YOUR SONG IS GOOD、サケロック、キセルやまでもが在籍するレーベル、カクバリズム。その屋台骨は、2001年頃に曲作り担当のsarudogがあいづち担当のタカと結成しただ。カクバリズムのイベントでは、転換時やオオトリ後に登場し、会場をもう一盛りさせる役目を担っている。今までに7インチ二枚と12インチ一枚、フル・アルバムのCDを一枚発表。そして4年ぶりのニュー・アルバム『BGM LP』を9月30日に発表した。
それにしても1曲目の「NO STAR」の破壊力は抜群。1度でもカクバリズムのパーティに行ったことがある人ならわかるだろう、洒落てて踊れる、少し甘くてとても熱狂的な、あのパーティそのままが切り取られている。音楽のスター(MU-STARS)になることを夢見ながら、スターなんかいねぇ(NO STAR)とうたう彼らの本意はどこに? あいづち担当、タカって何者? スター間近の彼らに、インタビューを敢行した。
インタビュー & 文 : JJ(Limited Express(has gone?))
タカとsarudog
—って、基本は2人ですよね? タカさんは、あいづち担当ってことですが・・・。
タカ : う〜ん、なんなんでしょう(笑)。小学校で出会ったので、もう知り合って長いんですけど、気付いたらこうなってました。
ー今作『BGM LP』でのタカさんの役割は?
sarudog (以下saru) : 今回も良い相づちを打ちましたよ。あと、サンプリング・ネタは何枚か出してくれたかな。
ー今作の制作期間は、どれくらいかかりましたか?
saru : 前作から結局気づいたら4年もかかってました。日々デモは作ってて、その中のお気に入りをまとめていったらダンス・ミュージックのアルバムになりそうだったんで、その括りで仕上げにかかったのが、今回の『BGM LP』です。
ーどのようにして曲をつくっているのですか?
saru : ひとつのパターンとして、まずレコード屋さんに行って、レコードを買って、家で聞いて、ネタにしたいフレーズが見つかったら、曲作りのはじまり。それがウワモノの時も、キック1音の時もあったりします。前作は100%サンプリングだったので、ワン・ループ組めたら、その上にドラムを乗っけて、スクラッチやSEをのせてって、さらにそれに合うフレーズが入ったレコードを探して、の繰り返し、とちまちま作っていたので、とても時間がかかったんです。今回は、だいたいのデモを作ったら、音色だけを指定してTSUNx2さん(元FRUITY)にギター等を弾いてもらって、そこからサンプリングしなおすって作業をしました。
ー他に前作との制作環境で変化したところはありますか?
saru : 前回はMPC2000だけで作ったんですけど、今回はプロ・ツールスやハード・シンセを多用しました。MPC2000で作ったサンプルを、プロ・ツールスに流し込んで、そこにイロイロ足していく、という作業をしました。
ー曲制作の中で、タカさんはどのように絡むのですか?
saru : 一緒にイベントに行く途中に、イヤホンで聴いてもらって感想を聞くってのが多いかな。
ーもちろんメンバーだから、タカさんの意見は尊重されるんですよね?
saru : いや、そういうわけでもないんですけど(笑)。ただ感想を聞きたいだけ。自分が自信のない曲でタカが「うーん」って首を傾げたら「やっぱそうなんだ」ってなるし、自信のある曲だったら何言われても「絶対良いでしょ! 」ってなるんです。しかもタカは基本的に人が良いので、だいたい「良いんじゃない」って言ってくれるんで、なんとなくの確認にしかなりませんね(笑)。彼は渋いものが好きなので「良い」って言ったら「これ売れないかもなぁ」とさえ思うんですけど(笑)。
ー・・・。とは言え、今回の『』は、タカさんがいないと完成しなかったですよね?
saru : ・・・。
タカ : ・・・ どうなの? いなくても出来たよねぇ。
saru : そんなことないよ(笑)。
カクバリズムとMU-STARS
ーカクバリズムとの出会いは?
saru : ここでタカが登場するんですよ。たまたまタカが下北沢のディスク・ユニオンで働くことになった。 で、先輩に角張渉さんがいたんですよ。時期的には、カクバリズムが盛り上がる前夜でしたね。最初は、タカが「パンク担当だから渡しても全然無駄だよ」って言ってたんですけど、とりあえずデモ・テープを渡してよって頼んで渡してもらったら、思いのほか気に入ってもらった。で、JxJxさんとかも気に入ってくれてたみたいですぐに「7inch出そうよー」って言ってもらえたんです。
ーカクバリズムに入る前は、何をしていたのですか?
saru : しこしこデモ・テープを作ってましたね。俺はスチャダラパーが大好きだったので、ラップもしていたんです。角張さんには、ラップとインストの両方のデモを渡したら、インストの方を気にいってもらえた。で、カクバリズムから出す直前に無理矢理にって名前をつけてリリースしたんです。
ーの名前の由来は?
saru : 色々あるんですけど・・・(笑)。キャラ的にロック・スターにはなれないけど、大きな意味で音楽のスターになりたいな、ってつけたのが最近の説ですかね。一番古いのでは、ミラクル・ウルトラ・スーパー・スターって、とても凄いことを子供達が羅列して言ったりするじゃないですか? そこからとったっていう説(笑)。あとはデザイン・チームのMUが好きだったとか、B-BOYだからE-MUからとか・・・。
DJとコンポーザー
ーsarudogさんは、DJでありコンポーザーでもありますが、自分自身を使い分けていますか?
