ジャズ・トリオの“限りなき探求”——H ZETTRIOによる最新フル・アルバムを先行ハイレゾ配信!
キャッチーなメロディを軸にスウィング、サンバ、ポップスなどヴァラエティー溢れる楽曲を展開する超絶ジャズ・ピアノ・トリオ、H ZETTRIO。今年に入ってなんと8曲におよぶシングル曲を発表し、全作品ともiTunesジャズ・チャートで1位を獲得という快挙を達成した。そんな勢いにのった彼らによる待望の2ndフル・アルバム『Beautiful Flight』をどこよりも早く先行ハイレゾ配信!! ハッとさせられるほどの美しいハーモニーと緊張感溢れるインタープレイをぜひハイレゾでお楽しみいただきたい。
H ZETTRIO / Beautiful Flight“EXCITING FLIGHT”(ハイレゾ版)
【配信形態】
ALAC / FLAC / WAV / AAC
※ファイル形式について
※ハイレゾとは?
M02,03,05,07,09,12は24bit/88.2kHz、その他の楽曲は24bit/96kHzとなります。
【価格】
単曲 432円 / まとめ購入 3,930円
【Track List】
01. プロローグ
02. Beautiful Flight
03. Trio,Trio,Trio!!!
04. Everything
05. Something Special (Beautiful Mix)
06. Neo Japanesque
07. あしたのワルツ
08. MESHI
09. Get Happy! (Beautiful Mix)
10. Wow Wow Wow
11. あの夏のオリエンタル
12. Smile
13. Happy Saturday Night(Bonus Track)
まとめ購入いただくと、デジタル・ブックレットが付属します
INTERVIEW : H ZETT M(H ZETTRIO)
H ZETT Mは、天才音楽家だ。持ってる要素は、ポップ。でも飽きっぽいので、常に新しい音楽に挑戦しなければならない十字架を背負っている。口べたなH ZETT Mから、なんとか多くの言葉を引き出すことができた。彼の天才性が垣間みれる随一の取材内容になったと思う。
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 鶯巣大介
写真 : 大橋祐希
常に攻めの気持ちは持ってたい
——まず今回はどのような作品にしようと思って『Beautiful Flight』の制作に取りかかったのか教えて下さい。
いままでのアルバム制作はある程度の一定期間で完成させてたんですけど、今回は曲によって制作した時期が4つに分かれていまして。完成しては配信をしてという流れでした。そこでリスナーさんの反応を受けながら、次の新曲に取り掛かっていって。だからコンセプトを立てて作ったというか、格好よくいうと世の中の流れを感じながらまとめていったという感じなんですかね(笑)。
——今年2月から8月にかけて8作連続で楽曲をリリースしていますね。リスナーの反応を見ながら次々に制作していったと。
例えば夏フェスでこういうプレイをしたらすごいリアクションがよかったとか、そういう声を次の新曲に取り入れられるというか。あんまり間を開けずに曲を作って配信していきました。
——その方法はすごくおもしろいですね。H ZETT Mさんと関係があるというPE'Zのほうと比べると、活動方法がまた違うなと思ったんですが、そこは意図的なものですか?
意図的ではないですが、比べるとフットワークは軽くなってるかもしれませんね。いろんな方向を見て、いろんなほうに進んでいるので確かにスピード感は増してるかもしれません。
——だから言い方は悪いかもしれないんですけど、H ZETTRIOを見て、ある意味PE'Zの終わりは次のステップに進むために必要なものだったのかなとも感じたんです。
PE'Zの終わりはたまたまその時期がきてしまったわけで、これとは無関係です。個人的に常に攻めの気持ちは持ってたいなと思ってます。
イメージした通りの音が伝わってほしいって思いがあった
——なるほど。H ZETTRIOはどういう流れで曲を作っていくんですか?
最初にイメージが浮かびまして、それを譜面に書くっていう感じです。ピアノを弾きながらのときも、弾かないときもありますけど、メロディとハーモニーとリズムがいっぺんに浮かびます。
——その譜面をメンバーの2人に渡して、さぁレコーディングするぞっていう感じ?
