互いの"らしさ"の共鳴とせめぎ合い──noidとmy letterのスプリット作をハイレゾ配信開始
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2ndアルバムが2014年の第6回CDショップ大賞甲信越北陸ブロックの大賞を獲得するなど、地元金沢で圧倒的な支持を得ている6人組バンド、noid。主催するイベント〈Magical Colors Night〉ではこれまでに国内外の豪華アーティストを招聘し、全国区でその注目を集めている、まさしく金沢のシーンのキーマンと呼べるバンドである。
そして、京都を拠点に活動しバンド結成より7年を経て2014年に満を期して1stアルバムを発表したmy letter。それまでライヴで販売していたデモしかなかったのにも関わらず、ストックホルムのポップ・マニュファクチャー・ユニット、マーチング・バンドに絶賛されるなど国内外のリスナーを抱える、ニューウェーブ、USインディーズのバックグラウンドをうかがえるバンドだ。
金沢と京都のシーンを牽引するこの2バンドと兼ねてから親交があったのがシンガー・ソングライターのゆーきゃん。彼がコーディネートしたことで、2015年11月にスプリット作の7インチ版のリリースが実現した。そしてこのたびOTOTOYで本作をハイレゾ(24bit/96kHz)で配信開始! noidの「STARS」は静寂に響くビブラフォンとアグレッシヴなギターのコントラストが印象的な多幸感溢れるポップな1曲。一方のmy letterの「ストロボ」は、硬質なギターとサビの展開にハッとさせられるニューウェーブの香り漂う曲調となっている。
それにともないOTOTOYでは、noidのエイジ(Gt & Vo)とmy letterのキヌガサ(Gt & Vo)によるSkype対談を実施。どのような経緯でスプリットのリリースまで至ったのか、また互いの関係性について大いに語ってもらった。さらには、ゆーきゃんからのメッセージも到着! インタヴュー、メッセージとともに、本作をぜひハイレゾで体感していただきたい。
noidとmy letterの渾身のスプリット!
noid / STARS : my letter / ストロボ (split)
【配信形態】
左 : 24bit/96kHz (WAV / ALAC / FLAC) / AAC
右 : mp3
>>ハイレゾとは?
>>※ファイル形式について
【価格】
左 : 単曲 299円(税込) / アルバム価格 599円(税込)
右 : 単曲 249円(税込) / アルバム価格 499円(税込)
【収録曲】
01. STARS (noid) / 02. ストロボ (my letter)
※アルバム購入いただいたお客さまには、ゆーきゃんによるライナーノーツがついてきます。
本作をコーディネートした、ゆーきゃんからのメッセージをお届け!
アメリカ中のマイノリティのハードコア・バンドが他の街に行って、他のマイノリティと繋がって、それが大きなコミュニティになって、アメリカのハードコアってカルチャーが作られたっていう「アメリカン・ハードコア」というドキュメンタリーをみてすごく感動したんですけど、そのことを思うんですよ。例えばnoidは金沢っていうシーンを作ろうとしている。my letterは京都から出て離れ離れになりながらも、京都でmy letterっていうものを作ろうとしている。オルタナティブとかインディーって、メインストリームに対してどうするかみたいなことがあると思うんですけど、結局コミュニティはどこにいても作れるというか。どの街にいても、同じようなものに共鳴できる人が繋がっていく中で、飛び火して作っていけるんやなってことを思うわけですね。大事なのは、金沢に面白いバンドがいる。京都から出てバラバラになっても音楽を続けていこうとするバンドがいる。っていうことを繋いでいくことだと思っていて。今回のスプリットも、それが& recordsから出ていること、OLDE WORLDEの沼田壮平くんがジャケを描いていること、それを繋いだのがゆーきゃんであること、OTOTOYがこのスプリットを取り上げて、東京のオーディエンスに、もしかしたら世界に届くかもしれないこととか。そういう仲間内で作るスプリットではない、新しい種類のスプリットというか、新しい共同体を作っていく可能性があったらいいなと思っています。(by ゆーきゃん)
ゆーきゃんの通算3年ぶり、5作目のアルバムも!
ゆーきゃん / 時計台(24bit/96kHz)
【配信形態】
24bit/96kHz (WAV / ALAC / FLAC) / AAC
>>ハイレゾとは?