saru : 特に普通のDJとライヴ・セットで臨むときは意識的にかなり違います。ライヴ用に曲をエディットして仕込んで、スクラッチやエフェクターを駆使して行う、所謂ライブ。なにやってるかわかんない人が見れば普通のDJと一緒っていう(笑)。でも外国ではそういったライブで何千人ものお客さんを熱狂させるわけじゃないですか? 打ち込みベースの楽曲をバンド形態ではなく、ライブでどう見せるか。ずっと課題です。
ーDJで意識している点はありますか?
saru : ライブ・イベント等のDJ時でも、すこし難解な自分の提示したものに対してもお客さんがついてくるようになればいいな、と精進しています。カクバリズム等のバンド勢と一緒の時と、DJだけのレギュラー・パーティーの時とでは、どっちも好きですけど、向いている意識は違います。
ーリスペクトしているミュージシャンを教えてください。
saru : スチャダラパーとビースティー・ボーイズです!
ーは、DJ? コンポーザー?
saru : 最終的にミュージシャンになりたいと思ってます。元々ヒップホップって、"非ミュージシャンによる音楽革命" って言われるように、楽器とかがなくても、他人の曲を繰り返してその上でラップするっていう。僕も実際そうだったんですけど。その非ミュージシャンからスタートして、段々とホントの意味でのミュージシャンになっていきたい、っていう。 以前は、たとえば、キーがズレていてもかっこいい! っていうヒップホップ的な概念が好きだったんですけど。それは根っこにありつつも、音楽理論も踏まえていきたいなと。
ー今後のの予定を教えてください。
全国をライヴ・セットでまわってみたいなぁと思っていますね。作品は常に作っているので、すぐに次作を出したいと思っています(笑)。
PROFILE
2001年(頃)結成のsarudog(曲作り担当)とタカ(あいづち担当)の二人組。
2003年にカクバリズムよりリリースした7'singleが全国のレコード店で瞬く間に完売。全国のHIP HOP〜FUNK〜BREAKBEATSファンに衝撃を与えた。
2005年にリリースした1stアルバム「CHECK 1,2」は、BREAKBEATSを中心とした楽曲に多数のゲストが参加したファンキーで熱い1枚になり、このアルバムがジャンル・レスに絶賛を受ける。
アルバム・リリース後は全国各地のイベントでのDJの他に、CM楽曲の制作や、コンピレーションへの楽曲提供をしつつも、並行して2ndアルバム「BGM LP」を制作。1stから4年振りとなるフル・アルバムを2009年9月30日にDROP!
Live Schedule
- EVERY 1ST SAT 『SECOND ROYAL presents FREAKY!』 @新宿 OTO
\2,500(2D付) / with fryer \1,500(1D付 OPENから24時まで)
DJ
w/ sarudog(MU-STARS) / 高橋孝博(HALFBY) / 森野君(HANDSOMEBOY TECHNIQUE) / 松野光紀(FREDO)
- 10/16 (金) BOROFESTA'09 「BOROFESTA midnight」@京都 神宮丸太町 club METRO
当日 2,500円(ドリンク代別)
※当日券のみ
※17日または18日のボロフェスタ@KBSのぴあチケットをお持ちの方、ボロフェスタ・サイトで予約されている方は入場料が500円OFFとなります。
DJ
w/ MU-STARS / やけのはら / HALFBY / Handsomeboy Technique / COLETTE / MAKOTO ONO(TOSS&VOLLEY) / tomoh(people,normal) / SHINSUKE OSANAI(SECONDROYAL) and more・・・
LIVE
w/ グッドラックヘイワ / oneone(DEERHOOF&TENNISCOATS) / Experimental Dental School(from San Francisco) / Turntable Films
カクバリズムの作品を紹介
メイド イン ジャパニーズ / イルリメ
前作から1年8ヶ月振りとなる、イルリメのニュー・アルバム! ヨーロッパ・ツアーや、初の短編小説の執筆など、これまでの活動と創作により引き出された才能を充分に注いだ集大成的な作品。ほぼ一人での制作とは思えない、バラエティーに富んだ曲の数々が、より詩情豊かに紡がれる歌詞と融合した、イルリメの最高傑作です。
イルリメ・ア・ゴーゴー / イルリメ
イルリメ の通算5枚目となるフル・アルバム。数々のライブで練り上げられた、キラー・チューンがずらり並ぶ、パーティー・アルバム! 参加ゲストもYOUR SONG IS GOOD、ECD、二階堂和美、AMIDA、MOTHとかなり豪華!
ホニャララ / SAKEROCK
これが日本の新しい音楽。SAKEROCK2年振りのフル・アルバム! 8月にリリースされた先行シングル「会社員と今の私」はオリコン・チャートで25位に入る快挙を達成! インディーでインストでこんなことが起きるなんてすごい! 今作も快晴の空のように痛快で、熟成された古酒のように芳醇な最高のサウンドが詰まっております。
songs of instrumental / SAKEROCK
切なくも優しい、どことなく奇妙でおもしろい! 珠玉のオリジナル曲に加え、初のカヴァー曲(ファミコン・ゲームの『MOTHER』のテーマに、『スーダラ節』)、ヴォーカル曲も多数収録。オール・アナログ・レコーディングされたその音色は、とーっても温かいです。