そうですね。でも一応譜面を書きますけど、それほど書き込んでない場所もあったりしまして。譜面はこの通りやってくださいっていうよりも、イメージのざっくりした指示書みたいな感じなんです。それを渡すと、じゃあ自分ならこうするみたいなアイデアが2人から出てきます。
——そこはセッションっぽい感じで作り上げていくんですね。そういう点ではジャズ的な作り方なのかなとも思うんですけど、H ZETTRIOはフリー・ジャズとかそういう難解な音にはなっていないじゃないですか。どちらかと言えばJ-POP的なポップさも僕は感じたんですよ。
フリー・ジャズもかっこいいなと思いますけど、そっち寄りに意識がいってないってことなんですかね。キラキラした感じがすごい好きだということもあるし、あとはメンバー全員そうなんですけど、楽しさを伝えたいという思いがありますね。 世代間も広げたいし、その辺りが反映されてポップさが出てるのかなという気がします。
——なるほど。3人にとって“楽しい”ってどういうものなんでしょうか。
演奏してるときの表情ですかね。レコーディング・ブースではお互いの顔が見えたんですけど、3人でいっせーのーせで音を出して顔を見ると、なんかしでかしてやろうみたいな顔をしてたりするんですよ。そのやりあう感じというか、そういう楽しさですかね。子供心をいつまでも持っていたいなと。
——そういった部分がポップな音に繋がっていくのかもしれませんね。だとすると付き合いが長いというH ZETT NIRE(Ba)とH ZETT KOU(Dr)の2人がメンバーであるということは、H ZETTRIOにとって非常に重要なことのようにも感じます。
まぁ気づいたらいたという感じですね(笑)。でも(2人がメンバーである)意味があるとしたら意思疎通のスピードが早いところですかね。バンド感が出てるのは長年一緒だったということが大きいですかね。オフィシャルでは別人ですが(笑)…。
——『Beautiful Flight』のキーワードとして“ハイレゾ”もあるのではないかと思います。今回はレコーディング中に三浦さん(三浦瑞生 ミキサーズラボ代表)のスタジオでいろいろな方法を試したとお聞きしました。
それはいいものを届けたいというか。いい音でっていうのが基本的なテーマとして元々ありまして。イメージした通りの音が伝わってほしいって思いがあったんです。意外にというか、いままで音楽活動をやってきまして、曲を作ってレコーディングをして音源で発売されると、僕の頭のなかで思ったものがそのまま届くのかなと思ったら、そうでもないのかなと。いままであんまり気づかなかったんですけどね。そしたら最近の科学の進歩ですかね(笑)、それによって僕のイメージそのままを届けられるとしたら、そっちのほうがいいなと。(ハイレゾは)リスニングしていて音のなかに入り込めるというか、「あぁ!」という感動がある気がします。
——いい音を出すために具体的に取り組んだこととはありますか?
ベースの音が全然違いますね。ケーブルを変えると音も違うんだなってことも思いましたし。
——今回は曲によって88kHz、96kHzと配信形態に違いがあるんですけど、これは三浦さんの意図?
そうですね。88kHzはエッジが必要な楽曲、僕のプレイにあってるらしいです。96kHzはクラシカルに聴かせる曲というか、上品に聴かせるというか、それによって変えてます(笑)。
——なるほど。ハイレゾとはいえ今回はCDでもリリースされると思うんですが、そこでのこだわりもあるんじゃないですか?
いい音ということに意識を持ってったことの意味が大きいのかなと。なのでCDでもそこは達成できた感じはありますね。
——では収録曲についても話を聞かせてください。アルバムにはタイトル『Beautiful Flight』と同名の曲が収録されていますね。
この曲の配信時、僕らの予想以上の反響があったので「これかな!」ってのが大きいです。なのでアルバム・タイトルは皆さんのご意見で決まったといっても過言でありません(笑)。そもそもこの曲のタイトルを考えてるときにですね、離陸するようなイメージが浮かんで。離陸したあとワッと飛行機のなかの世界が広がる、そんな気持ちよさを言葉で表現したいなと思いまして。それでこのタイトルが浮かんだんです。
——“イメージ”という言葉が何度か出てきましたが、H ZETT Mさんにとって頭のなかのイメージをいかに形にするかっていうのが創作におけるひとつのテーマなのかなと思いました。
そうですね。
——ちなみにその感じでいくと「Trio,Trio,Trio!!!」や「MESHI」にはどんな思いが?
