【BiSH】Episode88 アユニ・D「壊したあとに何かを作り出したい」

待望のニュー・アルバム『GOiNG TO DESTRUCTiON』をリリースした“楽器を持たないパンクバンド”BiSH。13周目となるメンバー個別インタヴューの第6回は、アユニ・Dが登場。アリーナ公演と対バンツアーを並行して回る多忙な日々で抱く想いや、自身が作詞を手掛けた楽曲“STAR”、“Beginning, End and Beginning”について話を訊きました。また、ニュー・アルバムには、OTOTOYダウンロード特典として歌詞カードブックレットが同梱されます。BiSHが紡いだ歌詞の世界を隅々までご堪能ください。
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INTERVIEW : アユニ・D

アユニ・Dのその吐き出される言葉も、映し出される姿も、もうため息が出るほどかっこいい。そしてそのため息の量が、インタビューをするたびに増えるんだから、やっぱり彼女はモンスターだ。このタイミングでリリースされたニュー・アルバム『GOiNG TO DESTRUCTiON』、そのラストソングがアユニ・D作詞の“STAR”であることにはとても納得がいく。BiSHに入って自身に革命を起こした彼女の言葉と姿を、ニューアルバムを爆音で聴きながら目撃して欲しい。
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 井上沙織
写真 : 大橋祐希
チッチとリンリンがこの歌詞を直接褒めてくれた
──BiSH、忙しさが戻ってきたんじゃないですか? というか、めちゃくちゃ忙しそうです。
アユニ・D(以下、アユニ) : ありがたいことに朝から晩まで仕事があって、アリーナ公演と対バンツアーを同時にまわっていて、アルバムのリリースもあって、気を抜いたら倒れそうだなって思ったりもするんですけど、制作面に関しては当たり前がまた少し戻ってきているなと。だから嬉しい気持ちもあります。
──コロナ前はみなさん結構疲弊している印象でしたが、いまは違いますか?
アユニ : そうですね、私も含めてBiSHのメンバーがちょっと大人になったというか。少し前までは状況に追いつくのに必死で這いつくばって、心身ともに転げ落ちないように毎日やってたんですよね。でもいまは自分のことに集中できる時間を長くいただけたり、人としていろんなことを達観できるようになったと思うし、音楽もここ数年でみんなそれぞれ好きになって。焦燥感にまみれていたときより純粋に楽しんでいるし、状況を客観視できる力が身についたのではないかなって思っています。メンバー同士も心身ともに触れ合うようになったというか、そういうのもあると思います。
──BiSHなりに仲が深まりましたか。
アユニ : 別に昔から仲が悪かったこともないんですけど、ほぼ毎日一緒にいて、もう7年目でもあるので、いままで閉ざしてた部分が自然に心開いたりしていて。BiSHのメンバーって本当に1人1人が個性的で、当たり前のこともできないような人たちが6人集まっちゃったんですけど、それでもやっぱり生きていくなかでそれぞれ気づくことや学ぶことがあったと思うし、私もすごくあって。やっぱり愛がないと何をやってもダメだと、6人とも活動を通して人生を過ごして思ってきてたと思うんですよね。それぞれが一喜一憂して、その人なりに傷ついたり救われたりして、全員が優しくなった気がします。でも、踏み込み過ぎないでお互いの世界を理解し合っている独特な雰囲気はいまもずっとあります。

──BiSHは全員がちゃんとパーソナルな部分を大事にしますよね。人の領域に入っていかないというか。なかなか難しいことですよ。
アユニ : この関係性がいちばん心地よいです。
──“STAR”はとてもいい曲ですね。
アユニ : ありがとうございます。
──リリックビデオでもライヴでも本当にいい曲だなと思っていたんですが、歌詞は渡辺さんなのかなと思っていたらまさかのアユニさんでびっくりしました。
アユニ : 自分らしくないくらい優しい歌を書こうと思って書いた曲でもあったので、私だって気づかなかったっていうのは嬉しいです。「二人でみた空」とか本来の自分なら書かない言葉なんですけど、優しい歌を書こうと思ったときに、「触れたいんだよ」とか「温もり」とか、恥ずかしいくらい優しくて、人間特有の大切な人との繋がりたい、交わりたい、離れたくないみたいな甘えてる感情も入れ込もうと思って、結構自分にとっては挑戦でした。最初は世に放たれるのがちょっと恥ずかしかったです。でもメンバーがライヴでやるたびに好きって言ってくれて。特にチッチとリンリンがこの歌詞を直接褒めてくれたのが、この曲を好きになった大きな理由でしたね。リリックビデオは大好きな人たちと小規模に撮影したので、切ない気持ちがリアルに出ていて、すごくBiSHらしさが詰まっている映像だと思います。