>>※ファイル形式について
【価格】
単曲 199円(税込) / アルバム価格 1,500円(税込)
【収録曲】
01. 或るつばさに / 02. サイハテ・バス・ストップ / 03. ルウナ(ウミウマ) / 04. デスペラードアヴェニューの猫 / 05. パレード第9号 / 06. 夕方の縁石 / 07. マドラグ(西陽の国) / 08. 昔ラジオで聴いた
INTERVIEW : エイジ(noid) × キヌガサ(my letter)
共通しているのは"聴きやすい変拍子"を意識していること
──今回のスプリットを出すことになったきっかけは、何だったのでしょうか?
エイジ(noid) : 僕らの曲が完成して、どうリリースするかをゆーきゃんに相談したのが始まりですね。ゆーきゃんに、「7インチを出したい、B面にはリミックスを入れたい、でもレーベルが決まっていないんですけど、どうしたらいいですか」って。ゆーきゃんは、それだとあまり面白くなかったみたいで、my letterとのスプリットを提案してくれました。
キヌガサ(my letter) : 僕らはドラムが抜けることになったので、そこで1曲録って出したいなと思って。同じくゆーきゃんに相談したら「noidとスプリットはどう?」って提案してくれたんです。
エイジ : 僕らは、その話を聞いて、もう「my letterさんさえよければ! 」って感じで。
──お互いのことを、どう思っていましたか?
エイジ : 僕、一聴してそのアーティストだってわかる音楽が好きなんですよね。my letterはそういう独特なもの、”my letterさ”を持ってる。聴いたらすぐに彼らの音楽だとわかるというか。だからすごく好きでしたし、スプリットの話は嬉しかった。あと僕らも追求している「聴きやすい変拍子」っていうんですかね。そういうところが共通してるなと思ったり。
キヌガサ : アルバムのレコ発で金沢でライヴをしたときにnoidと一緒にやらせてもらって。でも、そのときは、あんまり喋れなかったんです。ただゆーきゃんに話をもらったとき、これは間違いなく面白いやろうなと。スプリットの「stars」を聴いて、さらにしっくりきた感じはあります。僕、近しいコミュニティの人達とのスプリットは出したくなかったんです。手の届く範囲の人たちは自分が動けばいつでもできるから。それよりも新しいことをやるほうが面白いなって。
──noidの「stars」はどのように創られたの?
エイジ : ドラムとベースと3人でスタジオに入ってセッションをしていたときに、メロディー・ラインとコードが生まれたんです。5拍子の曲なんですけど、そんなことが気にならないようなメロディー・ラインがでてきたので、絶対完成させようと思って。「STARS」は、夜から朝にかけての曲で、自分で創っておいてなんですけど、この曲に励まされたりするんですよね。
──my letterの「ストロボ」は?
キヌガサ : それがあんまり覚えていなくて... アルバムが出たその後に何曲か同時並行で曲を作ってたんですよ。とりあえずアイデアをひたすら出して、どんどん固めていくという感じ。その中で、スッとできた曲なんです。
金沢で徐々にシーンが定着している
──「地域と地域との結びつき」をコンセプトにしたスプリットとのことですが、それぞれの周りではどんなことが起こっていますか?
キヌガサ : この間bedがアルバムを出しましたが、彼らを筆頭に先輩の代の人たちがある程度生活を安定させてずっとバンドをやっている。一方で、僕も全然知らない新しいバンドがどんどん出てきています。京都では、常に新しい音楽、新しいバンドから刺激ももらえるし、各世代がそれぞれ頑張っている気がします。
エイジ : 僕らは〈Magical Colors Night〉というシリーズ・イベントをやっていて、アメリカからof MontrealやカナダからTOPS、京都からだとLLamaや、岡村詩野さんをDJでお迎えしたり、my letterに2015年の秋に出てもらったりしたんですけど、そのイベントにきてたお客さんがこの間初めてイベントを企画したとか、連鎖して面白い企画が立ち上がりつつあるんです。あくまで僕が感じていることですけど、徐々にシーンが定着しているのかな。カセットテープエコー、やまも、KYON、イマ等々… いいバンドもどんどん出て来てて、basement colorという若いバンドをたまたま見たんですけど、すごい格好良かった!
──金沢は北陸新幹線が開通して1年経ちましたけど、街に変化はありましたか?