僕らMCが苦手なので、「Trio,Trio,Trio!!!」はメンバー紹介を曲中でしたいなと…。だからそのままのタイトルですね(笑)。「MESHI」は最初はアシッド・ジャズ的なファンクの要素とかも入った曲だったんですけど、レコーディングのときにKOUさんにちょっとフザケてもらいたいなと思いまして。マイクの前に行ってもらって、自由に言葉を発してくださいって言ったら「飯!」って言葉が出てきたんです。飯が食いたいとかなんとかって。でそれをそのままタイトルに(笑)。
——あはは(笑)。「Something Special」「Get Happy!」はBeautiful Mixと表記がありますが。
これはこのアルバムのためにミックスし直したんです。元々レコーディング方法が違って、アナログ的に録っていて。アナログ・テープを使いました。その時期のMIXイメージとアルバム制作していく上でアプローチ方法が異なってきたのでそうしました。
——それを今回新たに三浦さんに再ミックスしてもらったと。
そうですね。楽器一つ一つの、粒をはっきりさせてもらい、他の曲達のような性格にしてくださいというオーダーをしました。
新しい発見をしてこそ明日も生きていけるみたいな(笑)
——ここで改めてH ZETT Mの音楽遍歴についても伺いたいと思います。最初はジャズから入ったんですか?
最初はクラシックですね。小学生のときに音楽教室に通ってて。親は特になにもやってなかったんですけど、家に足踏みオルガンがありまして、それを遊びで弾いてたんです。いま自分でもびっくりするんですけど、足踏みオルガンが家にあったんですね(笑)。そこからピアノですね。ピアノでクラシックを黙々と弾いてる時代がありました。
——作曲はいつくらいに始めたんですか?
作曲はピアノを習い始めたときからやってましたね。作ったほうが面白いと思ったんですかね?
——しかも小学生ですよね。そのときはクラシック的な曲を作ってた?
ポップスでもなくクラシックでもなくという感じですね。わかりやすいメロディを作ってたってことですけど。中学生になってエレクトーンなんかも噛りだしまして。クラシックのみでは飽きてきて、ジャズとかロック、フュージョンとかいろんなジャンルを聴いてみたり。それがごちゃまぜになって入ってきましたね。高校くらいでシンセサイザーとかシーケンサーとか機材を買ってもらい始めて、それで打ち込みだすと。
——作曲するためのものがだんだん増えていったんですね。それで音楽学校に進学。
はい。音大の付属高校に専門は作曲で入っていて。そこはクラシックの大学の付属だったんで、クラシカルな曲をピアノで作ってましたね。高校大学もクラシカルな曲を作っていたんですけど、とは言ってもそれは学校向きの顔というか(笑)、真面目な課題作りとしての顔で。
——悪いやつですね(笑)。そこでいまの音楽の方向に少しずつ向いていくと。
クラシック以外の曲もやはり好きでして。高校でフュージョンっぽいバンドをやり始めたのもあって、両極端ですけど、その両方を楽しんでましたね。クラシックという真面目な面があるから、バンドのほうではっちゃけられるってのもありました。
——クラシックの体験や基礎がH ZETT Mのルーツにはあるんですね。いまはそっちのジャンルの音楽はやってないんですか?
いまは作ってもないですね。でも自分の音楽体験がクラシックから始まっているので、どこかにクラシックが1番すごいっていう意識はあります。1番ちゃんとしてるって感じがして(笑)。歴史からくる理論があるというか。ひとつひとつに意味がありますよね。ジャズとかロックはある意味自由ですよね(笑)。
——あはは(笑)。H ZETTRIOのジャンルを言い表すときにジャズが1番強い要素かなと思うんですが、その点についてはどう考えていますか?
ジャズっていうのはかっこいいなと3人共通して思ってますね。そのジャズのビシっと決めて終わるみたいな美学がかっこいいと。編成がピアノ・トリオっていうオーソドックスなもので、生のウッド・ベースもありますし、まぁジャズになるんじゃないですかね。ジャズ寄りだとは思います。
——なるほど。いまのH ZETTRIOの活動方法もそうですけど、今日の話を聞いてH ZETT Mって探求に貪欲だなと。新しいことにどんどん挑戦したい人なんだなと思いました。
そうですね。新しい発見はしたいですね。それが喜びというか、モチベーションですね。新しい発見をしてこそ明日も生きていけるみたいな(笑)。
——逆に言えば飽きっぽい?
