令和の世に旋風を巻き起こし続ける、水曜日のカンパネラ──それぞれが考える、飛躍のターニング・ポイントに迫る!
2024年3月16日、日本武道館での単独公演〈METEOR SHOWER〉の開催が決まった水曜日のカンパネラ。2021年9月の詩羽の加入から2年半が経ち、その間に大きな飛躍を遂げ、快進撃を見せてきました。OTOTOYでは、二代目主演の詩羽、サウンド・プロデューサーのケンモチヒデフミ、そしてなんでも屋のDir.Fの3人に取材を実施しました。現体制の中で、ターニング・ポイントとなった出来事は何だったのか、ロングインタビューでじっくりと迫りました。
新たな一面を見せる水曜日のカンパネラの最新楽曲
INTERVIEW : 水曜日のカンパネラ
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 西田健
撮影 : 大橋祐希
今まで言えなかったことを言う必要があると思って
──水曜日のカンパネラがいまの体制になってから2年半が経ちました。これまでの活動のなかで、詩羽さんにとってターニングポイントになった出来事はありますか?
詩羽 : これといった出来事はないですけど、2022年の12月くらいからだんだんと心を開いていったんですよ。リリパ3(〈RELEASE PARTY〜LET’S PARTY3〜 supported by JBL〉)の時期くらいかな。明確なきっかけはないんですけど、そのあたりからチームに人が増えていって、まとまってきた感じがします。
──心を開いたというのは、どういうものに対してですか?
詩羽 : チームですかね。まだ正直開ききってないですけどね(笑)。私は根本的に大人が嫌いなんですよ。嫌いという感情から入ってしまう中で、それが少しずつ「そんなに悪いヤツじゃないな」みたいな感じに変換されていって。今は「仕事楽しいな」と思える瞬間も増えたし、チームと一緒にいるときも居心地が良くなりました。
──ケンモチさんやDir.Fさんにさえ、心を開いていなかったんですか?
詩羽 : そうですね。私、前より優しくなったと思いません?
ケンモチヒデフミ(以下、ケンモチ) : よく喋るようになったよね。
詩羽 : 私、必要最低限しか喋らなかったんですよ。でも最近はどうでもいい話もするようになりましたし、ツアーの打ち上げにも参加するようになりました。自分でも変わったなと思うし、周りからも言われます。ずっと一緒のヘアメイクの方とかには、「明るくなりましたよね」って言われます。
──たしかに明るくなった気がします。武道館公演の前日には、詩羽さんのフォトエッセイ「POEM(ポエム)」が発売されます。こちらも拝見させていただきましたが、なぜあのエッセイを書こうと思ったんですか?
詩羽 : もともと武道館のタイミングで、写真集を出すことは決まっていたんです。でも、いつかのタイミングで、今まで言ってなかった弱い部分も見せていこうと思っていて、それでフォトエッセイという形になりました。例えば、「もっと自分のこと愛していこうぜ」みたいな一言も、私の生きてきた時間を少しでも知っている人と、何も知らない人だと、その言葉の価値が変わるじゃないですか。なんで私がそんなに「自分のこと好きでいようね」とか、「あんたたちのこと大好きだよ」と言っているのか、理由をちゃんと知ってもらった方が、言葉がスッと入ってくると思って書くことにしました。
──エッセイのなかでは、詩羽さんが水曜日のカンパネラとして活動するまでの半生が重くて辛いことも含めて、赤裸々に書かれていますよね。
詩羽 : 私も今は明るいし、ポップに生きることができているけど、こういうことがあったから、ここまで来たんだよと伝えたかったんです。今つらい状態にいる人でも、「私がポップに生きているみたいに、いつかあなたも生きられるかもしれないんだよ」と伝えるためには、今まで言えなかったことを言う必要があると思っていて。これまでエッセイなんて書いたことなかったし、いい意味で正解も比喩も何も知らなかったからこそ、素直に書くことができたのかなと思います。