エイジ : 人が集まる場所にはものすごい人が集まっている状況ですね。金沢駅周辺は人もお店もすごく増えましたけど、僕が住んでいる小松という、金沢駅からもう一駅いったところはそんなでもなくて。でも注目されてるのはありがたいですよね。観光のついでにイベントに寄ってくれる人とかもいて。東京や県外から来てくれている人が増えているような気がします。
キヌガサ : 金沢にライヴをしに行ったとき、対バンがNINGEN OKとehonとnoidだったんですけど、あんまり日本の音楽っぽくなくて。だから、すごく不思議な土地やなと思いましたね。京都の人よりもさらに難しいことをやってるイメージがあります。センス一発で作ってる感じがしないというか。
エイジ : それは影響しあって今に至っているのかもしれないですね。僕らは京都に1回か2回しか行ったことがないんですけど、LLamaとか越後屋とか、やっぱりくるりとか、なんだろう... 京都らしいというんですかね? 和のメロディーというか。それが個人的にすごく好きで、my letterも共通するものがあると思うんですよ。そういうところに魅かれていますね。
バンドのアイデンティティがそこ(京都)にある
──my letterやnoidは、働きながら音楽をやっています。生業としてではなくて、生活の一部に音楽がある。
キヌガサ : そうですね。バンドを組んだときから、バンドのことはバンドで賄おうっていうのがありました。特に金銭的な部分では。自分たちが無理をしてやるのはあんまり続ける意味がないよねというスタンスでやってます。
エイジ : 僕らも皆仕事をしつつ、その延長に音楽があります。金沢を拠点にDIYで活動していく中で、東京とかから興味をもって観に来てくれる人がいたらやっぱりそれはすごく嬉しいですし、そんな誇れるインディー・イベントを作っていきたいんです。
──noidは、〈Magical Colors Night〉がバンドにとって大きなモチベーションになっているんですね。
エイジ : とても大きなモチベーションです。すごく格好良いバンドを僕らで選んで呼んでいるので、そこで一緒に演奏することで、練習だけじゃ得られない感覚を得られているんです。それが何よりも大きな成長になるんじゃないかなって。
>>of Montrealも出演を決めた、金沢の雄"noid"主催〈Magical Colors Night〉成功の鍵とは?──鼎談 : エイジ(noid)×ゆーきゃん×岡村詩野
──キヌガサさんにとってのモチベーションは?
キヌガサ : 僕ら、今メンバーが誰も京都にいないんですよ。生活拠点が変わってしまって、僕が東京、ギターが福井、ベースが岐阜で暮らしていて。そういう変化の中で、ある程度自分たちで絞り込んで活動していかなきゃいけない。とはいえ常に新しいものに触れていたいし見たい。いろんなところに行きたいですし、いろんな人に会いたいですし、いろんな音楽を聴きたいので、やっぱりバンドは続けていきたいと思っているんです。
──とはいえ、遠距離でのバンド活動は大変ですよね?
キヌガサ : でも先週も先々週も京都のスタジオに入っているんですよね。現時点でとりあえずなんとかなってるんで、なんとかなる限りは。スウェーデンのマーチングバンドは、全然違う街に住んでいて、会うこともなく、曲を作って音楽活動をしている。あとディアフーフなんかもそうですよね。そういう活動をしながらコンスタントに作品を創っている人たちがいるので、まあなんとかなるかなと。
──じゃあmy letterは京都にこだわらなくなった?
キヌガサ : ただ、今もライヴでは「京都から来ました」って言ってます。住む場所はバラバラですけど、結成したのも、アルバムを創ったのも、今集まってるスタジオも京都なので。バンドのアイデンティティがそこにあるんです。
「地域と地域との結びつき」を身をもって理解出来てきた
──noidみたいに、金沢に腰を据えてやるっていうのは、うらやましいもの?
キヌガサ : いいなと思いますね。夜な夜なスタジオに入られてるんですよね?
エイジ : そうですね。ドラムが家を購入して自分のスタジオを持ったので、週末に1回は集まって。
──my letterも自分たちのスタジオを持ってるんですよね?
キヌガサ : そうですね。京都の国道沿いに一軒家があってそこで。車がうるさいので結構音を出してもいいんですよ。
──おふたりは今回のスプリットを通じてできた繋がりに、どんな意義を感じていますか?
