、たくさんの人に届けなくちゃいけない。でも僕自身が新しい音楽的な高みにいってしまって、スタッフがそれまで持っていたスキルでは対応できなくなり、大変だったようです。だから「そんなに売るのが辛いならこれは来年出すことにして、これとは違う作品をまた作って出す?」って聞いたら、「いや、ものすごくいいから出すべき!」ってスタッフは言ってくれて、「どっちなんだよ!」って(笑)。 このダウンロード・カードはそういう時にスタッフが出してきたアイディアなんですよ。
——デデさんにとってダウンロード・カードのどういう部分が魅力的だったんでしょう?
ちょうど今、作り手もリスナーも納得するような理想のメディアがない状態で、CDもグッズという側面が強くなってきたから、そういう時にカードっておもしろいなと思ったんです。ダウンロード・カードにリミックスした曲をアップロードしている1年間の間はコンテンツが常に増え続けるし、アルバムの宣伝もできますよね。デジタルとしてインターネット上で終わりではなく、モノとして実在することもできる。別にダウンロード・コードがついていたらそれだけでいいのかもしれませんが、秘密のクラブ・メンバーの会員証を持っているような気持ちになってもらえるのかなって。
今回の作品を自由に作ることができたのでこれで肩の荷が降りて
——渋谷ヒカリエで行われるエキシビジョンでどんなことをするのか教えて下さい。
OTOTOYさんから「高音質のイベントをやりませんか?」ってお話をいただいた時に、前にOTOTOYさんがヒカリエでやっていたイベントを思い出して、あの場所で何かできるならやってみたいなと思ったんです。これまでやってきたジャケットの現物が置いてあるだけの展示会ではなく、あの空間にアルバムの世界を可愛くデコレーションして、みんなで音楽を聴いて幸せになれたらなと。今はスタッフが頑張ってくれていて、僕には何もやらせてくれないんですけど、相当おもしろくなると思いますよ。
でもこのアルバムの世界って視覚とか、エキシビジョンが大事になってきますよね。
だからそういう部分を今まで以上に強く出していこうと思っています。
——馴染みがないものだからこそ心の奥に届くまで時間がかかるというのはすごく納得できます。
ビジネスとしては、フックがあってキャッチーなものを出しておくべきなのもわかってはいるんですが、わかっている上でビジネス的なものよりも、やっぱり自分で表現したいものを先に出しておこうと思ったんです。だから逆に言うと、今回の作品を自由に作ることができたのでこれで肩の荷が降りて、今後アッパーなものを作ってくださいと言われたら快諾できるようになったと思います。
——じゃあこれまでは自分の中で世界がどんどん広がって、それが溜まっていた状態だったんですね。7月の「milkyway drive」の時はどういう心境だったんでしょうか?
あれはライヴ用に作っていたトラックが好評だったので、スタッフももったいないからやりましょうっていう感じで出しました。でも逆に、直前にあれを出していて突然今回のような正反対の方向に行くっていう流れも僕らしくていいかなと。
——このPVがアルバム全体の序章であるとはいえ、完全にこういう世界観になってしまうっていうのは誰も想像していないんじゃないでしょうか?
この1曲目のトレイラーがたまたまこういう曲調だって思ってる人が多いかもしれないんですけど、全部これなんです。徹底して(笑)。
僕は1年間『farewell holiday』の呪いから抜け出せないんです(笑)
今回のアルバムの曲は、ライヴではどうやって表現するんですか?
ライヴでは多分ピアノを弾くのが1番現実的です。北海道に、いつもすごくよくしてくれるサッポロスターライトドームさんというプラネタリウムがあるんです。この間イベントで行ったときも、普通はプラネタリウムって暗いので撮影ができないんですけど、彼らが持っていた高感度カメラで特別に撮影させてもらったんです。そこにあったグランドピアノで何気なく今回のアルバムの1曲目の「friday comers」を弾いてみたら手応えがあって。ただ最初はそれでワンマンをやろうと思ったんですけど、今までのダンス・ミュージック的なDE DE MOUSEを期待している人もいるなかでライヴまでそこに振り切っちゃうのはどうなのかって話になったので、それをプラネタリウムで実現して、その後に盛り上がりたい人たちのためにリキッドルームでライヴをやります。
——今回のアルバムはライヴでいろんなことができますよね?