飽きっぽいと思いますね。あとはズレていたいってのはありますけどね。世間とズレていたい(笑)。そうするとなんかいろいろと見つけられるというか。普通だとつまらないかなって。普通じゃないほうがいいと思うんですけどね。
——なんだかその不思議な風貌をしている理由がわかる気がしました(笑)。今日はありがとうございました!
LIVE INFORMATION
Beautiful Flight Night—完全なる試聴—
2015年10月31日(土)@Billboard Live TOKYO
2015年11月4日(水)@Billboard Live OSAKA
H ZETTRIO初となるスタンディング・ツアー
Dancing!!! TOUR
2015年12月22日(火)@北海道KRAPS HALL
2015年12月26日(土)@福岡ROOMS
2015年12月28日(月)@京都MUSE
2015年12月30日(水)@東京下北沢Garden(SOLDOUT)
H ZETTRIO過去作
H ZETTRIO / HAVE A NICE DAY!(Live ver. at H ZETTRIO LIVE LUXURY 〜素晴らしきアンサンブルの夕べ〜 2015.6.25)(DSD5.6MHz+mp3)
【配信形態】
DSD5.6MHz+mp3 : 単曲 432円(税込)
【Track List】
HAVE A NICE DAY!(Live ver. at H ZETTRIO LIVE LUXURY 〜素晴らしきアンサンブルの夕べ〜 2015.6.25)(DSD5.6MHz+mp3)
H ZETTRIO / 世界は廻るよ(Live ver. at H ZETTRIO LIVE LUXURY 〜素晴らしきアンサンブルの夕べ〜 2015.6.25)(DSD5.6MHz+mp3)
【配信形態】
DSD5.6MHz+mp3 : 単曲 432円(税込)
【Track List】
世界は廻るよ(Live ver. at H ZETTRIO LIVE LUXURY 〜素晴らしきアンサンブルの夕べ〜 2015.6.25)(DSD5.6MHz+mp3)
2015年6月25日(木)にミューザ川崎シンフォニーホールで実施された「LIVE LUXURY~素晴らしきアンサンブルの夕べ~」の模様がDSDで配信となった。PE'Z(ペズ)の解散発表後、その動向が注目されていたH ZETT Mが、ドラマーのH ZETT KOUとウッド・ベーシストH ZETT NIREを引き連れ完成させたデビュー・アルバム『★★★(三ツ星)』収録の2曲に、クラシックホールならではの響きとDSD録音が加わり、低域~高域までワイドレンジで見事に再現されている。また当日は、H ZETTRIOメンバー全員が兼ねてからファンだったと言う、ふかわりょうがH ZETT FとしてMCで登場し、会場を多いに盛り上げた。アコースティックなピアノ・トリオという編成ながら、スピーディーでエッジの効いたサウンドをDSDで是非感じてみて欲しい。
PROFILE
H ZETTRIO
H ZETT M(エイチ・ゼット・エム) 率いるトリオ・グループ。“無重力奏法”と形容されるテクニカルなピアノと、それを支えるキレのあるリズム・セクションを武器に、独自のアンサンブルを響かせる。昨年2014年はスイスで行われたジャズ・フェスティバルの最高峰との呼び声も高いMontreux Jazz Festivalへの初参戦を果たした。また国内ではFUJI ROCK FESTIVAL’14で超絶演奏テクニックを見せつけ、 「笑って踊れるジャズ」は初見の若い観客達の度肝を抜いた。本年は、プロデュース、作曲、他のアーティストやCMの楽曲提供等も積極的に行うと共に、国内ツアーに加え、韓国フェスでのパフォーマンスも成功させるなど、国内外において精力的な活動を行っている。即興演奏の面白さを存分に味わえるオンリーワンのパフォーマンスは必見だ。 一昨年に発表したデビュー・アルバムに引き続き、昨年9月にはベスト・アクトとの呼び声も高い6月の横浜公演を収録したアナログ12インチ盤を発表。今年に入り既にシングルを既に8曲リリースし、全てiTunesジャズ・ランキングの第1位を獲得!!!今夏に発表の新曲でも、3人以外には作り出せない音楽とグルーヴを追求し続けている。今年8月からオフィシャル・ファンクラブ「Z界」をスタートさせた。