キヌガサ : 僕はライヴをしに行くきっかけができるというのはすごく大切なことだなと思ってます。バンドをしていく中で”知らないところに行きたい”という思いがあるから。いろんなところの人たちと知り合って、新しいものを見てっていう生活をしたいと思っているので、自分の知らないバンドや地域に繋がるきっかけをもらえたのはすごく嬉しかったですね。
エイジ : 地方と地方、今回は金沢と京都でしたけど、やっぱり好きなバンドと一緒にやれるっていうのがとても大きいなって思います。2月に京都で、7インチのレコ発があって、その時「アンテナ」というフリーペーパーをされてる方々に声をかけられ、3月5日の金沢の僕らのイベントにも参加いただき、連載コラム(ネット)での依頼をいただいたのです。ボロフェスタや、今回の京都のレコ発、金沢の企画でnoidを観て、もっと京都でnoidを拡めたい、金沢の音楽事情の事も併せて京都の人に紹介して欲しい、と言っていただき、凄く嬉しかったです。ゆーきゃんの言う「地域と地域との結びつき」を最初はそこまで理解出来てなかったのですが、そのことがあって、身をもって理解出来てきたように思います。
──my letterとnoid、これからそれぞれどんな活動をしていきたいですか?
キヌガサ : レコーディングの準備をしてます。曲もだいぶできたので、4月が終わったら制作をやろうかなと。
エイジ : 5月に〈Magical Colors Night〉が決まっていて、MY HAWAIIというアメリカのバンドがやってきます。大阪のFLAKE RECORDSが主催するツアーの金沢編ですね。Alfred Beach Sandalとかも出てくれますし楽しみです。音源は、今レコーディング3年目に突入していて、そんなにハイペースでなくゆるゆると進めてるんですけど、来年こそアルバムを出せたらなと思っています。
インタヴュー : 飯田仁一郎
過去作
noid
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>>LOCAL REPORT『さんちゃんの金沢愛』VOL.4
>>LOCAL REPORT『さんちゃんの金沢愛』VOL.5
>>noid、4年ぶり、待望のセカンド・アルバム『so are millions of us』リリース&インタヴュー掲載
>>of Montreal北陸記念鼎談 : エイジ(noid)×ゆーきゃん×岡村詩野
my letter
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>>『All Along Kyoto Tower(京都タワーからずっと)』ゆーきゃんと巡る京都音楽百景
>>7年越しのファースト・アルバムに込められたストレンジ・グルーヴ——京都発のアート・パンク・カルテット、my letterによる初アルバム
>>OTOTOYだけの予約特典&3曲先行配信あり!! 京都が誇るアート・パンク・カルテット、my letterのデビュー作に驚け!!
LIVE INFORMATION
〈noid x my letter split 7" release party〉
2016年4月2日(土)@渋谷TSUTAYA O-nest
OPEN / START : 18:00 / 18:30
料金 : 前売 2,000円 当日 2,500円 (ドリンク別)
出演 : noid / my letter / moools / チームマモル5(nhhmbase) / 水中図鑑
詳細 : http://www.andrecords.jp/blog/shows/noid-x-my-letter-split-7-release-party
〈Magical Colors Night 〉
2016年5月15日(日)@金沢メロメロポッチ
OPEN / START : 16:00 / 16:30
料金 : 前売 3,000円 / 当日 3,500円(1ドリンク別) / 予定学割 2,300円+1D
出演 : noid / Alfred Beach Sandal / UQiYO / The Chimney Sweeper / my hawaii(USA)
PROFILE
noid
ストレンジ・ポップ・バンド。不思議なコード進行・拍・ポップスが何故か自然と同居している楽曲が幅広い層の音楽好きの支持を得る。注目は国内に留まらず、過去にUKのレーベルとも契約経験も持つ。2013年末に2ndアルバム『so are millions of us』を発売。昨年、同アルバムが、第六回CDショップ大賞2014 地方賞/甲信越北陸ブロック賞を受賞。サマーソニックをはじめ、国内ロック・フェスにも多数出演。シリーズ・イベント『Magical Colors Night』を北陸中心に主催し、国内外問わず様々なアーティストを招き北陸を中心にコンスタントに開催している。2015年11月、同じ北陸の富山にて活動するシンガーソングライター、ゆーきゃんのコーディネイトにより、京都のmy letterとのスプリット7″シングルを& recordsよりリリースした。
my letter
2007年、同じ大学の軽音楽部に所属するメンバーで結成。京都のライヴハウスを中心に活動する。主にオワリカラ、Hello Hawk、bed、CARDらと対バン。ボロフェスタにも出演。2012年秋に創設メンバーであるGt.フジイが脱退、新メンバーまつもとが加入。2014年1月、スウェーデンのMarching Bandと共演。メンバーに絶賛され、その演奏シーンが彼らのMVにも使用される。京都中のシーンに愛されながらも、7年間、ライヴハウス会場でデモCD-Rを販売するのみで、全国流通公式音源がリリースされていなかったが、12月3日、& recordsより遂に1stアルバムをリリース。