実現できるかわからないんですが、プラネタリウムの時は自分たちで映像を持ち込こんで、元のプラネタリウムの映像と組み合わせようと思っているんです。それもBABさんの協力あってのことなんですけど、前代未聞ですよね。プラネタリウムの映像は大体4Kで、描き出すのもすごく大変なんです。
——今回OTOTOYでは32bitで出すということで音質にもこだわりがあるんですよね。今回協賛してくれるローランドさんも、デデさんの高音質には期待しておられます。彼らもずっと32bitで出してくれるアーティストさんを求めていたそうで。
こだわるとまではいかなくて、24bitより32bitの方が、音がいいならそっちの方がいいかなっていう気持ちだけなんです。今回は生っぽい音源を使っているので粒の量を多くして楽器の音をなめらかにしていく方が合うだろうなと。音のプロがソフト音源を作ってるので、僕自身実はそんなに音にこだわりはないし、自分で変なことをして音を悪くするよりも、そのまま出した方が綺麗になると思って。マスタリングも今回は自分でやったんですけど、いろいろやりたくなってやってみた後、結局元の音源が1番よく聴こえたりして。だから32bitで出すことを聴いた人がどう思うかは僕自身もわかっていませんが、音としてはいい音になっていますよ。
——音質を体感できるエキシビジョンが楽しみですね。ライヴは大阪のビルボードと東京のリキッドルームなんですね。
ビルボードは映像とピアノを組み合わせてライヴをやろうと思います。本当は全部のライヴをその編成でやりたいんですが、フックがあるかどうかわからないので、少しずつ考えていこうと思っています。あのダウンロードカードの曲を全てアップロードし終わった時が完成なので、本当のリリースパーティーは来年の終わり頃なんですよね。僕は1年間『farewell holiday!』の呪いから抜け出せないんです(笑)。
過去作
DE DE MOUSE / milkyway drive
今年6月に設立3周年を迎えたDE DE MOUSEが主宰するレーベル「not records」から発売された記念EP。ライヴ用にエディットされた音源の中からDE DE MOUSE自身がチョイスした珠玉のダンスチューン。流れるような美しさは唯一無二。
DE DE MOUSE自身が10代の頃に愛して止まなかったアンダーグラウンド・ダンス・ミージックへの愛が込められたEP。90'sブレイクビーツに埋め尽くされた、疾走感あふれる爽快な1作。
DE DE MOUSE / sky was dark
DE DE MOUSEの4作目となるフル・アルバム。きらめくような電子音で縁取るのは”郊外の亡霊が空に漂う世界を舞台にした、時間が巻き戻る一夜”。過去作と比べるとストーリー性が増し、楽曲はよりドラマチックに響く。
LIVE INFORMATION
『farewell holiday!』リリース・パーティー
2016年1月9日(土)@多摩六都科学館プラネタリウム(1day 2公演)
2016年2月10日(水)@恵比寿リキッドルーム 「DE DE MOUSE × 1」
2016年2月28(日)@ビルボードライブ大阪(1day 2公演)
ライヴ詳細はこちら : http://dedemouse.com/liveschedul
PROFILE
DE DE MOUSE
遠藤大介によるソロプロジェクト。作曲家、編曲家、プロデューサー、キーボーディスト、DJ。また、自身の曲のプログラミングやミックス、映像もこなす。織り重なり合う、計算しつくされたメロディと再構築された「歌」としてのカットアップサンプリングヴォイス。流麗に進む和音構成と相交わりから聞こえてくるのは、きらびやかで影のある誰にも真似できない極上のポップソング。染み渡るような郊外と夜の世界の美しい響きから感じる不思議な浮遊感と孤独感は、多くのクリエイターにインスピレーションを与えている。
>>DE DE MOUSE Official HP
>>DE DE MOUSE Official Twitter